2017(平成29)年度税制改正大綱:相続税・贈与税 (資産税)

2016年12月8日に与党が決定しました2017(平成29)年度税制改正大綱に関しまして、資産税 (主に相続税・贈与税) に関する主な改正案の概要は、 以下のとおりです。

 

1.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し

(1)災害時の被災者等が納税猶予制度の適用を受ける場合、適用対象となる会社の認定等の時期に応じて一定の救済措置があります。

(2)納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数に80%を乗じて計算した人数の1人未満は切捨てるが、最低1人(現行の端数は切上げ)と計算されます。

(3)相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えられます。

(4)贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社の要件から、中小企業者であること及び当該株式が非上場株式等に該当することとする要件が撤廃されます。

上記の改正は、平成29年1月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税・贈与税について適用とされますが、経過措置も規定されます。

 

2.相続税・贈与税の納税義務者の見直し

(1)国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続税の納税義務について、国外財産が相続税の課税対象外とされる要件を、被相続人等及び相続人等が相続開始前10年(現行:5年)以内のいずれの時においても国内に住所を有しないこととなります。

(2)被相続人等及び相続人等が所定の在留資格をもって一時的滞在(国内に住所を有している期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)をしている場合の相続又は遺贈に係る相続税については、国内財産のみが課税対象となります。

(3)国内に住所を有しない者であって日本国籍を有しない相続人等が、国内に住所を有しない者であって相続開始前10年以内に国内に住所を有していた被相続人等(日本国籍を有しない者であって一時的滞在(国内に住所を有している期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)をしていたものを除く)からの相続又は遺贈により取得した国外財産を、相続税の課税対象に加えられます。

上記の改正は、平成29年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税・贈与税について適用とされますが、贈与税の納税義務についても同様な取扱いとなります。

 

現行の納税義務者は、 無制限納税義務者 (居住無制限納税義務者及び非居住無制限納税義務者)、 制限納税義務者ですが、以下の様になっています。

相続人・受贈者

 

 

被相続人・贈与者

国内に住所有り 国内に住所無し  
日本国籍有り 日本国籍無し  
5年以内に国内に住所有り 5年を超えて国内に住所無し  
国内に住所有り 国内・国外財産ともに課税(居住無制限納税義務者) 国外財産にも課税(非居住無制限納税義務者   (

 

国内財産のみに課税(制限納税義務者)
国内に住所無し 5年以内に国内に住所有り(注1)  
5年を超えて国内に住所無し    

 

3.居住用超高層建築物(タワーマンション)に係る課税の見直し

(1)タワーマンションに対する固定資産税(都市計画税も同様)

① 高さ60mを超える超高層建築物のうち、複数の階に住戸があるもの(居住用超高層建築物)については、当該建築物全体に係る固定資産税額を各区分所有者に按分する際に用いる専有部分の床面積を、階層の差による取引単価の変化の傾向を反映する補正率(階層別専有床面積補正率)により補正されます。

② 階層別専有床面積補正は、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が一つ増すごとに39分の10を加えた数値とする。例えば、40階だとしますと補正率は110(100 + 10/39 X 39)となります。 つまり、1階ごとに税額が0.25%程度増減することになります。

③ 居住用以外の専有部分がある場合には、全体に係る固定資産税額を、床面積により居住用部分と非居住用部分に按分の上、居住用部分の税額を各区分所有者に按分する場合にのみ階層別専有床面積補正率を適用します。

④ 上記①から③に加え、天井の高さ、附帯設備の程度等について著しい差違がある場合には、その差違に応じた補正が行われます。

⑤ 上記の按分方法にもかかわらず、区分所有者全員による申出があった場合には、当該申出の割合により固定資産税額を按分することも可能となります。

上記の改正は、平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものは除かれます)について適用となります。

(2)タワーマンションの専有部分の取得があった場合の不動産取得税

タワーマンションに対する不動産取得税についても、上記の固定資産税課税と同様な取扱いとなります。

 

4.医療法人に対する組織再編に伴う措置

(1)平成18年医療法等改正法に規定する移行計画の認定を受けた医療法人の持分を有する個人がその持分の全部又は一部の放棄により、移行計画上の期限までに持分の定めのない医療法人に移行した場合には、当該医療法人が受けた放棄による経済的利益については贈与税を課さないことになります。

(2)上記(1)の適用を受けた医療法人について、持分の定めのない医療法人への移行後6年経過するまでの間に移行計画の認定要件を満たさなくなった場合には、上記(1)の経済的利益について当該医療法人を個人とみなして、贈与税が課せられます。

(3)医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の適用期限が3年延長となります。

 

5.直系尊属からの教育資金の一括贈与における贈与税の非課税措置

金融機関への領収書等の提出を、平成29年6月1日以後より書面による提出に代えて電磁的方法により提供することが可能となります。

 

6.生産緑地地区内農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の適用

生産緑地法の改正を前提に、面積要件が緩和された改正後の生産緑地地区内農地等については、相続税・贈与税の納税猶予制度の適用上、現行と同様の取扱いとなります。

 

7.山林に係る相続税の納税猶予制度の見直し

納税猶予制度の緩和される見直しがあります。

 

8.土地売買の所有権移転登記等に対する登録免許税税率の軽減措置の延長

適用期限を2年延長となります。

 

9.相続税の物納財産の中に上場株等も第一順位

株式、社債及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されているもの等を国債及び不動産等と同順位(第一順位)となります。

 

10.相続税等の財産評価の適正化

(1)非上場株式の評価の見直し(平成29年1月1日以後の相続・贈与から適用)

① 類似業種批准方式

(イ)類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均が追加となります。 より平準化された株価を採用できることになります。

  平成28年12月31日までの相続等 平成29年1月1日以後の相続等
右記のいずれか低い株価を選択 * 課税時期の属する月以前3ヵ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの

* 類似業種の前年平均株価

* 課税時期の属する月以前3ヵ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの

* 類似業種の前年平均株価

* 課税時期の属する月以前2年間平均

(ロ)類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、上場会社単体決算による比准要素から連結決算値を基に算定されることになります。

(ハ)配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:3:1から1:1:1とする。

これまでは、比准要素のうち「利益金額」の比重は3倍にして評価されていたが、改正で1倍と平成12年の通達改正前に戻ることになります。

② 評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大することになります。

引下げ幅等は検討中ということですが、例えば、大会社では類似業種批准方式を採用できることから、その枠が広がることで、結果として同方式での評価が取りやすくなり株価評価額がこれまでよりも減額となるケースが増えてきます。

 

(2)広大地の評価(平成30年1月1日以後の相続等から適用)

面積が1,000㎡(三大都市圏では500㎡)以上の「広大地」につては、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直し、かつ適用要件を明確化されます。

現行 路線価 X 面積 X 広大地補正率

広大地補正率 = 0.6 - 0.05 X 広大地面積 / 1,000㎡

(下限値0.35)

見直案 路線価 X 面積 X 補正率 X 規模格差補正率

補正率 = 形状(不整形・奥行)を考慮した補正率

規模格差補正率 = 面積を考慮した補正率

各補正率は全て外部専門業者の実態調査に基づき設定

 

(3)株式保有特定会社の判定基準(平成30年1月1日以後の相続等から適用)

評価会社の総資産のうち保有株式が50%以上である場合、「株式保有特定会社」として、原則、純資産価額方式で評価することになっていますが、この判定基準の株式の範囲に、「新株予約権付社債」が追加されることになります。

 

11.災害に関する税制上の措置

災害時における税制上の救済措置等が規定されました。 例えば、以下の取扱い。

(1)直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置

(2)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度

(3)山林に係る相続税の納税猶予制度

 

以上。

今年 税・社会保障こうなる 高所得者 負担一段と

2017年は税や社会保障をはじめ、 様々な分野で私たちの負担が変わる。 中でも年収1,000万円を超す会社員は1月から所得税が重くなり、 1,200万円超の場合は6月から地方税も増税になる。 高所得者の多くは給料が増えても「手取り増」を実感できない可能性がある。

「2017年負担こうなる」の内容は以下のとおりです。

時期 内容 対象者 負担
1月 年収1,000万円を超える会社員を対象に、 給与所得控除を縮小し、 所得税増税 高所得者のサラリーマン
約1,500品目の市販薬の購入費用が控除対象に。 所得税など減税 一般家庭
確定拠出年金(DC)を公務員や主婦などに対象拡大 新たに2,600万人が対象
4月 国民年金保険料額が16,490円に (現行16,260円) 主に自営業者全般
雇用保険料率を労使で0.8%から0.6%に引き下げ 企業とサラリーマン全般
ガス販売の自由化でガスの購入先が選べるように。 セット販売などでガス・電気代が割安に? 一般家庭
6月 年収1,200万円を超える会社員を対象に、 給与所得控除を縮小し、 住民税(地方税)増税 高所得者のサラリーマン
はがきを62円に値上げ 一般家庭
8月 70歳以上の医療費自己負担の上限を引き下げ 中高所得の高齢者420万人
介護費自己負担の上限を引き下げ 中所得の高齢者18万人
介護保険料が収入に応じて連動する「総報酬割」を導入 (8月分の保険料から開始) 大企業サラリーマンら1,300万人が負担増 増、又は減
9月 厚生年金保険料率が18.3% (現行18.182%)に 主にサラリーマン全般

償却資産の申告(固定資産税): 申告書提出期限1月末

1月1日現在所有され、 かつ、 事業の用に供している一定の対象償却資産はその年の1月31日までに、 その資産の所在する所管事務所(東京都の区にある都税事務所、 等)に申告書を提出しなければなりません。

 

  1. 対象償却資産

一定の対象償却資産には、 以下の資産は含まれません。

(1) 土地や建物(いずれも登記対象資産であることから、 所有者を把握できますので敢えて申告の対象にしていません)

(2) 自動車税・軽自動車税の.課税対象(2重課税の排除)

(3) 無形固定資産(特許権、 営業権、 ソフトウェア等)

(4) 繰延資産

(5) 生物(観賞用、 興行用その他これらに準ずる生物は除く)

(6) 金額的に少額資産と言われる下記の資産:

① 取得価額が10万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたもの

② 取得価額が10万円以上20万円未満の資産で、 税務上、 3年間で一括償却しているもの

注1: 租税特別措置法の規定により、 一定の中小企業に対する特例を適用して、 取得価額が30万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたものでも、償却資産の申告対象になっています。

注2: 上記以外の資産で企業や個人で事業を行なっている方が事業のために用いることができる資産、 即ち、 構築物、 機械及び装置、 船舶、 航空機、車両及び運搬具、 工具・器具及び備品で有形減価償却資産が対象となります。 次のものも償却資産の対象となります。

(1) 建設仮勘定で計上されている資産、 簿外資産及び償却済資産であっても事業用に供することができるもの

(2) 遊休又は未稼働のものであっても事業用に供することができるもの

(3) 改良費(資本的支出)

(4) 家屋に施した建築設備・造作等のうち、 償却資産として取り扱うもの

建築設備における家屋(建物・建物附属設備)と償却資産とを区分して評価することになります。 家屋と設備の所有者が同一の場合に、 償却資産として取り扱うものは次の要件を満たすものです。

① 構造的に家屋と一体的でないもの (野外給水塔、 独立煙突等)

② 家屋から独立した機械及び装置として性格の強いもの (受・変電設備)

③ 特定の生産又は業務に使用されるもの (動力用配線設備等)

④ 単に移動を防止する程度に家屋に取り付けられたもの (ルームエアコン等)

⑤ 顧客の求めに応ずるサ-ビス設備

 

  1. 申告方式

申告方式には2方式がありますが、 通常は一般方式を採用しています。 その方式とは、 前年中(申告対象年度)に増加又は減少した資産内容を申告するのみで、 評価額、 税額等は所管事務所で行う方式です。

注1: 前年中に増加又は減少した資産が無い場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「増減なし」等を付記します。

注2: 事業を行なっていますが、 対象償却資産を所有されていない場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「該当資産なし」を付記します。

2017(平成29)年度税制改正大綱:所得税

2016年12月8日に与党が決定しました2017(平成29)年度税制改正大綱に関しまして、所得税に関する主な改正案の概要は、 以下のとおりです。

 

個人所得課税

1.配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

現行では、配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与収入では103万円以下)の場合に配偶者控除38万円(老人控除対象配偶者48万円)、 並びに配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満の場合に配偶者特別控除が適用となっていましたが、 改正では、 配偶者控除は世帯主の年収に応じて縮小され、配偶者特別控除は配偶者の年収要件を103万円から150万円に引上げ、 かつ配隅者及び世帯主の年収に応じて控除額が以下の様に9段階で縮小となります。

適用は、 平成30年分以後(2018年1月から)の所得税からとなっています。

 

 

配偶者の収入金額

世帯主の収入・所得別控除額(金額単位:万円)
収入 所得 収入 所得 収入 所得 収入 所得
1,120以下 900

以下

1,170以下 950

以下

1,220以下 1,000以下 1,220超 1,000超
配隅者

控除

103万円以下(所得金額で38万円以下)(注)

 

38(48) 26(32) 13(16)
 

配偶者特別控除

103万円超

150万円以下(所得金額で38万円超85万円以下

38 26 13
155万円以下

(所得金額で90万円)

36 24 12
160万円以下

(所得金額で95万円)

31 21 11
167万円以下

(所得金額で100万円)

26 18
175万円以下

(所得金額で105万円)

21 14
183万円以下

(所得金額で110万円)

16 11
190万円以下

(所得金額で115万円)

11
197万円以下

(所得金額で120万円)

201万円以下

(所得金額で123万円)

201万円超

(所得金額で123万円)

注:カッコ内の金額は、年齢70歳以上の老人控除対象配偶者の場合です。

 

2.非課税累積投資契約に係る非課税措置(積立NISA)の創設

居住者等が金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に累積投資勘定を設けた日に属する1月1日以後20年間の間に支払われる累積投資勘定にかかる年間40万円以内の公募等株式投資信託からの配当(当該金融商品取引業者等による支払事務の取扱いに限る)や譲渡所得(譲渡損失はないものとみなす)には、所得税及び個人住民税は課税させないという制度です。 つまり、非課税累積投資契約に係る積立NISAの上限は年間40万円で非課税期間が20年とするものです。

なお、積立NISAは、現行の非課税上場株式等管理契約にかかる非課税措置(NISA)と選択適用となります。

公募等株式投資信託とは、その受益権が金融商品取引所に上場等されているもの、又はその設定に係る受益権の募集が一定の公募によるものに限られます。

非課税口座に設けられた非課税管理勘定に他から移管される上場株式等の価額(払出し時の金額)の上限額を撤廃し、ジュニアNISAの移管についても同様となります。

改正の適用は、平成31年分以後の所得税(個人住民税は平成32年分以後)からとなります。

 

3.住宅の耐久性向上改修工事に対する特別控除の追加

(1)特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除特例

当該特例の適用対象となる工事に特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久性向上改修工事を加えるとともに、税額控除率2%の対象となる住宅借入等の範囲に当該耐久性向上改修工事の費用も加えられます。

一定の耐久性向上改修工事 ①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事、又は⑧給排水若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、一定の要件を満たすものをいう。

例えば、工事費用(補助金等があれば控除後)の合計額が50万円超であること。

改修工事証明書 建築士等の一定の指定機関からの証明書が必要
適用期間 増改築等をした居住用家屋を、平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住用に供する場合に適用

(2)既存住宅に係る特定の改修工事における所得税額の特別控除特例

当該特例の適用対象となる工事に一定の耐久性向上改修工事で耐震改修工事又は省エネ改修工事と併せて行うものを加えるとともに、その控除額はそれぞれの改修工事に係る標準的な工事費用相当額の合計額(250万円(省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合には350万円)を限度)の10%になります。

なお、耐震改修工事及び省エネ改修工事と併せて一定の耐久性向上改修工事を行った場合の控除額は、それぞれの改修工事に係る標準的な工事費用相当額の合計額(500万円(省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合には600万円)を限度)の10%になります。

一定の耐久性向上改修工事 ①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事、又は⑧給排水若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、一定の要件を満たすものをいう。

例えば、工事費用(補助金等があれば控除後)の合計額が50万円超であること。

標準的な工事費用相当額 耐久性向上改修工事の種類ごとの標準的な工事費用額 X 当該耐久性向上改修工事の箇所数
適用期間 増改築等をした居住用家屋を、平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住用に供する場合に適用
その他の適用要件 現行の本特例と同様

 

4.短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税特例の延長

適用停止措置の期限を3年延長する。

 

5.優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例の延長

適用期限を3年延長する。

 

6.給与所得者等が使用者等から住宅借入金等のローン控除における利率の見直し

ローン控除の対象とならない利率は、現行の1%未満から0.2%未満に引下げる。

適用は、平成29年1月1日以後に居住用家屋を自己の居住用に供する場合からとなります。

 

7.災害に関する税制上の措置

災害により税制上の特例を受けられなくなった場合の救済措置が規定されました。 例えば、

(1)住宅借入金等を有する場合のローン控除の継続適用を認める。

(2)勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の払出しに伴う遡及課税を行わない

(3)買替資産等を予定期間等内に取得等をすることが困難となった場合には、その予定期間等を2年の範囲内で延長可とする。

 

8.肉用牛の売却による農業所得の非課税特例の延長

適用期限を3年延長する。

 

9.所得税の届出書の税務署長への提出不要

届出書名 提出不要となる税務署先
① 納税地の変更に関する届出書 その変更後の納税地の所轄税務署長
② 納税地の異動に関する届出書 その異動後の納税地の所轄税務署長
③ 個人事業の開業・廃業等届出書 その個人の納税地の所轄税務署長以外の税務署長
④ 給与支払事務所等の移転届出書 その移転後の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長

 

10.医療費控除等における提出証憑として領収書から明細書の提出変更

医療費控除、又は特定一般用医薬品等の購入による医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の適用を受けるには、現行の医療費・医薬品の領収書に代えて、その明細書を確定申告書の提出時に添付しなければならなくなりました。 当該領収書は、確定申告期限から5年間の保管義務があります。

適用は、平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出するものからとなります。 なお、経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、現行の領収書でもOKです。

 

11.指定都市における個人住民税率の変更

(1)個人住民税所得割の標準税率の変更

  現行 改正
道府県民税 4% 2%
市民税 6% 8%

変更は、平成30年度分以後の個人住民税について適用とする。

(2)退職所得の分離課税に係る所得割の税率に関する特例

退職所得の分離課税に係る所得割の税率については、上記(1)にかかわらず、当分の間、現行どおりとする。 2%差額は自治体間で精算する。

 

12.雇用保険法の失業等給付等に対する非課税措置の継続

失業給付金等に対して、非課税措置の継続と税金の滞納処分による差押えの禁止とする。

 

以上です。

預貯金も一緒に遺産分割対象に 最高裁が判例変更

最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は19日、 裁判所での審判で相続の取り分を決める「遺産分割」の対象に預貯金は含まないとしてきた判例を変更した。 遺族間で争われた審判の決定で、 「預貯金は遺産分割の対象に含む」とする初判断を示した。 相続の話し合いや家庭裁判所での調停では預貯金を含めて配分を決めるケースが多く、 こうした実態に沿う形に見直した。

与党大綱決定 所得税 抜本改革先送り

自民、 公明両党は8日、 2017年度税制改正大綱を決めた。 所得税の配偶者控除は配偶者(妻)の年収上限を103万円から150万円に事実上引き上げ、 パート主婦がより長く働きやすくする。 働き方を左右しない中立な税制の実現に向けて半歩前進したものの、所得税改革は来年度以降に抜本的な見直しを先送りした。
当該2017年度税制改正大綱の概要につきましては、「税務情報」で紹介していきます。

年末調整の概要と平成28年度の給与源泉徴収事務

  1. 年末調整とは

毎年11月となりますと会社(給与支払者)の給与担当部署は、 「年末調整」の準備・対応という大変忙しい時期を迎え、 勤務者(従業員)はその年末調整の為に必要となる申告書や証明書類等を所定の期限までに会社に提出することが求められます。 会社は、 勤務者から回収した年末調整用の書類の内容を確認しその最終提出情報に基づいて、 暦年の最終給与支払時(通常、 12月給与)に納めるべき年間の所得税及び復興特別所得税(年税額)を算出し、 これまでの給与支給時に源泉徴収された累計税額とを比べその差額となる過不足額を精算(徴収又は還付)します。 その一連の精算手続が年末調整ということになります。 一般的には、 年末調整により還付されるケースが多いかと思います。

 

  1. 平成28年度(2016年度)の所得税に係わる改正

平成28年度の年末調整において、税制改正により影響を受ける主な項目は以下の通りです。

(1) 通勤手当の非課税限度額の引上げに伴う精算

平成28年1月1日以降に支払われる通勤手当の非課税限度額が、 月額10万円から15万円に引上げられましたので、 通勤金額が10万円超でこの改正前の月額10万円で源泉徴収計算されていた方が精算の対象者となります。 具体的な手続きは次の様になります。

① 源泉徴収簿の「年末調整」欄の余白に、 「非課税となる通勤手当」を表示して、 追加で非課税となる部分の金額を記入します。

② 「年末調整」欄の「給与・手当等①」欄に、 本来の総支給金額から上記①の追加で非課税となる通勤手当部分の金額を控除した後の金額を記入します。

③ その後は、 通常の計算を行うことになります。

なお、 追加で非課税となる当該通勤手当部分の計算根拠が、 他の方法で記録、 保全されていればその方法も認められます。

* 中途退職者に既に給与所得の源泉徴収票を交付されている場合には、 「支払金額」欄を訂正し、 「摘要」欄に「再交付」と表示した源泉徴収票を再交付する必要があります。

* 年末調整の際に精算する機会の無い人は、 確定申告で精算することになります。

(2) 国外居住親族に係る扶養控除等の適用時に所定の書類添付等の義務化

平成28年1月1日以後に、 非居住者である親族(国外居住親族)に係る扶養控除、 配偶者控除、 障害者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける場合には、 「親族関係書類」及び「送金関係書類」の提出又は提示を受ける必要があります。

具体的な手続きとして、 適用を受ける旨を「扶養控除等(異動)申告書」上の「非居住者である親族」欄に○印を付し、 関係書類の提出等を行います。

(3) マイナンバー制度の導入

平成28年1月よりマイナンバー制度の導入にあたり、 個人であれば個人番号を記載して申請・申告等が必要となる書類が順次出てきます。 その最初となるものが、 「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出にあたり、 給与所得者本人、 控除対象配偶者、 控除対象扶養親族等の個人番号を記載することになります。

提出にあたり、 給与支払者が給与所得者から個人番号の提供を受ける場合は、 本人確認として、 提供の番号が正しいことの確認(番号確認)と、 番号提供者が真にその番号の持ち主であることの確認(身元確認)を行う必要があります。 なお、 控除対象配偶者、 控除対象扶養親族等の本人確認は、 給与所得者が行うことになっています。

以上から、 平成28年1月以降の支払に係る給与所得の源泉徴収票には、 上記の個人番号を記載して税務署等の行政機関に提出することになりますので、 「扶養控除等(異動)申告書」に必要なマイナンバーが記載されていない場合には、 源泉徴収票作成までにマイナンバーの提供を受ける必要があります。 なお、 給与所得者への源泉徴収票には、 個人番号は記載されません。

平成29年分以後の扶養控除等(異動)申告書等へのマイナンバーの記載不要の特例制度が創設されました。 既にマイナンバーの情報が提供されており、 その情報を記載した帳簿を備えているときには記載不要となりました。

(4) 給与所得控除額の上限額引下げ

給与収入1,200万円超から給与所得控除額は230万円が上限となりました。

 

  1. 年末調整の対象者

年末調整の対象者は、 原則として会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人は全員含まれます。 但し、 給与収入額が2千万円を超える人は年末調整を行ないませんので自身の確定申告を通じて年税額の精算をしなければなりません。 通常、 1カ所から給与支給を受けている人は、 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出し年末調整を受けることになります。

次の人は年末調整の対象者にはなりません。

(1) 年中の給与収入額が2千万円を超える人

(2) 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(年末調整を行うことができませんが、 支払の際の源泉徴収においては乙欄の税額表が適用となります)

(3) 年中に退職(死亡退職した人、 非居住者として国外勤務者となった人、 等を除く)した人

(4) 国内に住所も1年以上の居所を有していない人(非居住者)

(5) 災害免除法の規定により源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

(6) 日雇労働者等(丙欄の税額表適用者)

 

年末調整の為に提出が求められる申告書とその中に記載される控除項目は以下のとおりです。 当該控除項目以外に所得から控除可能な項目がある場合にはそれらの項目は確定申告で行うことになります。

申告書の名称 控除項目
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 配偶者控除、 扶養控除、 障害者控除、 寡婦(夫)控除、 勤労学生控除、 基礎控除
給与所得者の配偶者特別控除申告書 配偶者特別控除
給与所得者の保険料控除申告書 生命保険料控除(一般生命・介護医療・個人年金)、 地震保険料控除、 社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除(2年目から年末調整の対象で初年度は確定申告が必要)

申告書記載上の主な注意点は以下のものがあります。

() 1231日時点の現況で記載

その年の12月31日現在の現況を見積もりで記載することになります。 見積記載の内容に修正が生じた場合(例えば、 扶養者数の増減、 等)には、 再年末調整(翌年の1月末までは可能)又は確定申告により適正な精算を行うことになります。

 

() 人的控除項目の判定基準に合計所得金額基準

控除項目の中(控除対象配偶者、 控除対象扶養控除、 配偶者特別控除等の人的控除項目)には、 その控除に該当するかの判定基準にその年度の合計所得金額がありますので留意してください。 多い誤りとしては、 配偶者の合計所得金額が控除対象金額を超えているケースです。

配偶者控除の場合の合計所得金額は、 38万円以下(給与収入額では103万円以下)でなければなりません。 「配偶者」とは、 婚姻の届出をしている配偶者をいい、 内縁関係の人は含まれません。

配偶者特別控除の場合の合計所得金額は、 38万円超~76万円以下でなければなりません。

公的年金等の雑所得だけの方で控除対象扶養者(合計所得金額が38万円以下)になる場合には、 公的年金等の収入金額が158万円以下(年齢65歳未満の人は108万円以下)という条件を満たす人です。

 

「所得金額」として、 税法の規定のなかに「合計所得金額」、 「総所得金額」、 「総所得金額等」の3種類が適用判定基準の中に出てきますが、 それぞれ多少の違いがあります。

(1) 所得金額基準は主にどの適用範囲に出てきているか

所得金額 主な適用範囲
合計所得金額 l  扶養控除対象者: 合計所得金額が38万円以下

l  配偶者控除対象者: 合計所得金額が38万円以下

l  配偶者特別控除対象者: 合計所得金額が38万円超76万円未満、 並びに申告者本人の控除対象者: 合計所得金額が1,000万円以下

l  寡婦(寡夫)控除対象者: 合計所得金額が500万円以下

l  勤労学生控除対象者: 合計所得金額が65万円以下

l  住宅ローン控除対象者: 合計所得金額が3,000万円以下の年

l  居住用財産の買換えの譲渡損失の損益通算・繰越控除の適用対象者: 合計所得金額が3,000万円以下の年

l  特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除の適用対象者: 合計所得金額が3,000万円以下の年

l  市県民税均等割の非課税判定基準・市県民税の扶養親族や各種控除の判定基準

l  直系尊属から住宅取得等資金の受贈与者の非課税対象者: 合計所得金額が2,000万円以下

総所得金額  
総所得金額等 l  医療費控除限度額: 総所得金額等の5%

l  雑損控除限度額: 損失の金額 - 総所得金額等 X 10%

l  寄付金控除限度額: 総所得金額等 X 40% - 2,000円

l  寡婦となる要件: 扶養親族その他その人と生計を一にするその年分の総所得金額等が38万円以下の子がいる人

l  寡夫となる要件: 生計を一にするその年分の総所得金額等が38万円以下の子がいる人

l  市県民税所得割の非課税判定基準

(2) ①合計所得金額、 ②総所得金額、 ③総所得金額等の定義

左から右にみて所得の範囲等がそれぞれ異なっていることがお分りになるかと思います。

所得種類     各種繰越控除の適用(①から控除)
利子所得 所得金額の損益通算    

合計所得金額

* 純損失や雑損失の繰越控除

* 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除

* 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除

* 上場株式等の譲渡損失の繰越控除

* 特定中小会社発行株式の譲渡損失の繰越控除

* 先物取引の差金等決済損失の繰越控除

 

総所得金額

 

総所得金額等

配当所得  
不動産所得  
事業所得  
給与所得  
雑所得  
一時所得 2分の1
総合課税の譲渡所得 長期
短期  
分離課税(土地・建物等)の譲渡所得(特別控除適用前) 長期      
短期
分離課税の株式等の譲渡所得      
分離課税の先物取引の雑所得      
退職所得      
山林所得      

配偶者控除、 扶養者控除等の所得基準額は、 「総所得金額」より範囲が広い「合計所得金額」で判定することになり、 分離課税所得の発生年度には注意が必要となります。

 

() 年齢16歳未満の年少扶養親族

控除対象扶養控除に関して、 平成23年度から年齢16歳未満の年少扶養親族に対する扶養控除が所得税では廃止となっています(年齢16歳未満は所得税における扶養控除対象者ではありません)。 しかし、 住民税の方では控除対象となっていますので住民税に関する欄への記載を忘れないでください。 なお、 年齢16歳未満の年少扶養親族であっても、 障害者又は特別障害者に該当する場合には、 障害者控除を受けることはできます。

平成28年度の年末調整時における年齢16歳未満とは、 平成13年1月2日以後に生まれた人が年少者となります。

 

() 扶養親族

所得者と生計を一にする親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)で、 合計所得金額が38万円以下の人を扶養親族(配偶者、青色事業専従者及び白色事業専従者を除く)といいます。 その中には、 以下のように区分されています。

① 控除対象扶養親族

扶養親族のうち、 年齢16歳以上の人をいいます(平成28年度の年末調整では、 平成13年1月1日以前に生まれた人)。

② 特定扶養親族

扶養親族のうち、 年齢19歳以上23歳未満の人をいいます(平成28年度の年末調整では、 平成6年1月2日から平成10年1月1日までの間に生まれた人)。

③ 老人扶養親族

控除対象扶養親族のうち、 年齢70歳以上の人をいいます(平成28年度の年末調整では、 昭和22年1月1日以前に生まれた人)。

④ 同居老親等

老人扶養親族のうち、 所得者又はその配偶者の直系尊属でいずれかとの同居を常況としている人をいいます。

 

() 生命保険料控除の改組

平成24年(2012年)1月1日からの契約分(新契約)から一般生命保険に含まれていた「介護医療保険」が独立の控除対象となりました。 平成23年までの契約分(旧契約)については、 昨年までと同様に「一般生命保険」と「個人年金保険」の2つに分けられ最高控除額は、 各5万円です。 新契約は、 「一般生命保険」、 「介護医療保険」と「個人年金保険」の3つに分けられ最高控除額は、 各4万円となります。 なお、 旧契約と新契約が混在するケースも発生することもありますが、 各保険料控除の合計適用限度額が12万円とされています。 従いまして、 支払保険契約が、 旧契約か新契約かを保険会社からの証明書で確認しながら申請書に正しく記載する必要があります。

生命保険契約等により支払われた保険料や掛金は所得者本人が支払ったものに限られています。 又、 保険金、 共済金等の給付金の受取人の全てが所得者本人又は所得者の配偶者や親族となっていることが必要です。

翌年以後に払込期日が到来する保険料を一括して前納保険料がある場合には、 本年中に相当する部分のみが支払保険料の金額となります。

 

() 社会保険料控除

所得者本人と生計を一にする親族が負担することになっている社会保険料を所得者自身が支払った場合(時限措置により納付可能となった過去分の保険料の支払分も含む)には、 所得者本人の社会保険料として控除できます。

年金から特別徴収された介護保険料や後期高齢者医療保険料については、 支払者が年金受給者自身となることから、 その年金の受給者の社会保険料として控除となります。

翌年以後に払込期日が到来する保険料を一括して前納保険料がある場合には、 前納期間が1年以内の場合には、 その全額を本年の社会保険料として控除することができます。 なお、 国民年金保険料については、 2年分を前納できることになりましたので、 全額控除をするか、 又は期間按分して控除(この場合には、 按分の明細書が要作成)する方法のいずれかを選択することが可能です。

 

() 地震保険料控除

所得者本人と生計を一にする親族が所有して常時居住している家屋や生活に通常必要な家財に対して支払った保険料の内、 一定の金額を地震保険料控除として控除できます。

一つの契約等で、 地震等損害に対する損害保険契約と旧長期損害保険契約のいずれの契約区分にも該当する場合には、 選択によりいずれか一方の契約区分のみが地震保険料控除の控除額となります(有利な方を選択する)。

 

() (特定増改築等)住宅借入金等特別控除

現在、 各種の住宅借入金等特別控除がありますが、 控除を受けようとする初年度分については、 確定申告により控除の適用を受ける必要があります。 2年度以降分については、 年末調整の際に下記のものを給与支払者に提出します。

① 税務署長が発行した「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」。 この証明書の上部に「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」がありますので、 控除金額等の記載を行い提出します。

② 金融機関等が発行した「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

一般の住宅借入金等特別控除は、 居住者が一定の要件を満たす住宅の取得等して、 その人の居住の用に供した場合(その家屋の取得等の日から6ケ月以内に居住用に供したものに限られています)において、 その住宅の取得等のために一定の住宅借入金(償還期間10年以上等)を有するときには、 居住年以後10年間(平成13年7月1日から平成29年12月31日までの間で居住した場合には、 最長10年間。 それ以前のもは最長15年間)の各年のうち、 合計所得金額が3千万円以下である年について、 住宅借入金等の年末残高を基にした所定額を住宅借入金等特別控除としてその年の所得税額から控除できるというものです。

家屋に入居後、 本年12月31日まで継続して居住用に供していることが控除の適用要件ですので、 年度の途中で海外勤務となり出国している場合には、 この制度の適用はありません。

自己の居住用の家屋が2以上有する場合には、 主として居住用とする1の家屋に限られます。

連帯債務(共有)の場合には、 各年12月31日現在のその住宅借入金等の金額に控除を受ける人の負担割合(持分割合)を加味して控除額を計算します。 その割合は、 小数点以下第4位を切上げ、 90%以上である場合は100%とします。

住宅ローンの借換え: この制度の適用者が、 住宅借入金等の借換えをした場合に一定の要件を満たすときには適用が継続します。 住宅ローン金利が低くいものがあるとローンの借換えを行う場合があります。 一般の住宅ローンの場合の借換えでは、 新たな借入金が当初の借入金を消滅させるもので、 適用対象となっていた家屋の取得等のための資金に充てるものであれば住宅ローン控除の継続適用の対象となります。 その場合の新たな借入金の償還期間も10年以上であることが適用要件となっています。 ローン借換後の借入額が借換前の借入残高以下であれば、 年末借入残高が控除対象額となりますが、 逆に借換後の借入額が借換直前の借入残高を上回る場合、 次の按分計算して控除対象額を導く必要があります。

ローン借換後の借入額の年末残高 X (借換直前の借入残高 ÷ 借換直後の借入額) = 控除対象借入額の年末残高

 

() 給与と徴収税額の集計

年中に支払った給与・賞与が対象になりますが、 本年分の給与で未払いであっても、 本年中に支給日が到来して支払の確定したものについても年末調整の対象になります。

 

以上が年末調整の概要となります。

 

介護保険 来年度から負担増 高所得者頼みに限界も

財務・厚生労働省が検討していた介護保険制度改革の概要が固まった。 収入によって保険料が変わる「総報酬割」の仕組みを導入することで大企業に勤める会社員の保険料を引き上げるとともに、 現役並みの所得がある高齢者の自己負担を2割から3割に増やし、 増加が続く介護費用を賄う。 所得が多い人に照準を合わせた負担増には限界もみえる。

高齢者医療 保険料上げ 75歳以上の専業主婦 特例廃止

政府・与党は75歳以上が加入する公的健康保険「後期高齢者医療制度」で、 一部の保険料を軽減する特例措置を見直す。 まず家計に余裕ある専業主婦らの保険料を1割負担とする特例をなくす方向だ。 一定の所得がある人への軽減も見直す。 高齢者にも経済力に応じた負担を求め、 医療費の膨張に歯止めをかける。

現在、 会社の健康保険などに加入する配偶者の扶養を受ける専業主婦らは、 74歳まで保険料を払う必要がない。 75歳以降も特例で、 所得に関係なく保険料は9割軽減され、 負担は1割の月380円ですむ。 この特例の廃止を検討する。

又、 低所得者向けの特例も縮小を検討する。 現在、 夫婦2人の年金収入がそれぞれ80万円以下の世帯は1割負担で、 80万円以上は段階的に負担が増えていく仕組ですが、 この特例の縮小も検討されることになっています。

中小の賃上げ 減税拡充

財務省は賃上げした中小企業に減税する制度を拡充することで経済産業省などと調整に入った。 収益改善を賃上げにつなげる仕組みを強化し、 大企業中心の賃上げを中小にも行き渡らせる環境を整える。

見直すのは「所得拡大促進税制」で、 賃上げ税制などと呼ばれる。 2013年度から導入している。 企業の規模を問わず、 2012年度の給与総額に比べて一定基準を上回る賃上げをした企業を対象に、 賃上げ総額の10%を法人税の納税額から差し引いている。 具体的な見直しは、 中小企業の減税幅を引き上げる方向で、 経産省は今夏の税制改正要望で中小企業に限って減税率を10%から20%に2倍にするように求めていた。