総務省と国税庁は2018ねんにも価格の割に相続税が安くて済む高層マンションを節税目的で購入する動きに歯止めをかける検討に入った。現在は階層や購入価格にも関わらず一律となっている相続税の「評価額」を高層階に行くほど引き上げ、節税効果を薄める。高層階の物件は相続税の負担が重くなる一方、低層階を中心に税金が軽くなる人もでてきそうだ。
1月 2016のアーカイブ
空き家「準公営住宅」に家賃補助子育て世帯支援
国土交通省は全国で増え続ける空き家を公営住宅に準じる住宅として活用する。 耐震性などの基準を満たす空き家の民間アパートや戸建て住宅を「準公営住宅」に指定。 所有者が生活費負担が大きい子育て世帯などに貸すことを認める。 家賃の補助も検討する。 自治体の財政が厳しくなるなかで、 公営住宅の新設費用を抑える効果も見込んでいる。
1月 平成28年度(2016度)税制改正大綱: 法人税
自民・公明両党の税制調査会は、平成27年12月16日に平成28(2016)年度税制改正大綱を正式に決定した。 法人税に関して、 その主要改正項目の概要を以下に紹介します。
1.法人税の税率(現行:23.9%)から、段階的引下げ
現行 |
平成28年4月1日以後に開始する事業年度から |
平成30年4月1日以後に開始する事業年度から |
23.9% |
23.4% |
23.2% |
2.生産性向上設備投資促進制度の廃止
適用期限をもって廃止する。
即時償却及び税額控除率の上乗せ措置は、平成28年3月31日までと適用期限を延長しない。
3.減価償却制度の見直し
以下の償却資産に対する法定償却方法を平成28年4月1日以後の取得から定率法は廃止する。
資産の区分 |
償却方法 |
|
現行 |
改正 |
|
建物附属設備及び構築物(鉱業用のこれらの資産を除く) |
定率法 |
定額法 |
鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る) |
定率法又は生産高比例法 |
定額法又は生産高比例法 |
4.欠損金の繰越控除制度等の見直し
(1)平成27年度税制改正から事業年度の欠損金の繰越控除制度における控除限度額の段階的に引下げ
平成27年度税制改正後 |
改正 |
||
事業年度開始日 |
控除限度割合 |
事業年度開始日 |
控除限度割合 |
平成27年4月~ |
65% |
平成27年4月~ |
65% |
平成28年4月~ |
60% |
||
平成29年4月~ |
50% |
平成29年4月~ |
55% |
平成30年4月~ |
50% |
なお、中小企業においては、従来と同様に控除割合は100%のままです。
(2)繰越欠損金の繰越期間の延長
平成30年4月1日以後に開始事業年度から生ずる欠損金額に係る繰越期間等は以下のようになります。
項目 |
現行 |
改正 |
繰越欠損金額の繰越期間 |
9年 |
10年 |
繰越欠損金額の繰越控除制度における帳簿書類の保存期間 |
9年 |
10年 |
欠損金額の更生の期間制限 |
9年 |
10年 |
欠損金額の更生の請求期間 |
9年 |
10年 |
5.法人事業税の税率引下げと 外形標準課税の拡大 (地方税)
平成16年4月1日以降に開始する事業年度から、資本金の額又は出資金の額が1億円超の普通法人に対しては、原則として、外形標準課税制度が適用となっています。
(1) 法人事業税の税率改正(資本金1億円超の普通法人)
今回の改正で資本金の1億円超の普通法人の法人事業税の標準税率の改定が以下のように行なわれます。 平成28年4月1日以後に開始する事業年度(平成28年度以後)から適用となります。
課税項目区分 |
平成26年度以前 |
|||
平成27年度 |
改正 |
|||
付加価値割 |
0.48% |
0.72% |
1.2% |
|
資本割 |
0.2% |
0.3% |
0.5% |
|
所得割 |
年400万円以下の所得 |
3.8% (2.2%) |
3.1% (1.6%) |
1.9% (0.3%) |
年400万円超800万円以下の所得 |
5.5% (3.2%) |
4.6% (2.3%) |
2.7% (0.5%) |
|
年800万円超の所得 |
7.2% (4.3%) |
6.0% (3.1%) |
3.6% (0.7%) |
注1: 所得割の税率下段のカッコ内の率は、 地方法人特別税率を含んでいない税率(標準税率)であり、 制限税率を標準税率の2倍(現行:1.2倍)に引き上げる。
注2: 3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人(軽減税率不適用法人)の所得割に係る税率については、 軽減税率の適用はありません。
注 3: 「所得割」に標準税率ではなく超過税率を採用しているのは、全8都府県(東京都、大阪府、京都府、神奈川県、宮城県、静岡県、愛知県、兵庫県)となっています。
(2) 地方法人特別税の税率改正
今回の改正で資本金等の1億円超の普通法人の地方法人特別税の税率の改定が以下のように行なわれます。 平成28年4月1日以後に開始する事業年度(平成28年度以後)から適用となります。
課税項目区分 |
平成26年度以前 |
|||
平成27年度 |
改正 |
|||
付加価値割額、 資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率(地方法人特別税率) |
67.4% |
93.5% |
414.2% |
(3) 法人事業税の税率改正に伴う負担変動の軽減措置
資本金1億円超の普通法人のうち、 平成27年4月1日から平成31年3月31日の間に開始する事業年度に係る付加価値額が、 40億円未満の法人について下記の事業税額の軽減措置があります。
開始する事業年度と |
付加価値額 |
軽減額 |
平成27年4月1日から平成28年3月31日の間の事業年度に係る事業税額が、 平成27年3月31日現在の付加価値割、 資本割及び所得割の税率に基づいて計算された事業税額を超える場合 |
30億円以下の法人 |
その超える額に2分に1を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する |
30億円超40億円未満の法人 |
その超える額に付加価値額に応じて2分に1から0の割合を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する。 |
改正により資本金1億円超の普通法人のうち、 平成28年4月1日から平成31年3月31日の間に開始する事業年度に係る付加価値額が、 40億円未満の法人について下記の事業税額の軽減措置があります。
開始する事業年度と |
付加価値額 |
軽減額 |
平成28年4月1日から平成29年3月31日の間の事業年度に係る事業税額が、 平成28年3月31日現在の付加価値割、 資本割及び所得割の税率に基づいて計算された事業税額を超える場合 |
30億円以下の法人 |
その超える額に4分に3を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する |
30億円超40億円未満の法人 |
その超える額に付加価値額に応じて4分に3から0の割合を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する。 |
|
平成29年4月1日から平成30年3月31日の間の事業年度に係る事業税額が、 平成28年3月31日現在の付加価値割、 資本割及び所得割の税率に基づいて計算された事業税額を超える場合 |
30億円以下の法人 |
その超える額に2分に1を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する |
30億円超40億円未満の法人 |
その超える額に付加価値額に応じて2分に1から0の割合を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する。 |
|
平成30年4月1日から平成31年3月31日の間の事業年度に係る事業税額が、 平成28年3月31日現在の付加価値割、 資本割及び所得割の税率に基づいて計算された事業税額を超える場合 |
30億円以下の法人 |
その超える額に4分に1を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する |
30億円超40億円未満の法人 |
その超える額に付加価値額に応じて4分に1から0の割合を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する。 |
6.地方法人課税の偏在是正(平成29年4月1日以後に開始する事業年度から適用)
(1) 法人住民税法人税割の税率の改正
平成29年4月1日以後に開始する事業年度から法人住民税法人税割の税率は以下のように引下げられます。
項目 |
現行 |
改正 |
||
標準税率 |
制限税率 |
標準税率 |
制限税率 |
|
道府県民税法人割 |
3.2% |
4.2% |
1.0% |
2.0% |
市町村民税法人割 |
9.7% |
12.17% |
6.0% |
8.4% |
(2) 地方法人税(国税)の税率の改正(平成29年4月1日以後に開始する事業年度から適用
納税義務者 |
法人税を納める義務のある法人(人格のない社団等を含む) |
|
税額の計算 |
各課税事業年度の基準法人税額 X 地方法人税率 = 地方法人税額 |
|
申告及び納付 |
申告及び納付は、 国(税務署)に対して行う。 申告書の提出期限は、 法人税の申告書と同一となります。 |
|
税率 |
現行 |
改正 |
4.4% |
10.3% |
(3) 地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の廃止
① 平成29年4月1日以後に開始する事業年度から地方法人特別税は廃止し、 法人事業税を復元する。
② 地方法人特別譲与税は、 平成30年8月譲与分をもって廃止する。
7.地方拠点強化税制の拡充
雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)のうち地方活力向上地域特定業務施設整備計画に係る措置について、雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度(給与等支給拡大促進税制(所得拡大促進税制))と重複適用が可能となります。 但し、所得拡大促進税制の適用の基礎となる雇用者給与等支給増加額から、増加雇用者に対する給与等支給額として一定の方法により計算した金額を控除する。
8.地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設
青色申告法人が、改正地域再生法の施行日から平成32年3月31日までの間に、地方創生推進寄附活用事業(地域再生法の認定地域再生計画に基づき国(内閣府)の認定を受けたもの)に関連する寄附金を支出した場合、法人事業税、法人住民税、法人税から一定額を税額控除できます。 但し、法人の本社が立地する地方自治体の事業への寄附は対象外となります。
現行の寄附金の損金算入制度に加え、以下の税額控除が可能となります。
税 |
税額控除額 |
控除税額の上限 |
||
法人事業税 |
寄附額の10% |
法人事業税額の20% |
||
法人住民税 |
開始事業年度 |
道府県民税法人税額 |
市町村民税法人税額 |
道府県民税法人税額の 市町村民税法人税額の |
平成29年3月 |
寄附額の5% |
寄附額の |
||
平成29年4月 |
寄附額の |
寄附額の |
||
法人税 |
① 寄附額の20% - 法人住民税からの控除税額 |
法人税額の5% |
注1:2以上の自治体に事業所等がある法人における控除税額の按分基準
法人事業税は、課税標準額を基準として按分する。
法人住民税は、従業員数を基準として按分する。
9.倉庫用建物等の割増償却制度の見直し
対象要件の見直し、貸付に供するものを対象外とし、適用期限を平成30年3月31日とする。
10.交際費等の損金不算入制度の延長
適用期限を2年延長し、接待飲食費の50%損金算入の特例と中小法人の800万円の定額損金算入の特例も2年延長とする。
11.中小企業者等以外の大法人に対する欠損金の繰戻還付制度の不適用制度の延長
適用期限を2年延長する。
12.環境関連投資促進税制の見直し
(1)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の適用期限を2年延長する。
(2)風力発電設備の即時償却を廃止する。
(3)対象資産を、太陽光発電設備を電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の認定発電設備以外のものとする等の見直しを行う。
(4)税額控除の対象資産から車両運搬具を除外する。
13.中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例の見直し
(1)中小企業者等において、30万円以下の少額減価償却資を損金算入できる特例を2年延長する。
(2)対象法人から、常時使用する従業員の数が1,000人超の法人を除外する。
14.役員給与の見直し
(1)事前確定届出給与
役員から受ける将来の役務の提供の対価として交付する一定の譲渡制限付株式による給与については、事前確定の届出が不要とされる。
(2)利益連動給与
利益連動給与の算定指標の範囲に「ROE(自己資本利益率)その他の利益に関連する一定の指標」が含まれることが明確化される。