路線価6年ぶり下落 2021年分0.5% 観光地・繁華街厳しく

国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基礎となる2021年分の路線価(1月1日時点)を発表した。全国約32万地点の標準宅地は全国平均で前年に比べ0.5%下落した。新型コロナウイルスの影響で観光地や繁華街などがマイナスに転じ、6年ぶりに前年を下回った。
都道府県別の路線価は、札幌、千葉、横浜など8都道府県で上昇した。 前年の上昇は38都道府県だった。 首都圏では東京都(下落率1.1%、前年の上昇率5.0%)、千葉県(上昇率0.2%、前年の上昇率1.2%)、神奈川県(下落率0.4%、前年の上昇率1.1%)、埼玉県(下落率0.6%、前年の上昇率1.2%)でした。最も上昇率が高かったのは、福岡県の1.8%(前年は4.8%)でした。
路線価とは、 主要道路に面した土地1平方メートル当たりの標準価格で、 2021年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で土地を取得した場合、 今回公表された路線価を基に税額が算定される。 調査地点は国土交通省が3月に公表した公示地価(2万6千地点)よりも多い約32万強地点。 公示地価の8割を目安に売買実例などを参考にして算出するため、 公示地価よりも遅く例年7月に公表される。 路線価の最高は、 36年連続でお馴染みの東京都中央区銀座5丁目銀座5の文具店「鳩居堂」前の1平方メートル当たり42,720千円(前年45,920千円)でした。

住宅ローン控除の特例特別控除

2021年(令和3年)度税制改正で、年消費税率10%で住宅の特別特例取得に該当し、以下の諸条件を満たす場合には、2022年末(令和4年末)までの入居(1年延長)により住宅ローン控除期間の3年間延長特例(控除期間13年間)が認められようになりました。
改正は、2022年(令和4年)1月1日以後の確定申告提出からの適用となっています。
(1)特別特例取得の要件(①と②)
適用要件には、以下の様に住宅取得区分と契約締結日並びに居住開始日が定められていますので各項目に留意する必要があります。

① 住宅取得の区分② 契約締結の期限居住開始の期間
イ 新築注文住宅2020年(令和2年)10月1日~2021年(令和3年)9月30日の期間2021年(令和3年)1月1日~2022年(令和4年)12月31日の期間
ロ 分譲住宅・マンション・既存中古住宅・増改築等2020年(令和2年)12月1日~2021年(令和3年)11月30日の期間

(2)住宅の床面積と合計所得金額の要件

 特別特例の場合原則の場合
住宅の床面積40㎡以上50㎡以上
合計所得金額1,000万円以下3,000万円以下

参考:住宅ローン特別控除(注1)

居住年一般住宅認定長期優良住宅
借入金等の年末残高の限度額控除率最高借入金等の年末残高の限度額控除率最高
H26年1月~3月2千万円1.0%20万円3千万円1.0%30万円
H26年4月~令和3年12月
(注2)
4千万円1.0%40万円5千万円1.0%50万円

注1:認定住宅とは、 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいい、 それ以外を一般住宅といいます。
注2:消費税等の税率が8%又は10%になった場合での金額であり、 それ以外の場合(経過措置の適用で旧税率が適用になっている場合や個人間の売買契約による場合も含む)には平成26年1月~3月と同じになります。
なお、 住宅を取得・居住した年に勤務先から転任の命令等やむを得ない事由により転居した場合における再居住の特例として、 居住年に一時転居しその年の12月31日までの間に再び居住した場合には、 継続居住とみなされ当該税額控除の適用対象となります。
上記の住宅ローン特別控除に対して、2020年(令和2年)度税制改正で、特例特別控除が創設されており消費税率10%が適用される住宅取得等(新築、中古、増改築等)をして、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住に供された場合に、住宅ローン控除として従来の10年目の適用期間を3年延長され、適用年の11年目から13年目までの各年の控除額については、以下の①又は②のいずれか少ない金額とされます(適用年の1年目から10年目までは現行と同様)。この居住要件が、上述の通り2021年(令和3年)度税制改正により、令和2年12月31日までが令和3年12月31日へと1年延長となりました。
(1) 一般住宅
①  住宅借入金等の年末残高(4千万円を限度)× 1%
② (住宅取得等の対価金額 - 対価金額に含まれる消費税額等){4千万円を限度}× 2% ÷ 3 
(2) 認定長期優良住宅
①  住宅借入金等の年末残高(5千万円を限度)× 1%
② (住宅取得等の対価金額 - 対価金額に含まれる消費税額等){5千万円を限度}× 2% ÷ 3 
*:居住と非居住に供する部分がある場合には、居住に占める床面積割合が控除対象となります。
*:住宅取得等に関し、補助金等の交付金や直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、その交付金や贈与額を取得金額から控除する必要はありません。
*:2以上の住宅取得等の場合には、調整計算が必要となります。

75歳以上 医療2割負担に 単身年収200万円から

一定の所得がある75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法が4日の参院本会議で、自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立した。医療制度改革関連法のポイントは以下のとおり。
* 一定の所得がある75歳以上の窓口負担を1割から2割に
* 対象は単身で年収200万円以上、複数世帯は合計320万円以上
* 導入時期は2022年10月~2023年3月までの間で今後政令で定める
* 外来患者は3年間、1ヵ月分の負担増を3千円以内に抑える

勤続5年以下の従業員の退職所得課税の見直し

2021年度の税制改正におきまして、役員以外の従業員が勤続年数5年以下で退職し「短期退職手当等」(特定役員退職手当等の該当以外)を受給する場合で、その退職所得控除後の金額が300万円超の場合には、退職所得計算上の2分の1軽減適用は行われなくなります。この改正は、2022年(令和4年)分以後の所得税から適用です。

退職収入から退職所得控除後の残額従業員の勤続年数
改正(2022年退職より)現行
5年以下5年超
300万円超2分の1適用無し2分の1適用2分の1適用
300万円以下2分の1適用

参考:退職所得計算
(1)一般退職のケース
(退職収入金額-退職所得控除額)×1/2 =退職所得

勤続年数 退職所得控除額
2年以下80万円
3年~20年以下40万円 X 勤続年数(*)
21年以上70万円 X 勤続年数 - 600万円、 又は
70万円 X (勤続年数 - 20年) + 800万円

(*) 勤続年数の1年未満は切上げ。 障害者になって退職された場合には、 控除額に100万円加算。

(2)勤続5年以下の役員退職のケース(特定役員退職手当等)
役員として勤続年数5年以下における退職所得控除額を控除した金額に対する2分の1軽減措置は既に2012年税制改正で廃止となっています。
なお、特定役員退職手当等と一般退職手当等がある場合には、 下記の(イ)と(ロ)の退職所得を合算して計算することになります。
(イ) 特定役員退職所得
 特定役員退職手当等 - 特定役員退職所得控除額 = 特定役員退職所得
特定役員退職所得控除額は、 次の金額の合計額とします。
(a) 40万円 X (特定役員等勤続年数 – 重複勤続年数)
(b) 20万円 X 重複勤続年数
(ロ) 一般退職所得
(一般退職手当等 - 一般退職所得控除額) X 1/2 = 一般退職所得
一般退職所得控除額とは、 退職所得控除額から特定役員退職所得控除額を控除した残額となります。

所得拡大促進税制の概要

令和3年度の税制改正法が3年26日に可決・成立していますが、その中で最近の税制改正で見直しが頻繁に行われています「所得拡大促進税制」に関しましてご紹介しておきたいと思います。資本金1憶円以下の中小企業には、適用要件内容から「所得拡大促進税制」と言い、資本金1憶円超の大企業には、改正前で賃上げ・投資促進税制から「人材確保等促進税制」と言われています。令和3年4月1日以降の開始事業年度から、今回の税制改正が適用となりますので、以下に「所得拡大促進税制」に関しまして改正前後の比較を記載します。
中小企業の適用要件判定において、改正前の継続雇用者給与等支給額(抽出不要となります)から雇用者給与等支給額のみへと見直し、適用期限が2年間延長となり改正内容は、2021年(令和3年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までの開始事業年度に適用となります。

 改正前改正後
適用要件①当期の雇用者給与等支給額>前期の雇用者給与等支給額
②当期の継続雇用者給与等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額
X101.5%
判定には、雇用調整助成金等は控除します。
当期の雇用者給与等支給額≧前期の雇用者給与等支給額X101.5%
(注1)
注1:判定には、雇用調整助成金及びこれに類する額は控除しません。

税額控除(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率15%




下記の①及び②の適用要件を満たす場合には、
(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率25%

①(当期の継続雇用者給与等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額X102.5%
②以下のいずれかを満たす場合
(イ)当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費X110%
(ロ)中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画が実行されていることの証明されている

税額控除額の上限は、当期の法人税額の20%
(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率15%(注2)
注2:税額控除において増加支給額は、雇用調整助成金及びこれに類する額を控除した金額を上限とします。
下記の①及び②の適用要件を満たす場合には、
(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率25%

①(当期の雇用者給与等支給額≧前期の雇用者給与等支給額X102.5%(注1)
②以下のいずれかを満たす場合
(イ)当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費X110%
(ロ)中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画が実行されていることの証明されている

税額控除額の上限は、当期の法人税額の20%

なお、「人材確保等促進税制」との併用は不可です。

「所得拡大促進税制」とは、青色申告法人が、所定の間に開始する各事業年度において国内雇用者に対する給与等支給額に関して、 その法人の雇用者給与等支給増加額に対して、税額控除を認めるというものですので、特に以下の定義を正確に理解する必要があります。
国内雇用者の範囲国内雇用者とは、 役員、役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除く使用人で国内事業所に勤務し賃金台帳に記載されている雇用者(従って、 雇用保険の一般被保険者でない雇用者も含む)
役員の特殊関係者役員の特殊関係者とは、次に掲げる者をいいます。
① 役員の親族 (配偶者、6親等以内の血族、及び3親等以内の姻族)
② 役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
③ 上記以外の者で役員から生計の支援を受けているもの
④ 上記の者と生計を一にするこれらの者の親族
継続雇用者の範囲

継続雇用者の範囲 継続雇用者とは、適用年度(当期)およびその前年度の両方において給与等の支給(24ヵ月間継続)を受けた国内雇用者であり、継続雇用者に係る金額は、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限ります(年齢は65歳未満の国内雇用者)が、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除く、ということになっています。
具体的に継続雇用者とは、
①前期及び当期の全ての月分の給与等の支給を受けた国内雇用者であること
②前期及び当期の全ての期間において雇用保険の一般被保険者であること(加入手続きの有無は関係ありません。又、一般被保険者とは、年齢65歳未満の雇用者です)
③前期及び当期の全ての又は一部の期間において高年齢再雇用者制度の対象となっていないこと
従って、一定の週20時間以上のパート・アルバイトで雇用保険法の適用要件を満たす一般被保険者は含まれます。
つまり、 第1に、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限られますので、
(イ) 正社員、及び
(ロ)パート・アルバイトのうち週所定労働時間が20時間以上で継続して31日以上の雇用が見込まれ一般被保険者になっている者
ということになりますが、 但し、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除くとされていますので、定年が65歳未満の会社で、65歳未満で定年退職した者を対象とする継続雇用制度を採用している会社の場合、定年以降の継続雇用制度の対象者に支給した金額は控除しなければなりません(この対象者の定年後の給与額は、 通常引下げられることとなり会社にとって不利とならない配慮により含めない処置となっています)。
給与等の範囲給料、 賃金、 賞与等で賃金台帳に記載された支給額(非課税とされる通勤手当等の額も含む)のみを対象としますが、 合理的な方法により継続して給与等の支給額を計算している場合には、 これも認められます。 退職金等は対象外です。
雇用者給与等支給額・比較雇用者給与等支給額雇用者給与等支給額とは、適用年度(当期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額。 なお、 控除すべきものとして、 国等から支給を受けた助成金や出向先法人から受けた出向者分の給与負担金受給額、 等は控除します。
なお、 出向先法人では、 その賃金台帳に出向者を記載している時には、 その給与負担金は含まれます。
比較雇用者給与等支給額とは、比較用年度(前期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額。 前期の事業月数が12ヵ月未満の時には、年換算に調整計算を行います。

個人事業主に識別番号 補助金や税務、効率化

政府は個人事業主を登録・識別する番号制度をつくる。補助金の支給や社会保険、税務などの手続きを一元管理できる仕組みを検討する。
今後の番号制度は、①国民個人のマイナンバー(12桁)、②個人事業主の新番号(13桁)、③企業の法人番号(13桁)の予定です。

公示地価、6年ぶり下落

国土交通省が23日発表した2021年1月1日時点の公示価格は、商業・工業・住宅の全用途(全国)が前年比0.5%のマイナスと6年ぶりに下落に転じた。新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく、三大都市圏はそろって下落。外出自粛や訪日客急減に伴う飲食店や小売店などの不振が地価を押し下げた。

2021年公示地価の変動率(1月1日時点、 前年比%、 ▲は下落):

地域住宅地商業地全用途
前年2021年前年2021年前年2021年
全国平均0.8▲0.43.1▲0.81.4▲0.5
三大都市圏1.1 ▲0.65.4▲1.32.1▲0.7
東京圏1.4 ▲0.55.2▲1.02.3▲0.5
大阪圏0.4▲0.56.9▲1.81.8▲0.7
名古屋圏1.1▲1.04.1▲1.71.9▲1.1
地方圏0.5▲0.31.5▲0.50.8▲0.3

公的機関が公表する土地価格情報には、 以下のものがあります。

 公示地価基準地価路線価固定資産税評価額
調査主体 国土交通省都道府県国税庁市町村
調査地点数約26,000約21,700約334,000多数
調査時点1月1日7月1日1月1日1月1日(原則3年に1回、 次回は2021年)
公開時期3月9月7月又は8月3月
公開サイト国交省(土地総合情報ライブラリー) 国交省(土地総合情報ライブラリー)国税庁資産評価システム研究センター
その他調査対象は都市部の比重が高い。 標準地の公示地価は一般の土地取引価格(更地価格)の指標となるだけでなく、 公共事業用地の取得価格算定や、 国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。調査対象は地方の調査地点が多く、 一般の土地取引価格の指標となる。 公表は国交省から 相続税・贈与税の基準となる地価で、 公示地価の8割程度の水準土地に対する固定資産税計算の基準となる地価で、 公示価格の7割程度の水準

保険契約の変更(支払保険料の停止):払済保険と失効との違い

保険料の支払いが厳しくなった時には、解約や保険料の減額等が考えられますが、解約返戻金のある保険契約において、保険料の支払いを完全に停止し既払保険料に係る解約返戻金を利用して保険期間を継続(保障保険金は減額)させるという「払済保険」という方法があります。この払済保険に変更した時に税務上の処理は、一旦解約し新規契約したものと見做した処理が要求されます。つまり、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険積立金との差額をその変更した日の属する事業年度の益金の額(又は損金の額)に算入しなければならない点に留意する必要があります。そこで、保険契約を「失効」させることで、この様な解約返戻金の洗替処理を避けることができます。生命保険が失効すると保障を受けられなくなるだけで解約返戻率は維持され保険料の支払いはありません。但し、失効期間(例えば、2年、3年等)には保険会社により異なりますが制限(一定期間の措置)があります。この失効の措置活用も状況に応じて検討することが考えらえます。