年末調整 ネットで完結 企業・会社員の負担減 住宅減税等2020年度めど

財務省と国税庁は、紙の書類でやり取りしている住宅ローン減税等の年末調整の手続きをインターネットで完結できるようにする。会社員はマイナンバーの個人サイトに金融機関から送られてくるデータを勤め先に転送、企業もネット経由で税務署に提出する。電子化を通じて年末調整で利便性を高め、低迷するマイナンバーカードの普及につなげる。2020年度に導入を目指す。

今秋稼働するマイナンバーの個人サイト「マイナポータル」を使えば、 2017年度分の申告から領収書の提出がいらなくなる予定。マイナンバーカードの普及率が10%に満たない現状を踏まえ、マイナポータルの実用性を上げてカードの一段の普及を見込む。

2017年8月14日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

保険契約の法人から個人への名義変更

法人では各種の保険に加入されているかと思いますが、その保険契約を個人に名義変更することがあります。 その場合の会社と個人のそれぞれには、課税上どのような処理になるでしょうか。 保険の種類の中で、「低解約返戻金タイプの生命保険」を例として、検討してみたいと思います。

「低解約返戻金タイプの生命保険」とは、中途での解約時には所定の解約返戻金がありますが、保険契約から初期の段階では低い解約返戻金ですが、年数の経過により増加(急に増加するタイプもあり)し、ある経過年数でピークとなり逓減していくという商品です。俗に「逓増定期保険」と言われる商品も同様です。

法人で保険料を支払いますが、通常、この種の保険では、保険料の半額が経費として損金経理され、残りの半額は保険積立金として資産経理となります。 例えば、解約時の保険返戻率に関して、2年目で2%、3年目で25%、4年目で125%、5年目で115%、以降逓減していく保険契約のケースで、3年目で保険契約者・保険受取人の名義を法人から個人に変更する場合、個人は法人に変更時の解約返戻金を支払うことになります。 そして、個人は4年目に保険料を支払うとその年に保険を解約し解約返戻金を受領した場合の課税は、以下の様に取り扱われます。

1.法人の3年目の事業年度

(1)保険積立金総額(3年間の保険料総額 X 50%) - 解約返戻金相当額(3年間の保険料総額 X 25%)= 解約損失金(経費)

(2)3年目の50%保険料 = 経費

注:2年間の50%保険料総額は経費処理済

2.個人の4年目の申告年度

(1){4年目の解約返戻金(4年間の保険料総額 X 125%) - (3年目の解約返戻金(3年間の保険料総額 X 25%)+ 4年目の保険料)}- 500,000 = 一時所得

(2)上記の一時所得 X 50% = 総合課税所得

上記の例の様な保険契約のケースでは、法人では純保険料負担の100%が経費処理でき、個人では、保険料負担額の倍以上の収入が得られたことになります。

保険会社によっては、個人に名義変更した後に数年間は、契約者貸付(解約返戻金の範囲内で保険料を貸付)を利用して個人の負担なく続けられる保険商品もあります。

 

上記例はかなり特殊な契約内容でありますが、少なくとも保険契約の名義変更を法人から個人に承継させる上で留意すべき事項は次のとおりです。

① 名義変更先が個人の場合は被保険者本人またはその親族(2親等以内)に限られます。

② 個人は法人に名義変更時の解約返戻金相当額を支払う必要があります。

③ 名義変更の事業年度で法人は保険積立金額と個人から受領した解約返戻金相当額との差額が、解約損益金額となります。

④ 個人が保険解約時の解約返戻金は一時所得に該当しますが、その時の計算上、解約返戻金から控除できる保険料は、個人が負担した保険料に限定されます。 一時所得の計算上控除できる「その収入を得るために支出した金額」は、個人が負担して支出したものに限ることが、現行の法令・通達で明確化され、又、最高裁判決でもその様に判示されています。 一時所得の場合には50万円控除があり、更にその50%が課税所得となる扱いになります。

収益力のある法人等においては、検討されてもよいかもしれません。

2017年7月21日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

遺産分割から居住除く 贈与の場合 配偶者に配慮

法制審議会(法相の諮問機関)の部会は18日、亡くなった人の遺産を分け合う遺産分割の規定を見直す試案をまとめた。婚姻期間が20年以上の夫婦のどちらかが死亡した場合、配偶者に贈与された居住は遺産分割の対象にしない。今は居住も相続人で分け合う遺産のため、居住を売却して配偶者が住まいを失う問題があった。

試案は、居住用の土地・建物を配偶者に贈与した際に、それ以外の遺産を相続人で分け合う内容。適用するには条件があり、①夫婦の婚姻期間が20年以上 ②配偶者に居住を生前贈与するか遺言で贈与の意思を示す、の2つだ。婚姻期間が20年未満の夫婦や、意思表示がなく被相続人が亡くなった場合は対象外となります。

2017年7月19日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

電子納税しやすく 国税庁 証明書や専用機器不要

国税庁は2019年をめどにインターネット電子申告・納税をしやすくする。 新しい方式では、ICカードリーダーやマイナンバーカードなどの電子証明書が要らなくなる。

まず税務署で申告を始める届出書と免許証など本人確認ができる証明書を提出する。職員が対面で本人確認をしてなりすましなどを防ぐ。そこで受け取ったIDとパスワードを国税庁のサイトで入力するだけでe-Taxを通じて電子申告ができる。2018年分の申告分からが対象で、翌年度以降も同じIDとパスワードを使いネットで申告できる。

路線価とは、 主要な道路に面した土地1平方メートル当たりの標準価格で、 2017年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で土地を取得した場合、 今回公表された路線価を基に税額が算定される。 調査地点は国土交通省が3月に公表した公示地価(2万6千地点)よりも多い約33万地点。 公示地価の8割を目安に売買実例などを参考にして算出するため、 公示地価よりも遅く例年7月に公表される。 路線価の最高は、 お馴染みの東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りの1平方メートル当たり40,320千円(前年26.0%上昇)でした。 過去最高だったバブル直後(1992年)の36,500千円を上回った。

2017年7月16日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

路線価2年連続上昇

国税庁は3日、 相続税や贈与税の算定基準となる2017年分の路線価(1月1日現在)を発表した。 全国約32万5千地点の標準宅地は前年比で0.4%のプラスとなり、 2年連続で上昇した(前年度では前年比で0.2%のプラス)。 都道府県別では、東京、 大阪、 愛知など13都道府県が上昇した。 前年の上昇は14都道府県だった。

2015年には相続税の制度が見直され、非課税となる基礎控除が下がり、「3,000万円 + 600万円 X 法定相続人の数」と40%減となった。 国税庁によると、2015年に亡くなった約129万人のうち、財産が相続税の課税対象となったのは、約10万3千人。 2014年比の約1.8倍に増えた。 課税割合は8%と2014年の4.4%を大きく上回った 。

2017年7月3日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

法定相続情報証明制度の開始

法定相続情報証明制度は、法務省において相続登記(土地や建物など不動産の名義変更)を促進するために平成29年5月29日から運用が開始されました。

1.制度創設の背景

土地や建物など不動産の所有者が亡くなられた場合、相続登記(所有権の移転登記)が必要となりますが、未了のまま放置されている不動産が増加し、所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっています。 又、各種の相続手続きにあたり、故人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍など複数の種類あります。)や相続人全員の戸籍謄本、住民票などの原本が複数枚必要となり、煩雑な手続上の負担がし得られていました。また相続手続きにおいては、戸籍の原本が還付されない金融機関もあったり、複数の金融機関を同時に進める必要があったり、さらに税務署提出用は原本の還付がされませんので、必要に応じて同じ戸籍を複数部にわたって取得することも必要になりました。

そこで、法定相続情報証明制度は、法務局が戸籍関係書類の内容を確認して、証明文を付して交付するものです。

 

2.制度の概要

1)交付申出

制度の概要として相続人が登記所に対し、被相続人(亡くなられた不動産の所有者)の出生から死亡までの戸籍関係書類等や、法定相続情報一覧図(相関図:相続人関係説明図)を提出する事で、登記官が内容確認後に「認証文付きの法定相続情報一覧図」の写しを交付します。

2)法定相続情報一覧図の作成

相続人が提出する「法定相続情報一覧図」には、被相続人の氏名、最後の住所地、生年月日、死亡年月日、相続人の氏名、住所地、生年月日、被相続人との続柄などを記載する必要があります。

3)認証文付きの法定相続情報一覧図の写しの利用

法定相続情報一覧図の写しが相続登記の申請手続きや、被相続人名義の預金の払い戻し等、相続手続きに利用される事で、相続手続きを行う相続人や手続き先の法務局や銀行等金融機関の窓口の負担が軽減されます。法定相続情報一覧図の写しの発行手数料は無料で、必要な通数が交付されますので、法務局や銀行等金融機関の窓口に個別に戸籍等を提出する手間が省け、相続登記や銀行口座(預金・貯金)の凍結解除(名義変更・解約)などが以前に比べ容易になります。

法定相続情報証明制度は被相続人名義の不動産が無い場合でも利用する事が出来る為、遺産が銀行口座のみという場合でも法定相続情報一覧図の写しを交付してもらう事が可能です。

4)交付申出者の資格

申出をする事が出来るのは被相続人の相続人の他、法定代理人や民法上の親族、資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)などが法定相続情報一覧図の写しの交付の申出を行う事が出来ます。

申出が出来る登記所は、被相続人の本籍地、被相続人の最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地を管轄している登記所のいずれかで、郵送で行う事も可能です。

5)相続税申告の利用可能性

相続税法施行規則16条3項で戸籍謄本で被相続人の全ての相続人を明らかにするものを添付することが規定されていることから、この改正が行われない限り「認証文付きの法定相続情報一覧図の写し」は相続税の申告には使用できません。

 

2017年6月25日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

民法の一部改正

約120年ぶりの民法の抜本改正(今回の大部分は債権法の関する改正)が平成29年5月26日に成立しました。 施行期日は公布日から3年以内に政令で定める日とされており、平成32年頃の施行とみられています。 その中でポイントなる主な改正内容は、以下のとおりです。

改正項目 主な改正内容
消滅時効期間の統一

(短期消滅時効の廃止)

改正前 職業別に、 飲み屋さんのツケは1時効消滅、小売商のツケや学習塾の授業料、弁護士報酬債権は2、医師・助産師の診療報酬債権は3で時効消滅と、 短期消滅時効のものがありました。一般的な債権の消滅時効期間が、「権利行使できる時から10年間」と決められていました。
改正後 改正前の様に区別をすることの合理性が疑われてきたため、改正ではこれらの職業別の短期消滅時効が廃止され、これらの債権は他の債権と同様、消滅時効期間は、「権利行使できる時から10年」という従来の一般原則に加えて、「権利行使できると知った時から5年」の時効期間が追加され統一されることになりました。 つまり、時効の完成を主張する側が、権利者が権利行使できると知っていたことを主張・立証できれば、5年で時効完成するということです。
法定利率の引き下げと変動利率の導入 改正前 当事者で定めの無い場合に使用される利率(これを法定利率)であり、年5%となっていました(法律の範囲内であれば利率を当事者間で決めることができる、約定利率とは異なります)。
改正後 利率を現実の利回りに少しでも近づけようとするもので、法定利率を3%に引き下げ、市場金利との乖離を少なくするため、その後3年ごとに1%刻みで見直す変動制への移行となりました。
企業融資で求められる保証人の制限・保護の強化 改正前 企業への融資の場面でも個人が保証人になることには制限がなく自由でした。
改正後 事業資金の借入れについて個人が保証人になるということは、予期しない負担を強いられ過大な負担が生じる危険がありましたので、その保証人の制限・保護が図られる規定となりました。

① 個人根保証は、金額の枠(極度額)を定めないときは無効となります。 ② 事業のための債務についての個人(根)保証は、その締結の前1か月以内に作成された公正証書で保証人となろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ無効となります。

第三者を連帯保証人とする場合は、1か月前以内に公証人役場で、保証債務を履行する意思を表示して記録することが必要というものです。 ③ 事業のための債務についての個人(根)保証は、主たる債務者である団体の取締役等、支配社員等、事業に現に従事する主たる債務者の配偶者に限定されます。

保証人の範囲を制限するもので、これらにあたらない第三者は事業のための融資を受ける際の保証人とはなれない、とする規定です。

敷金は原則返還及び賃借物の現状回復義務 改正前 敷金についての規定がありませんでした。
改正後 過去の裁判例をもとに敷金についての規定が新たに追加となりました。 マンションやアパートを借りる際に払う敷金に関しまして、これまで不明瞭な点も多くトラブルにもなってきましたので、明確な追加規定ができました。

敷金の返還義務及び賃借物の現状回復義務が規定されました。

① 敷金を「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義し、「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」は、「賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭債務の額を控除した残額を返還しなければならない」

② 更に、「賃借人は、賃借物を受け取った後に生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に回復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」

定型約款の新設 改正前 約款についての規定がありませんでしたので、当事者の意思を尊重するという観点から、約款に書いてあるからといって必ずしも当事者がそれに拘束されるわけではありませんでした。
改正後 定型約款を定義し、その「定型約款」について、不当条項や、変更の場合の規制が行われようになりました(定型的な取引など一定の場合には約款も契約の内容として効力をもつようになります)。 また、この特定約款の条項については、消費者は、消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効とする規定)のどちらかを選んで主張できるとされました。 どんな内容の約款でも有効というものではなく、相手の権利を制限したり義務を加重する規定の場合、社会通念上の信義に反して相手の利益を一方的に害するものには効力はなく無効とみなすものとなります。
瑕疵担保責任は契約責任説を採用 (購入商品に問題があった場合の責任) 改正前 購入した商品に欠陥があった場合、契約の解除か損害賠償請求についてしか規定がありませんでした。
改正後

 

欠陥商品に対し不都合ということで、更に明文で規定されることになりました。

契約の当事者間で契約の趣旨にあった品質を満たしていなければ、売主は契約上の責任を負い、買主は契約の解除、損害賠償請求に加え、修理や代金減額も請求できることになりました。

商品などに欠陥があることを「瑕疵(かし)」表現されていましたが、改正では瑕疵という言葉はなくなり「不適合(ふてきごう)」と表現されることになりました。

 

2017年6月25日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

厚生年金加入逃れ防止 国税庁から毎月納税情報 企業への指導強化

厚生労働省と日本年金機構は、 厚生年金の加入逃れを防ぐ対策を強化する。 今秋をめどに国税庁から毎月、源泉徴収している企業のデータを提供してもらう取り組みを開始する。 提出頻度を現在の年2回から大幅に増やすほか、事業許可の申請で自治体などを訪れた企業に対し、加入の有無を確認する業種も広げる。

法人や従業員5人以上の個人事業主は、厚生年金に加入しなくてはならないことになっています。 厚労省によりますと約52万事業所が未加入ということですが、その中の大部分は中小企業であり、厚生年金を含めた社会保険料を負担することは事業所だけではなく、その従業員におきましても負担は大変重いものとなることは否定できません。 その負担の現実等から加入が進んでいないものと思われます。

2017年6月8日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

中小企業等経営強化法に係る税制措置 (固定資産税特例と中小企業経営強化税制)

平成28年7月1日より施行された中小企業等経営強化法による「経営力向上計画」(人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資等により、事業者の生産性を向上させるための計画であり、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます)の認定を受けた中小企業者等は、一定の要件を満たす場合、以下の税制措置を受けることができます。

平成29年度税制改正により、税制措置として拡充となりました「固定資産税の軽減措置特例」と改組・創設された「中小企業経営強化税制」の2つとなりました。 又、 中小企業に対する他の投資優遇制度(中小企業投資促進税制と特定中小企業者等の経営改善設備投資促進税制)も併せて以下に紹介します。

 

1.固定資産税の軽減措置特例

経営力向上計画に基づき認定された事業者は、平成31年3月31日までに生産性を高める一定の設備を新規取得した場合、その翌年度から3年間の当該固定資産税の課税標準が2分の1に軽減されます。

(1)対象設備

種類 最低取得価額 販売開始要件(*1) 用途・細目 経営力向上要件(*1)
機械装置 1台160万円以上 10年以内 限定なし 旧モデル比で経営力に資するものの指標が年平均1%以上向上
工具 1台30万円以上 5年以内 測定工具及び検査工具に限る
器具備品 1台30万円以上 6年以内 限定なし
建物附属設備 1台60万円以上 14年以内 限定なし

*1: 工業会等による証明書で、販売開始時期と生産性向上に係る要件を確認するために取得する必要があります。

(2)地域・業種の制限

生産性を向上させて賃上げに繋げる必要性の有無が制限に関連しています。 なお、この地域・業種限定の判定は、本社所在地ではなく、設備の設置場所に応じて判定されることになります。

① 最低賃金が全国平均以上の7都府県(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪)の地域

上記記載の機械装置以外の設備を当該7都府県に設置する場合、対象業種によって適用が制限(機械装置は制限無し)されるものがありますので、確認は中小企業庁が公表しています7都府県ごとの業種リストで行う必要があります。

② 最低賃金が全国平均未満の地域

制限なく、全業種が特例の対象となります。

業種の判定は、日本標準産業分類の「中分類」で行われます。

(3)基本的な手続フロー

① 事業者は対象設備の取得を決めたら、設備メーカを通じて工業会発行の証明書を入手

② 上記証明書と投資計画申請書を主務大臣(担当省庁)に提出

③ 主務大臣(担当省庁)は、計画認定書と投資計画申請書(写し)を事業者に交付

④ 事業者は、固定資産税の納税書類と一緒に、投資計画申請書(写し)・計画認定書(写し)・工業会証明書(写し)を自治体に提出

原則、対象設備取得前に計画申請書を主務大臣に提出することになっています。なお、取得後に提出する場合には、取得日から60日以内に計画申請書等の必要書類が受理される必要があります。

 

2.中小企業経営強化税制

青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年(2017年)4月1日から平成31年(2019年)3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、及びソフトウェアで特定経営力向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その普通償却限度額との合計で取得価額までの特別償却(即時償却)と、その取得価額の7%(特定中小企業者等では10%)の税額控除(但し、法人税額の20%が限度で、控除限度超過額は1年間繰越可能)との選択適用が認めるというものです。

 

制度の目的 生産性の高い先進的な設備や生産ライン等の改善のための設備投資に対する税制支援(即時償却又は税額控除)を行い、 中小企業者の民間投資を活性化させる。
適用法人 青色申告書を提出する中小企業者等で、経営力向上計画の認定を受けた事業者。

具体的には、資本金1億円以下の企業、もしくは従業員千人以下の事業者、組合等。

適用要件 「生産等設備」を構成する「特定経営力向上設備等」のうち、 一定規模以上のものを取得等し、 その設備を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合。
指定事業 一部の事業は対象外、例えば、金融業、電気業(太陽光発電設備に関し、全量売電の場合には、電気業の用に供する設備として指定事業外となります)、映画業を除く娯楽業、風俗営業等であるが、ほぼ全営業が指定事業の対象とされる。
生産等設備とは 法人の指定事業用に直接供される生産等設備の減価償却資産で構成されるもの。 従って、 本店、 寄宿舎等の建物附属設備、 福利厚生施設等は非該当となります。国内への投資であること。中古資産・貸付資産でないこと等。
特定経営力向上設備等とは 経営力向上設備等(①生産性向上設備と②収益力強化設備)のうち経営力向上に著しく資する一定のもので、その法人の認定を受けた経営力向上計画に記載されたもの。
①生産性向上設備(A類型):個別設備の性能の向上の度合いを確認
種類 最低取得価額 販売開始(*1) 用途・細目 経営力向上要件(*1)
機械装置 1台160万円以上 10年以内 限定なし 旧モデル比で経営力に資するものの指標が年平均1%以上向上

 

 

 

 

工具 1台30万円以上 5年以内 測定工具及び検査工具に限る
器具備品 1台30万円以上 6年以内 限定なし
建物附属設備 1台60万円以上 14年以内 限定なし
ソフトウエア 1台70万円以上 5年以内 稼働状況等を情報収集機能及び分析等するものに限る

 

*1: ソフトウエア及び旧モデルがないもの(*1の販売開始要件を満たすこと)以外は、 同メーカーの旧モデル比で経営力の向上に資するものの指標(生産効率、 エネルギー効率、精度等)が年平均1%以上向上するものであること。

確認者:工業会等による証明書で、販売開始時期と生産性向上に係る要件を確認するために取得する必要があります。

証明書を入手後、経営力向上計画の申請書に当該証明書を添付して事業分野別の主務大臣に申請して認定を受けることになります。

基本的なフロー:

イ 証明書「入手」

ロ 計画「申請」

ハ 計画「受理」

二 計画「認定」

ホ 設備「取得」

へ 設備「事業供用」

②収益力強化設備(B類型):設備投資計画の投資収益力を確認 ① 経済産業局の確認を受けた投資計画に記載された設備(機械装置160万円以上、 工具30万円以上、 器具備品30万円以上、建物附属設備60万円以上、及びソフトウエア70万円以上)。

② 投資利益率が年平均5%以上となることが見込まれる投資計画に係る設備であること。

確認者:確認申請は所轄の経済産業局に対して行いますが、設備投資計画案については、税理士又は公認会計士から事前確認書を得ておくことが必要となります。

経済産業局から確認書を入手後、経営力向上計画の申請書に当該確認書を添付して事業分野別の主務大臣に申請して認定を受けることになります。

基本的なフロー:

イ 投資計画「事前確認」

ロ 投資計画確認書「発行申請」

ハ 確認書「入手」

二 計画「申請」

ホ 計画「受理」

へ 計画「認定」

ト 設備「取得」

チ 設備「事業供用」

特別償却と税額控除との選択適用 その普通償却限7%(資本金3千万円以下の特定中小企業者等では10%)の税額控除(但し、法人税額の20%が限度 (20%限度は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制及び経営改善設備投資促進税制における税額控除額の合計で20%)で、控除限度超過額は1年間繰越可能)との選択適用が認めるというものです。

中小企業者等 即時償却、又は税額控除(取得価額の7%)
特定中小企業者等 即時償却、又は税額控除(取得価額の10%)
適用時期 同法の施行日(平成29年4月1日)から平成31年3月31日までの間の取得等。

なお、この中小企業経営強化税制に関するQ&A集が、中小企業庁より平成29年4月4日に公表されています。

 

3.経営力向上計画の概要

中小企業等経営強化法による「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資等により、事業者の生産性を向上させるための計画であり、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。また、計画申請においては、経営革新等支援機関(士業等の専門家、商工会議所・商工会、地域金融機関等)のサポートを受けることが可能です。

(1)申請・認定の時期(弾力的な運用可)

原則、経営力向上計画の申請・認定は、設備の取得前に行うことが必要ですが、①取得後60日以内に計画が「受理」され、かつ、②設備の「取得」と計画の「認定」が同一事業年度内であれば、設備の取得後の計画申請・認定も容認されます。

具体的には、中小企業経営強化税制のA類型については、工業会等の証明書の入手の前から設備の取得等が可能となります。 一方で、B類型は、経済局に投資計画の確認書の「発行申請」を行った後に設備の取得等が可能となります。また、固定資産税の軽減と同様に「60日ルール」が課され、設備の取得日から60日以内に経営力向上計画が「受理」されることが必要となります。加えて、A類型、B類型ともに、設備の「取得」と同一事業年度内に計画が「認定」されることも必要となります。

(2)計画認定申請書

計画認定申請書は事業分野別の主務大臣に提出し認定を受けることになります。 記載内容は以下のようになります。

①企業の概要、②現状認識、③経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標、④経営力向上の内容など簡単な計画、等を策定することになります。

 

  1. 中小企業投資促進税制

上述以外に中小企業に対する投資優遇税制の中に、中小企業投資促進税制があり、平成29年度税制改正により、対象資産から器具備品が除外され、 適用期限が2年延長(平成31年3月31日まで延長)となりました。

特別償却の種類 対象法人、 対象設備の範囲等 限度額
特別償却等 税額控除
中小企業者等の機械等(平成10.6.1から31.3.31まで)

(①機械装置で、 1台又は1基で取得価額160万円以上、 ②ソフトウエアで70万円以上、 ③車両総重量3.5トン以上の貨物自動車、 ④内航船舶)

新品を指定事業に供する

中小企業者等(資本金3千万円以下)で大規模法人(資本金1億円超の法人で、 単独所有で50%以上、 又は複数所有で3分の2以上の所有関係。 なお、 所有割合判定では、 親会社の同族関係者の持株等は考慮しません)の所有法人を除き、 常時勤務従業員数が1千人以下等)が新品の一定の機械装置等を取得し事業に供した場合には、特別償却、 又は税額控除の選択可(特別償却の適用要件としては、 資本金1億円以下の中小企業者等) 基準取得価額の30%

(なお、 内航船舶の基準取得価額は、 実際の取得価額の75%相当額)

次の①と②のいずれか少額の金額

①基準取得価額(内航船舶では、取得価額の75%相当額)の7%

②当期法人税額の20% (20%限度は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制及び経営改善設備投資促進税制における税額控除額の合計で20%)

また、 ①>②のときには、 限度超過額を1年間の繰越控除可

 

  1. 特定中小企業者等の経営改善設備投資促進税制の期限延長

平成29年度税制改正により、特定中小企業者等の経営改善設備投資促進税制の適用期限が2年延長(平成31年3月31日まで延長)となります。 その概要は以下のとおり(商業・サービス業・農林水産業の中小企業等の設備投資促進税制とも呼称されています)。

青色申告法人で指定事業を営む中小企業等が経営改善に関する指導及び助言を受けて行う店舗改修等に伴い器具備品及び建物附属設備の取得等を行なった場合、その取得価額に対して特別償却か税額控除かを選択適用できる制度(所得税についても同様の取扱い)。

適用期間 平成29年4月1日~平成31年3月31日の間に店舗改修等を行なった場合
指定事業 卸売業、 小売業、 サービス業、 農林水産業(性風俗関連特殊営業及び風俗営業を除く)
適用要件 商工会議所、 認定経営革新等支援機関等による法人の経営改善に係る指導及び助言を受けて行う店舗改修等であること
対象設備 ① 器具備品: 1台又は1基の取得価額が30万円以上

② 建物附属設備: 1つの取得価額が60万円以上

特別償却額 対象設備の取得価額 X 30%
税額控除額 対象法人は、 資本金3,000万円以下の中小法人等に限定 (但し、 認定経営革新等支援機関等は対象から除外)

対象設備の取得価額 X 7%

(但し、 控除限度額は当期法人税額の20% (20%限度は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制及び経営改善設備投資促進税制における税額控除額の合計で20%)であり、 控除限度超過額は1年間の繰越可能)

 

2017年5月31日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

改正民法が成立 契約ルール 120年ぶり抜本見直し

企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法が26日午前の参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。改正は約200項目に及び、公布から3年以内に施行する。

2017年5月26日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant