預金の遺産分割対象に 最高裁、判例見直しへ

相続税の取り分を決める「遺産分割」の対象に預金は含まれない。 こんな裁判のルールが見直されることになりそうだ。 話し合いや調停では預金を含めて配分を決めるのが一般的で、裁判所も実態に合わせる。

判例は預貯金を遺産分割の対象とせず、不動産や株式といった他の財産と関係なく、法定相続の割合に応じて相続人に振り分けられると考えてきた。 最近では2004年の最高裁判決が「預貯金は法定相続分に応じて当然に分割される」とした。

預貯金を相続人間の話し合いで遺産分割を決めるという実務と、遺産分割の対象ではなく法定相続割合となるという判例との隔たりが指摘されていた。 早ければ年内に大法廷より判例の変更があるかもしれません。

2016年10月20日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

税金の消滅時効

商取引の債権・債務を始め、 各種の事柄に「時効」という法的な規定が存在しています。 当然、 税金に関しても「時効」の規定があり、 その時効後に税務署に納付した税金は、 税務署は受領せずに返金となります。 以下に、 税金の消滅時効について言及してみたいと思います。

1.更正・修正・決定

税金は納税者(会社や個人)の自らが税法規定に法り計算し、その結果を所定の申告書に記載し法定申告期限・納付期限までに提出・納付するという、「申告納税制度」を採用しています。 申告・納付後に税法規定の取誤り等で税額計算に誤りがあったことに気が付くことがあります。 その様な場合とは、納税者側で気づく場合と、課税庁側(税務署等)で税務調査等から気づく場合とがあります。

対応者 区分 課税処分・手続
納税者側(法人・個人) 税金の過大申告

(還付請求)

更正の請求
税金の過少申告 修正申告
課税庁側(税務署等) 税務申告有り(更生:正しい税額に改める) 税金の過大申告 減額更正
税金の過少申告 増額更正
税務申告無し(一方的に税額確定) 決定
偽りその他不正行為有り(脱税行為) 更正・決定

「更正の請求」とは、税額等の計算が国税に関する法律の規定(税法)に従っていなかったり、 又は計算に誤りがあったことにより、 当初に納めた税金額が過大であることを理由として自ら正しくすることを請求する制度です。 逆に、 当初に納めた税金額が過少の場合には、 「修正申告」をおこなうことになります。

課税庁は、 所定の期限までに申告のない場合や、 税務申告の内容につき、 法律に従っていなかったり事実を正しく反映していないことなどが明らかになった場合に、補充的に確定をすることになります。この課税庁のなす確定は、 課税処分と総称されますが、 無申告の場合には「決定」、 税務申告内容がが適正でない場合のものは「更正」と呼ばれるところから、 更正・決定といわれます。更正・決定は納税者に対しての補充的なものです。

 

2.法定申告期限・法定納税期限

税金の種類 納税義務者 法定申告期限・法定納税期限
法人税 法人 事業年度終了日の翌日から2カ月以内
消費税 法人 事業年度終了日の翌日から2カ月以内
個人事業者 申告年度の翌年3月末まで
所得税 源泉所得税 給与等の支払者 原則 支払月の翌月10日まで
特例 支払1月~6月:7月10日まで

支払7月~12月:翌年1月20日まで

申告所得税 個人 申告年度の翌年3月15日まで
相続税 相続人 相続を知った日から10カ月以内
贈与税 受贈者 申告年度の翌年3月15日まで

 

3.消滅時効、 時効更新、 時効完成猶予、 除斥期間の定義

具体的な税法上の時効の期限(年数)に関連して、 次の定義を理解しておくことが望まれます。

(1) 消滅時効

権利者が、 一定期間内に何もせずに放置しておくと、 その権利が消滅してしまうことを「消滅時効」といいます。

(2) 時効更新(時効中断)

時効の進行中に一定の事由が発生することで、 これまでの経過期間がクリアーされ、 その事由が止んでから新たな時効が再スタートになること(振出しに戻る)を、 「時効中断」といいましたが、「時効更新」と用語変更となります。

(3) 時効完成猶予(時効停止)

時効の進行中に一定の事由が発生するが、 一時的に経過期間がストップされるだけで、 その事由が止んでから再び時効が進行となることを、 「時効停止」といいましたが、「時効完成猶予」と用語変更となります。

(4) 除斥期間

消滅時効と共通の法的性質を持ち、 権利者が、 一定期間内に何もせずに放置しておくと、 その権利が消滅するという点では同じですが、 時効更新がないところが大きく異なっています。

上記の国税の更正・決定の時効においても、 「時効更新」となることはありませんので、 この様な場合を「除斥期間」と言われます。

 

以上の定義事項は、 税法上の時効の時にも出てきますが、 「時効更新」及び「時効完成猶予」の用語は、 民法改正案における変更のものであり未だ成立・公布・施行には至っておりません。

 

4.税法上に時効 

(1) 国税の更生・決定等の時効(除斥期間)

税金の種類 区分 課税処分 法定申告期限の翌日から起算した時効期間(除斥期間)
法人税(注)・消費税・所得税・相続税 申告有り 減額更正:更正の請求 5年
増額更生:修正申告 5年
申告無し 決定 5年
偽りその他不正行為有り(脱税行為) 更正・決定 7年
贈与税 申告有り 減額更正:更正の請求 6年
増額更正:修正申告 6年
申告無し 決定 6年
偽りその他不正行為有り(脱税行為) 更正・決定 7年

注1: 法人税の移転価格税制に係る更正の請求期間は、 法定申告期限から6年

法人税の純損失等の金額に係る更正の請求期間は、 法定申告期限から9年

更正の請求に際しては、 納税者は更正請求の理由の基礎となる「事実を証明する書面」の添付が必要となります。

なお、 原則として、 地方税の時効期間も法人税と同様です。

以上から、 申告・更正・修正・決定等における事項は、 納税者側も課税庁側も5年、 例外として贈与は6年、 脱税行為は7年ということになります。

 

(2) 国税債権(未納税額)の徴収権の消滅期間

時効 摘要 消滅時効の期間
消滅時効 原則、 法定納税期限から5年後

時効に関して、 その援用(時効の利益を受けようとする意思表示)を必要としなく、 又、 時効満了の前後を問わず、 時効の利益を放棄することが出来ないことから、 時効満了後の納税は過誤納として還付されます。 なお、 その効力は起算日まで遡りますので、 以降の利子税、 延滞税も同様に消滅します。

時効更新 国税債権の消滅時効の更新事由として、

① 更正・決定

② 各種加算税の賦課決定

③ 納税の告知

④ 督促

⑤ 交付要求

 

民法の定める消滅時効の準用される更新事由として、

①裁判上の請求

②仮差押え、仮処分

③承認

④催告

⑤その他

左記の処分の効力が生じた時に時効は「時効更新」し、 これらの処分に係る税額の納期限、 その他所定の期間が経過した時に新たな時効が再スタートとなります。

*更正・決定の場合、 その通知書が発行された日の翌日から起算して1カ月後が納付期限となり、 その日から新たに時効が再スタートすることになります。 時効更新の効果は、 更新事由となる部分に係る税額ということから、 増額更正の増差税額の部分に限られます。

*納税の告知の場合、 告知にて指定された納付期限までの期間につき、 その翌日から新たに時効が再スタートします。

*督促の場合、 処分効力が生じる督促状又は督促のための納付催告書を発した日から起算して10日間までの期間につき、 その翌日から新たに時効が再スタートします。

*期限後申告、 法定納期限後の修正申告も更新事由(承認)となると解され、 申告日が納付期限となることから、 その日から新たに時効が進行することになります。 なお、 納税額の一部納付行為があった場合には、 全額について承認があったものとみなされます。

*請求は、 何らかの形で裁判所が関与する手続きが要求されますので、 単に書面で請求しても更新の効力は生じません。

*催告は、 6カ月以内に裁判上の請求等の法的なん対応がなされない限り更新事由にはなりません。 例えば、 督促状をその都度送付しているだけでは、 更新事由に該当しません。

時効完成猶予 脱税に係る税額 脱税に係る税額についての時効は、 法定納付期限から2年間は進行(一時的に経過期間がストップ)しないことから、 原則の5年と合わせて、 実質的に7年が時効期間となります。

法定納付期限の翌日から2年以内の間に、 税務申告書の提出があった場合にはその翌日から、 又、 更正・決定があった場合はその通知書の発付日の翌日から時効が進行することになります。 なお、 これらが法定納付期限までに行われた場合には、 法定納付期限の翌日から時効が進行します。

 

5.租税罰則・刑事罰則規定

(1)無申告(申告書不提出)における租税罰則

税目 状況 罰則
 

所得税、贈与税、相続税、法人税、消費税、等

脱税(所得秘匿のための積極的な工作という偽りその他の不正行為があり、申告書を提出せずにその結果、税を免れていた場合) 10年以下の懲役もしくは1,000万円(情状により脱税額)以下の罰金、又はこれらの併料
故意に税を免れる意思をもって申告書を提出せず、税を免れた場合 5年以下の懲役もしくは500万円(情状により脱税額)以下の罰金、又はこれらの併料
故意に税を免れる意思がなく申告書を提出せず、申告義務があった場合(秩序犯) 1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金
過失による場合 処罰対象外

 

(2)税法違反における刑事罰則

違反行為 刑事罰則 行政制裁
①虚偽申告
・無申告等による税の免脱
不正行為を伴う過少申告・無申告・還付金受領 脱税犯(直接税の場合):

10年以下の懲役もしくは1,000万円(情状により脱税額)以下の罰金、又はこれらの併料

重加算税

(過少・無申告)

過少申告 程度により脱税犯として処罰されるケースあり 過少申告加算税
無申告 故意に税を免れる意思をもって申告書を提出せず、税を免れた場合:

5年以下の懲役もしくは500万円(情状により脱税額)以下の罰金、又はこれらの併料(直接税及び消費税)

無申告加算税
源泉徴収不納付 源泉所得税不納付罪:

10年以下の懲役もしくは200万円(情状により脱税額)以下の罰金、又はこれらの併料

不納付加算税
②秩序犯 無申告 申告書不提出罪:

(故意に税を免れる意思がなく申告書を提出せず、申告義務があった場合)

1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金

無申告加算税
調書の不提出等 法定調書等の虚偽記載・不提出罪:

1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金

 
③滞納   延滞税

 

 

2016年10月7日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

配偶者控除廃止 見送り 年収制限緩和が焦点

政府・与党は2017年度税制改正で、 専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除を見直して共働きも適用する「夫婦控除」の創設を見送る方針を固めた。

そこで代替案では、配偶者控除を存続させ配偶者(妻)の年収要件を103万円から150万円に引き上げ、夫の年収制限として1,000万円以下の世帯を適用対象とする案を軸に検討することになっている。

2016年10月6日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

社会保険料 徴収基準の引き下げ 迫る「106万円」の壁

厚生年金や健康保険といった社会保険に加入して保険料を徴収される基準が10月1日、年収130万円から106万円に下がった。 パートで働く主婦が社会保険料を嫌って就労を調整する「130万円の壁」が「106万円の壁」に代わったとも言える。 政府・与党は主婦の就労を巡るもう一つの壁である取得税の配偶者控除を見直しているが、どう整合性を取るのか。

2016年10月4日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

基準地価 商業地9年ぶりプラス 訪日客効果 地方中核都市に

国土交通省が20日発表した2016年7月1日時点の基準地価は、 全国商業地が前年比0.005%のプラスとわずかながら9年ぶりに上昇した。 訪日外国人が増え、 店舗やホテル用の地価が上がった。 マイナス金利でだぶついたマネーが地方の中核都市に流れ込み、 札幌、 仙台、 広島、 福岡4市の商業地上昇率は6.7%と三大都市圏の2.9%を大きく上回った。

2016年基準地価の変動率(7月1日時点、 前年比%、 ▲は下落):

 

地域

住宅地 商業地 全用途
2016年 前年 2016年 前年 2016年 前年
全国平均 0.8 ▲1.0 0.005 ▲0.5 0.6 ▲0.9
三大都市圏 0.4 0.4 2.9 2.3 1.0 0.9
東京圏 0.5 0.5 2.7 2.3 1.1 1.0
大阪圏 0.0 0.0 3.7 2.5 0.8 0.6
名古屋圏 0.5 0.7 2.5 2.2 1.1 1.1
地方圏 1.2 ▲1.5 1.1 ▲1.6 1.2 ▲1.5
地方4市 2.5 1.7 6.7 3.8 4.0 2.4

 

公的機関が公表する土地価格情報には、 以下のものがあります。

  公示地価 基準地価 路線価 固定資産税評価額
調査主体 国土交通省 都道府県 国税庁 市町村
調査地点数 約25,300 約21,700 約336,000 多数
調査時点 1月1日 7月1日 1月1日 1月1日(原則3年に1回、 次回は2018年)
公開時期 3月 9月 7月又は8月 3月
公開サイト 国交省
(土地総合情報ライブラリー)
国交省(土地総合情報ライブラリー) 国税庁 資産評価システム研究センター
その他 調査対象は都市部の比重が高い。 標準地の公示地価は一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、 公共事業用地の取得価格算定や、 国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。 調査対象は地方の調査地点が多く、 不動産鑑定士の評価を参考に調査し、 一般の土地取引価格の指標となる。 公表は国交省から 相続税・贈与税の基準となる地価で、 公示地価の8割程度の水準 土地に対する固定資産税計算の基準となる地価で、 公示価格の7割程度の水準

 

2016年9月21日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

年金強制徴収を拡大 所得300万円以上に 納付率上げ

厚生労働省と日本年金機構は、 国民年金保険料の強制徴収の対象を広げる。 現在は年間所得350万円以上の滞納者に実施しているが、 2017年度から300万円以上にする。 国民年金保険料の納付率は60%程度で低迷している。 保険料の滞納に厳しく対処し、 納付率の底上げを狙う。

2016年9月20日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

夫婦控除2018年1月より 年収上限800~1000万円検討

政府・自民党は専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除を見直し、 共働き世帯の税負担も軽くする「夫婦控除」を早ければ2018年1月にも導入する検討に入った。 適用対象の年収は800万~1000万円など一定の上限を設ける方向。 12月にまとめる2017年度の与党税制改正大綱に盛りこみたい考えで、 政府・与党内での調整が本格化する。

現在、 配偶者控除は妻の年収103万円以下であれば、 夫の課税所得から38万円を差し引ける(所得控除)。 制度の見直しは、 少子高齢化による労働力不足が経済成長の足かせとなる懸念が高まる中、 働く意欲のある女性の社会進出を促す狙いだ。 新たな夫婦控除では低所得者に税負担の少ない制度にするため、 税額控除への移行を検討する考え。 所得税額から一定額を差し引く仕組みで、 収入に占める減税効果は低所得者の方が大きくなる。

2016年9月15日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

農地所有適格法人

1.農業法人
農業経営が個人から法人へと移ってきていますが、 これも時代の流れかと思います。 日本の農業経営は、 個人での多くは小規模で、 かつ、 高齢化による後継者問題もあり農業従事者が減少してきています。 逆に、 農業法人という法人組織で農業に参入される件数が増えてきています。 更に、 法人参入を後押しするように、 2015年(平成27年)に農地法が改正され、 2016年4月1日より農業法人の呼称が農業生産法人から「農地所有適格法人」と改称されました。 これは、 農地所有できる法人の要件を緩和化・明確化する為に、 農地法上の法人呼称を変更しています。

2.農業経営に参入できる法人要件
法人が農業経営に参入できる基本的要件(⓵~⓷)は次のとおりです。

①農地の全てを効率的に利用 機械や労働力等を適切に利用するための営農計画を持っていること
②一定の面積を経営 農地取得後の農地面積の合計が、原則50a(北海道は2ha)以上であることが必要(但し、農地面積は、地域実情に応じて市町村の農業委員会が引き下げることが可能)
③周辺の農地利用に支障が無い 水利調整に参加しない、無農薬栽培の取組が行われている地域で農薬を使用するなどの行為をしないこと
農地を所有及び賃借できる法人 上記の基本的要件を満たす「農地所有適格法人」に該当する場合(下記の3.参照)
農地を賃借できる法人 上記の基本的要件を満たす「特定一般法人」に該当する場合(下記の4.参照)

3.農地所有適格法人
この農地所有適格法人の概要は次のとおりです。

法人形態 株式会社(非公開会社<株式の譲渡制限の定めがある会社>に限る)、 持分会社(合名会社、 合資会社又は合同会社)又は農事組合法人(農業協同組合法に準法)
事業要件 売上高の過半数が農業収入(農産物の加工・販売等の関連事業も含む)
構成員(株主、社員、組合員)・議決権要件 農業関係者 * 常時従事者

* 農地の権利を提供した個人

* 農地中間管理機構又は農地利用集積円滑化団体を通じて法人に農地を貸付ている個人

* 基幹的な農作業を委託している個人

* 地方公共団体、 農地中間管理機構、 農業協同組合、農業協同組合連合会

上記農業関係者の議決権が、 総議決権の1/2超

農業関係者以外の構成員 保有できる議決権が、 総議決権の1/2未満
役員要件(取締役、業務執行社員、理事) * 役員の過半数が農業(農産物の加工・販売等の関連事業も含む)の常時従事者(原則年間150日以上)

* 役員又は重要な使用人(農場長等)のうち、 1人以上が農作業に従事(原則年間60日以上)

4.特定一般法人
この特定一般法人の概要(農地を賃借できる適用要件)は次のとおりです。

① 賃借契約に解除条件が付されていること

解除条件の内容:農地を適切に利用しない場合に契約を解除すること

② 地域における適切な役割分担のもとに農業を行うこと

役割分担の内容:集落での話し合いへの参加、農道や水路の維持活動への参画など

③ 業務執行役員又は重要な使用人が1人以上で農業に常時従事すること

農業の内容:農作業に限らず、マーケティング等経営や企画に関するものであっても可

5.法人化のメリットとデメリット
(1)法人化のメリット
制度上のメリットとしては、融資制度や税制上の優遇措置、社会保障制度、農地の取得支援などがあげられ、経営上のメリットとしては経営管理能力や対外的信用力の向上、農業従事者の確保・育成・福利厚生の充実などがあげられます。
(2)法人化のデメリット
法人化に伴う義務としては、納税義務(法人課税が個人課税より有利となるには、一定以上の所得規模が必要)や事業主負担の発生、記帳義務、会計事務に関する経費負担、設立時に資本金や設立登記費用等の経費が必要なことがあげられます。

今後の農業経営を考えた場合、実情から個人経営よりも法人組織下で規模を拡大して運営された方がスケールメリットが取れるものと判断します。

2016年9月13日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

消費税の課税事業者(納税義務者)・免税事業者(納税免除者)の判定

1.課税事業者(納税義務者)とは.

国内取引の納税義務者は「事業者」に限定され、同種の営業行為を反復、継続、独立しておこなう個人事業者や法人(公共・公益法人、人格のない社団等を含む)であり、国内において行った課税資産の譲渡等に伴う取引(国内取引)があった場合です。しかしながら、全ての事業者が必ず消費税の納税者(課税事業者)となるのではなく、中小企業者等の事務負担の軽減や税務執行面に配慮して一定の条件下では、事業者は免税事業者(納税免除者)になることがあります(事業者免税点制度と呼ばれています)。 尚、輸入取引については、事業者だけではなく、個人が輸入する場合にも納税義務者(保税地域から課税貨物を引取る者に課税)となります。

 

(1) 課税事業者・免税事業者判定

消費税の課税事業者と免税事業者の判定が法令の改正が続き複雑になっていますが、次の様になっています。

① 新設法人の場合には資本金で判定(1千万円以上か未満か

(イ)1千万円以上――初年度から課税事業者

(ロ)1千万円未満――免税事業者

但し、1千万円未満でもその新設法人が50%超を直接・間接に所有(各事業年度開始の日時点で判定)され、 かつ、 その親会社の中で基準期間(前々事業年度)の課税売上が5億円超になっている場合には、 課税事業者となります。

② 「基準期間」の課税売上高で判定(前々事業年度の課税売上高1千万円超か以下か)

(イ)1千万円超――課税事業者

(ロ)1千万円以下――免税事業者

法人の場合、基準期間が1年未満(以上も含む)の場合には課税売上高は年換算して判定。

個人事業者の場合、 基準期間が1年未満の場合でも絶対金額で判定(年換算しない)。

③ 「特定期間」の課税売上高及び支払給与額で判定(前事業年度の上半期の6ヶ月間の課税売上高及び支払給与額の双方が1千万円超か又はいずれかが以下か)

(イ)1千万円超――課税事業者

(ロ)1千万円以下――免税事業者

 

(2)免税事業者の課税事業者になることの選択

⓵ 消費税課税事業者選択届出書

上述の様に、課税事業者か否かの判定基準として、「資本金」基準(法人の場合のみ)、「基準期間」基準、及び「特定期間」基準から免税事業者として判定された場合であっても、事業者が選択して課税事業者となることができます。この選択は、消費税の還付を受ける可能性がある場合、例えば高額の固定資産等の購入が予定されるときには、検討されることが望まれます。 手続きとして、「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署に提出しますが、」提出があった日の属する課税期間の翌課税期間以後(設立初年度は除く)の各課税期間に有効となります。

② 消費税課税事業者選択不適用届出書

この消費税課税事業者選択届出書を提出した場合、その後、課税事業者を辞めようとするときは、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を所轄税務署に提出しなければなりませんが、この選択不適用届出は、課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以降に提出可能となります。提出があった日の属する課税期間の翌課税期間から有効になりますので、少なくとも2課税期間は課税事業者として継続することになります(法人の場合、2年間経過後ということから初年度が1年未満事業年度の場合には、3課税期間は課税事業者になります)。この不適用届出書を提出していない限り、再度、基準期間における課税売上高が1千万円以下になる課税期間においても課税事業者として取り扱われます。 又、 新設法人で資本金が1千万円以上の場合には、 2課税期間は強制適用期間として課税事業者になりますが、 3年目において設立初年度(1年目)での課税売上高が1千万円未満(年換算後)であった場合には、 自動的に免税事業者となってしまいます。 3年目以降も課税事業者として継続されたい場合には、 2年目末までに「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署に提出することが必要になります。

③ 消費税課税事業者選択届出後の制約(調整対象固定資産に係わる控除対象仕入税額の調整)

控除対象仕入税額の控除期間の適正化のために、課税事業者として強制される期間内 ((イ) 新設法人で資本金1千万円以上の設立当初の基準期間が無い事業年度、 (ロ) 事業者免税点制度を受けないで課税事業者を選択した強制適用期間)に1個又は1組で100万円以上の固定資産「調整対象固定資産」を購入し、 第3年目末現在も当該調整対象固定資産を保有されている場合、一定の控除税額の調整が必要となるケースがあります。

(a)課税売上割合が著しく変動した場合

3年間の通算課税売上割合に対して、資産仕入時課税期間の売上割合との変動率が50%以上で、かつ両者の差額が5%以上のケース。

(b)転用があった場合

その資産用途が、課税と非課税業務用間での転用のケース

(注)課税事業者を選択した者、又は資本金1,000万円以上の設立後2年以内の新設法人で調整対象固定資産を取得した場合には、取得時に簡易課税制度の適用を除き、その取得期間から原則として3年間は事業者免税点制度の適用はなく、又、簡易課税制度へ変更することもできません。

2016年9月13日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

「要介護」更新 3年に延長 介護保険事務負担を軽減 大企業社員負担増の公算

2018年度に実施する介護保険制度改革の議論が進んできた。 厚生労働省が7日開いた社会保障審議会で、 要介護認定の有効期間を現行の最長2年から3年に延ばすことで大筋合意した。 今後の焦点は現役世代や高齢者の負担増だ。 年収の高い大企業社員の保険料を増やす「総報酬割」は導入の公算が大きくなっており、 どこまで踏み込むかが争点となる。

「要介護認定」とは、 公的な介護サービスを利用したい人にどれくらいの介護が必要かを認定する仕組み。 市区町村に申請する。 「要支援1,2」と「要介護1~5」までの7段階に分かれる。 調査員が心身の状況を調べ、 主治医が意見書を作ってコンピューターが一次判定する。 その後、 介護認定審査会で二次判定をして結果を決める。

2016年9月8日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant