国税庁は3日、相続税や贈与税の算定基礎となる2023年分の路線価(1月1日時点)を発表した。全国約32万地点の標準宅地は全国平均で前年に比べ1.5%上昇した。
都道府県別の路線価は、北海道、宮城県、千葉県、東京、愛知県、福岡県、沖縄県など29都道府県で上昇した。 前年の上昇は15都道府県だった。 首都圏では東京都(上昇率3.2%、前年の上昇率1.1%)、千葉県(上昇率2.4%、前年の上昇率0.8%)、神奈川県(上昇率2.0%、前年の上昇率0.4%)、埼玉県(上昇率1.6%、前年の上昇率0.4%)でした。最も上昇率が高かったのは、北海道の6.0%(前年は4.0%)でした。
路線価とは、 主要道路に面した土地1平方メートル当たりの標準価格で、 2023年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で土地を取得した場合、 今回公表された路線価を基に税額が算定される。 調査地点は国土交通省が3月に公表した公示地価(2万6千地点)よりも多い約32万強地点。 公示地価の8割を目安に、国税庁が売買実例や不動産鑑定士の意見などを参考にして算出するため、 公示地価よりも遅く例年7月に公表される。 路線価の最高は、 38年連続でお馴染みの東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(文具店「鳩居同」前)の1平方メートル当たり42,720千円(前年42,240千円)でした。
一定の年収を超えると社会保険料などの負担が生じて手取が減る「年収の壁」の問題で、政府は雇用保険料を財源に1人最大50万円の企業向け助成金を新設する。3年程度の時限措置で社会保険料に充当して手取の減少を防ぐ。
政府は新たに発生する社会保険料を補てんする仕組みをつくる。1週間の所定労働時間を増やし、基本給をあげることなどを支給条件とする方針。助成金は1人あたり最大50万円を軸に検討する。1週間の労働時間を3時間以上延ばして基本給を3%以上上げる場合などを想定する。
政府は会社員の配偶者が入る社会保険の扶養対象から外れて保険料の支払いが発生する「130万円の壁」の対応も検討する。
国税庁が「マンション節税」や「タワマン節税」の防止に向け、相続税の算定ルールを見直す方針を固めた。実勢価格を反映する新たな計算式を導入。マンションの評価額と実勢価格との乖離が約1.67倍以上の場合に評価額が上がり、高層階ほど税額が増える身通しだ。
新たなルールは、①築年数や階数などに基づいて評価額と実勢価格の乖離の割合(乖離率)を計算、②その乖離率が約1.67倍以上の場合、
従来の評価額✕乖離率✕0.6=課税評価額
となり、戸建ての平均乖離率(1.66倍)にそろえる狙いだ。
空き家の発生を抑えて活用を促す空き家対策特別措置法などの改正案が7日の参院本会議で可決、成立した。窓や壁に一部が壊れるなど管理状態が悪い空き家「管理不全空き家」について税優遇の対象から外す。市区町村から勧告を受けて従わなかった場合、住宅用地の固定資産税を最大6分の1に減額する措置を解除する。
パートなど短時間労働者が厚生年金や健康保険に入りやすくするための制度改正を巡る議論が本格化する。2024年10月から51人以上に加入適用とする企業規模要件を緩和することが決定済みですが、これを更に51人以下に適用拡大への議論を開始した。
国税庁は29日、信託型(2014年に登場し、事業が軌道に乗る前の株価で株式購入権を発行し、信託会社などにプールする仕組)と呼ばれるストックオプション(株式購入権)について、給与としての課税処理が必要だと示した。企業の多くは購入権を株式に転換した際でなく、その株式を市場で売却した際の譲渡所得(売却益)に対して20%の税金がかかると認識していたが、国税庁は株式に転換した際に給与所得として課税し、最高税率は55%となるとする見解を示した。又、給与所得は会社側に源泉徴収義務が生じる。想定より税負担が増えることになることから、会社では当該信託型の見直しが行われることが予想されます。
政府は法的効力がある遺言書をインターネット上で作成・保管できる制度の創設を調整する。署名・押印に代わる本人確認手段や改ざん防止の仕組みをつくる。デジタル社会で使いやすい遺言制度の導入により円滑な相続につなげる。2024年3月を目標に新制度の方向性を提言する。
政府は週20時間未満働く短時間労働者も雇用保険に加入させる検討に入った。非正規社員であっても正規社員と同じように子育てや学び直しの支援を受けられるようにする。
国土交通省が22日に発表した2023年1月1日時点の公示価格は、住宅地や商業地といった全用途の全国平均が前年比1.6%上昇した。上昇は2年連続で、リーマン・ショック前の2008年(1.7%)に次ぐ水準となった。往来の回復や海外マネーの流入で都市部の商業地が伸びた。
2023年公示地価の上昇率(1月1日時点):
地域 | 住宅地 | 商業地 | 全用途 |
| 2023年 | 前年 | 2023年 | 前年 | 2023年 | 前年 |
全国平均 | 1.4 | 0.5 | 1.8 | 0.4 | 1.6 | 0.6 |
三大都市圏 | 1.7 | 0.5 | 2.9 | 0.7 | 2.1 | 0.7 |
東京圏 | 2.1 | 0.6 | 3.0 | 0.7 | 2.4 | 0.8 |
大阪圏 | 0.7 | 0.1 | 2.3 | 0.0 | 1.2 | 0.2 |
名古屋圏 | 2.3 | 1.0 | 3.4 | 1.7 | 2.6 | 1.2 |
地方圏 | 1.2 | 0.5 | 1.0 | 0.2 | 1.2 | 0.5 |
公的機関が公表する土地価格情報には、 以下のものがあります。
| 公示地価 | 基準地価 | 路線価 | 固定資産税評価額 |
調査主体 | 国土交通省 | 都道府県 | 国税庁 | 市町村 |
調査地点数 | 約26,000 | 約21,700 | 約334,000 | 多数 |
調査時点 | 1月1日 | 7月1日 | 1月1日 | 1月1日(原則3年に1回、 次回は2024年) |
公開時期 | 3月 | 9月 | 7月又は8月 | 3月 |
公開サイト | 国交省(土地総合情報ライブラリー) | 国交省(土地総合情報ライブラリー) | 国税庁 | 資産評価システム研究センター |
その他 | 調査対象は都市部の比重が高い。 標準地の公示地価は一般の土地取引価格(更地価格)の指標となるだけでなく、 公共事業用地の取得価格算定や、 国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。 | 調査対象は地方の調査地点が多く、 一般の土地取引価格の指標となる。 公表は国交省から | 相続税・贈与税の基準となる地価で、 公示地価の8割程度の水準 | 土地に対する固定資産税計算の基準となる地価で、 公示価格の7割程度の水準 |
政府の少子化対策を巡り子どもが多い世帯ほど所得税負担が軽減する「N分N乗」方式への言及が国会で相次いでいる。
「N分N乗」方式とは、家族の所得を合算し家族構成に応じた除数Nで割って一人当たりの所得を算出する。これに税率をかけた一人当たりの税額をN倍して世帯の税額を得る。