中小企業等経営強化法に係る税制措置 (固定資産税特例と中小企業経営強化税制)

平成28年7月1日より施行された中小企業等経営強化法による「経営力向上計画」(人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資等により、事業者の生産性を向上させるための計画であり、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます)の認定を受けた中小企業者等は、一定の要件を満たす場合、以下の税制措置を受けることができます。

平成29年度税制改正により、税制措置として拡充となりました「固定資産税の軽減措置特例」と改組・創設された「中小企業経営強化税制」の2つとなりました。 又、 中小企業に対する他の投資優遇制度(中小企業投資促進税制と特定中小企業者等の経営改善設備投資促進税制)も併せて以下に紹介します。

 

1.固定資産税の軽減措置特例

経営力向上計画に基づき認定された事業者は、平成31年3月31日までに生産性を高める一定の設備を新規取得した場合、その翌年度から3年間の当該固定資産税の課税標準が2分の1に軽減されます。

(1)対象設備

種類 最低取得価額 販売開始要件(*1) 用途・細目 経営力向上要件(*1)
機械装置 1台160万円以上 10年以内 限定なし 旧モデル比で経営力に資するものの指標が年平均1%以上向上
工具 1台30万円以上 5年以内 測定工具及び検査工具に限る
器具備品 1台30万円以上 6年以内 限定なし
建物附属設備 1台60万円以上 14年以内 限定なし

*1: 工業会等による証明書で、販売開始時期と生産性向上に係る要件を確認するために取得する必要があります。

(2)地域・業種の制限

生産性を向上させて賃上げに繋げる必要性の有無が制限に関連しています。 なお、この地域・業種限定の判定は、本社所在地ではなく、設備の設置場所に応じて判定されることになります。

① 最低賃金が全国平均以上の7都府県(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪)の地域

上記記載の機械装置以外の設備を当該7都府県に設置する場合、対象業種によって適用が制限(機械装置は制限無し)されるものがありますので、確認は中小企業庁が公表しています7都府県ごとの業種リストで行う必要があります。

② 最低賃金が全国平均未満の地域

制限なく、全業種が特例の対象となります。

業種の判定は、日本標準産業分類の「中分類」で行われます。

(3)基本的な手続フロー

① 事業者は対象設備の取得を決めたら、設備メーカを通じて工業会発行の証明書を入手

② 上記証明書と投資計画申請書を主務大臣(担当省庁)に提出

③ 主務大臣(担当省庁)は、計画認定書と投資計画申請書(写し)を事業者に交付

④ 事業者は、固定資産税の納税書類と一緒に、投資計画申請書(写し)・計画認定書(写し)・工業会証明書(写し)を自治体に提出

原則、対象設備取得前に計画申請書を主務大臣に提出することになっています。なお、取得後に提出する場合には、取得日から60日以内に計画申請書等の必要書類が受理される必要があります。

 

2.中小企業経営強化税制

青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年(2017年)4月1日から平成31年(2019年)3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、及びソフトウェアで特定経営力向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その普通償却限度額との合計で取得価額までの特別償却(即時償却)と、その取得価額の7%(特定中小企業者等では10%)の税額控除(但し、法人税額の20%が限度で、控除限度超過額は1年間繰越可能)との選択適用が認めるというものです。

 

制度の目的 生産性の高い先進的な設備や生産ライン等の改善のための設備投資に対する税制支援(即時償却又は税額控除)を行い、 中小企業者の民間投資を活性化させる。
適用法人 青色申告書を提出する中小企業者等で、経営力向上計画の認定を受けた事業者。

具体的には、資本金1億円以下の企業、もしくは従業員千人以下の事業者、組合等。

適用要件 「生産等設備」を構成する「特定経営力向上設備等」のうち、 一定規模以上のものを取得等し、 その設備を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合。
指定事業 一部の事業は対象外、例えば、金融業、電気業(太陽光発電設備に関し、全量売電の場合には、電気業の用に供する設備として指定事業外となります)、映画業を除く娯楽業、風俗営業等であるが、ほぼ全営業が指定事業の対象とされる。
生産等設備とは 法人の指定事業用に直接供される生産等設備の減価償却資産で構成されるもの。 従って、 本店、 寄宿舎等の建物附属設備、 福利厚生施設等は非該当となります。国内への投資であること。中古資産・貸付資産でないこと等。
特定経営力向上設備等とは 経営力向上設備等(①生産性向上設備と②収益力強化設備)のうち経営力向上に著しく資する一定のもので、その法人の認定を受けた経営力向上計画に記載されたもの。
①生産性向上設備(A類型):個別設備の性能の向上の度合いを確認
種類 最低取得価額 販売開始(*1) 用途・細目 経営力向上要件(*1)
機械装置 1台160万円以上 10年以内 限定なし 旧モデル比で経営力に資するものの指標が年平均1%以上向上

 

 

 

 

工具 1台30万円以上 5年以内 測定工具及び検査工具に限る
器具備品 1台30万円以上 6年以内 限定なし
建物附属設備 1台60万円以上 14年以内 限定なし
ソフトウエア 1台70万円以上 5年以内 稼働状況等を情報収集機能及び分析等するものに限る

 

*1: ソフトウエア及び旧モデルがないもの(*1の販売開始要件を満たすこと)以外は、 同メーカーの旧モデル比で経営力の向上に資するものの指標(生産効率、 エネルギー効率、精度等)が年平均1%以上向上するものであること。

確認者:工業会等による証明書で、販売開始時期と生産性向上に係る要件を確認するために取得する必要があります。

証明書を入手後、経営力向上計画の申請書に当該証明書を添付して事業分野別の主務大臣に申請して認定を受けることになります。

基本的なフロー:

イ 証明書「入手」

ロ 計画「申請」

ハ 計画「受理」

二 計画「認定」

ホ 設備「取得」

へ 設備「事業供用」

②収益力強化設備(B類型):設備投資計画の投資収益力を確認 ① 経済産業局の確認を受けた投資計画に記載された設備(機械装置160万円以上、 工具30万円以上、 器具備品30万円以上、建物附属設備60万円以上、及びソフトウエア70万円以上)。

② 投資利益率が年平均5%以上となることが見込まれる投資計画に係る設備であること。

確認者:確認申請は所轄の経済産業局に対して行いますが、設備投資計画案については、税理士又は公認会計士から事前確認書を得ておくことが必要となります。

経済産業局から確認書を入手後、経営力向上計画の申請書に当該確認書を添付して事業分野別の主務大臣に申請して認定を受けることになります。

基本的なフロー:

イ 投資計画「事前確認」

ロ 投資計画確認書「発行申請」

ハ 確認書「入手」

二 計画「申請」

ホ 計画「受理」

へ 計画「認定」

ト 設備「取得」

チ 設備「事業供用」

特別償却と税額控除との選択適用 その普通償却限7%(資本金3千万円以下の特定中小企業者等では10%)の税額控除(但し、法人税額の20%が限度 (20%限度は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制及び経営改善設備投資促進税制における税額控除額の合計で20%)で、控除限度超過額は1年間繰越可能)との選択適用が認めるというものです。

中小企業者等 即時償却、又は税額控除(取得価額の7%)
特定中小企業者等 即時償却、又は税額控除(取得価額の10%)
適用時期 同法の施行日(平成29年4月1日)から平成31年3月31日までの間の取得等。

なお、この中小企業経営強化税制に関するQ&A集が、中小企業庁より平成29年4月4日に公表されています。

 

3.経営力向上計画の概要

中小企業等経営強化法による「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資等により、事業者の生産性を向上させるための計画であり、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。また、計画申請においては、経営革新等支援機関(士業等の専門家、商工会議所・商工会、地域金融機関等)のサポートを受けることが可能です。

(1)申請・認定の時期(弾力的な運用可)

原則、経営力向上計画の申請・認定は、設備の取得前に行うことが必要ですが、①取得後60日以内に計画が「受理」され、かつ、②設備の「取得」と計画の「認定」が同一事業年度内であれば、設備の取得後の計画申請・認定も容認されます。

具体的には、中小企業経営強化税制のA類型については、工業会等の証明書の入手の前から設備の取得等が可能となります。 一方で、B類型は、経済局に投資計画の確認書の「発行申請」を行った後に設備の取得等が可能となります。また、固定資産税の軽減と同様に「60日ルール」が課され、設備の取得日から60日以内に経営力向上計画が「受理」されることが必要となります。加えて、A類型、B類型ともに、設備の「取得」と同一事業年度内に計画が「認定」されることも必要となります。

(2)計画認定申請書

計画認定申請書は事業分野別の主務大臣に提出し認定を受けることになります。 記載内容は以下のようになります。

①企業の概要、②現状認識、③経営力向上の目標及び経営力向上による経営の向上の程度を示す指標、④経営力向上の内容など簡単な計画、等を策定することになります。

 

  1. 中小企業投資促進税制

上述以外に中小企業に対する投資優遇税制の中に、中小企業投資促進税制があり、平成29年度税制改正により、対象資産から器具備品が除外され、 適用期限が2年延長(平成31年3月31日まで延長)となりました。

特別償却の種類 対象法人、 対象設備の範囲等 限度額
特別償却等 税額控除
中小企業者等の機械等(平成10.6.1から31.3.31まで)

(①機械装置で、 1台又は1基で取得価額160万円以上、 ②ソフトウエアで70万円以上、 ③車両総重量3.5トン以上の貨物自動車、 ④内航船舶)

新品を指定事業に供する

中小企業者等(資本金3千万円以下)で大規模法人(資本金1億円超の法人で、 単独所有で50%以上、 又は複数所有で3分の2以上の所有関係。 なお、 所有割合判定では、 親会社の同族関係者の持株等は考慮しません)の所有法人を除き、 常時勤務従業員数が1千人以下等)が新品の一定の機械装置等を取得し事業に供した場合には、特別償却、 又は税額控除の選択可(特別償却の適用要件としては、 資本金1億円以下の中小企業者等) 基準取得価額の30%

(なお、 内航船舶の基準取得価額は、 実際の取得価額の75%相当額)

次の①と②のいずれか少額の金額

①基準取得価額(内航船舶では、取得価額の75%相当額)の7%

②当期法人税額の20% (20%限度は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制及び経営改善設備投資促進税制における税額控除額の合計で20%)

また、 ①>②のときには、 限度超過額を1年間の繰越控除可

 

  1. 特定中小企業者等の経営改善設備投資促進税制の期限延長

平成29年度税制改正により、特定中小企業者等の経営改善設備投資促進税制の適用期限が2年延長(平成31年3月31日まで延長)となります。 その概要は以下のとおり(商業・サービス業・農林水産業の中小企業等の設備投資促進税制とも呼称されています)。

青色申告法人で指定事業を営む中小企業等が経営改善に関する指導及び助言を受けて行う店舗改修等に伴い器具備品及び建物附属設備の取得等を行なった場合、その取得価額に対して特別償却か税額控除かを選択適用できる制度(所得税についても同様の取扱い)。

適用期間 平成29年4月1日~平成31年3月31日の間に店舗改修等を行なった場合
指定事業 卸売業、 小売業、 サービス業、 農林水産業(性風俗関連特殊営業及び風俗営業を除く)
適用要件 商工会議所、 認定経営革新等支援機関等による法人の経営改善に係る指導及び助言を受けて行う店舗改修等であること
対象設備 ① 器具備品: 1台又は1基の取得価額が30万円以上

② 建物附属設備: 1つの取得価額が60万円以上

特別償却額 対象設備の取得価額 X 30%
税額控除額 対象法人は、 資本金3,000万円以下の中小法人等に限定 (但し、 認定経営革新等支援機関等は対象から除外)

対象設備の取得価額 X 7%

(但し、 控除限度額は当期法人税額の20% (20%限度は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制及び経営改善設備投資促進税制における税額控除額の合計で20%)であり、 控除限度超過額は1年間の繰越可能)

 

2017年5月31日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

寄附金控除 (法人版)

寄附金は、 その支出に対する見返りがないため費用性に乏しく、 相手方に対する利益分の性格が強いということからその全額を損金算入とすべきではないという考え方があります。 しかし、 寄附金の中には事業との関連性のあるものもあるという考え方(しかし、 一般的に寄附金は事業に直接関係がある支出ではないものです)から、 税務上では寄附の相手先及び内容に応じて、 損金算入限度額等の規定を設けています。 寄附先別における法人税法の取扱いの概略は以下のとおりです。

寄附先別の区分
①指定寄附金等(国・地方公共団体等、 及び財務大臣の指定 ②特定公益増進法人、 認定特定非営利活動法人・特定地域雇用会社・特定地域雇用等促進法人、 又は認定特定公益信託(特増寄附金) ③一般の寄附金 ④完全支配関係がある内国法人 ⑤国外関連者
全額損金算入 特増寄附金の額又は特別損金算入限度額のいずれか少ない金額。

特増寄附金の額 > 特別損金算入限度額の場合には、 その超過部分の金額は 、一般の寄附金の支出額に含めて損金算入限度額の超過計算をおこなう。

損金算入限度額有り 全額損金不算入

(一) 国等に対する寄附金及び指定寄附金

国や地方公共団体に対する寄附金及び指定寄附金は、その支払った全額が損金に算入されます。

(二) 特定公益増進法人等に対する寄附金の特別損金算入限度額

公益の増進に著しく寄与する法人を特定公益増進法人と呼称し、 公益法人等中の公益社団

法人、 公益財団法人、 学校法人、 社会福祉法人、 更生保護法人、 独立行政法人等が対象となります。 また、 認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)も含まれます。

(1) 資本等がある法人(普通法人、 協同組合等及び人格のない社団等) (2) 資本等がない法人
① 資本基準額

(期末資本金額 + 期末資本積立金額) X 当期月数/12 X 0.375%

② 所得基準額

(支出寄附金総額 + 別表四仮計) X 6.25%

③ (① + ②) X 1/2 = 特別損金算入限度額

所得基準額:

(支出寄附金総額 + 別表四仮計) X 6.25%

(三) 一般の寄附金の損金算入限度額

(1) 資本等がある法人(普通法人、 協同組合等及び人格のない社団等) (2) 資本等がない法人
① 資本基準額

(期末資本金額 + 期末資本積立金額) X 当期月数/12 X 0.25%

② 所得基準額

(支出寄附金総額 + 別表四仮計) X 2.5%

③ (① + ②) X 1/4 = 損金算入限度額

所得基準額:

(支出寄附金総額 + 別表四仮計) X 2.5%

 

公益法人等(非営利型法人等を除く)の場合:

① 公益社団法人・公益財団法人

所得基準額: (支出寄附金総額 + 別表四仮計) X 50%

なお、 みなし寄附金がある場合には、 別途定めた所得基準額による損金算入限度額を計

算することになります。

② 社会福祉法人、私立学校法人、 社会医療法人、 更生保護法人

所得基準額: (支出寄附金総額 + 別表四仮計) X 50%

50%相当額が200万円未満である場合には、 損金算入限度額は200万円となります。

③ 上記以外の法人

所得基準額: (支出寄附金総額 + 別表四仮計) X 20%

 

地方創生応援税制(企業版ふるさと納税):法人住民税及び法人事業税における寄附金税額控除

青色申告法人が、改正地域再生法の施行日(平成28年4月1日)から平成32年3月31日までの間に、地方創生推進寄附活用事業(地方公共団体が「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」を地域再生法の認定地域再生計画に基づき国(内閣府)に申請し認定を受けたもの)に関連する寄附金を支出した場合、法人事業税、法人住民税、法人税から一定額を税額控除できます。 但し、次の法人への寄附は対象外となります。

① 法人の本社が立地する地方自治体(都道府県・市町村)の事業への寄附(本社所在の地方公共団体へ最も多額の法人住民税を納めていることから、既に納税という形で貢献しているために対象外)

② 地方交付税の不交付団体(地方公共団体)等への寄附(地方創生事業の財源確保することを目的としていることから、財源超過団体とみなされる東京都等は対象外)

なお、当該寄附の代償としての経済的利益の供与は禁止されています。

 

現行の寄附金の損金算入制度(税額で寄附額の約30%)に加え、以下の税額控除(地方税 + 法人税で寄附額の30%を控除)が可能となります。

寄附による税額減少のイメージ図:

寄附額(100%)
損金算入対応分(約30%)

地方税 + 国税

税額控除(30%)

事業税 +(住民税+法人税)

(10%)   (20%)

実質的な企業負担分

(約40%)

 

税額控除額 控除税額の上限
法人事業税

(注1)

寄附額の10% 法人事業税額の20%
 

法人住民税

(注1)

 

開始事業年度

道府県民税法人税割額 市町村民税法人税割額  

道府県民税法人税割額の20%

 

市町村民税法人税割額の20%

平成29年3月

31日までに開始

寄附額の5% 寄附額の

15%

平成29年4月

1日以後に開始

寄附額の

2.9%

寄附額の

17.1%

法人税 ① 寄附額の20% - 法人住民税からの控除税額

② 寄附額の10%

③ 上記①と②のいずれか少ない金額

法人税額の5%

注1:2以上の自治体に事業所等がある法人における控除税額の按分基準

法人事業税は、課税標準額を基準として按分する。

法人住民税は、従業員数を基準として按分する。

 

所得税(個人)と法人税(法人)の寄附金税制の比較(主なもの)

区分 所得税 法人税
国又は地方公共団体に対する寄附金 特定寄附金として、一定の金額を所得控除 (公益社団法人等、認定NPO法人等又は政党等に対する寄附金で一定のものについては、税額控除を選ぶことができます) 支出額の全額を損金算入
指定寄附金
特定公益増進法人に対する寄附金 一般の寄附金とは別枠で寄附金の額の合計額と特別損金算入限度額とのいずれか少ない金額の範囲内で損金算入
特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
認定NPO法人等に対する寄附金
政治活動に関する寄附金 損金算入限度額の範囲内で損金算入
一般の寄附金(上記以外) 所得控除されない

 

2017年4月27日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

寄附金控除(個人版)

ふるさと納税を行う人が増えていますが、 これも寄附金ということで税制上では、 税負担の軽減が図られています。 以下では、個人からの寄附行為に対する税務上の取扱いを確認したいと思います。

1.税務上の寄附金控除(所得控除と税額控除)とは

寄附金控除の適用を受けるには、寄附の相手先が「特定寄附金」の対象として認められていることが必要となります。 「特定寄附金」に該当すれば所得から一定の寄附金額を控除できるという「所得控除」が認められ、更にその中で一定の寄附金に該当しますと、所得控除に代えて、税額から一定金額を控除できるという「税額控除」を選択することができます。

2.「特定寄附金」の主な範囲

(1)国又は地方公共団体に対する寄附金

ふるさと納税もここに含まれます。

(2)指定寄附金

公益を目的とする事業法人(公益社団法人、公益財団法人等)、又は一定の要件を満たす団体に寄附するもののうち、財務大臣が指定した緊急性を要するものとした寄附金

(3)政治活動に関する寄附金

(4)特定公益増進法人に対する寄附金

公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、一定の学校法人等

(5)認定特定非営利法人等(認定NPO法人等)に対する寄附金

3.「税額控除」対象の寄附金と税額控除額

税額控除を税務上では「特別控除」という表現で規定しており、以下のものがあります。

① 政党等寄附金特別控除

特定の政治献金のうち、政党や政治資金団体へ寄附された場合の税額控除額

(イ)年間の政党等特定寄附金合計額(注1)又は総所得金額等の40%相当額のいずれか少ない金額 - 2千円(注1)

(ロ)上記(イ)X 30%

(ハ)所得税額 X 25%

(ニ)上記(ロ)と(ハ)のいずれか低い金額 = 政党等寄附金特別控除

② 公益社団法人等寄附金特別控除

一定の要件を満たす公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人、学校法人、国立大学法人、公立大学法人等へ寄附をされた場合の税額控除額

(イ)年間の公益社団特定寄附金合計額(注1)又は総所得金額等の40%相当額のいずれか少ない金額 - 2千円(注1)

(ロ)上記(イ)X 40%

(ハ)所得税額 X 25%(注2)

(ニ)上記(ロ)と(ハ)のいずれか低い金額 = 公益社団法人等寄附金特別控除

③ 認定NPO法人等寄附金特別控除

一定の要件を満たす認定NPO法人へ寄附された場合の税額控除額

(イ)年間の認定NPO特定寄附金合計額(注1)又は総所得金額等の40%相当額のいずれか少ない金額 - 2千円(注1)

(ロ)上記(イ)X 40%

(ハ)所得税額 X 25%(注2)

(ニ)上記(ロ)と(ハ)のいずれか低い金額 = 認定NPO法人等寄附金特別控除

注1:この控除対象寄附金額(総所得金額等の40%相当額)及び控除適用下限額(2千円)の判定は、 所得控除対象の寄附金額及び税額控除対象の寄附金額と合わせて総合計でおこないます。

注2:この判定は、公益社団法人等寄附金と認定NPO法人等寄附金との合計でおこないます(政党等寄附金は含まず別枠での判定)。

 

上記の①~③の特定寄附金に該当された場合には、当該税額控除と下記の所得控除の有利な方をそれぞれ選択適用することができます。

4.「所得税寄附金控除」の計算

ふるさと納税(税額控除の適用は認められません)等の特定寄附金には寄附金所得控除額が認められていますが、その計算式は次のとおりです。

(イ)年間の特定寄附金合計額(注1)

(ロ)総所得金額等 X 40%

(ハ)上記(イ)と(ロ)のいずれか低い金額

(ニ)上記(ハ)の金額 - 2千円 = 寄附金所得控除額

(ホ)所得税の軽減税額

寄附金所得控除額 X 所得税率 X 1.021%

5.「住民税寄附金税額控除」の計算

上記では、所得税における寄附金の控除についてでしたが、同時に住民税におきましても特定の寄附金に対しては寄附金控除が認められています。 例えば、次の様な寄附金が対象となります。

① 都道府県・市区町村へのふるさと納税

② 住所地の日本赤十字社支部

③ 住所地の都道府県共同募金会

④ 住所地の都道府県が条例で指定する社会福祉法人

⑤ 住所地の都道府県・市区町村ともに条例で指定する認定NPO法人

なお、住民税においての控除方式は、税額控除のみとなっています。 住民税は、都府県民税と市町村民税とに分かれ、寄附金も特定寄附金になるものか否かは条例により異なりますので別々に計算する必要があります。

(1)住民税基本控除分

(イ)年間の都府県、市町村又は特別区等への特定寄附金合計額

(ロ)総所得金額等の30%相当額

(ハ)上記(イ)と(ロ)のいずれか低い金額

(ニ)上記(ハ)の金額 - 2千円

(ホ)上記(ニ)の金額 X 10%(都府県民税4%、市町村民税6%:平成30年度分より2%と8%に標準税率の変更)= 住民税基本控除分

(2)住民税特例控除分

(イ)年間の都府県、市町村又は特別区への特定寄附金合計額 - 2千円

(ロ)上記(イ)の金額 X (90% - 所得税率 X 1.021 X 5/5(都府県民税2/5、市町村民税3/5:平成30年度分より1/5と4/5に変更))

(ハ)住民税所得割額 X 20%相当額

(ニ)上記(ロ)と(ハ)のいずれか低い金額 = 住民税特例控除分

(3)住民税の寄附金税額控除額 = (1)+ (2)

6.寄附金限度額の計算

ふるさと納税でよく言われるのが、寄附金額から2千円控除した金額の全てが税金計算上、控除されることになるということですが、 これは正しいでしょうか。 これまでの寄附金の限度計算では、総所得金額等(注3)の40%或いは30%、又は住民税所得割額(注4)の20%が限度という算式がありましたので、寄附金には所得金額の多寡により一定の寄附金額控除に限度があることが分かります。 上記から、

寄附金限度額 = 個人住民税所得割額X 20%÷(90%-所得税率X1.021) + 2千円

の算式が導かれます。 ご存知の様に所得税率は、累進税率の7段階に分かれていますので、次の表が寄附金限度額の目安となるかと思います(但し、申告分離課税のみの場合ではなく、総合課税と申告分離課税も含む場合の適用時における目安)。

所得税の課税所得額 所得税率 寄附金限度額
195万円未満 5% 個人住民税所得割額 X 23.558% + 2千円
195~330万円未満 10% 個人住民税所得割額 X 25.065% + 2千円
330~695万円未満 20% 個人住民税所得割額 X 28.743% + 2千円
695~900万円未満 23% 個人住民税所得割額 X 30.067% + 2千円
900~1,800万円未満 33% 個人住民税所得割額 X 35.519% + 2千円
1,800~4,000万円未満 40% 個人住民税所得割額 X 40.683% + 2千円
4,000万円以上 45% 個人住民税所得割額 X 45.397% + 2千円

注3:総所得金額等とは

所得税計算での総合課税所得金額及び申告分離課税所得金額を合算し、かつ、各種の繰越損失控除を使用していた場合には、その使用額を加算(控除前に戻す)したところの所得金額。

注4:住民税所得割額とは

住民税計算での課税所得金額に税率を乗じた税額(総合課税に係る税額控除前所得割額と分離課税に係る税額控除前所得割額との合計額)から調整控除額(通常2,500円)を控除した後の税額。

 

例えば、給与所得500万円、社会保険料50万円、基礎控除38万円(住民税では33万円)の場合の人が、ふるさと納税30万円を行った場合と行わなかった場合の所得税及び住民税は以下のようになります。

(1)ふるさと納税30万円を行わなかった場合

① 所得税額

5,000,000 - (500,000 + 380,000) = 4,120,000

(4,120,000 X 20% - 427,500) X 1.021 = 404,826 à 404,800(所得税額)

② 住民税額

5,000,000 - (500,000 + 330,000) = 4,170,000

4,170,000 X 10% = 417,000円(住民税額)

(2)ふるさと納税30万円を行った場合

① 所得税額

(イ)特定寄附金合計額 300,000

(ロ)5,000,000 X 40% = 2,000,000

(ハ)上記(イ)と(ロ)のいずれか低い金額 300,000

(ニ)300,000 - 2,000 = 298,000寄附金所得控除額

(ホ)所得税額

5,000,000 - (500,000 + 298,000 + 380,000) = 3,822,000

(3,822,000 X 20% - 427,500) X 1.021 = 343,974 à 343,900 (所得税額)

(へ)寄附金による所得税額の軽減税額

寄附金所得控除額 X 所得税率 X 1.021 = 298,000 X 20% X 1.021 = 60,900円

② 住民税額

(1)住民税基本控除分

(イ)特定寄附金合計額 300,000

(ロ)5,000,000 X 30% = 1,500,000

(ハ)上記(イ)と(ロ)のいずれか低い金額 300,000

(ニ)300,000 - 2,000 = 298,000

(ホ)298,000 X 10% = 29,800

(2)住民税特例控除分

(イ)特定寄附金合計額300,000 - 2,000 = 298,000

(ロ)298,000 X (90% - 20% X 1.021) X 5/5(都府県民税2/5、市町村民税3/5)= 207,348

(ハ)住民税所得割額 (4,170,000 X 10% - 2,500) X 20% = 82,900

(二)上記(ロ)と(ハ)のいずれか低い金額 82,900

(3)住民税の寄附金税額控除額 = 29,800 + 82,900 = 112,700円

(4)住民税額

5,000,000 - (500,000 + 330,000) = 4,170,000

4,170,000 X 10% - 112,700 = 304,300円(住民税額)

③ 所得税・住民税への軽減税額

所得税60,900 + 住民税112,700 = 173,600円

④ 寄附金限度額

以上の寄附額300,000円の例からは、 制限・上限に該当となるケースでしたが、 該当しない寄附額はいくらであったかは、 以下の計算で算出できます。

個人住民税所得割額X 20% ÷ (90% - 所得税率X 1.021)+ 2,000 = 414,500 X 20% ÷ (90% - 20% X 1.021) + 2,000 = 240,286円

計算結果から、 240,286円相当額が制限・上限に触れることのないレベル、 即ち、寄附金限度額ということになります。

2017年3月26日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

平成28年度(2016年)個人確定申告について

個人並びに個人事業者の方の平成28年度確定申告の時期がきました。 以下に、 平成28年度分の確定申告の提出期限及び確定申告の対象となる人(任意ではなく申告しなければならない人)、 等に関しまして概要を纏めてみました。 なお、 確定申告の対象者は前年度と変更はありませんが、 税金の申告は、 本人自ら課税金額や税額を計算し、 その税額を申告納付する制度「申告納税制度」を採用していますので、 期限後申告・納付となりますと延滞税等がかかりますので注意してください。

 

  1. 平成28年度確定申告の提出・納付期限
所得の種類 平成28年度申告期間・納付期限 口座振替による納税日(振替日)
所得税 平成28年2月16日 から3月15日 (還付対象者の方は1月から申告可) 4月20日(木)

(新規の利用者の方は「預貯金口座振替依頼書」を申告期限までに要提出)

消費税 平成29年1月 から3月31日 4月25日(火)
贈与税 平成29年2月1日 から3月15日               非該当

(1) 申告書の提出方法には、 ①持参(所轄税務署等の所定の提出場所)、 ②郵送、 ③電子申告(e-Tax利用によりデータ送信。 この利用には事前準備が必要となりますが、 所得税では一定の第三者作成の提出書類を省略可の恩典があります)の方法があります。

(2) 納税方法には、 ①持参(所轄税務署)、 ②金融機関から納付書を付けて納付、 ③ダイレクト納付(e-Taxの利用で、 かつ、 事前にダイレクト納付利用届出書の所轄税務署に要提出)、 ④インターネットバンキング等による電子納税、⑤口座振替(上記を参照) の方法があります。

(3) 平成25年度から25年間には、 復興特別所得税として各年分の所得税額に2.1%の税率を掛けて計算した税額が発生することに留意してください。

(4) 平成28年分の申告書には、 マイナンバー(個人番号)の記載が必要となります。   申告書を提出する際には、 申告者のご本人の本人確認書類(番号確認書類及び身元確認書類)の提示又は写しの添付が必要です。 具体的な本人確認書類とは、

① マイナンバーカード(個人番号カード)

② 通知カード又は個人番号付の住民票の場合には、 身元確認書類として顔写真付きの運転免許証、 等の点、 又は顔写真付きでない場合には、 2点の確認書類(保険証、 年金手帳、 等)

 

  1. 平成28年度確定申告が必要となる対象者の方
  2. 所得税
  3. 給与所得者(サラリーマンの方)

① 給与の年間収入金額が2,000万円超となる方(年末調整対象外の方)

② 給与(年末調整済)を1箇所から受けていて、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円超となる方 (給与収入額が2,000万円以下で、 給与・退職所得以外の所得が20万円以下の場合には申告の必要はありません)

③ 給与(源泉徴収済)を2箇所以上から受けていて、 年末調整されなかった給与の収入金額と、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円超となる方。

但し、 給与所得の収入金額から、 一定の所得控除の金額(雑損控除、 医療費控除、 寄付金控除及び基礎控除の項目を除く)の差引金額が150万円以下で、 かつ、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円以下となる方は、 申告不要となります。

  1. 上記の給与所得者以外の方、 又は個人事業者で納付税額が発生する方

事業所得や不動産所得等がある方で、 各種の所得金額の合計から各種の所得控除後で計算した税額が、 配当控除よりも多くなる方

  1. 源泉徴収の適用を受けない給与等の支払を受ける方

① 家事使用人等の方で給与から源泉所得税を徴収されていない方: 常時2人以下の家事使用人だけを雇用している使用人等には源泉徴収の義務が無いことから、 その使用人等から給与を受給されていた方

② 在日外国公館から給与等の支払を受けた方

③ 国外から給与、 退職金等の支払を受けた方

  1. 同族会社の役員やその親族等で、 その会社から給与以外に利子、 家賃、 使用料等の支払を受けている方は、 その利子、 家賃、 使用料等は全て申告の対象
  2. 災害減免法の適用を受け給与に対して源泉徴収の猶予や源泉徴収税額の還付を受けていた方
  3. 上記以外の方で納付税額がある方

各種の所得金額の合計から各種の所得控除後で計算した税額が、 配当控除よりも多くなる方

1: 公的年金等に係る所得の確定申告不要制度

その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、 その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、 かつ、 その雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、 所得税の確定申告書の提出は必要ありません(申告されれば還付となる場合もありますので、 その場合には申告される方が有利となる場合もあります)。 なお、国外源泉で国内源泉税の対象とならない国外年金収入等がある場合には、この確定申告不要制度の適用対象外となります。

この所得税の申告不要となる場合であっても、 住民税の申告が必要となることもありますので注意が必要です。

 

公的年金等の受給者で所得税の申告不要な者でも、住民税の申告が以下のような場合には必要となります(主に住民税の減額になるケース有り)。

① 年金や給与の源泉徴収票に記載されていない所得控除(扶養控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、医療費、社会保険料、生命保険料、地震保険料, 寄附金等)のある方は、住民税の申告で住民税が減少する可能性があります。

② 上記①の控除を追加したい方で、公的年金等が105万円(65歳以上の方は155万円)を超えている場合、或いは、超えていない場合でも公的年金等以外の所得金額がある場合。

③ 日本年金機構等に扶養親族等申告書を提出しているが、その内容に変更がある場合等。

 

2: 確定申告不要(任意)となる方で申告すれば税金が戻ってくる方(還付申告者)

確定申告の総件数は2,000万件以上になるようですが、 この内の約半数近くが還付申告のものとなっているようです。 収め過ぎた税金を戻すためには確定申告書の提出が必要となります。 以下の様な場合には、 還付されるかもしれませんので調べてみてはどうでしょうか。

  1. サラリーマンで年末調整を受けた方で次の年末調整では取扱わない項目があった方

① 一定金額以上の医療費(医療費控除: 限度額200万円)

生計を一にする家族の支払医療費が、 以下の金額以上になっている場合が対象:

所得が200万円以上: 支払医療費 – 保険給付金等 – 10万円 = 医療費控除額

所得が200万円未満: 支払医療費 – 保険給付金等 – 所得金額 × 5% = 医療費控除額

② 災害(地震、 台風等)や盗難により住宅や家財に被害を受けた場合(雑損控除)

災害の場合には、 災害減免法により所得税の軽減・減免を受けられることもあります。

③ 特定の寄付をされた方(寄付金控除や政党等寄付金特別控除)

④ 初めて住宅ローン控除を受ける方(住宅借入金等特別控除)

⑤ 年末調整時に提出ができなかった、 或いは洩れている控除項目がある方

生命保険料控除、 地震保険料控除、 配偶者特別控除、 各種の扶養者控除等

⑥ 中途退職され再就職しなかった方

退職までの給与収入に対する源泉徴収税額が年税額として過大となっているケースが殆どです。 又、 退職金に対して20%源泉になっている場合も可能性がありますし、退職所得を除く各種の所得の合計額から所得控除を差し引くと赤字になっている方。

  1. 上場株式等に係る配当所得(申告分離課税選択)と上場株式等に係る譲渡損失との損益通算
  2. 予定納税されたが確定申告不要となった方
  3. 所得が少ない状況で配当や原稿料収入等からの源泉徴収税額が、 本来の納付すべき税額よりも多額となっている方
  4. 外国税額控除の適用がある方
  5. 申告の要件となっている項目がある方

① その年の翌年以降に純損失又は雑損失の繰越控除を受けるため、 ② その年分の純損失の金額について純損失の繰戻しによる還付を受けるため、 ③ 居住用財産の買換又は特定居住用財産の譲渡損失及び繰越控除を受けるため、 等には確定申告の提出が必要となります。

 

 

  1. 贈与税

ご存知かと思いますが、 下記に示す様に年間に受けた贈与額が110万円以下ならば非課税範囲のために贈与税の申告等は必要ありません。

  1. 年間合計で110万円超の財産贈与(個人からの土地、 建物、 現金、 預貯金、 株式、 債権等の財産の贈与)を受けた方(暦年課税で下記の②の選択者を除く)
  2. 相続時精算課税制度(60歳以上の父や母の直系卑属からの贈与者ごとに累積で特別控除額2,500万円)の選択者で財産贈与を受けた方(20歳以上の推定相続人の子、 並びに孫に限る)
  3. 住宅取得等資金の非課税制度(下記に限度額)を適用し、 父母や祖父母等の直系尊属から自己の居住用家屋の取得等のために住宅資金贈与を受けた方(20歳以上で合計所得金額が2,000万円以下であり、 かつ、 一定の居住条件を満たしている方)

 

消費税率が8%適用となる取得等の契約を平成33年12月までに締結された場合の非課税限度額は以下のようになります。

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋(耐震等住宅) 左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅)
平成28年1月~平成32年3月 1,200万円 700万円
平成32年4月~平成33年3月 1,000万円 500万円
平成33年4月~平成33年12月 800万円 300万円
なお、 東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 以下のようになります。

現在~平成33年12月

 

 

1,500万円

 

 

1,000万円

  1. 配偶者控除の特例(控除額2,000万円)を適用し、 配偶者から居住用不動産又はその取得資金の贈与を受けた方(婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与に限る)
  2. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度、等

平成25年4月1日から平成31年3月31日までの期間に直系尊属が30歳未満の子や孫へ教育資金を拠出し、 金融機関(信託会社・信託銀行)、 銀行及び金融商品取引業者に信託等した場合、 受贈者(子・孫)1人当たり1,500万円(学校等以外への支払は500万円)までを非課税とする特例があります。 この制度適用のためには、 受贈者は教育資金非課税申告書を金融機関等を経由して税務署に提出する必要がありますが、 申込時に対応されていると思いますので特に問題となることはないでしょう。

 

 

  1. 消費税

個人事業者で下記に該当する方は納税義務者(課税事業者)として申告する必要があります。

  1. 基準期間となる前々年度(平成26年度)の課税売上高が1,000万円超の事業者の方
  2. 特定期間となる前年(平成27年度)の1月1日から6ケ月間の課税売上高が1,000万円超で、 かつ、 同期間の給与等支払総額が1,000万円超の事業者の方
  3. 免税事業者となる方が、 課税事業者となることを選択(消費税課税事業者選択届出書を提出)している方(簡易課税選択者も含む)

納税義務者の判定上の留意事項:

(1) 基準期間の課税売上高は、 消費税込の金額となり、 事業用資産(住宅用として貸付けていた建物等)の譲渡の対価金額も含まれます

(2) 被相続人(亡くなられた方)の事業を相続により承継した相続人には、 被相続人が提出していた各種の届出書の効力は及ばないので、 新たに提出する必要があります。

(3) 新規開業又は相続により事業を承継したときに、 消費税課税事業者選択届出書を提出した場合の適用開始時期は、 当該課税期間か翌課税期間かを選択できます。

(4) 消費税課税事業者選択届出書を提出されている場合には、 「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り、 その効力が消滅することはありません。

 

 

以上が、所得税、贈与税、消費税に関する確定申告の対象者の概要です。

2017年2月19日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

2017(平成29)年度税制改正大綱:法人税

2016年12月8日に与党が決定しました2017(平成29)年度税制改正大綱に関しまして、法人税に関する主な改正案の概要は、 以下のとおりです。

1.競争力強化のための研究開発税制等の見直し

(1) 試験研究費の範囲の見直し

試験研究費の範囲に、「対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究のために要する一定の費用が追加されます。 この「一定の費用」とは、対価を得て提供する新たな役務(新サービス)の開発を目的として行う業務に要する費用となっています。

(2) 総額型(試験研究費の総額に係る税額控除制度)の見直し

 ① 税額控除率等の見直し

試験研究費の増減割合に応じた税額控除率に変動されます。 現行では試験研究費割合に応じ8%~10%ですが、以下の様に変わります。

改正
区分 税額控除率
5% < 増減割合 9% +(増減割合-5%)x 0.3
-25% ≦ 増減割合 ≦ 5% 9% -(5%-増減割合)x 0.3
増減割合 < -25% 6%

「試験研究費の増減割合」とは、試験研究費増減差額の比較試験研究費に対する割合

「試験研究費増減差額」とは、試験研究費の額から比較試験研究費の額を減算した金額

 ② 税額控除率の上限引上げ(2年間の時限措置)

(イ)総額型の税額控除率の上限は、原則、10%だが、2年間の時限措置として14%に引上げられます。

(ロ)中小企業等技術基盤強化税制による総額型の場合、試験研究費の増加割合が5%を超える場合には次の様になります。

(①)税額控除率 = 12%% +(試験研究費の増加割合-5%)x 0.3}、 但し、税額控除率の上限は17%

(②)税額控除額 = 試験研究費の額 x 税額控除率

税額控除額の上限 = 当期の法人税額 x 25% + 上乗せ部分(当期の法人税額 x 10%)

なお、この適用にあたり、高水準型(平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度)との選択適用となります。

(3) 高水準型(平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度)の時限措置等

① 適用期限が2年延長されます。

② 試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合の上乗せ措置2年間の時限措置)

試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合、「高水準型」の適用に代えて、以下のとおり「総額型」の控除税額の上限(当期の法人税額の25%)に一定の金額を上乗せできることになります。

参考:高水準型においての税額控除計算

税額控除額 = (当期試験研究費の額 – 平均売上金額 x 10%) x 超過税額控除割合

平均売上金額:当期及び当期前3年以内に開始した各事業年度の売上の平均額

超過税額控除割合:(試験研究費割合 – 10%) X 0.2

税額控除限度額は、 当期法人税額の10%

改正: 上乗せ措置

(①)総額型

当期の法人税額の25% + 上乗せ部分{(当期の法人税額 x(試験研究費割合 -10%)x 2}

(②)総額型(中小企業等技術基盤強化税制による総額型)

当期の法人税額の25% + 上乗せ部分{(当期の法人税額 x(試験研究費割合 -10%)x 2}

なお、この適用にあたり、上述しました総額型との選択適用となります。

(4) 増加型(試験研究費の増加額に係る税額控除制度) 

平成28年度末の期限をもって廃止となります(現行:高水準型との選択適用)。

(5) オープンイノベーション型(特別試験研究費の額に係る税額控除制度)

特別試験研究費の対象となる支出費用が限定されていたが、その限定が廃止され、その研究に要した費用となります。

2.所得拡大促進税制の税額控除制度の見直し

(1) 大企業

現行 改正
適用要件 平均給与等支給額 > 比較平均給与等支給額

 

(平均給与等支給額 - 比較平均給与等支給額)÷ 比較平均給与等支給額 ≧ 2%
控除税額 雇用者給与等支給増加額 x 10% 雇用者給与等支給増加額 x 10% +(①又は②のいずれかの金額) x 2%

① 雇用者給与等支給増加額 ≧(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額の金額

② 雇用者給与等支給増加額 <(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給増加額の金額

(2) 中小企業者等

現行 改正
控除税額 雇用者給与等支給増加額 x10% 雇用者給与等支給増加額 x 10% + (①又は②のいずれかの金額)x 12%

① 雇用者給与等支給増加額 ≧(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給額 – 比較雇用者給与等支給額の金額

② 雇用者給与等支給増加額 <(雇用者給与等支給額 – 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給増加額の金額

3.確定申告書の提出期限の延長の特例

法人が、①会計監査人を置いている場合で、かつ、②定款等の定めにより各事業年度終了から3月以内に決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、4月を超えない範囲内で確定申告書を提出することが税務署長より認められます。

原則、「事業年度終了から2ヵ月以内」から、現行の「1ヵ月の提出期限の延長特例」は存置され、別途、最大で4ヵ月の提出期限の延長」となり、事業年度終了から最大6ヵ月以内の特例が創設されます。 また、法人税事業税についても、同様な取扱いとなります。

4.役員給与関連

(1) 利益連動給与の見直し(平成29年4月1日以後の支給又は交付決議分から適用対象)

算定指標の範囲に、株式の市場価格の状況を示す指標及び売上高の状況を示す一定の指標を加えるとともに、当該事業年度後の事業年度又は将来の所定の時点若しくは期間の指標を用いることができるようになります。

(2) 事前確定届出給与の見直し(平成29年4月1日以後の支給又は交付決議分から適用対象)

① 所定の時期に確定した数の株式を交付する給与が対象に加えられます。

② 所定の時期に確定した数の新株予約権を交付する給与が対象に加えられるとともに一定の新株予約権の給与は事前確定の届出は不要となります。

③ 利益その他の指標を基礎として譲渡制限が解除される数が算定される譲渡制限付株式による給与は対象外となります。

(3) 定期同額給与の範囲の見直し(平成29年4月1日以後の支給又は交付決議分から適用対象)

税及び社会保険料の源泉徴収等の控除後で金額が同額となるものも定期給与に加えられます。

(4) 退職給与の見直し (平成29年10月1日以後の支給又は交付決議分から適用対象)

退職給与で「利益その他の指標(勤務期間及び既に支給した給与を除く)」を基礎に算定されたもののうち、次の①と②の全額が損金不算入となります。

① 利益連動給与の損金算入要件を満たさないもの

② 新株予約権による給与で事前確定届出給与又は利益連動給与の損金算入要件を満たさないもの

(5) 譲渡制限付株式(RS)と新株予約権(SO)を対価とする費用の帰属事業年度の特例の見直し

平成29年10月1日以後の支給又は交付決議分から適用対象)

① 役務提供を受けた法人以外の法人が交付するものも対象に加えられます。

② RSの損金算入時期が、原則、「譲渡制限が解除されることが確定した日の属する事業年度」となります。 現行は、「譲渡制限解除日の属する事業年度」からの見直し。

③ RSやSOが、非居住者に交付された場合、その者が居住者であったとした場合に給与所得等が生じることが確定した日に役務提供を受けたこととなる。

5.組織再編税制等の見直し

多くの見直しが行われますが、特定事業を切り出して独立会社とするスピンオフ関係の改正事項(分割型分割や現物分配によるスピンオフが行われた場合、適用要件を満たすことでスピンオフを行った会社側への譲渡損益の課税が繰り延べられる)は、平成29年4月1日以後の組織再編成に適用となります。 又、吸収合併・株式交換に係る適格要件の見直しなどといったスピンオフ関係以外の改正事項は、平成29年10月1日以後の組織再編成に適用となります。

6.営業権等の償却方法の見直し

営業権、資産調整勘定及び負債調整勘定の償却方法について、取得年度の償却限度額の計算上、月割計算で行うことになります。

7.地域中核企業向け設備投資促進税制の創設

企業立地促進法の改正を前提に、青色申告法人が同改正法の施行日から平成31年3月31日までの間に、一定の計画(国の確認が必要)に係る一定の地域内で一定の施設等(取得価額の合計が2千万円以上)を新設、又は増設した場合に、その施設等を構成する機械装置、器具備品、建物・建物附属設備・構築物の取得等をして、一定の事業用に供したときは、取得価額(本制度の上限は100億円)の40%(建物・建物附属設備・構築物は20%)の特別償却、又は4%(建物・建物附属設備・構築物は2%)の税額控除(但し、法人税額の20%が限度)との選択適用ができます。

8.中小企業向け設備投資促進税制の拡充

(1) 中小企業経営強化税制への改組(以前の中小企業投資促進税制の上乗せ措置)

青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、平成29年(2017年)4月1日から平成31年(2019年)3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、及びソフトウェアで特定経営力向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をして、その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に、その普通償却限度額との合計で取得価額までの特別償却と、その取得価額の7%(特定中小企業者等では10%)の税額控除(但し、法人税額の20%が限度で、控除限度超過額は1年間繰越可能)との選択適用が認めるというものです。

制度の目的 生産性の高い先進的な設備や生産ライン等の改善のための設備投資に対する税制支援(即時償却又は税額控除)を行い、 中小企業者の民間投資を活性化させる
適用法人 青色申告書を提出する中小企業者等
適用要件 「生産等設備」を構成する「特定経営力向上設備等」のうち、 一定規模以上のものを取得等し、 その設備を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合
生産等設備とは 法人の指定事業用に直接供される減価償却資産で構成されるもの。  従って、 本店、 寄宿舎等の建物附属設備、 福利厚生施設等は非該当
特定経営力向上設備等とは 経営力向上設備等(①生産性向上設備と②収益力強化設備)のうち経営力向上に著しく資する一定のもので、その法人の認定を受けた経営力向上計画に記載されたもの
①生産性向上設備
種類 取得価額(*2) 販売開始(*1) 用途・細目
機械装置 160万円以上 10年以内 限定なし
工具 1台30万円以上 5年以内 測定工具及び検査工具に限る
器具備品 1台30万円以上 6年以内 限定なし
建物附属設備 1台60万円以上 14年以内 限定なし
ソフトウエア 1台70万円以上 5年以内 稼働状況等を情報収集機能及び分析等するものに限る

*1: ソフトウエア及び旧モデルがないもの(*1の販売開始要件を満たすこと)以外は、 同メーカーの旧モデル比で経営力の向上に資するものの指標(生産効率、 エネルギー効率、精度等)が年平均1%以上向上するものであること

②収益力強化設備 経済産業局の確認を受けた投資計画に記載された設備(機械装置、 工具、 器具備品、建物附属設備、及びソフトウエア)で投資利益率が年平均5%以上となることが見込まれるものであること
特別償却と税額控除との選択適用 その普通償却限度額との合計で取得価額までの特別償却と、その取得価額の7%(特定中小企業者等では10%)の税額控除(但し、法人税額の20%が限度 (20%限度は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制及び経営改善設備投資促進税制における税額控除額の合計で20%)で、控除限度超過額は1年間繰越可能)との選択適用が認めるというものです。
適用時期 同法の施行日(平成29年4月1日)から平成31年3月31日までの間の取得等。

(2) 中小企業投資促進税制

対象資産から器具備品が除外され、 適用期限が2年延長となります。

特別償却の種類 対象法人、 対象設備の範囲等 限度額
特別償却等 税額控除
中小企業者等の機械等(平成10.6.1から31.3.31まで)

(①機械装置で、 1台又は1基で取得価額160万円以上、 ②ソフトウエアで70万円以上、 ③車両総重量3.5トン以上の貨物自動車、 ④内航船舶)

新品を指定事業に供する

中小企業者等(資本金3千万円以下)で大規模法人(資本金1億円超の法人で、 単独所有で50%以上、 又は複数所有で3分の2以上の所有関係。 なお、 所有割合判定では、 親会社の同族関係者の持株等は考慮しません)の所有法人を除き、 常時勤務従業員数が1千人以下等)が新品の一定の機械装置等を取得し事業に供した場合には、特別償却、 又は税額控除の選択可(特別償却の適用要件としては、 資本金1億円以下の中小企業者等) 基準取得価額の30%

(なお、 内航船舶の基準取得価額は、 実際の取得価額の75%相当額)

次の①と②のいずれか少額の金額

①基準取得価額(内航船舶では、取得価額の75%相当額)の7%

②当期法人税額の20% (20%限度は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制及び経営改善設備投資促進税制における税額控除額の合計で20%)

また、 ①>②のときには、 限度超過額を1年間の繰越控除可

(3) 特定中小企業者等の経営改善設備投資促進税制の期限延長

適用期限が2年延長となります。 その概要は以下のとおり。

(商業・サービス業・農林水産業の中小企業等の設備投資促進税制)

青色申告法人で指定事業を営む中小企業等が経営改善に関する指導及び助言を受けて行う店舗改修等に伴い器具備品及び建物附属設備の取得等を行なった場合、その取得価額に対して特別償却か税額控除かを選択適用できる制度(所得税についても同様の取扱い)。

適用期間 平成29年4月1日~平成31年3月31日の間に店舗改修等を行なった場合
指定事業 卸売業、 小売業、 サービス業、 農林水産業(性風俗関連特殊営業及び風俗営業を除く)
適用要件 商工会議所、 認定経営革新等支援機関等による法人の経営改善に係る指導及び助言を受けて行う店舗改修等であること
対象設備 ① 器具備品: 1台又は1基の取得価額が30万円以上

② 建物附属設備: 1つの取得価額が60万円以上

特別償却額 対象設備の取得価額 X 30%
税額控除額 対象法人は、 資本金3,000万円以下の中小法人等に限定 (但し、 認定経営革新等支援機関等は対象から除外)

対象設備の取得価額 X 7%

(但し、 控除限度額は当期法人税額の20% (20%限度は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制及び経営改善設備投資促進税制における税額控除額の合計で20%)であり、 控除限度超過額は1年間の繰越可能)

9.中小企業者等に係る法人税の軽減税率の特例の期限延長

中小企業者等に対して、所得800万円以下の部分につき、法人税率15%とする軽減税率の特例の適用期限が2年延長され、平成31年3月31日までの開始事業年度に適用となります。

10.地方拠点強化税制(オフィス減税)の拡充

(1)地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度における税額控除率を引き上げる措置の適用期限を1年延長する。

(2)雇用促進税制の特例について、無期雇用かつフルタイムの新規雇用等に対する税額控除額を上乗せする等の拡充を行う。

11.災害に関する税制上の措置

災害時における税制上の救済措置等が規定されました。

12.法人税の納税地異動における届出書

異動における届出書は、その移動後の納税地の所轄税務署長への届出は不要となります。

13.法人の設立届出書等

法人の設立届出書において、登記事項証明書の添付は不要となります。

14.特定資産の買換特例(9号買換特例)の適用期限の延長等

9号買換特例について、買換資産のうち、鉄道事業用車両運搬具が「貨物鉄道事業用の電気機関車」に限定した上で、適用期限を平成31年度末まで3年延長となります。

15.医療用機器の特別償却制度の用期限の延長等

適用対象機器の見直しを行った上で、適用期限を平成30年度末まで2年延長となります。

16.中小企業向け租税特別措置の適用停止

中小企業向け租税特別措置について、平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均額)が年15億円を超える事業年度においては、その租税特別措置の適用が停止となります。 適用は、平成31年4月1日以後開始事業年度からとなります。

以上。

2017年1月9日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

法定調書と給与支払報告書: 提出期限 1月末

1. 法定調書とは

12月の最終給与支給までに、 従業員の年末調整が行なわれ一区切りついたと思っても、 翌1月末までに提出、申告等の対応が必要となるものがあります。 その1つに法定調書作成がありますが、 これは、所得税法、相続税法等の法律の規定により、給与、報酬、家賃等の支払者(提出義務者)が、それらの1年間の支払いに関して、支払先の氏名、住所、支払金額等を記載し所轄税務署に提出が義務付けられている書類(全部で61種類ほど)です。この主目的は、税務署が適正な課税の確保を図ることを目的に支払事実を把握し、受給者が正しく所得を申告していることの確認手段になるものです。 提出すべき法定調書は、 特定項目の一定金額以上のものですが、 源泉徴収の対象になるものとは限っておりませんので留意してください。

なお、 平成28年度分の行政機関への提出にあたり、 マイナンバー(個人番号、等)が必要となっています。

2. 提出する一般的な6種類の法定調書と支払内容

提出する調書 支 払 内 容
給与所得の源泉徴収票と給与支払報告書(注2) 俸給、給料、賞与等の支払
退職所得の源泉徴収票と特別徴収票(注2) 退職手当(注1)、一時恩給等の支払
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 ① 原稿料、印税、講演料、工業所有権の使用料等の支払

② 弁護士、司法書士、税理士、弁理士、社会保険労務士、建築士等への報酬、料金の支払

③ 外交員、集金人、電力量計の検針人、モデル、プロ野球の選手、プロボクサー、騎手等への報酬、料金、契約金の支払、芸能人への出演料等の支払

④ バー、キャバレー等のホステス、コンパニオン等への報酬、料金の支払

⑤ 広告宣伝のための賞金、馬主への競馬の賞金の支払

不動産の使用料等の支払調書 地代、家賃、権利金、礼金、更新料、承諾料、名義書換料等の支払
不動産等の譲受の対価の支払調書 土地、建物等の譲受け(売買、交換、収用等)の代金の支払
不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書 土地、建物等の売買や貸付の仲介手数料の支払

注1:死亡退職による退職手当等の場合には、相続税法による「退職手当等受給者別支払調書」を提出することになります。

注2:地方税法で提出が義務付けられています「給与支払報告書」及び「特別徴収票」は、

名称が異なりだけでそれぞれ「給与所得の源泉徴収票」及び「退職所得の源泉徴収票」と記載内容は同じものです。

3. 提出範囲

支払調書は、一定金額以上のもの等(支払金額の提出範囲)に該当するときに提出が必要となります。主な提出範囲は次のとおりです。

(1) 給与所得の源泉徴収票

年末調整 受給者区分 提出範囲(年間)
年末調整をしたもの 法人役員(相談役、顧問など含む) 150万円超
弁護士、公認会計士、 税理士等 250万円超
上記以外の人(従業員) 500万円超
年末調整をしなかったもの 給与収入2,000万円超 全部
「扶養控除等申告書」を提出した者のうち退職した者等 250万円超(法人役員は50万円超)
「扶養控除等申告書」を提出しなかった者 50万円超

(2) 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

  1. 所得税法第204条第1項各号並びに所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条の20の規定に基づく報酬 料金等の支払
区 分 提出範囲
* 外交員、集金人、検針人、プロボクサー、ホステス等の報酬、料金

* 広告宣伝のための賞金

* 社会保険診療報酬支払基金からの診療報酬

年間50万円超
馬主に支払う競馬の賞金 1回75万円超
プロ野球選手等の報酬及び契約金

弁護士、税理士等の報酬

作家、画家などの原稿料、画料

講演料、 その他の報酬、 料金等

年間5万円超

当該支払調書の記載の概要は以下のとおりです。

① 支払を受ける者: 受給者の住所・名称を記入。

② 区分: 例えば、 原稿料、 印税(書きおろし初版印税、 その他の印税、等)、 さし絵料、 翻訳料、 通訳料、 脚本料、 作曲料、 講演料、 教授料、 著作権・工業所有権の使用料、 放送謝金、 映画・演劇の出演料、 弁護士報酬、 税理士報酬、 公認会計士報酬、 外交員報酬、 ホステス等の報酬、 契約金、 広告宣伝のための賞金、 競馬の賞金、 診療報酬、 等と記入。

③ 細目: 上記の区分内容をより詳細化して記入。

④ 支払金額: その年度中に支払の確定した金額を記入。 従って、 未払いのものも含み、 その場合には未払金額を各欄の上段に内書で記入。

提出範囲の金額基準の判定においては、 原則として消費税及び地方消費税(消費税等)の額を含めて行ないます。 但し、 消費税等の額が明確に区分されている場合には、 その額を含めないで判定しても構いません。

支払金額の記入にあたっては、 原則として消費税等の額を含めて記入します。 但し、 費税等の額が明確に区分されている場合には、 その額を含めないで記入しても構いませんが、 その場合には、 その消費税等の額を摘要欄に記入する必要があります。

⑤ 源泉徴収税額: その年度中の支払の確定した金額に基づく源泉徴収すべき税額を記入。 未払いのものがある場合には、 その未徴収税額を上段に内書で記入。

⑥ (摘要): 必要に応じて記入。

⑦ 支払者: 支払者の住所・名称及び電話番号を記入。

記載上の注意事項:

法人に支払われる報酬、 料金等で源泉徴収の対象とならないもの、 或いは支払金額が源泉徴収の限度額以下であるため源泉徴収していない報酬、 料金等についても、 提出範囲の金額基準以上のものは税務署への支払調書の提出が必要となります。

(3) その他の主な法定調書

法定調書 提出範囲
退職所得の源泉徴収票 法人役員(相談役、顧問その他これらに類する者も含む)が受給者であるもの
不動産の使用料等の支払調書

注:不動産、 不動産の上に存する権利、 総トン20トン以上の船舶、 航空機に対する対価を受領する法人と不動産業の個人の方が提出義務者となります。

年間15万円超

但し、不動産業である個人で、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業の方には提出義務はありません。

又、法人に対し賃借料のみを支払っている場合にはその支払調書の提出は不要ですが、支払が権利金、更新料等は提出が必要となります。

不動産等の譲受の対価の支払調書 年間100万円超
不動産等の仲介料の支払調書 年間15万円超

但し、不動産業である個人で、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業の方には提出義務はありません。

公的年金等の源泉徴収票 「扶養控除等申請書」を

提出した者:60万円超

提出しなかった者:30万円超

配当等の支払調書 10万円超(中間配当がある場合は5万円超)
生命保険契約等の一時金の支払調書 100万円超
損害保険契約等の満期返戻金等の支払調書 100万円超
株式等の譲渡対価の支払調書 同一人に対し100万円超

1回30万円超

国外送金等調書 1回200万円超

4. 提出先と提出期限

法定調書の提出期限は、原則として、その年の翌年の1月31日までとなっており、所轄税務署に提出することになります。税務署に提出する場合には、法定調書の合計表(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)と各法定調書(提出範囲のもの)を添付して提出します。

受給者(個人・法人)の全員にも、 翌年の1月31日まで帳票が送付されることになっていますので、 個人では確定申告の作成資料等に使用、 又、 法人では受給金額・内容との照合等に使用することができます。

法定調書の提出方法に関して、基準年(前々年)の提出枚数が1,000枚以上であった法定調書の場合には、光ディスク等又はe-Taxによる提出が義務付けられています。

5. 給与支払報告書(給与所得の源泉徴収票)

サラリーマンの方にはお馴染みの給与所得の源泉徴収票は、 その年の給与所得に関する年末調整後(給与収入が2千万円超の方等は年末調整は行われません)の源泉徴収税額や税額計算情報が集約され記載されています帳票です。 税務署には、 一定金額以上の給与収入の「源泉徴収票」が提出され、 又、 同一内容ですが様式名が異なる給与支払報告書が個人の居住する市区町村に金額の制限なく全てが提出されます。

「給与支払報告書」(総括表を添える)提出先は、受給者(全員分)のその年の翌年の1月1日現在の住所地の市区町村となり、 提出期限は翌年の1月31日までとなっています(個人の居住する市区町村に金額の制限なく全てが提出されます)。

年度の途中で退職した者に対する給与支払報告書は、 支払額が30万円以下の場合には提出を省略することができます。 なお、退職金の「特別徴収票」の提出は、役員のみであり従業員分は提出する必要はありません。 その提出先は、 受給者の退職日現在の住所地の市区町村となっており、 退職後1ケ月以内の提出となります。

市区町村では、 提出された資料から住民税の税額計算をおこない、 翌年6月から徴収を開始し1年間で納付を行ないます。 なお、給与所得を基因する住民税の納付方法は、原則として、会社等が所得税と同様に給与より天引きして納付するという特別徴収となっています。

2017年1月5日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

2017(平成29)年度税制改正大綱:相続税・贈与税 (資産税)

2016年12月8日に与党が決定しました2017(平成29)年度税制改正大綱に関しまして、資産税 (主に相続税・贈与税) に関する主な改正案の概要は、 以下のとおりです。

 

1.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し

(1)災害時の被災者等が納税猶予制度の適用を受ける場合、適用対象となる会社の認定等の時期に応じて一定の救済措置があります。

(2)納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数に80%を乗じて計算した人数の1人未満は切捨てるが、最低1人(現行の端数は切上げ)と計算されます。

(3)相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えられます。

(4)贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社の要件から、中小企業者であること及び当該株式が非上場株式等に該当することとする要件が撤廃されます。

上記の改正は、平成29年1月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税・贈与税について適用とされますが、経過措置も規定されます。

 

2.相続税・贈与税の納税義務者の見直し

(1)国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続税の納税義務について、国外財産が相続税の課税対象外とされる要件を、被相続人等及び相続人等が相続開始前10年(現行:5年)以内のいずれの時においても国内に住所を有しないこととなります。

(2)被相続人等及び相続人等が所定の在留資格をもって一時的滞在(国内に住所を有している期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)をしている場合の相続又は遺贈に係る相続税については、国内財産のみが課税対象となります。

(3)国内に住所を有しない者であって日本国籍を有しない相続人等が、国内に住所を有しない者であって相続開始前10年以内に国内に住所を有していた被相続人等(日本国籍を有しない者であって一時的滞在(国内に住所を有している期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)をしていたものを除く)からの相続又は遺贈により取得した国外財産を、相続税の課税対象に加えられます。

上記の改正は、平成29年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税・贈与税について適用とされますが、贈与税の納税義務についても同様な取扱いとなります。

 

現行の納税義務者は、 無制限納税義務者 (居住無制限納税義務者及び非居住無制限納税義務者)、 制限納税義務者ですが、以下の様になっています。

相続人・受贈者

 

 

被相続人・贈与者

国内に住所有り 国内に住所無し  
日本国籍有り 日本国籍無し  
5年以内に国内に住所有り 5年を超えて国内に住所無し  
国内に住所有り 国内・国外財産ともに課税(居住無制限納税義務者) 国外財産にも課税(非居住無制限納税義務者   (

 

国内財産のみに課税(制限納税義務者)
国内に住所無し 5年以内に国内に住所有り(注1)  
5年を超えて国内に住所無し    

 

3.居住用超高層建築物(タワーマンション)に係る課税の見直し

(1)タワーマンションに対する固定資産税(都市計画税も同様)

① 高さ60mを超える超高層建築物のうち、複数の階に住戸があるもの(居住用超高層建築物)については、当該建築物全体に係る固定資産税額を各区分所有者に按分する際に用いる専有部分の床面積を、階層の差による取引単価の変化の傾向を反映する補正率(階層別専有床面積補正率)により補正されます。

② 階層別専有床面積補正は、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が一つ増すごとに39分の10を加えた数値とする。例えば、40階だとしますと補正率は110(100 + 10/39 X 39)となります。 つまり、1階ごとに税額が0.25%程度増減することになります。

③ 居住用以外の専有部分がある場合には、全体に係る固定資産税額を、床面積により居住用部分と非居住用部分に按分の上、居住用部分の税額を各区分所有者に按分する場合にのみ階層別専有床面積補正率を適用します。

④ 上記①から③に加え、天井の高さ、附帯設備の程度等について著しい差違がある場合には、その差違に応じた補正が行われます。

⑤ 上記の按分方法にもかかわらず、区分所有者全員による申出があった場合には、当該申出の割合により固定資産税額を按分することも可能となります。

上記の改正は、平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものは除かれます)について適用となります。

(2)タワーマンションの専有部分の取得があった場合の不動産取得税

タワーマンションに対する不動産取得税についても、上記の固定資産税課税と同様な取扱いとなります。

 

4.医療法人に対する組織再編に伴う措置

(1)平成18年医療法等改正法に規定する移行計画の認定を受けた医療法人の持分を有する個人がその持分の全部又は一部の放棄により、移行計画上の期限までに持分の定めのない医療法人に移行した場合には、当該医療法人が受けた放棄による経済的利益については贈与税を課さないことになります。

(2)上記(1)の適用を受けた医療法人について、持分の定めのない医療法人への移行後6年経過するまでの間に移行計画の認定要件を満たさなくなった場合には、上記(1)の経済的利益について当該医療法人を個人とみなして、贈与税が課せられます。

(3)医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の適用期限が3年延長となります。

 

5.直系尊属からの教育資金の一括贈与における贈与税の非課税措置

金融機関への領収書等の提出を、平成29年6月1日以後より書面による提出に代えて電磁的方法により提供することが可能となります。

 

6.生産緑地地区内農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の適用

生産緑地法の改正を前提に、面積要件が緩和された改正後の生産緑地地区内農地等については、相続税・贈与税の納税猶予制度の適用上、現行と同様の取扱いとなります。

 

7.山林に係る相続税の納税猶予制度の見直し

納税猶予制度の緩和される見直しがあります。

 

8.土地売買の所有権移転登記等に対する登録免許税税率の軽減措置の延長

適用期限を2年延長となります。

 

9.相続税の物納財産の中に上場株等も第一順位

株式、社債及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されているもの等を国債及び不動産等と同順位(第一順位)となります。

 

10.相続税等の財産評価の適正化

(1)非上場株式の評価の見直し(平成29年1月1日以後の相続・贈与から適用)

① 類似業種批准方式

(イ)類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均が追加となります。 より平準化された株価を採用できることになります。

  平成28年12月31日までの相続等 平成29年1月1日以後の相続等
右記のいずれか低い株価を選択 * 課税時期の属する月以前3ヵ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの

* 類似業種の前年平均株価

* 課税時期の属する月以前3ヵ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの

* 類似業種の前年平均株価

* 課税時期の属する月以前2年間平均

(ロ)類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、上場会社単体決算による比准要素から連結決算値を基に算定されることになります。

(ハ)配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:3:1から1:1:1とする。

これまでは、比准要素のうち「利益金額」の比重は3倍にして評価されていたが、改正で1倍と平成12年の通達改正前に戻ることになります。

② 評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大することになります。

引下げ幅等は検討中ということですが、例えば、大会社では類似業種批准方式を採用できることから、その枠が広がることで、結果として同方式での評価が取りやすくなり株価評価額がこれまでよりも減額となるケースが増えてきます。

 

(2)広大地の評価(平成30年1月1日以後の相続等から適用)

面積が1,000㎡(三大都市圏では500㎡)以上の「広大地」につては、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直し、かつ適用要件を明確化されます。

現行 路線価 X 面積 X 広大地補正率

広大地補正率 = 0.6 - 0.05 X 広大地面積 / 1,000㎡

(下限値0.35)

見直案 路線価 X 面積 X 補正率 X 規模格差補正率

補正率 = 形状(不整形・奥行)を考慮した補正率

規模格差補正率 = 面積を考慮した補正率

各補正率は全て外部専門業者の実態調査に基づき設定

 

(3)株式保有特定会社の判定基準(平成30年1月1日以後の相続等から適用)

評価会社の総資産のうち保有株式が50%以上である場合、「株式保有特定会社」として、原則、純資産価額方式で評価することになっていますが、この判定基準の株式の範囲に、「新株予約権付社債」が追加されることになります。

 

11.災害に関する税制上の措置

災害時における税制上の救済措置等が規定されました。 例えば、以下の取扱い。

(1)直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置

(2)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度

(3)山林に係る相続税の納税猶予制度

 

以上。

2017年1月5日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

償却資産の申告(固定資産税): 申告書提出期限1月末

1月1日現在所有され、 かつ、 事業の用に供している一定の対象償却資産はその年の1月31日までに、 その資産の所在する所管事務所(東京都の区にある都税事務所、 等)に申告書を提出しなければなりません。

 

  1. 対象償却資産

一定の対象償却資産には、 以下の資産は含まれません。

(1) 土地や建物(いずれも登記対象資産であることから、 所有者を把握できますので敢えて申告の対象にしていません)

(2) 自動車税・軽自動車税の.課税対象(2重課税の排除)

(3) 無形固定資産(特許権、 営業権、 ソフトウェア等)

(4) 繰延資産

(5) 生物(観賞用、 興行用その他これらに準ずる生物は除く)

(6) 金額的に少額資産と言われる下記の資産:

① 取得価額が10万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたもの

② 取得価額が10万円以上20万円未満の資産で、 税務上、 3年間で一括償却しているもの

注1: 租税特別措置法の規定により、 一定の中小企業に対する特例を適用して、 取得価額が30万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたものでも、償却資産の申告対象になっています。

注2: 上記以外の資産で企業や個人で事業を行なっている方が事業のために用いることができる資産、 即ち、 構築物、 機械及び装置、 船舶、 航空機、車両及び運搬具、 工具・器具及び備品で有形減価償却資産が対象となります。 次のものも償却資産の対象となります。

(1) 建設仮勘定で計上されている資産、 簿外資産及び償却済資産であっても事業用に供することができるもの

(2) 遊休又は未稼働のものであっても事業用に供することができるもの

(3) 改良費(資本的支出)

(4) 家屋に施した建築設備・造作等のうち、 償却資産として取り扱うもの

建築設備における家屋(建物・建物附属設備)と償却資産とを区分して評価することになります。 家屋と設備の所有者が同一の場合に、 償却資産として取り扱うものは次の要件を満たすものです。

① 構造的に家屋と一体的でないもの (野外給水塔、 独立煙突等)

② 家屋から独立した機械及び装置として性格の強いもの (受・変電設備)

③ 特定の生産又は業務に使用されるもの (動力用配線設備等)

④ 単に移動を防止する程度に家屋に取り付けられたもの (ルームエアコン等)

⑤ 顧客の求めに応ずるサ-ビス設備

 

  1. 申告方式

申告方式には2方式がありますが、 通常は一般方式を採用しています。 その方式とは、 前年中(申告対象年度)に増加又は減少した資産内容を申告するのみで、 評価額、 税額等は所管事務所で行う方式です。

注1: 前年中に増加又は減少した資産が無い場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「増減なし」等を付記します。

注2: 事業を行なっていますが、 対象償却資産を所有されていない場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「該当資産なし」を付記します。

2016年12月23日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

2017(平成29)年度税制改正大綱:所得税

2016年12月8日に与党が決定しました2017(平成29)年度税制改正大綱に関しまして、所得税に関する主な改正案の概要は、 以下のとおりです。

 

個人所得課税

1.配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

現行では、配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与収入では103万円以下)の場合に配偶者控除38万円(老人控除対象配偶者48万円)、 並びに配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満の場合に配偶者特別控除が適用となっていましたが、 改正では、 配偶者控除は世帯主の年収に応じて縮小され、配偶者特別控除は配偶者の年収要件を103万円から150万円に引上げ、 かつ配隅者及び世帯主の年収に応じて控除額が以下の様に9段階で縮小となります。

適用は、 平成30年分以後(2018年1月から)の所得税からとなっています。

 

 

配偶者の収入金額

世帯主の収入・所得別控除額(金額単位:万円)
収入 所得 収入 所得 収入 所得 収入 所得
1,120以下 900

以下

1,170以下 950

以下

1,220以下 1,000以下 1,220超 1,000超
配隅者

控除

103万円以下(所得金額で38万円以下)(注)

 

38(48) 26(32) 13(16)
 

配偶者特別控除

103万円超

150万円以下(所得金額で38万円超85万円以下

38 26 13
155万円以下

(所得金額で90万円)

36 24 12
160万円以下

(所得金額で95万円)

31 21 11
167万円以下

(所得金額で100万円)

26 18
175万円以下

(所得金額で105万円)

21 14
183万円以下

(所得金額で110万円)

16 11
190万円以下

(所得金額で115万円)

11
197万円以下

(所得金額で120万円)

201万円以下

(所得金額で123万円)

201万円超

(所得金額で123万円)

注:カッコ内の金額は、年齢70歳以上の老人控除対象配偶者の場合です。

 

2.非課税累積投資契約に係る非課税措置(積立NISA)の創設

居住者等が金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に累積投資勘定を設けた日に属する1月1日以後20年間の間に支払われる累積投資勘定にかかる年間40万円以内の公募等株式投資信託からの配当(当該金融商品取引業者等による支払事務の取扱いに限る)や譲渡所得(譲渡損失はないものとみなす)には、所得税及び個人住民税は課税させないという制度です。 つまり、非課税累積投資契約に係る積立NISAの上限は年間40万円で非課税期間が20年とするものです。

なお、積立NISAは、現行の非課税上場株式等管理契約にかかる非課税措置(NISA)と選択適用となります。

公募等株式投資信託とは、その受益権が金融商品取引所に上場等されているもの、又はその設定に係る受益権の募集が一定の公募によるものに限られます。

非課税口座に設けられた非課税管理勘定に他から移管される上場株式等の価額(払出し時の金額)の上限額を撤廃し、ジュニアNISAの移管についても同様となります。

改正の適用は、平成31年分以後の所得税(個人住民税は平成32年分以後)からとなります。

 

3.住宅の耐久性向上改修工事に対する特別控除の追加

(1)特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除特例

当該特例の適用対象となる工事に特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久性向上改修工事を加えるとともに、税額控除率2%の対象となる住宅借入等の範囲に当該耐久性向上改修工事の費用も加えられます。

一定の耐久性向上改修工事 ①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事、又は⑧給排水若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、一定の要件を満たすものをいう。

例えば、工事費用(補助金等があれば控除後)の合計額が50万円超であること。

改修工事証明書 建築士等の一定の指定機関からの証明書が必要
適用期間 増改築等をした居住用家屋を、平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住用に供する場合に適用

(2)既存住宅に係る特定の改修工事における所得税額の特別控除特例

当該特例の適用対象となる工事に一定の耐久性向上改修工事で耐震改修工事又は省エネ改修工事と併せて行うものを加えるとともに、その控除額はそれぞれの改修工事に係る標準的な工事費用相当額の合計額(250万円(省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合には350万円)を限度)の10%になります。

なお、耐震改修工事及び省エネ改修工事と併せて一定の耐久性向上改修工事を行った場合の控除額は、それぞれの改修工事に係る標準的な工事費用相当額の合計額(500万円(省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合には600万円)を限度)の10%になります。

一定の耐久性向上改修工事 ①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事、又は⑧給排水若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、一定の要件を満たすものをいう。

例えば、工事費用(補助金等があれば控除後)の合計額が50万円超であること。

標準的な工事費用相当額 耐久性向上改修工事の種類ごとの標準的な工事費用額 X 当該耐久性向上改修工事の箇所数
適用期間 増改築等をした居住用家屋を、平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住用に供する場合に適用
その他の適用要件 現行の本特例と同様

 

4.短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税特例の延長

適用停止措置の期限を3年延長する。

 

5.優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例の延長

適用期限を3年延長する。

 

6.給与所得者等が使用者等から住宅借入金等のローン控除における利率の見直し

ローン控除の対象とならない利率は、現行の1%未満から0.2%未満に引下げる。

適用は、平成29年1月1日以後に居住用家屋を自己の居住用に供する場合からとなります。

 

7.災害に関する税制上の措置

災害により税制上の特例を受けられなくなった場合の救済措置が規定されました。 例えば、

(1)住宅借入金等を有する場合のローン控除の継続適用を認める。

(2)勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の払出しに伴う遡及課税を行わない

(3)買替資産等を予定期間等内に取得等をすることが困難となった場合には、その予定期間等を2年の範囲内で延長可とする。

 

8.肉用牛の売却による農業所得の非課税特例の延長

適用期限を3年延長する。

 

9.所得税の届出書の税務署長への提出不要

届出書名 提出不要となる税務署先
① 納税地の変更に関する届出書 その変更後の納税地の所轄税務署長
② 納税地の異動に関する届出書 その異動後の納税地の所轄税務署長
③ 個人事業の開業・廃業等届出書 その個人の納税地の所轄税務署長以外の税務署長
④ 給与支払事務所等の移転届出書 その移転後の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長

 

10.医療費控除等における提出証憑として領収書から明細書の提出変更

医療費控除、又は特定一般用医薬品等の購入による医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の適用を受けるには、現行の医療費・医薬品の領収書に代えて、その明細書を確定申告書の提出時に添付しなければならなくなりました。 当該領収書は、確定申告期限から5年間の保管義務があります。

適用は、平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出するものからとなります。 なお、経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、現行の領収書でもOKです。

 

11.指定都市における個人住民税率の変更

(1)個人住民税所得割の標準税率の変更

  現行 改正
道府県民税 4% 2%
市民税 6% 8%

変更は、平成30年度分以後の個人住民税について適用とする。

(2)退職所得の分離課税に係る所得割の税率に関する特例

退職所得の分離課税に係る所得割の税率については、上記(1)にかかわらず、当分の間、現行どおりとする。 2%差額は自治体間で精算する。

 

12.雇用保険法の失業等給付等に対する非課税措置の継続

失業給付金等に対して、非課税措置の継続と税金の滞納処分による差押えの禁止とする。

 

以上です。

2016年12月23日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

年末調整の概要と平成28年度の給与源泉徴収事務

  1. 年末調整とは

毎年11月となりますと会社(給与支払者)の給与担当部署は、 「年末調整」の準備・対応という大変忙しい時期を迎え、 勤務者(従業員)はその年末調整の為に必要となる申告書や証明書類等を所定の期限までに会社に提出することが求められます。 会社は、 勤務者から回収した年末調整用の書類の内容を確認しその最終提出情報に基づいて、 暦年の最終給与支払時(通常、 12月給与)に納めるべき年間の所得税及び復興特別所得税(年税額)を算出し、 これまでの給与支給時に源泉徴収された累計税額とを比べその差額となる過不足額を精算(徴収又は還付)します。 その一連の精算手続が年末調整ということになります。 一般的には、 年末調整により還付されるケースが多いかと思います。

 

  1. 平成28年度(2016年度)の所得税に係わる改正

平成28年度の年末調整において、税制改正により影響を受ける主な項目は以下の通りです。

(1) 通勤手当の非課税限度額の引上げに伴う精算

平成28年1月1日以降に支払われる通勤手当の非課税限度額が、 月額10万円から15万円に引上げられましたので、 通勤金額が10万円超でこの改正前の月額10万円で源泉徴収計算されていた方が精算の対象者となります。 具体的な手続きは次の様になります。

① 源泉徴収簿の「年末調整」欄の余白に、 「非課税となる通勤手当」を表示して、 追加で非課税となる部分の金額を記入します。

② 「年末調整」欄の「給与・手当等①」欄に、 本来の総支給金額から上記①の追加で非課税となる通勤手当部分の金額を控除した後の金額を記入します。

③ その後は、 通常の計算を行うことになります。

なお、 追加で非課税となる当該通勤手当部分の計算根拠が、 他の方法で記録、 保全されていればその方法も認められます。

* 中途退職者に既に給与所得の源泉徴収票を交付されている場合には、 「支払金額」欄を訂正し、 「摘要」欄に「再交付」と表示した源泉徴収票を再交付する必要があります。

* 年末調整の際に精算する機会の無い人は、 確定申告で精算することになります。

(2) 国外居住親族に係る扶養控除等の適用時に所定の書類添付等の義務化

平成28年1月1日以後に、 非居住者である親族(国外居住親族)に係る扶養控除、 配偶者控除、 障害者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける場合には、 「親族関係書類」及び「送金関係書類」の提出又は提示を受ける必要があります。

具体的な手続きとして、 適用を受ける旨を「扶養控除等(異動)申告書」上の「非居住者である親族」欄に○印を付し、 関係書類の提出等を行います。

(3) マイナンバー制度の導入

平成28年1月よりマイナンバー制度の導入にあたり、 個人であれば個人番号を記載して申請・申告等が必要となる書類が順次出てきます。 その最初となるものが、 「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出にあたり、 給与所得者本人、 控除対象配偶者、 控除対象扶養親族等の個人番号を記載することになります。

提出にあたり、 給与支払者が給与所得者から個人番号の提供を受ける場合は、 本人確認として、 提供の番号が正しいことの確認(番号確認)と、 番号提供者が真にその番号の持ち主であることの確認(身元確認)を行う必要があります。 なお、 控除対象配偶者、 控除対象扶養親族等の本人確認は、 給与所得者が行うことになっています。

以上から、 平成28年1月以降の支払に係る給与所得の源泉徴収票には、 上記の個人番号を記載して税務署等の行政機関に提出することになりますので、 「扶養控除等(異動)申告書」に必要なマイナンバーが記載されていない場合には、 源泉徴収票作成までにマイナンバーの提供を受ける必要があります。 なお、 給与所得者への源泉徴収票には、 個人番号は記載されません。

平成29年分以後の扶養控除等(異動)申告書等へのマイナンバーの記載不要の特例制度が創設されました。 既にマイナンバーの情報が提供されており、 その情報を記載した帳簿を備えているときには記載不要となりました。

(4) 給与所得控除額の上限額引下げ

給与収入1,200万円超から給与所得控除額は230万円が上限となりました。

 

  1. 年末調整の対象者

年末調整の対象者は、 原則として会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人は全員含まれます。 但し、 給与収入額が2千万円を超える人は年末調整を行ないませんので自身の確定申告を通じて年税額の精算をしなければなりません。 通常、 1カ所から給与支給を受けている人は、 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出し年末調整を受けることになります。

次の人は年末調整の対象者にはなりません。

(1) 年中の給与収入額が2千万円を超える人

(2) 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(年末調整を行うことができませんが、 支払の際の源泉徴収においては乙欄の税額表が適用となります)

(3) 年中に退職(死亡退職した人、 非居住者として国外勤務者となった人、 等を除く)した人

(4) 国内に住所も1年以上の居所を有していない人(非居住者)

(5) 災害免除法の規定により源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

(6) 日雇労働者等(丙欄の税額表適用者)

 

年末調整の為に提出が求められる申告書とその中に記載される控除項目は以下のとおりです。 当該控除項目以外に所得から控除可能な項目がある場合にはそれらの項目は確定申告で行うことになります。

申告書の名称 控除項目
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 配偶者控除、 扶養控除、 障害者控除、 寡婦(夫)控除、 勤労学生控除、 基礎控除
給与所得者の配偶者特別控除申告書 配偶者特別控除
給与所得者の保険料控除申告書 生命保険料控除(一般生命・介護医療・個人年金)、 地震保険料控除、 社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除(2年目から年末調整の対象で初年度は確定申告が必要)

申告書記載上の主な注意点は以下のものがあります。

() 1231日時点の現況で記載

その年の12月31日現在の現況を見積もりで記載することになります。 見積記載の内容に修正が生じた場合(例えば、 扶養者数の増減、 等)には、 再年末調整(翌年の1月末までは可能)又は確定申告により適正な精算を行うことになります。

 

() 人的控除項目の判定基準に合計所得金額基準

控除項目の中(控除対象配偶者、 控除対象扶養控除、 配偶者特別控除等の人的控除項目)には、 その控除に該当するかの判定基準にその年度の合計所得金額がありますので留意してください。 多い誤りとしては、 配偶者の合計所得金額が控除対象金額を超えているケースです。

配偶者控除の場合の合計所得金額は、 38万円以下(給与収入額では103万円以下)でなければなりません。 「配偶者」とは、 婚姻の届出をしている配偶者をいい、 内縁関係の人は含まれません。

配偶者特別控除の場合の合計所得金額は、 38万円超~76万円以下でなければなりません。

公的年金等の雑所得だけの方で控除対象扶養者(合計所得金額が38万円以下)になる場合には、 公的年金等の収入金額が158万円以下(年齢65歳未満の人は108万円以下)という条件を満たす人です。

 

「所得金額」として、 税法の規定のなかに「合計所得金額」、 「総所得金額」、 「総所得金額等」の3種類が適用判定基準の中に出てきますが、 それぞれ多少の違いがあります。

(1) 所得金額基準は主にどの適用範囲に出てきているか

所得金額 主な適用範囲
合計所得金額 l  扶養控除対象者: 合計所得金額が38万円以下

l  配偶者控除対象者: 合計所得金額が38万円以下

l  配偶者特別控除対象者: 合計所得金額が38万円超76万円未満、 並びに申告者本人の控除対象者: 合計所得金額が1,000万円以下

l  寡婦(寡夫)控除対象者: 合計所得金額が500万円以下

l  勤労学生控除対象者: 合計所得金額が65万円以下

l  住宅ローン控除対象者: 合計所得金額が3,000万円以下の年

l  居住用財産の買換えの譲渡損失の損益通算・繰越控除の適用対象者: 合計所得金額が3,000万円以下の年

l  特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除の適用対象者: 合計所得金額が3,000万円以下の年

l  市県民税均等割の非課税判定基準・市県民税の扶養親族や各種控除の判定基準

l  直系尊属から住宅取得等資金の受贈与者の非課税対象者: 合計所得金額が2,000万円以下

総所得金額  
総所得金額等 l  医療費控除限度額: 総所得金額等の5%

l  雑損控除限度額: 損失の金額 - 総所得金額等 X 10%

l  寄付金控除限度額: 総所得金額等 X 40% - 2,000円

l  寡婦となる要件: 扶養親族その他その人と生計を一にするその年分の総所得金額等が38万円以下の子がいる人

l  寡夫となる要件: 生計を一にするその年分の総所得金額等が38万円以下の子がいる人

l  市県民税所得割の非課税判定基準

(2) ①合計所得金額、 ②総所得金額、 ③総所得金額等の定義

左から右にみて所得の範囲等がそれぞれ異なっていることがお分りになるかと思います。

所得種類     各種繰越控除の適用(①から控除)
利子所得 所得金額の損益通算    

合計所得金額

* 純損失や雑損失の繰越控除

* 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除

* 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除

* 上場株式等の譲渡損失の繰越控除

* 特定中小会社発行株式の譲渡損失の繰越控除

* 先物取引の差金等決済損失の繰越控除

 

総所得金額

 

総所得金額等

配当所得  
不動産所得  
事業所得  
給与所得  
雑所得  
一時所得 2分の1
総合課税の譲渡所得 長期
短期  
分離課税(土地・建物等)の譲渡所得(特別控除適用前) 長期      
短期
分離課税の株式等の譲渡所得      
分離課税の先物取引の雑所得      
退職所得      
山林所得      

配偶者控除、 扶養者控除等の所得基準額は、 「総所得金額」より範囲が広い「合計所得金額」で判定することになり、 分離課税所得の発生年度には注意が必要となります。

 

() 年齢16歳未満の年少扶養親族

控除対象扶養控除に関して、 平成23年度から年齢16歳未満の年少扶養親族に対する扶養控除が所得税では廃止となっています(年齢16歳未満は所得税における扶養控除対象者ではありません)。 しかし、 住民税の方では控除対象となっていますので住民税に関する欄への記載を忘れないでください。 なお、 年齢16歳未満の年少扶養親族であっても、 障害者又は特別障害者に該当する場合には、 障害者控除を受けることはできます。

平成28年度の年末調整時における年齢16歳未満とは、 平成13年1月2日以後に生まれた人が年少者となります。

 

() 扶養親族

所得者と生計を一にする親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)で、 合計所得金額が38万円以下の人を扶養親族(配偶者、青色事業専従者及び白色事業専従者を除く)といいます。 その中には、 以下のように区分されています。

① 控除対象扶養親族

扶養親族のうち、 年齢16歳以上の人をいいます(平成28年度の年末調整では、 平成13年1月1日以前に生まれた人)。

② 特定扶養親族

扶養親族のうち、 年齢19歳以上23歳未満の人をいいます(平成28年度の年末調整では、 平成6年1月2日から平成10年1月1日までの間に生まれた人)。

③ 老人扶養親族

控除対象扶養親族のうち、 年齢70歳以上の人をいいます(平成28年度の年末調整では、 昭和22年1月1日以前に生まれた人)。

④ 同居老親等

老人扶養親族のうち、 所得者又はその配偶者の直系尊属でいずれかとの同居を常況としている人をいいます。

 

() 生命保険料控除の改組

平成24年(2012年)1月1日からの契約分(新契約)から一般生命保険に含まれていた「介護医療保険」が独立の控除対象となりました。 平成23年までの契約分(旧契約)については、 昨年までと同様に「一般生命保険」と「個人年金保険」の2つに分けられ最高控除額は、 各5万円です。 新契約は、 「一般生命保険」、 「介護医療保険」と「個人年金保険」の3つに分けられ最高控除額は、 各4万円となります。 なお、 旧契約と新契約が混在するケースも発生することもありますが、 各保険料控除の合計適用限度額が12万円とされています。 従いまして、 支払保険契約が、 旧契約か新契約かを保険会社からの証明書で確認しながら申請書に正しく記載する必要があります。

生命保険契約等により支払われた保険料や掛金は所得者本人が支払ったものに限られています。 又、 保険金、 共済金等の給付金の受取人の全てが所得者本人又は所得者の配偶者や親族となっていることが必要です。

翌年以後に払込期日が到来する保険料を一括して前納保険料がある場合には、 本年中に相当する部分のみが支払保険料の金額となります。

 

() 社会保険料控除

所得者本人と生計を一にする親族が負担することになっている社会保険料を所得者自身が支払った場合(時限措置により納付可能となった過去分の保険料の支払分も含む)には、 所得者本人の社会保険料として控除できます。

年金から特別徴収された介護保険料や後期高齢者医療保険料については、 支払者が年金受給者自身となることから、 その年金の受給者の社会保険料として控除となります。

翌年以後に払込期日が到来する保険料を一括して前納保険料がある場合には、 前納期間が1年以内の場合には、 その全額を本年の社会保険料として控除することができます。 なお、 国民年金保険料については、 2年分を前納できることになりましたので、 全額控除をするか、 又は期間按分して控除(この場合には、 按分の明細書が要作成)する方法のいずれかを選択することが可能です。

 

() 地震保険料控除

所得者本人と生計を一にする親族が所有して常時居住している家屋や生活に通常必要な家財に対して支払った保険料の内、 一定の金額を地震保険料控除として控除できます。

一つの契約等で、 地震等損害に対する損害保険契約と旧長期損害保険契約のいずれの契約区分にも該当する場合には、 選択によりいずれか一方の契約区分のみが地震保険料控除の控除額となります(有利な方を選択する)。

 

() (特定増改築等)住宅借入金等特別控除

現在、 各種の住宅借入金等特別控除がありますが、 控除を受けようとする初年度分については、 確定申告により控除の適用を受ける必要があります。 2年度以降分については、 年末調整の際に下記のものを給与支払者に提出します。

① 税務署長が発行した「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」。 この証明書の上部に「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」がありますので、 控除金額等の記載を行い提出します。

② 金融機関等が発行した「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

一般の住宅借入金等特別控除は、 居住者が一定の要件を満たす住宅の取得等して、 その人の居住の用に供した場合(その家屋の取得等の日から6ケ月以内に居住用に供したものに限られています)において、 その住宅の取得等のために一定の住宅借入金(償還期間10年以上等)を有するときには、 居住年以後10年間(平成13年7月1日から平成29年12月31日までの間で居住した場合には、 最長10年間。 それ以前のもは最長15年間)の各年のうち、 合計所得金額が3千万円以下である年について、 住宅借入金等の年末残高を基にした所定額を住宅借入金等特別控除としてその年の所得税額から控除できるというものです。

家屋に入居後、 本年12月31日まで継続して居住用に供していることが控除の適用要件ですので、 年度の途中で海外勤務となり出国している場合には、 この制度の適用はありません。

自己の居住用の家屋が2以上有する場合には、 主として居住用とする1の家屋に限られます。

連帯債務(共有)の場合には、 各年12月31日現在のその住宅借入金等の金額に控除を受ける人の負担割合(持分割合)を加味して控除額を計算します。 その割合は、 小数点以下第4位を切上げ、 90%以上である場合は100%とします。

住宅ローンの借換え: この制度の適用者が、 住宅借入金等の借換えをした場合に一定の要件を満たすときには適用が継続します。 住宅ローン金利が低くいものがあるとローンの借換えを行う場合があります。 一般の住宅ローンの場合の借換えでは、 新たな借入金が当初の借入金を消滅させるもので、 適用対象となっていた家屋の取得等のための資金に充てるものであれば住宅ローン控除の継続適用の対象となります。 その場合の新たな借入金の償還期間も10年以上であることが適用要件となっています。 ローン借換後の借入額が借換前の借入残高以下であれば、 年末借入残高が控除対象額となりますが、 逆に借換後の借入額が借換直前の借入残高を上回る場合、 次の按分計算して控除対象額を導く必要があります。

ローン借換後の借入額の年末残高 X (借換直前の借入残高 ÷ 借換直後の借入額) = 控除対象借入額の年末残高

 

() 給与と徴収税額の集計

年中に支払った給与・賞与が対象になりますが、 本年分の給与で未払いであっても、 本年中に支給日が到来して支払の確定したものについても年末調整の対象になります。

 

以上が年末調整の概要となります。

 

2016年11月20日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant