厚生労働省は働く高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直す。今は65歳以上で47万円(厚生年金の受給額と社会保険料の標準月額報酬額との合計金額)を超える月収がある人は年金が減る(超過金額の50%が減額)が、月収を62万円に引き上げて対象者を減らす案を軸に議論する。60歳を超えても働く高齢者が増える中、年金が減る仕組みは就業意欲をそぐとの批判がある。
10月 2019のアーカイブ
消費税率10%引上後の住宅取得等資金贈与及び住宅ローン控除
2019年10月1日より消費税率が8%から10%に引上げられましたが、個人消費が落ち込まない様に各種の政策が図られています。その中で、特に金額が高額となり影響が大きな住宅取得等にどの様な製作があるか確認してみたいと思います。
1. 直近尊属から住宅取得等資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
特定受贈者(贈与年の1月1日現在20歳以上で合計所得金額2,000万円以下の者)が、 その直系尊属(親、祖父母等)から受ける居住用家屋の新築・取得・増改築等用に住宅取得等資金の贈与については、非課税限度額が定められています。
① 住宅用家屋の取得価額に消費税率10%の消費税等が含まれている場合 (消費税率10%で契約した者):契約締結時期で贈与額の非課税限度額が確定
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 | 良質な住宅用家屋(省エネ等住宅) | 左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅) |
---|---|---|
平成31年4月~令和2年3月 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月~令和3年3月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月~平令和3年12月 | 1,200万円 | 700万円 |
なお、 東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 以下のようになります。 平成31年4月~令和2年3月 令和2年4月~令和3年12月 | 3,000万円 1,500万円 | 2,5000万円 1,000万円 |
② 上記(1)以外の場合 (消費税率8%で契約した者や個人間売買で中古住宅売買契約した者)
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 | 良質な住宅用家屋(省エネ等住宅) | 左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅) |
---|---|---|
平成28年1月~令和2年3月 | 1,200万円 | 700万円 |
令和2年4月~令和3年3月 | 1,000万円 | 500万円 |
令和3年4月~令和3年12月 | 800万円 | 300万円 |
なお、 東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 以下のようになります。 平成26年度申告対象分~令和3年12月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
上記の「良質な住宅用家屋」とは、断熱等性能等級4、 又は耐震等級2以上若しくは免震建築物に該当する住宅用家屋のことであり、 所定の証明書が必要となります。
① 「良質な住宅用家屋」の範囲に、 一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋及び高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋も含まれます。
② 適用対象となる増改築の範囲に、 一定の省エネ改修工事、 バリアフリー改修工事及び給排水菅又は雨水の侵入を防止する部分に係る工事が加えられています。
更に、以下の適用要件があります。
① 住宅取得等資金であること
住宅取得等資金とは、住宅の新築、取得または増改築等に充てるための金銭をいいます。尚、住宅の新築に先行して、その敷地用の土地等を取得する場合における取得資金もこの制度の適用対象となっています。金銭の贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、原則として居住することが必要となっていますが、その後に遅滞なく(同年の12月31日までに居住できなかったときには、この非課税制度は認められなく、同日から2ヶ月以内に修正申告をしなければなりません)、居住することが確実に見込まれる場合であれば特定受贈者は所定の計算明細書等を添付して贈与税の申告期限内に提出すれば、この非課税制度の適用を受けることができます。
② 受贈者の非課税の適用要件:
(イ) 贈与時に日本国内に住所がある、 或いは日本国内に住所が無いものの日本国籍を有し、 かつ、 受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所があったことがある。
(ロ) 贈与時に贈与者の直系卑属(子や孫等)である。
(ハ) 贈与時の1月1日現在で20歳以上である。
(ニ) 贈与年の合計所得額が2,000万円以下である。
③ 住宅の新築・取得の適用要件:
日本国内にある家屋で、 受贈者が主として居住用に使用するものであり、 次の要件を満たす必要があります(土地だけの取得では不可)。
(イ) 適用対象となる住宅用家屋の床面積が50㎡以上で240㎡以下(区分所有の場合には、 その区分所有部分)。 なお、東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 240㎡以下の床面積制限無し。
(ロ) 中古家屋の場合には、 耐火建築物であれば築25年以内 、耐火建築物以外では築20年以内のものであること。 但し、 地震に対する安全基準に適合するものには、 この建築年数制限は無し。
適用対象となる既存住宅用家屋の範囲に、 地震の耐震性に適合しない既存住宅を取得した場合でも、 当該取得日までに耐震改修工事の申請等をし、 かつ、 居住日(贈与日の翌年3月15日)までに耐震改修工事が完了しているという等の一定の要件を満たす家屋も対象となります。
(ハ) 床面積の2分の1以上が専ら居住用に使用されていること。
④ 住宅の増改築等の適用要件:
日本国内にある家屋で、 次の一定の増改築であることが必要です。
(イ) 工事代金が100万円以上で、 かつ、 居住用の工事費が全体の2分の1以上であること。
(ロ) 増改築等の家屋の床面積の2分の1以上が専ら居住用に使用されていること。
(ハ) 増改築等の家屋の床面積が50㎡以上(区分所有の場合には、 その区分所有部分)。
(ニ) 適用対象となる増改築等の範囲に、 一定の省エネ改修工事、 バリアフリー改修工事及び給排水菅又は雨水の侵入を防止する部分に係る工事が加えられています。
⑤ その他の適用要件:
(イ) 受贈者の一定の親族等の特別な関係者との請負契約等により新築若しくは増改築等をする場合、 又はこれらの特別な関係者から取得する場合には、 この特例の適用を受けることはできません。
(ロ) 贈与税の申告期限内に申告する必要があります。
⑥ 相続開始前3年以内贈与の相続財産への加算措置の対象外
この非課税適用において、居住時期以外にも次の点に関し、留意すべきです。
住宅新築(一戸建て)の時期
新築は、資金贈与日の翌年の3月15日までに行わなければなりません。同日までに屋根(その骨組を含む)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以降の状態が必要となります。
住宅取得(マンション)の時期
売主から住宅の引渡し(通常は鍵の引渡し、 又は少なくとも残代金の支払完了、等)を翌年の3月15日までに受ける必要があります。従って、売買契約の締結等の状態では不十分です。
住宅の新築、取得または増改築等の取引の相手先
受贈者の一定の親族等特別な関係者との契約に基づくものは適用対象外となります。
居住用の不動産の贈与
父から居住用の不動産の贈与を受けても、 この非課税制度は家屋に関し金銭による贈与に限定されていますので適用対象外です。
尚、消費税率10%適用となる住宅取得等資金の非課税は、下記の特例と併用が可能です(優良住宅のケース)。
① 歴年課税の基礎控除
令和元年度:110万円(基礎)+ 3,000万円 = 3,110万円の非課税
② 相続時精算課税の特別控除
平令元年度:2,500万円(特別)+3,000万円 = 5,500万円の非課税
(3) 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税選択の特例(措法70の3)
住宅取得等資金の贈与を受ける場合に限り、 相続時精算課税制度を選択される時には、 贈与者の年齢制限の適用要件が外れるという特例規定があります(相続時精算課税選択の特例)。 なお、 対象住宅の床面積が50㎡以上であればよく上限条件は付されていません。
相続時精算課税制度 | 相続時精算課税選択の特例 | ||
---|---|---|---|
特別控除 | 2,500万円 | ||
年齢要件 | 贈与者 | 60歳以上の親 | 親(年齢制限無し) |
受贈者 | 20歳以上の子及び孫) | ||
適用期間 | 平成15年1月1日以降(期間制限無し) | 平成15年1月1日から 令和3年12月31日まで |
令和4年4月1日以後の贈与における適用年齢を18歳(現行:20歳)に引下げられます。
2.住宅借入金等の特例特別控除(住宅ローン控除)の創設
消費税率10%が適用される住宅取得等(新築、中古、増改築等)をして、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住に供された場合に、住宅ローン控除として従来の10年目の適用期間を3年延長され、適用年の11年目から13年目までの各年の控除額については、以下の①又は②のいずれか少ない金額とされます(適用年の1年目から10年目までは現行と同様)。
(1)一般住宅
① 住宅借入金等の年末残高(4千万円を限度)× 1%
② (住宅取得等の対価金額 - 対価金額に含まれる消費税額等){4千万円を限度}× 2% ÷ 3
(2)認定長期優良住宅
① 住宅借入金等の年末残高(5千万円を限度)× 1%
② (住宅取得等の対価金額 - 対価金額に含まれる消費税額等){5千万円を限度}× 2% ÷ 3
(3)東日本大震災の被災者等
① 住宅借入金等の年末残高(5千万円を限度)× 1.2%
②(住宅取得等の対価金額 - 対価金額に含まれる消費税額等){5千万円を限度}× 2% ÷ 3
*:居住と非居住に供する部分がある場合には、居住に占める床面積割合が控除対象となります。
*:住宅取得等に関し、補助金等の交付金や直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、上記の計算においては、その交付金や贈与額を取得金額から控除する必要はありません。
*:2以上の住宅取得等の場合には、調整計算が必要となります。
参考:現行の住宅ローン控除(当初10年間)
居住年 | 一般住宅(注1) | 認定長期優良住宅 (注1) | ||||
借入金等の年末 残高の限度額 | 控除率 | 各年の控除限度額 | 借入金等の年末 残高の限度額 | 控除率 | 各年の控除 限度額 |
|
26年4月~令和3年12月(注2) | 4千万円 | 1.0% | 40万円 | 5千万円 | 1.0% | 50万円 |
(注1):認定住宅とは、 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいい、 それ以外を一般住宅といいます。
(注2): 消費税等の税率が8%又は10%になった場合での金額であり、 それ以外の場合(経過措置の適用で旧税率が適用になっている場合や個人間の売買契約による場合も含む)には平成26年1月~3月の適用と同じになります。
なお、 住宅を取得・居住した年に勤務先から転任の命令等やむを得ない事由により転居した場合における再居住の特例として、 居住年に一時転居しその年の12月31日までの間に再び居住した場合には、 継続居住とみなされ当該税額控除の適用対象となります。
東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等特別税額控除:
東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合に令和3年12月31日までは、 再建住宅を取得等した場合の再建住宅借入金等に対して以下のようになります。
居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 各年の控除限度額 |
---|---|---|---|
平成26年4月~令和3年12月 | 5,000万円 | 1.2% | 60万円 |
なお、住宅取得等に関し、補助金等の交付金や直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、その交付金や贈与額を取得金額から控除する必要があります(控除後で、限度額計算を行う)。
3.すまい給付金(2021年12月まで)
居住用住宅を取得等した場合に、年収が一定金額以下の人に対して所定の現金を支給する制度が、すまい給付金です。今回、支給対象者の年収を510万円以下から775万円に引下げ、給付額を最大30万円から50万円に上げられました。なお、対象者は住宅ローンの利用者が原則ですが、50歳以上で、かつ、年収が650万円以下であれば住宅ローンの利用は要求されません。
企業年金、70歳まで加入 確定拠出期間を延長 厚労省方針
厚生労働省は企業で働く人が加入できる企業型確定拠出年金について、今は60歳までとなっている掛け金の拠出期間を70歳まで延ばす方針だ。
既に、厚生年金と確定給付企業年金(DB)の拠出期間は70歳まで延びているので、企業型確定拠出年金(DC)も70歳までと統一することになる。又、個人型確定拠出年金(イデコ)への加入期間も現行の60歳から65歳にまで延ばす方針とのこと。
国税、海外資産の監視強化 報告義務化5年
国税当局が富裕層の海外資産への監視を強めている。海外資産の報告が義務付けられ、2019年で5年。「国外財産調書」の提出を怠ったとして、5月末には男性会社役員が国外送金等調書法違反容疑で初めて刑事告発された。国外財産調書の提出を怠るケースはいまだに多いとみられ、国税当局は各国と金融口座の情報を交換する新制度(CRS)も活用しながら、適正な申告を促す。
消費税 きょうから10% 社会保障負担 全世代で
1日午前0時、消費税率が8%から10%に上がる。今回の増税により、高齢化で増える社会保障の費用を社会全体で負担する改革が一歩前進する。