2020年度税制改正大綱:所得税、贈与税・相続税

2020年(令和2年)12月12日に自民、公明党両党は2020年度(令和2年度)の与党税制改正大綱を発表しました。以下は、その改正大綱の概要(所得税、贈与税・相続税)となります。

個人所得課税
1.NISAの延長及び新NISAの創設
非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(少額投資非課税制度)では、居住者等が、 非課税口座を開設した年の1月1日以後、 投資可能期間になされた一定の適用要件を満たす少額上場株式等からの配当等及び譲渡益等に対しては、 非課税とされるものです。
(1)積立NISA(低リスクの投資信託等に投資対象を限定)の勘定設定期間を2042年(令和24年)12月31日まで5年延長する。
(2)ジュニアNISAは延長せずに2023年(令和5年)12月31日で終了とする。なお、2024年(令和6年)1月1日以後は、課税未成年者口座及び未成年者口座内の上場株式等及び金銭の全額について源泉徴収を行わずに払い出すことができます。
(3)現行の一般NISAは2023年(令和5年)12月31日での終了に合わせて、特定非課税累積投資契約(仮称)による新NISAを創設し、現行の積立NISAとの選択適用となります。

 現行(一般NISA)新NISA
非課税可能期間2023年(令和5年)12月末まで2024年(令和6年)1月~2028年(令和10年)12月末まで
非課税年間投資上限額
(譲渡益や配当等の運用益に対し非課税措置)
非課税管理勘定:120万円①特定累積投資勘定:20万円
②特定非課税管理勘定:102万円
非課税期間投資年から最長5年間投資年から最長5年間
非課税の投資可能商品上場株式、公募株式投資信託、ETF,REIT等2階建ての制度として:
①1階(低リスクの投資信託等に投資対象を限定した積立枠);特定累積投資勘定:特定の公募等株式投資信託
②2階(従来通り上場株式等にも投資できる枠);特定非課税管理勘定:上場株式等
原則として、①1階に投資した場合のみ、②2階にも投資が可能となり、例外として、上場株式のみへの投資の場合には、①1階の投資せずに②2階への投資が可能となります。

2.暗号資産デリバティブに係る雑所得等の取扱い
(1)先物取引に係る雑所得等の課税特例及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用対象から、暗号資産デリバティブに係る雑所得等は除外となります。
(2)2021年(令和3年)分より、金融商品取引業者等は、年間の暗号資産デリバティブ取引の差金等決済金額の支払調書を、翌年1月末までに税務署長に提出する必要があります。

3.低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設
個人が、都市計画区域内にある低未利用土地又はその上の権利を譲渡した場合に、一定の適用要件を満たすときには、その譲渡に係る長期譲渡所得から特別控除として100万円を控除することができます。その適用要件は、以下のとおりです。

市区町村長の承認



低未利用土地等であること及び譲渡後の低未利用土地等の利用について承認がされていること
所有期間譲渡年の1月1日現在で5年超であること
適用外となる譲渡の相手方買手が、売主個人の配偶者、その他の売主と一定の特別な関係がある者であれば適用外
譲渡対価その土地の上にある建物等を含めて譲渡金額が500万円以下であること
継続適用の制限前年又は前々年に当該制度の適用を受けていないこと
適用時期以下のいずれか遅い日から2022年(令和4年)12月31日までの間の譲渡に適用:
①土地基本法等の一部を改正する法律の施行日
②2020年(令和2年)7月1日

4.土地・住宅税制の適用期限延長等

項目期限
短期所有土地の譲渡等の土地譲渡等に係る事業所得等の課税特例適用停止措置の期限を3年延長
特定の居住用財産の買換え及び交換の長期譲渡所得の課税特例の適用期限2年延長
居住用財産の買換等の譲渡損失の繰越控除等の適用期限2年延長
特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の適用期限2年延長
優良住宅の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例について、一部適用対象変更の上、適用期限を延長する3年延長

5.配偶者居住権及び配偶者敷地利用権に係る譲渡所得の取扱い
(1)配偶者居住権及び配偶者敷地利用権の消滅等により対価を得た場合の課税の取扱い
合意解除や放棄により権利が消滅等し、配偶者が対価を取得した場合は、譲渡所得課税となるが、その際の取得費は以下の様に計算します。
  居住建物等の取得費(減価償却後)× 配偶者居住権等割合(注1)- 設定から消滅等までの期間に係る減価の額 = 取得費
(注1):設定時における配偶者居住権等の価額相当額 ÷ 設定時における居住建物等の価額相当額
(2)配偶者居住権及び配偶者敷地利用権の消滅前に居住用建物等を譲渡した場合の取得費の計算方法
相続人が相続により取得した居住建物等(配偶者居住権の目的となっている建物又はその建物の敷地となっている土地等)を、配偶者居住権及び配偶者敷地利用権の消滅前に居住用建物等を譲渡した場合の、譲渡所得の計算上控除する際の取得費は以下の様に計算します。
居住建物等の取得費(減価償却後)- 配偶者居住権等の取得費(注2) = 取得費 
(注2):設定日から譲渡日までの期間に係る減価の額を控除した金額

6.国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の創設
(1)個人が、2021年(令和3年)以降の各年において、「国外中古建物」を賃貸し不動産所得を有する場合に、その国外不動産所得の損失金額が生じるときは、その国外中古建物の減価償却費の相当部分の金額は、生じなかったものと見做すことになります。
「国外中古建物」とは、建物の減価償却費の計算にあたり、その対象年数の算定が「簡便法」又は「適正であることを証する一定の書類の添付がない見積法」をより行われているものとなります。
(2)上記の適用を受けた国外中古建物を譲渡した場合の、譲渡所得の金額の計算上、その取得費から、生じなかったと見做された償却費相当額部分は控除しないことになります。

7.未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し
(1)未婚のひとり親に対する税制上の措置(適用は2020年(令和2年)分以後)
居住者が未婚のひとり親(寡婦(寡夫)を除く)が、次の適用要件を満たす場合には、35万円控除が認められます。
① 未婚のひとり親と生計を一にする子の総所得金額等の金額が48万円以下であること
② 未婚のひとり親の合計所得金額が500万円(年収678万円)以下であること
③ 未婚のひとり親が入籍しない事実婚の世帯であっても住民票に事実婚の旨を登録記載されていないこと
(2)寡婦(寡夫)控除の見直し
① 寡婦控除の要件に新たに寡夫控除と同様に所得要件として、合計所得金額が500万円(年収678万円)以下であることを加える
② 寡婦(寡夫)の要件に住民票に事実婚の旨を登録記載されていないことを加える
③ 子ありの寡夫の控除額(現行所得税27万円)について、子ありの寡婦と同様に同額の35万円とする

8.国外居住親族に係る扶養控除等の見直し(適用は2023年(令和5年)分以降)
扶養控除の対象者から日本国外に居住する親族のうち、30歳以上70歳未満の者が除外となります。但し、下記のいずれかに該当する者は適用対象のままです(明らかにする書類が必要)。

扶養控除の対象者提出又は提示が必要な書類
留学により非居住者となった者公的な在留者であることを証する書類
障害者
居住者から年間38万円以上の生活費又は教育費の支給を受けている者送金関係書類等で38万円以上であることを明らかにする書類

9.確定拠出年金制度の見直し

改正項目対象制度改正前改正後
加入年齢の見直し企業型DC厚生年金被保険者の65歳未満厚生年金被保険者の70歳未満
個人型のDC(iDeCo)及び農業者年金制度国民年金被保険者の60歳未満国民年金被保険者の65歳未満
受給開始時期の選択肢の拡大企業型DC・個人型DC(iDeCo)60歳~70歳の間で選択70歳以降も選択可
DB60歳~65歳の間で選択60歳~70歳の間で選択

10.相続国外財産に係る相続直後の国外財産調書等への記載の柔軟化
相続開始の日に属する年度の12月31日に有する国外財産調書については、その相続又は遺贈により取得した国外財産を記載しないで提出することができるようになります。この場合の提出義務の判定には、その相続国外財産の価額を除外して行うことになります(国外財産調書における相続財産についても同様となります)。
改正は、2020年(令和2年)分以後の国外財産調書又は国外財産調書について適用となります。

11.居住用財産の譲渡特例を適用した場合における住宅ローン控除適用の見直し
新規住宅の居住年から3年目に新規住宅及びその敷地の土地等以外の資産の譲渡(従前住宅を譲渡)した場合において、その従前住宅を譲渡に対して、下記の譲渡特例の適用を受けるときには、新規住宅について住宅ローン控除の適用ができないことになります。
① 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例
② 居住用財産の譲渡所得の特別控除
③ 特定の居住用財産等の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税特例
改正は、2020年(令和2年)4月1日以後に従前住宅等を譲渡する場合に適用となります。

以上

贈与税・相続税(資産課税)
1.所有者不明土地等に係る課税上の措置
(1)現に所有している者の申告の制度化(2020年(令和2年)4月1日以後の条例の施行日以後から適用)
登記簿上の所有者が死亡している場合、市町村長は条例によりその土地又は家屋を現に所有している者に対して固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができることになります。罰則も設けることになっています。
(2)使用者を所有者とみなす制度の拡大(2021年(令和3年)度以後の年度分の固定資産税から適用)
市町村は、一定の調査を尽くしてもなお固定資産の.所有者が一人も明らかとならない場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その使用者に固定資産税を課すことができることになります。

2.住宅用家屋の所有権移転等における登録免許税
登録免許税の軽減税率の適用措置を2年延長する。

3.不動産譲渡に関する契約書等に係る印紙税
印紙税の税率特例措置の適用措置を2年延長する。

4.医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限延長
適用期限が3年延長となります。

以上

2019年12月31日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

税制改正大綱 新産業育成へ投資減税

自民、公明両党は12日、2020年度税制改正大綱を決めた。当該大綱のポイントは以下の通り。

資産作り確定拠出年金で企業型は70歳、個人型は65歳まで掛金の拠出可能へ
NISAを2024年に2階建ての新制度へ。
積立NISAは期間延長
ネットで少額出資しやすく、エンジェル税制を拡充
未婚のひとり親年収678万円以下を対象に35万円を所得控除
富裕層5千万円超の海外資産を持つ富裕層の資産把握を厳しく
新興企業大企業からスタートアップへの1憶円以上の出資に税優遇
連結納税グループ各社が別々に申告・納税する仕組みに。研究開発費の優遇枠はグループ間で共有
大企業資本金100憶円超の大企業は飲食費の損金算入ができなくなる
資本取引を通じて意図的に赤字を出す節税策に対策
5G網の整備を支援。投資額の15%を税額控除。2020年度から2年間の時限措置
2019年12月13日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

償却資産の申告(固定資産税): 申告書提出期限1月末

1. 固定資産税とは
固定資産税とは、1月1日現在で国内に土地、家屋又は償却資産(事業用資産)の固定資産を所有している者に対し、当該固定資産の評価額を基に算定された税額を資産の所在する市区町村(東京23区内は特例で区でなく都が課税)が課する地方税をいいます。
課税対象のうち、土地と家屋については登記簿等で市区町村では実在を確認できることになりますが、償却資産は毎年1月1日に所有しているものを自己申告を通じて、固定資産(償却資産)課税台帳に登録され課税されることになります。

2. 固定資産税(土地・家屋)
土地と家屋については、登記事項のため市区町村は、その登記簿等に基づいて固定資産税を計算し、1月1日現在の所有者に納税通知書と同時に課税明細書が5月末前後に送られてきますので、当所有者は申告等の手続の必要はありません。
税率はいずれも1.4%であり、土地は課税標準額に、家屋は課税台帳に登録されている価格に掛けて税額が算定されます。なお、市区町村内に所有する固定資産の課税標準額が、土地30万円、家屋20万円未満の場合には、固定資産税は課税されません。
納期は年4回(6月、9月、12月、2月:市区町村によっては1ヶ月早まるところもあります)です。土地とは、田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野等です。家屋とは、住宅、店舗、工場、倉庫等です。

3. 固定資産税(償却資産)
償却資産とは、土地と家屋以外の事業用に供している減価償却対象資産のものをいいます。1月1日現在で償却資産を事業用に使用している所有者(法人や個人事業者)は、所定の申告書を作成し、1月31日までに償却資産の所在する市区町村ごとに提出しなければなりません。課税対象が償却資産に対する税金ということで償却資産税とも言われています。

(1)償却資産の対象(課税資産)
法人や個人で事業を行っている方で事業のために使用している減価償却の対象資産のうち、その取得価額が一定金額以上のものについては、償却資産となります。具体的には、以下のようなものが償却資産となっています。

① 構築物
舗装路面、庭園、門・塀・緑化施設等の外構工事、看板(広告塔等)、ゴルフ練習場設備等、並びに建物付属設備(受変電設備、予備電源設備、その他建築設備、内装・内部造作等)
② 機械及び装置
各種製造設備等の機器及び装置、クレーン等建設機械、機械式駐車設備等
③ 船舶
ボート、釣船、漁船、遊覧船等
④ 航空機
飛行機、ヘリコプター、グライダー等
⑤ 車両及び運搬具
大型特殊自動車、構内運搬車,貨車、客車等
⑥ 工具、器具及び備品
パソコン、陳列ケース、看板(ネオンサイン)、医療機器、測定工具、金型、理容及び美容機器、ルームエアコン、自動販売機等

以下の資産も償却資産として申告の対象になります。
・ 建設仮勘定で処理されている資産、簿外資産及び償却済資産であっても、1月1日現在で事業用に供することができる場合
・ 遊休又は未稼働の資産であっても、1月1日現在で事業用に供することが出来る状態にある場合
・ 耐用年数が1年未満又は取得価額が10万円未満の資産であっても、有形固定資産として計上し、減価償却している場合
・ 青色申告の中小企業法人・個人事業者については、取得価額が30万円未満の資産を一時に損金算入する処理(少額資産償却特例)がなされていても、この特例は国税(法人税・所得税)に関する制度であり、この地方税の固定資産税には適用されません。従って、この資産は固定資産税の申告対象となります。
その他、 所有権が留保されている資産(賃貸資産、 等)

(2)償却資産の非課税資産
償却資産の対象とならないものは、次のとおりです
(1) 土地や建物(いずれも登記対象資産であることから、 所有者を把握できますので敢えて償却資産として申告の対象にしていません)
(2) 自動車税・軽自動車税の課税対象(2重課税の排除)
(3) 無形固定資産(特許権、 営業権、 ソフトウェア等)
(4) 繰延資産
(5) 生物(観賞用、 興行用その他これらに準ずる生物は除く)
(6) 金額的に少額資産と言われる下記の資産:
① 取得価額が10万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたもの
② 取得価額が10万円以上20万円未満の資産で、 税務上、 3年間で一括償却しているもの
注1: 租税特別措置法の規定により、 一定の中小企業に対する特例を適用して、 取得価額が30万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたものでも、償却資産の申告対象になっています。
注2: 上記以外の資産で企業や個人で事業を行なっている方が事業のために用いることができる資産、 即ち、 構築物、 機械及び装置、 船舶、 航空機、車両及び運搬具、 工具・器具及び備品で有形減価償却資産が対象となります。 次のものも償却資産の対象となります。
(1) 建設仮勘定で計上されている資産、 簿外資産及び償却済資産であっても事業用に供することができるもの
(2) 遊休又は未稼働のものであっても事業用に供することができるもの
(3) 改良費(資本的支出)
(4) 家屋に施した建築設備・造作等のうち、 償却資産として取り扱うもの
建築設備における家屋(建物・建物附属設備)と償却資産とを区分して評価することになります。 家屋と設備の所有者が同一の場合に、 償却資産として取り扱うものは次の要件を満たすものです。
① 構造的に家屋と一体的でないもの (野外給水塔、 独立煙突等)
② 家屋から独立した機械及び装置として性格の強いもの (受・変電設備)
③ 特定の生産又は業務に使用されるもの (動力用配線設備等)
④ 単に移動を防止する程度に家屋に取り付けられたもの (ルームエアコン等)
⑤ 顧客の求めに応ずるサ-ビス設備

(4)固定資産税額等の算出方法(資産が所在する所轄の市区町村ごとに行ない、 申告書を作成します)
(1) 評価価額の算出方法
① 取得初年度
評価価額 = 取得価額 X 耐用年数に応ずる減価率 X 1/2(50%)
② 取得後2年目以降
評価価額 = 前年度の評価価額 X 耐用年数に応ずる減価率
(2) 固定資産税額の算出方法
① 課税標準額の集計(1,000円未満切捨て)
各資産の評価価額を集計(合算)した額が課税標準額(決定価格となります)です。
課税標準額が150万円未満の場合には、 固定資産税は課税されません。
② 税額の計算
固定資産税額(100円未満切捨て) = 課税標準額(1,000円未満切捨て) X 税率(1.4%)

(5)償却資産の申告
所定の償却資産申告書、 種類別明細書、 等の書類を資産の所在する市区町村ごとに作成し、 1月末までに提出(申告)することになります。 申告方式には、 以下の2方法がありますが、通常は一般方式を採用しています。
その方式とは、 前年中(申告対象年度)に増加又は減少した資産内容を申告するのみで、 評価額、 税額等は所管事務所で行う方式です。
注1: 前年中に増加又は減少した資産が無い場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「増減なし」等を付記します。
注2: 事業を行なっていますが、 対象償却資産を所有されていない場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「該当資産なし」を付記します。

以上

2019年12月10日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

年金改革 支え手拡大重点

政府が検討を進めてきた公的年金制度の改革案が5日、固まった。中小企業で働くパート労働者も厚生年金への加入を義務付けるほか、75歳から受け取り始めると月あたりの年金額を最大84%増やせる仕組みに変える。
1.厚生年金のパート適用拡大
厚生年金の対象となる企業規模の要件を、従業員501人以上から51人に引き下げる。
①2022年10月に従業員501人以上から101人以上の企業に対象を拡大
②2024年10月には51人以上に対象を拡大
2.厚生年金の受給開始年齢の拡大
今は原則65歳が受給開始年齢で、60歳~70歳の間で選べる年金の受給開始年齢を60歳~75歳まで延ばす。
3.在職老齢年金の見直し
働く高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金」を見直し、働く60歳~64歳の厚生年金の一部を停止(減額)する基準額を厚生年金と賃金の合計が月28万円から47万円に引き上げる。

2019年12月6日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

働く高齢者 年金減額基準 65歳以上据え置き 月収47万円超

政府・与党は25日、働いて一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金制度」について、65歳以上の人が対象となる場合の月収の基準を「47万円超」に据え置く方針を固めた。60~64歳は現行の28万円超から47万円超に引上げる。

2019年11月26日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

土地の相続登記、義務化 所有者不明で対策 法制審原案

法務省の法制審議会が年内にまとめる所有者不明土地対策の原案が分かった。不動産を相続する人が誰なのかはっきりさせるため、被相続人が亡くなった際に相続登記の申請を義務付ける。手続きを簡素化する代わりに、一定期間のうちに登記しなければ罰則を設けることを検討する。
(1)相続登記の義務化
一定期間内に登記しなければ罰則を科す。
(2)相続登記申請手続の簡素化
被相続人の死亡証明の書類があり、自分が相続人の1人だと証明できれば相続人全員がそろわなくても簡易的に登記可能とする。
(3)遺産分割協議の期限設定
遺産分割協議の期限が、相続開始から10年と定め、協議や申立てがなければ法定相続分に従って分割することを可能とする。
(4)土地所有権の放棄の容認
所有を巡って争いがなく起こっておらず、管理も容易にできることを条件に、所有権の放棄を可能とする。放棄された土地はいったん国に帰属され、地方自治体が希望すれば取得できる仕組みを検討する。

2019年11月26日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

「路線価」否定判決に波紋 相続財産の算定評価基準

「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」とした東京地裁判決が波紋を広げている。国税庁は路線価などを相続税の算定基準としているが、「路線価の約4倍」とする国税当局の主張を裁判所が認めたからだ。路線価は取引価格の8割のため節税対策として不動産を購入する人もいる。だが相続税の基準となる路線価と、取引価格に大きな差があれば注意が必要だ。
購入から相続までの期間が短く、かつ、購入価格と路線価に大きな開きがある場合に、「時価」評価額の考え方に乖離問題が生じるということです。

2019年11月19日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

土地売却 一部所有者でも 活用推進へ法整備

国土交通省と法務省は所有者の全容が分からない土地について、一部の所有者によって売却や賃貸できる仕組みをつくる。所有者の所在が分からない「所有者不明土地」を対象とする。
売却の場合は共有者が不明所有者の持ち分について金銭を法務局に供託することで土地を取得し、共有関係を解消できるようにする。土地の賃貸や盛り土などの整備については、不明となっている人以外の残りの所有者の承諾で可能にする。手続きとして、不明者を突き止めるための必要な探索をすることを条件とし、他の所有者が異議を申し立てることができるように、広告することも前提となる。

2019年11月18日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

年末調整の概要

1. 年末調整とは
毎年11月となりますと会社(給与支払者)の給与担当部署は、 「年末調整」の準備・対応という大変忙しい時期を迎え、 勤務者(従業員)はその年末調整の為に必要となる申告書や証明書類等を所定の期限までに会社に提出することが求められます。 会社は、 勤務者から回収した年末調整用の書類の内容を確認しその最終提出情報に基づいて、 暦年の最終給与支払時(通常、 12月給与)に納めるべき年間の所得税及び復興特別所得税(年調年税額)を算出し、 これまでの給与支給時に源泉徴収された累計年税額とを比べその差額となる過不足額を精算(徴収又は還付)します。 その一連の精算手続が年末調整ということになります。 通常、 年末調整により還付されるケースが多いかと思います。

2. 令和元年度(2019年度)の所得税に係わる改正
令和元年度の年末調整において、税制改正により影響を受ける項目はありませんが、参考に平成30年度(2018年度)に大きな改正がありましたので、その主な項目は以下の通りでした。
(1) 配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正
平成29年度までは、配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与収入では103万円以下)の場合に配偶者控除38万円(老人控除対象配偶者48万円)、 並びに配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満の場合に配偶者特別控除が適用となっていましたが、 平成30年度から、 配偶者控除は世帯主(給与所得者本人)の年収に応じて縮小(本人の合計所得金額が900万円超から1,000万以下まで3段階で縮小。従って、1,000万円超・給与収入額では1,220万円超になりますと配偶者控除の適用を受けることができません)され、配偶者特別控除は配偶者の年収要件を103万円から150万円に引上げ、 かつ配隅者の年収(103万円201.6万円未満)及び世帯主の年収(1,120万円超から1,220万円以下)に応じて控除額が9段階で縮小となっています。
(2) 給与所得者の配偶者控除等申告書の改正
平成29年度までは、「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」(兼用様式)から、平成30年度から、「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」の2種類の様式となりました。
配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるには、「令和元年分 給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出する必要があります。
(3)源泉徴収簿の様式変更
① 「配偶者特別控除額」が「配偶者(特別)控除額」に変更
② 「配偶者控除、扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額」が「扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額」に変更
(4)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の様式変更 
平成29年度までは、「控除対象配偶者」を記載することになっていましたが、平成30年度から、「源泉控除対象配偶者」を記載することになりました。
(5) 保険料控除申告書に添付する証明書範囲の改正
保険料控除申告書に添付すべき生命保険料控除及び地震保険料控除に関する証明書に、電磁的記録印刷書面が加えられました。

3. 年末調整の対象者
年末調整の対象者は、 原則として会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人は全員含まれます。 但し、 給与収入額が2千万円を超える人は年末調整を行ないませんので自身の確定申告を通じて年税額の精算をしなければなりません。 通常、 1カ所から給与支給を受けている人は、 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出し年末調整を受けることになります。
次の人は年末調整の対象者にはなりません。
(1) 年中の給与収入額が2千万円を超える人
(2) 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(年末調整を行うことができませんが、 支払の際の源泉徴収においては乙欄の税額表が適用となります)
(3) 年中に退職(死亡退職した人、 非居住者として国外勤務者となった人、 等を除く)した人
(4) 国内に住所も1年以上の居所を有していない人(非居住者)
(5) 災害免除法の規定により源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人
(6) 日雇労働者等(丙欄の税額表適用者)

年末調整の為に提出が求められる申告書とその中に記載される控除項目は以下のとおりです。 当該控除項目以外に所得から控除可能な項目がある場合にはそれらの項目は確定申告で行うことになります。

申告書の名称控除項目
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書扶養控除、 障害者控除、 寡婦(夫)控除、 勤労学生控除、 基礎控除
給与所得者の配偶者控除等申告書配偶者控除、配偶者特別控除
給与所得者の保険料控除申告書生命保険料控除(一般生命・介護医療・個人年金)、 地震保険料控除、 社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(特定増改築等)住宅借入金等特別控除(2年目から年末調整の対象で初年度は確定申告が必要)

注: マイナンバーの記載不要の特例制度
平成28年1月よりマイナンバー制度が導入されています。原則、マイナバーを記載すべき書類の提出を受ける際には、その都度(毎回)必ず、マイナバーカード等で本人確認する必要があります。但し、平成29年分以後の扶養控除等(異動)申告書等へのマイナンバーの記載不要の特例制度が創設され、その適用要件として、過去にマイナンバーの情報が提供されており、 一度その番号確認を実施した上で作成した帳簿(特定個人情報ファイル)を会社が備えているときには記載不要となりました。 これは、確認書類の提示を受けることが困難な場合を前提とされていますが、変更が無いことが口頭等で確認されていれば参照できることでよいかと思います。なお、本人確認のうち身元確認については、過去に一度確認を行っている場合、本人を対面で確認することで明らかに本人であると認識されたる場合には、身元確認書類の提示は不要となります。
マイナンバーの記載不要の特例制度が適用できない方には、以下の対応が必要となります。
「平成元年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出にあたり、 給与所得者本人、 源泉控除対象配偶者、 控除対象扶養親族等の個人番号を記載することになります。 提出にあたり、 給与支払者が給与所得者から個人番号の提供を受ける場合は、 本人確認として、 提供の番号が正しいことの確認(番号確認)と、 番号提供者が真にその番号の持ち主であることの確認(身元確認)を行う必要があります。 なお、 控除対象配偶者、 控除対象扶養親族等の本人確認は、 給与所得者(従業員)が行うことになっています。
平成28年1月以降の支払に係る給与所得の源泉徴収票には、 上記の個人番号を記載して税務署等の行政機関に提出することが必要となりますので、 「扶養控除等(異動)申告書」に必要なマイナンバーが記載されていない場合には、 源泉徴収票作成までにマイナンバーの提供を受ける必要があります。 なお、 給与所得者への源泉徴収票には、 個人番号は記載されません。

申告書記載上の主な注意点は以下のものがあります。
(イ) 12月31日時点の現況で記載
その年の12月31日現在の現況を見積もりで記載することになります。 見積記載の内容に修正が生じた場合(例えば、 扶養者数の増減、 等)には、 再年末調整(翌年の1月末までは可能)又は確定申告により適正な精算を行うことになります。

(ロ) 人的控除項目の判定基準に合計所得金額基準
控除項目の中(控除対象配偶者、 控除対象扶養控除、 配偶者特別控除等の人的控除項目)には、 その控除に該当するかの判定基準にその年度の合計所得金額がありますので留意してください。 多い誤りとしては、 配偶者の合計所得金額が控除対象金額を超えているケースです。
平成29年度までは、配偶者者控除の場合の合計所得金額が38万円以下(給与収入では103万円以下)の場合に配偶者控除38万円(老人控除対象配偶者48万円)、 並びに配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満の場合に配偶者特別控除が適用となっていましたが、 平成30年度から、 配偶者控除は世帯主(給与所得者本人)の年収に応じて縮小(本人の合計所得金額が900万円超から1,000万以下まで3段階で縮小。従って、1,000万円超・給与収入額では1,220万円超になりますと配偶者控除の適用を受けることができません)され、配偶者特別控除は配偶者の年収要件を103万円から150万円に引上げ、 かつ配隅者の年収(103万円201.6万円未満)及び世帯主の年収(1,120万円超から1,220万円以下)に応じて控除額が9段階で縮小となっています。

公的年金等の雑所得だけの方で控除対象扶養者(合計所得金額が38万円以下)になる場合には、 公的年金等の収入金額が158万円以下(年齢65歳未満の人は108万円以下)という条件を満たす人です。

(ハ) 年齢16歳未満の年少扶養親族
控除対象扶養控除に関して、 平成23年度から年齢16歳未満の年少扶養親族に対する扶養控除が所得税では廃止となっています(年齢16歳未満は所得税における扶養控除対象者ではありません)。 しかし、 住民税の方では控除対象となっていますので住民税に関する欄への記載を忘れないでください。 なお、 年齢16歳未満の年少扶養親族であっても、 障害者又は特別障害者に該当する場合には、 障害者控除を受けることはできます。
令和元年度の年末調整時における年齢16歳未満とは、 平成16年1月2日以後に生まれた人が年少者となります。

(ニ) 扶養親族
所得者と生計を一にする親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)で、 合計所得金額が38万円以下の人を扶養親族(配偶者、青色事業専従者及び白色事業専従者を除く)といいます。 その中には、 以下のように区分されています。
① 控除対象扶養親族
扶養親族のうち、 年齢16歳以上の人をいいます(令和元年度の年末調整では、 平成16年1月1日以前に生まれた人)。
② 特定扶養親族
扶養親族のうち、 年齢19歳以上23歳未満の人をいいます(令和元年度の年末調整では、 平成9年1月2日から平成13年1月1日までの間に生まれた人)。
③ 老人扶養親族
控除対象扶養親族のうち、 年齢70歳以上の人をいいます(令和元年度の年末調整では、 昭和25年1月1日以前に生まれた人)。
④ 同居老親等
老人扶養親族のうち、 所得者又はその配偶者の直系尊属でいずれかとの同居を常況としている人をいいます。
(注): 国外居住親族に係る扶養控除等の適用時に所定の書類添付等の義務化
非居住者である親族(国外居住親族)に係る扶養控除、 配偶者控除、 障害者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける場合には、 「親族関係書類」及び「送金関係書類」の提出又は提示を受ける必要があります。
具体的な手続きとして、 適用を受ける旨を「扶養控除等(異動)申告書」上の「非居住者である親族」欄に○印を付し、 関係書類の提出等を行います。
「親族関係書類」の書類とは、
* 戸籍の附票その他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族のパソポートの写し
* 外国政府又は外国地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があることが必要):例えば、戸籍謄本その他これに類する書類、出生証明書、婚姻証明書、等
「送金関係書類」の書類とは、
各人に支払ったことを明らかにする、金融機関の書類又はその写し、或いは、購入したことを証するクレジットカード発行会社の書類又はその写し、等
* 生活費を現金渡しの場合には、送金等の確認が出来ない限り、扶養控除の適用は受けられません。
* 生活費を次年度分を含めて当年度に送金した場合、その送金書類を当年度分として使用することは出来ません。その年において各人に支払っていることが必要となります。
* 生活費を長男及び次男の二人分を長男名義の口座に送金した場合には、長男のみが扶養控除の適用となります。各人に対して行ったことを明らかにする書類が必要となります。

(ホ) 生命保険料控除の改組
平成24年(2012年)1月1日からの契約分(新契約)から一般生命保険に含まれていた「介護医療保険」が独立の控除対象となりました。 平成23年までの契約分(旧契約)については、 昨年までと同様に「一般生命保険」と「個人年金保険」の2つに分けられ最高控除額は、 各5万円です。 新契約は、 「一般生命保険」、 「介護医療保険」と「個人年金保険」の3つに分けられ最高控除額は、 各4万円となります。 なお、 旧契約と新契約が混在するケースも発生することもありますが、 各保険料控除の合計適用限度額が12万円とされています。 従いまして、 支払保険契約が、 旧契約か新契約かを保険会社からの証明書で確認しながら申請書に正しく記載する必要があります。
生命保険契約等により支払われた保険料や掛金は所得者本人が支払ったものに限られています。 又、 保険金、 共済金等の給付金の受取人の全てが所得者本人又は所得者の配偶者や親族となっていることが必要です。
翌年以後に払込期日が到来する保険料を一括して前納保険料がある場合には、 本年中に相当する部分のみが支払保険料の金額となります。

(ヘ) 社会保険料控除
所得者本人と生計を一にする親族が負担することになっている社会保険料を所得者自身が支払った場合(時限措置により納付可能となった過去分の保険料の支払分も含む)には、 所得者本人の社会保険料として控除できます。
年金から特別徴収された介護保険料や後期高齢者医療保険料については、 支払者が年金受給者自身となることから、 その年金の受給者の社会保険料として控除となります。
翌年以後に払込期日が到来する保険料を一括して前納保険料がある場合には、 前納期間が1年以内の場合には、 その全額を本年の社会保険料として控除することができます。 なお、 国民年金保険料については、 2年分を前納できることになりましたので、 全額控除をするか、 又は期間按分して控除(この場合には、 按分の明細書が要作成)する方法のいずれかを選択することが可能です。

(ト) 地震保険料控除
所得者本人と生計を一にする親族が所有して常時居住している家屋や生活に通常必要な家財に対して支払った保険料の内、 一定の金額を地震保険料控除として控除できます。
一つの契約等で、 地震等損害に対する損害保険契約と旧長期損害保険契約のいずれの契約区分にも該当する場合には、 選択によりいずれか一方の契約区分のみが地震保険料控除の控除額となります(有利な方を選択する)。

(チ) (特定増改築等)住宅借入金等特別控除
現在、 各種の住宅借入金等特別控除がありますが、 控除を受けようとする初年度分については、 確定申告により控除の適用を受ける必要があります。 2年度以降分については、 年末調整の際に下記のものを給与支払者に提出します。
① 税務署長が発行した「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」。 この証明書の上部に「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」がありますので、 控除金額等の記載を行い提出します。
② 金融機関等が発行した「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
一般の住宅借入金等特別控除は、 居住者が一定の要件を満たす住宅の取得等して、 その人の居住の用に供した場合(その家屋の取得等の日から6ケ月以内に居住用に供したものに限られています)において、 その住宅の取得等のために一定の住宅借入金(償還期間10年以上等)を有するときには、 居住年以後10年間(平成13年7月1日から平成33年12月31日までの間で居住した場合には、 最長10年間。 それ以前のものは最長15年間)の各年のうち、 合計所得金額が3千万円以下である年について、 住宅借入金等の年末残高を基にした所定額を住宅借入金等特別控除としてその年の所得税額から控除できるというものです。
家屋に入居後、 本年12月31日まで継続して居住用に供していることが控除の適用要件ですので、 年度の途中で海外勤務となり出国している場合には、 この制度の適用はありません。
自己の居住用の家屋が2以上有する場合には、 主として居住用とする1の家屋に限られます。
連帯債務(共有)の場合には、 各年12月31日現在のその住宅借入金等の金額に控除を受ける人の負担割合(持分割合)を加味して控除額を計算します。 その割合は、 小数点以下第4位を切上げ、 90%以上である場合は100%とします。
住宅ローンの借換え: この制度の適用者が、 住宅借入金等の借換えをした場合に一定の要件を満たすときには適用が継続します。 住宅ローン金利が低くいものがあるとローンの借換えを行う場合があります。 一般の住宅ローンの場合の借換えでは、 新たな借入金が当初の借入金を消滅させるもので、 適用対象となっていた家屋の取得等のための資金に充てるものであれば住宅ローン控除の継続適用の対象となります。 その場合の新たな借入金の償還期間も10年以上であることが適用要件となっています。 ローン借換後の借入額が借換前の借入残高以下であれば、 年末借入残高が控除対象額となりますが、 逆に借換後の借入額が借換直前の借入残高を上回る場合、 次の按分計算して控除対象額を導く必要があります。
ローン借換後の借入額の年末残高 X (借換直前の借入残高 ÷ 借換直後の借入額) = 控除対象借入額の年末残高

(リ) 給与と徴収税額の集計
年中に支払った給与・賞与が対象になりますが、 本年分の給与で未払いであっても、 本年中に支給日が到来して支払の確定したものについても年末調整の対象になります。

以上が年末調整の概要となります。

4.令和2年分(2020年分)の源泉徴収事務処理上の留意事項
なお、税制改正により令和2年分(2020年分)の源泉徴収事務に影響がありますが、概要を次に記載します。
(1)「扶養控除等(異動)申告書」の追加欄
「住民税に関する事項」に「単身児童扶養者」の欄が追加され、令和2年分から様式が変更となります。
(2)源泉所得税に関する改正項目
① 給与所得控除及び基礎控除の改正
② 所得金額調整控除の創設
③ 各種所得控除等を受けるための扶養控除等の合計所得金額要件等の改正

扶養親族等の区分合計所得金額要件
令和元年分まで令和2年分以降
同一生計配偶者38万円以下48万円以下
扶養親族38万円以下48万円以下
源泉控除対象配偶者85万円以下95万円以下
配偶者特別控除の対象となる配偶者38万円超123万円以下48万円超133万円以下
勤労学生65万円以下75万円以下

④「給与所得者の基礎控除申告書」及び「所得金額調整控除申告書」の新設等
配偶者控除等申告書は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(3様式の兼用様式)になる予定です。
(3)年末調整手続きの電子化
令和2年10月以降の年末調整において、控除申告書を電磁的に提出している場合に限り、保険料控除申告書や住宅借入金等特別控除申告書に添付する控除証明書を、電磁的に交付を受けた控除証明書等のデータを会社に提出することが可能となります。

以上

2019年11月10日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

交際費 減税措置廃止へ大企業 経済活性化の効果薄く

政府・与党は大企業の交際費支出に適用している減額措置を今年度末に廃止する方向で調整に入る。大企業において、現在は接待などで使った一人あたり5千円以下の飲食代は年間の総額のうち半額を経費として、法人税の課税所得から控除できる。これを廃止すると、大企業による交際費はすべて経費扱いできなくなる。

2019年11月9日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant