路線価4年連続上昇 2019年分1.3% 訪日客効果続く

国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基礎となる2019年分の路線価(1月1日現在)を発表した。全国約32万地点の標準宅地は2018年比で1.3%のプラスとなり、4年連続で上昇した。上昇率はこの4年で最も高かった。地方にも波及しつつある訪日客の増加や再開発などが地価上昇をけん引している。
都道府県別の路線価は、東京、 大阪、 愛知など19都道府県で上昇した。 前年の上昇は18都道府県だった。 首都圏では東京都(上昇率4.9%)、千葉県(1.0%)、神奈川県(0.9%)、埼玉県(1.0%)がいずれも6年連続で上昇。愛知県(2.2%)は7年連続で上昇した。最も上昇率が高かったのは、好調な観光需要が要因で沖縄県の8.3%(前年は5.0%)でした。
路線価とは、 主要道路に面した土地1平方メートル当たりの標準価格で、 2019年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で土地を取得した場合、 今回公表された路線価を基に税額が算定される。 調査地点は国土交通省が3月に公表した公示地価(2万6千地点)よりも多い約32万強地点。 公示地価の8割を目安に売買実例などを参考にして算出するため、 公示地価よりも遅く例年7月に公表される。 路線価の最高は、 34年連続でお馴染みの東京都中央区銀座5丁目銀座5の「鳩居堂」の1平方メートル当たり45,600千円(前年44,320千円)でした。

特別養子 15歳未満に 年齢引き下げ 改正民法が成立

特別養子制度の対象を原則15歳未満(従来、原則6歳未満)に引き上げる改正民法が7日の参議院本会議で可決、成立した。
特別養子制度は家庭に恵まれない子どもの健全な養育が目的であり、特別養子縁組をすると実父母と親族関係がなくなります。

返戻率50%超は損金算入に制限 節税保険で国税庁

国税庁は11日、生命保険各社が節税対策になると販売していた中小企業の経営者向け保険について、課税ルールの見直し案を発表した。解約時に戻ってくる保険料の割合を示す返戻率が50%以下の契約は保険料の全額損金算入を認めるが、節税効果の大きい50%を超える場合には損金に算入できる割合を制限。過熱した節税保険ブームに歯止めをかける。早ければ6月に新ルールを適用とするが、見直し前の契約に遡っては適用しない方針だ。
見直し案では、返戻率が最高で50%から70%以下の場合は損金に算入できる割合を6割、70%から85%以下の場合は4割にそれぞれ制限する。85%を超える場合にはさらに制限し、過度な節税を予防する。

公示地価、4年連続上昇 ピークの4割まで回復

国土交通省が19日発表した2019年1月1日時点の公示価格は、商業・工業・住宅の全用途(全国)で1.2%のプラスと4年連続で上昇した。1991年のピーク時から4割程度まで戻した。地方圏は2年連続の上昇で住宅地は27年ぶりにプラスに転じた。低金利環境が不動産投資や個人の住宅取得を下支えする一方、加熱気味な都心の一部は伸び率が鈍化し、服感も見て取れる。

2019年公示地価の変動率(1月1日時点、 前年比%、 ▲は下落):

地域住宅地 商業地 全用途 
前年 2019 前年 2019 前年 2019
全国平均0.30.61.92.80.71.2
三大都市圏0.71.03.95.11.52.0
東京圏1.01.33.74.71.72.2
大阪圏0.10.34.76.41.11.6
名古屋圏0.81.23.34.71.42.1
地方圏▲0.10.20.51.00.00.4

公的機関が公表する土地価格情報には、 以下のものがあります。

 公示地価 基準地価 路線価固定資産税評価額
調査主体 国土交通省都道府県 国税庁市町村
調査地点数約26,000 約21,700 約334,000多数
調査時点1月1日7月1日1月1日1月1日(原則3年に1回、 次回は2021年)
公開時期3月9月7月又は8月3月
公開サイト国交省(土地総合情報ライブラリー)国交省(土地総合情報ライブラリー)国税庁資産評価システム研究センター
その他調査対象は都市部の比重が高い。 標準地の公示地価は一般の土地取引価格(更地価格)の指標となるだけでなく、 公共事業用地の取得価格算定や、 国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。調査対象は地方の調査地点が多く、 一般の土地取引価格の指標となる。 公表は国交省から 相続税・贈与税の基準となる地価で、 公示地価の8割程度の水準土地に対する固定資産税計算の基準となる地価で、 公示価格の7割程度の水準

特別養子「15歳未満」決定 閣議で6歳未満からの引き上げ

政府は15日、特別養子縁組制度の対象を原則15歳未満に引き上げる民法改正案を閣議決定した。制度は、虐待や経済的事情で実親が育てられない子どもに家庭的、永続的な養育環境を与える選択肢の一つ。原則6歳未満とする現行の対象年齢がネックとなり、制度が活用できない子どもがいるのが課題だった。
子どもが15歳になる前から、養親となる人と一緒に暮らしているといった条件を満たせば、例外として15~17歳の縁組も認める。この場合、本人の同意を必要とする。

土地の相続登記義務化 所有者不明 解消狙う

法務省は、8日、所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、民法と不動産登記法を見直すと発表した。相続登記の義務化や所有権の放棄を認める制度の創設、遺産分割の話し合いができる期間の制限などが柱となる。
法制審議会で議論する対策のポイントは以下の通り。

相続登記の申請を義務化現在は相続登記は任意ですが、相続時の登記義務化を検討。登記しなければ罰金を科すことも視野に入れる。
土地所有権の放棄を認める制度を検討現在は所有権の放棄を認めていないが、土地の所有権を放棄できる制度を検討。
遺産分割協議の期間を制限相続人間が遺産分割協議の期間にも制限を設ける。一定期間が過ぎれば、法律に従って自動的に権利がきまるようにする(3年~10年)。
土地ごとに相続財産管理人を選任可能被相続人が複数の土地を持っていた場合、債権者などが土地ごとに相続財産管理人を選任できるようにする。
相続人の調査期間の短縮現行の10ヵ月から3~5ヵ月に短縮する。

特別養子 15歳未満に拡大

実の親に育てられない子供のための特別養子縁組制度を巡り、法制審議会の部会は29日、現行で原則6歳未満の対象年齢を15歳未満に拡大する民法改正の要綱案を取りまとめた。15~17歳は一定の条件を満たせば例外的に縁組を認める。
特別養子縁組は虐待や経済的事情で実親が育てられない子供に、家庭的で永続的な養育環境を与える制度(養親となる人の申立てに基づき、家庭裁判所の審判を経る必要がある)。成立すると実親との法的関係は消滅し、戸籍上も養父母の「実子」と同等の扱いになる。原則として離縁はできない。