公的年金制度の改正案

公的年金制度の改正案が1月から始まる予定の通常国会に提出され、成立に向けて動き出します。以下は、その概要となります。
1.厚生年金の適用範囲の拡大

現行
2016年10月から
改正案
2022年10月から2024年10月から
従業員数501人以上101人以上51人以上
勤務期間1年以上2ヵ月超同左
週所定労働時間20時間以上同左同左
月額賃金8.8万円以上同左同左

2.受給開始時期の選択肢の拡大

  繰上げ原則繰下げ
現行受給開始60歳65歳70歳

年金額
30%減
(1ヵ月当たり0.5%減)
42%増
(1ヵ月当たり0.7%増)
改正案受給開始60歳65歳75歳
年金額24%減
(1ヵ月当たり0.4%減)
84%増
(1ヵ月当たり0.7%増)

3.在職老齢年金制度の減額基準の一部変更

基準額(月額給与・賞与収入+月額年金収入)
現行改正案
65歳未満28万円47万円
65歳以上47万円同左

月額給与・賞与収入は、標準月額報酬額と直近1年間の賞与額の1/12の合計額であり、月額年金収入は報酬比例部分をいいます。

税制改正大綱 新産業育成へ投資減税

自民、公明両党は12日、2020年度税制改正大綱を決めた。当該大綱のポイントは以下の通り。

資産作り確定拠出年金で企業型は70歳、個人型は65歳まで掛金の拠出可能へ
NISAを2024年に2階建ての新制度へ。
積立NISAは期間延長
ネットで少額出資しやすく、エンジェル税制を拡充
未婚のひとり親年収678万円以下を対象に35万円を所得控除
富裕層5千万円超の海外資産を持つ富裕層の資産把握を厳しく
新興企業大企業からスタートアップへの1憶円以上の出資に税優遇
連結納税グループ各社が別々に申告・納税する仕組みに。研究開発費の優遇枠はグループ間で共有
大企業資本金100憶円超の大企業は飲食費の損金算入ができなくなる
資本取引を通じて意図的に赤字を出す節税策に対策
5G網の整備を支援。投資額の15%を税額控除。2020年度から2年間の時限措置

年金改革 支え手拡大重点

政府が検討を進めてきた公的年金制度の改革案が5日、固まった。中小企業で働くパート労働者も厚生年金への加入を義務付けるほか、75歳から受け取り始めると月あたりの年金額を最大84%増やせる仕組みに変える。
1.厚生年金のパート適用拡大
厚生年金の対象となる企業規模の要件を、従業員501人以上から51人に引き下げる。
①2022年10月に従業員501人以上から101人以上の企業に対象を拡大
②2024年10月には51人以上に対象を拡大
2.厚生年金の受給開始年齢の拡大
今は原則65歳が受給開始年齢で、60歳~70歳の間で選べる年金の受給開始年齢を60歳~75歳まで延ばす。
3.在職老齢年金の見直し
働く高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金」を見直し、働く60歳~64歳の厚生年金の一部を停止(減額)する基準額を厚生年金と賃金の合計が月28万円から47万円に引き上げる。

土地の相続登記、義務化 所有者不明で対策 法制審原案

法務省の法制審議会が年内にまとめる所有者不明土地対策の原案が分かった。不動産を相続する人が誰なのかはっきりさせるため、被相続人が亡くなった際に相続登記の申請を義務付ける。手続きを簡素化する代わりに、一定期間のうちに登記しなければ罰則を設けることを検討する。
(1)相続登記の義務化
一定期間内に登記しなければ罰則を科す。
(2)相続登記申請手続の簡素化
被相続人の死亡証明の書類があり、自分が相続人の1人だと証明できれば相続人全員がそろわなくても簡易的に登記可能とする。
(3)遺産分割協議の期限設定
遺産分割協議の期限が、相続開始から10年と定め、協議や申立てがなければ法定相続分に従って分割することを可能とする。
(4)土地所有権の放棄の容認
所有を巡って争いがなく起こっておらず、管理も容易にできることを条件に、所有権の放棄を可能とする。放棄された土地はいったん国に帰属され、地方自治体が希望すれば取得できる仕組みを検討する。

「路線価」否定判決に波紋 相続財産の算定評価基準

「路線価に基づく相続財産の評価は不適切」とした東京地裁判決が波紋を広げている。国税庁は路線価などを相続税の算定基準としているが、「路線価の約4倍」とする国税当局の主張を裁判所が認めたからだ。路線価は取引価格の8割のため節税対策として不動産を購入する人もいる。だが相続税の基準となる路線価と、取引価格に大きな差があれば注意が必要だ。
購入から相続までの期間が短く、かつ、購入価格と路線価に大きな開きがある場合に、「時価」評価額の考え方に乖離問題が生じるということです。

土地売却 一部所有者でも 活用推進へ法整備

国土交通省と法務省は所有者の全容が分からない土地について、一部の所有者によって売却や賃貸できる仕組みをつくる。所有者の所在が分からない「所有者不明土地」を対象とする。
売却の場合は共有者が不明所有者の持ち分について金銭を法務局に供託することで土地を取得し、共有関係を解消できるようにする。土地の賃貸や盛り土などの整備については、不明となっている人以外の残りの所有者の承諾で可能にする。手続きとして、不明者を突き止めるための必要な探索をすることを条件とし、他の所有者が異議を申し立てることができるように、広告することも前提となる。

交際費 減税措置廃止へ大企業 経済活性化の効果薄く

政府・与党は大企業の交際費支出に適用している減額措置を今年度末に廃止する方向で調整に入る。大企業において、現在は接待などで使った一人あたり5千円以下の飲食代は年間の総額のうち半額を経費として、法人税の課税所得から控除できる。これを廃止すると、大企業による交際費はすべて経費扱いできなくなる。

海外資産 税逃れ防止 取引記録の保管要請 税制改正へ

政府・与党は富裕層が海外に持つ資産について、税逃れ対策を強化する。国外にある銀行預金の入出金、不動産の賃貸借、有価証券の購入・売却などの取引記録を保管するよう納税者に求める(税務調査時に提出できなければ追加課税)。現在は年に1度、不動産などの海外資産の保有残高(5千万円超の場合)の情報提供を義務付けているが、資金の流れを示す取引記録も保管を促す。