民法の相続分野の規定を約40年ぶりに見直す民法改正が7月6日に成立しました。法改正のポイントは3点で、2020年7月までに順次施行されることになりました。
1.配偶者居住権の創設
残された配偶者の保護を手厚くし、遺産分割の協議が調うなどすれば、残された配偶者は自身が亡くなるまで今の住居に住み続けられる「配偶者居住権」を得られ、住居の所有権を取得する必要がなくなります。それにより、遺産分割では預貯金など他の遺産の取り分を増やし、老後の生活資金にあてることも可能になる。居住権のみなら、所有権を取得する場合よりも評価額が低くなるためだ。又、遺産分割が終わるまで、それまでの住居に無償で住める「短期居住権」も新たに設ける。新たな制度では婚姻期間が20年以上で、配偶者に住居を生前贈与するか遺言で贈与の意思を示せば、その住居は遺産分割の対象にしないという優遇措置が設けられます。
2.自筆証書遺言の利便性と信頼性の向上
これまで生前に被相続人が書く自筆証書遺言は、内容に問題があっても死後まで分からず、信頼性に欠ける等から相続を巡るトラブルも少なくありませんでした。そこで、自筆証書遺言は、今後、公的機関である全国の法務局で形式に関し事前チェック後に保管できるようにして、相続人が遺言があるかを簡単に調べられるようになります。法務局に預けた場合は、家庭裁判所で相続人が立ち会って内容確認する「検認」の手続きを不要とし、又、財産目録はこれまで自筆に限定していたが、パソコンでの作成可能となります。この法務局に預ける場合の手数料も数千円程度に安価を想定しているようです。
なお、遺言者の死亡届が提出された場合、法務局から相続人に通知できるようなシステムも検討されます。
3.相続人以外の人からの介護・看護への寄与分の請求権
被相続人の親族で相続の対象にならない人でも、介護や看病で被相続人の財産の維持などに貢献した場合は、相続人に金銭を請求できる仕組みも取り入れられます。対象は、息子の妻が義父母を介護していたケース等を想定したものです。
その他として、遺産分割の協議中でも、相続した預貯金を葬儀費用や生活費用に充てるため、仮払いを認める制度も設けられます。
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路線価3年連続上昇 2018年分0.7% 都市部で売買活発
国税庁は2日、相続税や贈与税の算定基礎となる2018年分の路線価(1月1日現在)を発表した。全国約32万4千地点の標準宅地は2017年比で0.7%のプラスとなり、3年連続で上昇した。
都道府県別の路線価は、東京、 大阪、 愛知など18都道府県で上昇した。 前年の上昇は13都道府県だった。 首都圏では東京都(上昇率4.0%)、千葉県(0.7%)、神奈川県(0.6%)、埼玉県(0.7%)がいずれも5年連続で上昇。愛知県(1.5%)は6年連続、大阪府(1.4%)も5年連続で前年を上回った。最も上昇率が高かったのは、ホテル重要の高まりやリゾート開発が影響して沖縄県の5.0%(前年は3.2%)でした。
路線価とは、 主要道路に面した土地1平方メートル当たりの標準価格で、 2018年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で土地を取得した場合、 今回公表された路線価を基に税額が算定される。 調査地点は国土交通省が3月に公表した公示地価(2万6千地点)よりも多い約33万1千地点。 公示地価の8割を目安に売買実例などを参考にして算出するため、 公示地価よりも遅く例年7月に公表される。 路線価の最高は、 33年連続でお馴染みの東京都中央区銀座5丁目銀座5の「鳩居堂」の1平方メートル当たり44,320千円(前年40,320千円)でした。
「合同会社」起業しやすく 新設企業の4社に1社
企業を設立する際に「合同会社」の形態を活用するケースが増えている。2017年に新設された企業のうち、合同会社は23%を占め、足元では4社に1社のペースで推移する。
合同会社(LCC)は、2006年の会社法施行で、それまでの「有限会社」に代わる企業形態として解禁された。不特定多数の出資者を募る株式会社に対し、少人数による出資を前提とする。株式会社よりも設立時の費用や手間が少なく、株主総会や決算公告も義務付けられていないため、経営の意思決定を素早く進めやすい。
直近尊属から住宅取得等資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
特定受贈者(贈与年の1月1日現在20歳以上で合計所得金額2,000万円以下の者)が、 その直系尊属(親、祖父母等)から受ける居住用家屋の新築・取得・増改築等用に住宅取得等資金の贈与については、非課税限度額が定められていますが、消費税率の8%から10%への引上日が平成31年10月1日に予定されています。適用消費税率と住宅取得等の契約日の条件により、その非課税限度額が以下のようになります。特に、契約締結日には留意する必要があります。
⓵住宅用家屋の取得価額に消費税率10%の消費税等が含まれている場合 (消費税率10%で契約した者)
| 住宅用家屋の取得価額に消費税率 | 良質な住宅用家屋(省エネ等住宅) | 左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅) |
|---|---|---|
| 平成31年4月~平成32年3月 | 3,000万円 | 2,500万円 |
| 平成32年4月~平成33年3月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
| 平成33年4月~平成33年12月 | 1,200万円 | 700万円 |
| なお、 東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 以下のようになります。 平成31年4月~平成32年3月 平成32年4月~平成33年12月 | 3,000万円 1,500万円 | 2,5000万円 1,000万円 |
⓶上記(1)以外の場合 (消費税率8%で契約した者や個人間売買で中古住宅売買契約した者)
| 住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 | 良質な住宅用家屋(省エネ等住宅) | 左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅) |
|---|---|---|
| 平成28年1月~ 平成32年3月 | 1,200万円 | 700万円 |
| 平成32年4月~平成33年3月 | 1,000万円 | 500万円 |
| 平成33年4月~平成33年12月 | 800万円 | 300万円 |
| なお、 東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 以下のようになります。 平成26年度申告対象分 ~ 平成33年12月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
上記の「良質な住宅用家屋」とは、 省エネルギー対策等級4(平成27年4月以降は断熱等性能等級4)、 又は耐震等級2以上若しくは免震建築物に該当する住宅用家屋のことであり、 所定の証明書が必要となります。
① 「良質な住宅用家屋」の範囲に、 一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋及び高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋も対象。
② 適用対象となる増改築の範囲に、 一定の省エネ改修工事、 バリアフリー改修工事及び給排水菅又は雨水の侵入を防止する部分に係る工事も対象。
以下の適用要件があります。
① 住宅取得等資金であること
住宅取得等資金とは、住宅の新築、取得または増改築等に充てるための金銭をいいます。尚、住宅の新築に先行して、その敷地用の土地等を取得する場合における取得資金もこの制度の適用対象となっています。金銭の贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、原則として居住することが必要となっていますが、その後に遅滞なく(同年の12月31日までに居住できなかったときには、この非課税制度は認められなく、同日から2ヶ月以内に修正申告をしなければなりません)、居住することが確実に見込まれる場合であれば特定受贈者は所定の計算明細書等を添付して贈与税の申告期限内に提出すれば、この非課税制度の適用を受けることができます。
② 受贈者の非課税の適用要件:
(イ) 贈与時に日本国内に住所がある、 或いは日本国内に住所が無いものの日本国籍を有し、 かつ、 受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所があったことがある。
(ロ) 贈与時に贈与者の直系卑属(子や孫等)である。
(ハ) 贈与時の1月1日現在で20歳以上である。
(ニ) 贈与年の合計所得額が2,000万円以下である。
③ 住宅の新築・取得の適用要件:
日本国内にある家屋で、 受贈者が主として居住用に使用するものであり、 次の要件を満たす必要があります(土地だけの取得では不可)。
(イ) 適用対象となる住宅用家屋の床面積(区分所有の場合には、 その区分所有部分)は、 240㎡以下(東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 240㎡以下の床面積制限無し)。
(ロ) 中古家屋の場合には、 耐火建築物であれば築25年以内 、耐火建築物以外では築20年以内のものであること。 但し、 地震に対する安全基準に適合するものには、 この建築年数制限は無し。
(ハ) 床面積の2分の1以上が専ら居住用に使用されていること。
④ 住宅の増改築等の適用要件:
日本国内にある家屋で、 次の一定の増改築であることが必要です。
(イ) 工事代金が100万円以上で、 かつ、 居住用の工事費が全体の2分の1以上であること。
(ロ) 増改築等の家屋の床面積の2分の1以上が専ら居住用に使用されていること。
(ハ) 増改築等の家屋の床面積が50㎡以上(区分所有の場合には、 その区分所有部分)。
⑤ 相続開始前3年以内贈与の相続財産への加算措置の対象外
⑤ その他の適用要件:
(イ) 受贈者の一定の親族等の特別な関係者との請負契約等により新築若しくは増改築等をする場合、 又はこれらの特別な関係者から取得する場合には、 この特例の適用を受けることはできません。
(ロ) 贈与税の申告期限内に申告する必要があります。
この非課税適用において、居住時期以外にも次の点に関し、留意すべきです。
住宅新築(一戸建て)の時期
新築は、資金贈与日の翌年の3月15日までに行わなければなりません。同日までに屋根(その骨組を含む)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以降の状態が必要となります。
住宅取得(マンション)の時期
売主から住宅の引渡し(通常は鍵の引渡し、 又は少なくとも残代金の支払完了、等)を翌年の3月15日までに受ける必要があります。従って、売買契約の締結等の状態では不十分です。
住宅の新築、取得または増改築等の取引の相手先
受贈者の一定の親族等特別な関係者との契約に基づくものは適用対象外となります。
居住用の不動産の贈与
父から居住用の不動産の贈与を受けても、 この非課税制度は家屋に関し金銭による贈与に限定されていますので適用対象外です。
尚、住宅取得等資金の非課税は、下記の特例と併用が可能です(優良住宅のケース)。
① 歴年課税の基礎控除
平成30年度:110万円(基礎)+ 1,200万円 = 1,310万円の非課税
② 相続時精算課税の特別控除
平成30年度:2,500万円(特別)+1,200万円 = 3,700万円の非課税
働き方改革法が成立
政府が今国会の最重要法案と位置づけた働き方改革関連法案が29日の参院本会議で可決・成立した。
| 主な項目 | 改革内容 | 導入時期 |
| 残業時間の上限規制 | 原則、月45時間・年360時間が上限 特別な事情ある場合でも、 年720時間以内、2~6ヶ月平均で80時間以内、単月で100時間未満 月45時間超となることは6回まで 2月連続で90時間残業は禁止、等 年5日の有給休暇の消化義務(2019年4月より) | 大企業:2019年4月 中小企業:2020年4月 |
| 脱時間給制度の創設 | 高収入の一部専門職は働いた時間でなく成果で評価 (年収1,075万円以上の金融ディーラー、コンサルタント、アナリスト等が対象) | 2019年4月 |
| 同一労働同一賃金の実現 | 正規と非正規の不合理な待遇差を解消 | 大企業:2020年4月 中小企業:2021年4月 |
公益利用認める措置法成立 所有者不明地 公園や施設に
所有者が分からない土地の利活用を促す特別措置法が6日の参院本会議で成立した。都道府県知事の判断で最長10年間の「利用権」を設定し、公園や仮設道路、文化施設など公益目的で利用できるようになる。来年の6月までに施行される。
給与等支給拡大促進税制の改組(所得拡大促進税制)
平成30年度税制改正により、平成30年4月1日以降の開始事業年度より所得拡大促進税制の適用要件が大きく変更になりましたので、その現行制度(平成30年3月31日までに開始する事業年度)との相違を以下に記します。
1. 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度
青色申告法人が、平成30年3月31日までの間に開始する事業年度において国内雇用者に対する給与等支給額に関して、 その法人の雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)が基準雇用者給与等支給額に対し5%以上(中小法人等は3%以上)であり、 かつ、 他の2要件等を満たす場合には、 その雇用者給与等支給増加額の10%(条件により10%以上)の税額控除(但し、 大法人は法人税額の10%(中小法人等は20%)が控除限度)ができることになっています。
| 適用期間 | 平成29年4月1日~平成30年3月31日の間に開始する事業年度 |
| 適用要件 | 次の3要件を全て満たす場合: (1) 当期の雇用者給与等支給増加額 (雇用者給与等支給額 - 基準雇用者給与等支給額) ÷ 基準雇用者給与等支給額 ≧ 5% (2) 当期の雇用者給与等支給額 ≧ 前期の雇用者給与等支給額 (3)-1中小企業の場合 当期の継続雇用者平均給与等支給額 > 前期の継続雇用者平均給与等支給額(比較平均給与等支給額) (3)-2大企業の場合 (平均給与等支給額 - 比較平均給与等支給額)÷ 比較平均給与等支給額 ≧ 2% (従って、割合が2%未満の場合には、制度の適用がありません) |
| 国内雇用者の範囲 | 国内雇用者とは、 役員、役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除く使用人で国内事業所に勤務し賃金台帳に記載されている雇用者(従って、 雇用保険の一般被保険者でない雇用者も含む) |
| 継続雇用者の範囲 | 継続雇用者とは、適用年度およびその前年度の両方において給与等の支給を受けた国内雇用者であり、継続雇用者に係る金額は、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限りますが、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除く、ということになっています。 具体的には、 前期の退職者、 当期の新規雇用者、 継続雇用制度に基づき雇用されている高年齢再雇用者(なお、 適用年度に当該継続雇用制度の対象者になった場合には、 制度前の支給額部分は両年度で一般被保険者に該当することからその部分は除かれません) を除きますが、 一定の週20時間以上のパート・アルバイトで雇用保険法の適用要件を満たす一般被保険者は含まれます。 従いまして、 第1に、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限られますので、 (イ) 正社員、及び (ロ)パート・アルバイトのうち週所定労働時間が20時間以上で一般被保険者になっている者 ということになりますが、 但し、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除くとされていますので、定年が65歳未満の会社で、65歳未満で定年退職した者を対象とする継続雇用制度を採用している会社の場合、定年以降の継続雇用制度の対象者に支給した金額は控除しなければなりません(この対象者の定年後の給与額は、 通常引下げられることとなり会社にとって不利とならない配慮により含めない処置となっています)。 |
| 給与等の範囲 | 給料、 賃金、 賞与等で賃金台帳に記載された支給額(非課税とされる通勤手当等の額も含む)のみを対象としますが、 合理的な方法により継続して給与等の支給額を計算している場合には、 これも認められます。 退職金等は対象外です。 |
| 雇用者給与等支給額 | 適用年度(当期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額。 なお、 控除すべきものとして、 国等から支給を受けた助成金や出向先法人から受けた出向者分の給与負担金受給額、 等は控除します。 なお、 出向先法人では、 その賃金台帳に出向者を記載している時には、 その給与負担金は含まれます。 |
| 基準雇用者給与等支給額・基準年度 | 平成25年4月1日以後の開始事業年度のうち、 最も古い事業年度の前年度が基準事業年度となり、 その基準年度における損金算入される国内雇用者に対する給与等の支給額。 従いまして、 基準事業年度の例示として、 事業年度末が3月末の場合には、 基準事業年度は平成25年3月31日終了事業年度となり、 9月末の場合には、 平成25年9月30日終了事業年度、 2月末の場合には、 平成26年2月28日終了事業年度となります(つまり、 3月末事業年度以外の場合には、 平成25年4月1日を含む事業年度ということ)。 |
| 雇用者給与等支給増加額 | 雇用者給与等支給額 - 基準雇用者給与等支給額 = 雇用者給与等支給増加額 |
| 比較雇用者給与等支給額 | 適用前年度(前期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額 |
| 継続雇用者平均給与等支給額 | 当期の適用年度における損金算入される国内の継続雇用者に対する給与等支給額 ÷ 適用年度における給与等月別継続雇用対象者の人数の述べ人数・合計数) = 継続雇用者平均給与等支給額 対象となる継続雇用者とは、 適用年度及び前年度において給与等の支給を受けた国内雇用者に対する給与等のうち、 雇用保険法の一般被保険者に対する給与等をいう。 従って、 前期の退職者、 当期の新規雇用者、 継続雇用制度に基づき雇用されている高年齢再雇用者を除きますが、 一定の週20時間以上のパート・アルバイトで一般被保険者は含まれます。 |
| 継続雇用者比較平均給与等支給額 | (前期の適用前年度における損金算入される国内の継続雇用者に対する給与等支給額) ÷ 適用年度における給与等月別継続雇用対象者の人数の述べ人数・合計数) = 継続雇用者比較平均給与等支給額 |
| 税額控除額・限度額 | 大企業の場合: 雇用者給与等支給増加額 X 10% + (①又は②のいずれかの金額)X 2% ① 雇用者給与等支給増加額 ≧(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額の金額 ② 雇用者給与等支給増加額 <(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給増加額の金額 中小企業の場合: 比較平均給与等増加割合が2%以上の場合には、控除税額が増額となります。 雇用者給与等支給増加額 X 10% + (①又は②のいずれかの金額)X 12% ① 雇用者給与等支給増加額 ≧(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額の金額 ② 雇用者給与等支給増加額 <(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給増加額の金額 税額控除限度額 = 当期法人税額 X 10%又は20%以内 (但し、 控除限度額は、 大会社等については当期法人税額の10%、 中小企業者等については当期法人税額の20%) |
| 中小企業者等 | 中小企業者等とは、青色申告法人のうち、中小企業者又は農業協同組合等をいいます。 中小企業者とは、次に掲げる法人をいいます。 ① 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人 ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます) に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人、 及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。 ② 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人 |
| 役員の特殊関係者 | 役員の特殊関係者とは、次に掲げる者をいいます。 ① 役員の親族 (配偶者、6親等以内の血族、及び3親等以内の姻族) ② 役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者 ③ 上記以外の者で役員から生計の支援を受けているもの ④ 上記の者と生計を一にするこれらの者の親族 |
| その他、 他の税額控除適用との関係 | 3つの適用要件が以下のように異なりまので、 国内雇用者に対する雇用者給与等支給額があれば、 必ず適用要件を全て満たすことになります。 (1) 当期の雇用者給与等支給増加額 (雇用者給与等支給額 - 基準雇用者給与等支給額) ÷ 基準雇用者給与等支給額 ≧ 5%に関して 雇用者給与等支給額 X 30% ≧ 雇用者給与等支給額 X 3.5%(70% X 5%) (2) 当期の雇用者給与等支給額 ≧ 前期の雇用者給与等支給額に関して 雇用者給与等支給額 ≧ 0 (3) 当期の継続雇用者平均給与等支給額 > 前期の継続雇用者平均給与等支給額に関して 1/1> 0/1 平成25年4月1日以後に設立された法人の場合には、 通常の基準年度がありませんが、 設立事業年度において雇用者に給与等を支給している場合には、 その設立事業年度における雇用者平均給与等支給額の70%相当額が基準雇用者給与等支給額として必ず本制度を適用することができますが、平成29年4月1日以後平成30年3月31日の間で開始する事業年度までに設立した法人は、以下の表1になります。 |
| 継続雇用者給与等支給額がゼロの場合の平均給与等支給額の計算 | ① 当期の平均給与等支給額の計算 分子の額(継続雇用者給与等支給額): 1円とする 分母の数(継続雇用者給与等支給額に係る給与等支給数): 1とする ② 前期の平均給与等支給額の計算 分母の数(継続雇用者給与等支給額に係る給与等支給数): 1とする 継続雇用者給与等支給額がゼロの場合であっても、平均給与等支給額の要件は必ず満たされることになる。 |
表1
| 基準雇用者給与等支給額 =雇用者給与等支給額X70% | 要件満たす | |
|---|---|---|
| 比較雇用者給与等支給額 = 0 | 要件満たす | |
| 平均給与等支給額 = 1/1 | 大企業 | 比較雇用者給与等増加割合が2%以上の要件を満たせず。 税額控除の不適用となる。 |
| 比較平均給与等支給額 = 0/1 | 中小企業 | 上乗せの比較平均給与等増加割合が2%以上の要件を満たせず。 12%の上乗せの税額控除のみ不適用となる。 |
雇用者給与等支給増加割合の要件の開始事業年度別推移:
| 平成26年度 | 平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度(注1) |
|
|---|---|---|---|---|
| 中小企業者等 | 2% | 3% | 3% | 3% |
| 大法人 | 2% | 3% | 4% | 5% |
2.所得拡大促進税制の改組(大企業):平成30年4月1日以降開始事業年度より
平成30年度税制改正により、大企業において、十分な賃上げや国内設備投資を行った場合には、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができることになります。又、更に人材投資を増加させた企業に対しては、税額控除割合が上乗せとなります。なお、これまでの基準事業年度、継続雇用者の定義及び適用要件が変わった点に留意する必要があります。
| 対象法人・対象期間 | 青色申告の大法人で、平成30年4月1日~平成33年3月31日までの期間に開始する各事業年度 但し、設立初年度は対象外 |
|---|---|
| 適用3要件 | ①賃金要件: (イ) 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額 (ロ)(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額)÷ 継続雇用者比較給与等支給額 ≧ 賃上げ率3% ②投資要件: (ハ) 国内設備投資額 ≧ 減価償却費総額 X 90% |
| 上乗せ要件 (適用4要件) | ③教育費要件: (ニ) (教育訓練費 - 比較教育訓練費)÷ 比較教育訓練 ≧ 20% |
| 継続雇用給与等支給額及び継続雇用比較給与等支給額の範囲 | 継続雇用者とは、当期(継続雇用給与等支給額)及び前期(継続雇用比較給与等支給額)の全期間の各月において給与等の支給を受けた国内雇用者として一定の雇用者であること(雇用保険法の一般被保険者に該当する者に限られ、前期に中途入社した者、当期に退職した者、継続雇用制度対象者は含まれません)。 当継続雇用者がいない場合には、①の適用要件を満たさない |
| 国内設備投資額とは | 国内で当期中取得の減価償却資産で当期末に有する取得価額の合計額をいう |
| 減価償却費総額とは | 全減価償却資産の損金経理した減価償却費の総額(過年度分の減価償却超過額の当期認容額を除き、特別償却準備金の積立額を含む)をいう |
| 税額控除額 | イ:適用3要件 給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 15% = 税額控除額 ロ:適用4要件 なお、更に、上記適用3要件以外に教育訓練要件を満たせば、 (教育訓練費 - 比較教育訓練費)÷ 比較教育訓練 ≧ 20%の場合の税額控除額は; 給与等支給額増加額 X 20% = 税額控除額 |
| 教育訓練とは | 国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を取得させ、又は向上させる次の費用(外部支払)をいう。 ①法人が教育訓練等を自ら行う場合の社外講師謝金等の費用 ②他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合のその委託費 ③他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用(授業料、受講料、受験手数料、等) |
| 比較教育訓練費とは | 前期及び前々の教育訓練費の年平均額をいう |
| 税額控除額の上限 | 税額控除の上限は、法人税額の20% |
3.所得拡大促進税制の改組(中小企業):平成30年4月1日以降開始事業年度より
平成30年度税制改正により、中小企業において、十分な賃上げを行った場合には、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができることになります。又、更に人材投資を増加させた企業に対しては、税額控除割合が上乗せとなります。なお、大企業と同様に適用要件等が変更になっています。
| 対象法人・対象期間 | 青色申告の中小企業者等で、平成30年4月1日~平成33年3月31日までの期間に開始する各事業年度 但し、設立初年度は対象外 |
| 適用2要件と税額控除額 | ①賃金要件: (イ) 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額 (ロ)(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額)÷ 継続雇用者比較給与等支給額 ≧ 賃上げ率1.5% 税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 15% = 税額控除額 |
| 上乗せ要件 (適用3要件)と税額控除額 | 要件: (ロ)(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額)÷ 継続雇用者比較給与等支給額 ≧ 賃上げ率2.5% (ハ) 次のいずれかの要件を満たす場合 Ⅰ 教育費要件: (教育訓練費 - 前期教育訓練費<中小企業比較教育訓練費>)÷ 前期教育訓練費 ≧ 10%の場合、又は Ⅱ その事業年度終了日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされた場合 税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 25% = 税額控除額 |
| 継続雇用給与等支給額及び継続雇用比較給与等支給額の範囲 | 継続雇用者とは、当期(継続雇用給与等支給額)及び前期(継続雇用比較給与等支給額)の全期間の各月において給与等の支給を受けた国内雇用者として一定の雇用者であること(雇用保険法の一般被保険者に該当する者に限られ、前期に中途入社した者、当期に退職した者、継続雇用制度対象者は含まれません)。 当継続雇用者がいない場合には、①の適用要件を満たさない |
| 教育訓練とは | 国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を取得させ、又は向上させる一定の費用(外部支払)をいう |
| 中小企業比較教育訓練費とは | 当期開始前の前1年以内に開始した各事業年度の教育訓練費の年平均額(前期の教育訓練)をいう |
| 税額控除額の上限 | 税額控除の上限は、法人税額の20% |
働く高齢者 年金減額縮小 政府方針 就労促進、廃止も視野
政府は一定の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直す方針を固めた。将来的な廃止も視野に高所得者の年金減額の縮小を検討する。2020年度の法改正を見指す。
現行の在職老齢年金制度では、高齢者の給与と年金の合計額が一定の水準を超えると、厚生年金の一部を減額・支給停止する。対象は60~65歳未満が月28万円、65歳以上は46万円を超える人。65歳以上で見ると、給与に年金を足した年収が552万円を超える人が対象だ。
改正は、年金が減らないように意図的に働く時間を短くする高齢者もいること、更に少子高齢化に伴う人手不足が経済成長を抑える構造問題になってきたためと言われています。
相続時の特定居住用宅地等における「家無き子」適用要件の平成30年度税制改正
相続時の小規模宅地等の特例の中に、特定居住用宅地等の適用要件を満たせば、その宅地の課税評価額が面積330㎡を上限として評価額を80%減額できるというものがあります。その適用要件は、平成30年度税制改正前までは以下のとおりでした。
| 区分 | 相続人(取得者) | 適用要件 |
| 1.被相続人の居住用として使用されていた宅地 | ① 配偶者 | 無し(無条件で適用) |
| ② 同居親族 | 相続開始から相続税の申告期限まで、その家屋に居住し、かつ、所有の継続 | |
| ③ 3年借家住まいの別居親族(家無き子) | 配偶者又は同居親族(法定相続人)がいなく相続開始前3年間に本人又は本人の配偶者の持ち家に住んだことがなく、かつ、相続税の申告期限までその家屋を所有 | |
| 2.被相続人と生計を一にする親族の居住用に使用されていた宅地 | ① 配偶者 | 無し(無条件で適用) |
| ② 生計を一にしていた親族 | 相続開始時から相続税の申告期まで、その家屋を所有し、かつ、相続開始前から申告期限まで所有の継続 |
●一棟の二世帯住宅で構造上区分されているもので、 被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合に、 その親族が取得した宅地等のうち、 被相続人及びその親族が居住していた部分も特例の対象となります。 即ち、 区分所有登記された建物を除き、 その親族が自身の居住部分にそのまま居住していれば、 相続開始後に空家になった被相続人の居住部分を申告期限を待たずに、 貸付等に供することが可能です。 仮に、区分登記されている場合には、生前に合併登記の手続きをすれば特例を使うことができます。
●老人ホームに入所したことにより被相続人が居住しなくなった宅地等でも、 次の要件を満たせば居住の継続となります。
(イ) 被相続人に介護が必要なため入所したものであること(相続直前に要介護認定又は要支援認定を受けていること、又は当該認定を受けていなくとも「基本チェックリスト」に該当する第1号被保険者であることが必要)
(ロ) 当該家屋が貸付等の用途に供されていないこと
(ハ) 当該老人ホームは、 その設置が都道府県知事への届出がされていること
●離れ部分の敷地の取扱い
離れ部分の敷地が母屋と一体として利用されていれば、 その離れも含まれることになります。
改正前の「家無き子」規定を以下の様に活用し、本来の趣旨を逸脱し節税する課税逃れにメスが入りました。
所定の条件を満たし、地価の高い都心部の家に一人で暮らすご両親(配偶者は既に死亡)の自宅を相続することを見越して、持ち家(マイホーム)のある相続人が、そのマイホームを長男等で贈与して「家無き子」になり、贈与から3年経過すれば条件を満たすことができ特例の適用対象になることができました。又、持ち家(マイホーム)があっても、マイホームから引っ越し賃貸住宅等に3年間以上住み、相続発生までマイホームに戻らない場合でも条件を満たすことになっていました。
平成30年度税制改正より、平成30年4月1日以後の相続又は遺贈による相続税において、家無き子(持ち家に居住していない者)に係る特定居住用宅地等の特例対象者の範囲から、次の者は除外者となりました。
① 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係がある法人(同族会社)が所有する国内にある家屋に居住したことがある者(国外の家屋は含まれません)
② 相続開始時において居住用家屋を過去に所有していたことがある者
上記以外に、下記の改正も行われています。
(1)貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業用の宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者の貸付事業用のものは除く)を適用外とする。但し、平成30年3月31日以前から貸付事業用の宅地には適用されません。
(2)介護医療院に入所したことにより被相続人の居住用に供されなくなった家屋の宅地等について、相続の開始直前まで被相続人の居住用とされていたものとして本特例の適用となります。
上場株式の配当課税方式の選択(所得税と住民税)
2017年度(平成29年度)の税制改正で上場株式の配当に係る所得税と住民税で、異なる課税方式を選択することを改めて認め、それぞれ有利な課税方式を選択できることになっています。所得税は税務署への確定申告で、住民税は市区町村の税務窓口に届出ることになりますが、有利判定の為に以下の内容が判断材料になります。
1.上場株式の配当・売却益に対する課税方式
| 課税方式 | 源泉分離課税 (申告不要制度) | 申告分離課税 (分離) | 総合課税 (総合) |
|---|---|---|---|
| 配当金 | ○ | ○ | ○ |
| 売却益 | ○ | ○ | ○ |
| 所得税と住民税で異なる課税方式を選択できる | |||
2.配当金に係る所得税・住民税の負担合計税率
| ケース1 | ケース2 | ケース3 | |
| 課税所得 | 所得税:不要 住民税:不要 | 所得税:総合 住民税:総合 | 所得税:総合 住民税:不要 |
| ~330万円以下 | 20% | 7.2% | 5% |
| ~695万円以下 | 20% | 17.2% | 15% |
| ~900万円以下 | 20% | 20.2% | 18% |
| ~1,000万円以下 | 20% | 30.2% | 28% |
| ~1,800万円以下 | 20% | 36.6% | 33% |
総合課税の場合には、配当控除という負担軽減の措置があります。
住民税の課税所得に社会保険負担が連動していることも考慮する必要があります。
健保組合2割「解散予備軍」 高齢者医療費の負担増大
大企業の社員らが入る健康保険組合の財政が悪化している。全国約1400組合の2018年度予算によると、平均の保険料率は年収の約9.2%(労使折半)と11年連続で上がる。2割強の300超は、国所管の全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率以上になり、存続の利点が少ない「解散予備軍」だ。高齢者の医療費を支える負担が重いのが原因。健保組合が国所管に移れば、税金で支える対象が増える。
健康保険制度の概要は、以下のとおり。
| 主な加入者 | 加入者数(万人) | 一人当たりの医療費(万円) | 平均所得(万円) | |
| 国民健康保険 | 自営業や非正規労働者、74歳未満の退職高齢者 | 3,182 | 35 | 84 |
| 協会けんぽ | 中小企業の従業員 | 3,716 | 17.4 | 145 |
| 健康保険組合 | 大企業の従業員 | 2,914 | 15.4 | 211 |
| 共済組合 | 公務員 | 877 | 15.7 | 235 |
| 後期高齢者医療制度 | 75歳以上の高齢者 | 1,624 | 94.9 | 80 |
現在、健康保険組合の中で、50万人の加入者を抱える全国最大規模の人材派遣健保や、16万人の日生協健保が解散の検討に入っている。