政府は公的年金の受け取りを始める年齢について、受給者の選択で 70 歳超に先送りできる制度の検討に入った。 2020 年中にも関連法改正案の国会提出を目指す。
現行の公的年金制度では、受け取り開始年齢は 65 歳が基準で、受給者の希望に応じて、原則として 60 ~ 70 歳までの間で選択できる。受け取り開始を 65 歳より後にすれば毎月の受給額が増え( 1 カ月遅らせるごとに 0.7 %ずつ前月の受給額が増え、 70 歳まで遅らせた場合には、受給額が 42 %増える)、前倒しすれば減る( 1 カ月あたり 0.5 %ずつ減額)仕組みだ。これを、 70 歳超に先送りした場合の上乗せ率を現行の 0.7% より高くする方針です。
2018年1月17日
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カテゴリー : 社会情報
民法の相続分野の見直しを議論する法制審議会の民法部会は 16 日、民法改正の要綱案をまとめた。残された配偶者の保護を強化するのが柱。配偶者が自身が亡くなるまで今の住居に住める「配偶者居住権」を新設する。生前に書く「自筆証書遺言」を全国の法務局で保管できる制度もつくり、相続を巡るトラブルを減らす。
遺産分割の協議が調うなどすれば、配偶者はそれまでの住居に住み続けられる「配偶者居住権」を新設する。又、遺産分割が終わるまで、それまでの住居に無償で住める「短期居住権」も新たに設ける。新たな制度では婚姻期間が 20 年以上で、配偶者に住居を生前贈与するか遺言で贈与の意思を示せば、その住居は遺産分割の対象にしない。
生前に被相続人が書く自筆証書遺言は、今後、公的機関である全国の法務局で保管できるようにして、相続人が遺言があるかを簡単に調べられるようにする。法務局に預けた場合は、家庭裁判所で相続人が立ち会って内容確認する「検認」の手続きを不要とする。又、財産目録はこれまで自筆に限定していたが、パソコンでの作成可能となります。
被相続人の親族で相続の対象にならない人でも、介護や看病で被相続人の財産の維持などに貢献した場合は、相続人に金銭を請求できる仕組みも取り入れられます。又、遺産分割の協議中でも、相続した預貯金を葬儀費用や生活費用に充てるため、仮払いを認める制度も設けられます。
2018年1月17日
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カテゴリー : 社会情報
2019 年 1 月から、スマートフォン(スマホ)などを使い、コンビニエンスストアで納税できるようになる。納税者が使いやすい環境を整え、スマホやタブレット端末などからの電子申告・納税の利用を促す。
1. 法定調書とは
12月の最終給与支給までに、 従業員の年末調整が行なわれ一区切りついたと思っても、 翌1月末までに提出、申告等の対応が必要となるものがあります。 その1つに法定調書作成がありますが、 これは、所得税法、相続税法等の法律の規定により、給与、報酬、家賃等の支払者(提出義務者)が、それらの1年間の支払いに関して、支払先の氏名、住所、支払金額等を記載し所轄税務署に提出が義務付けられている書類(全部で61種類ほど)です。この主目的は、税務署が適正な課税の確保を図ることを目的に支払事実を把握し、受給者が正しく所得を申告していることの確認手段になるものです。 提出すべき法定調書は、 特定項目の一定金額以上のものですが、 源泉徴収の対象になるものとは限っておりませんので留意してください。
なお、 平成28年度分より行政機関への提出にあたり、 マイナンバー(個人番号、等)が必要となっています。
2. 提出する一般的な6種類の法定調書と支払内容
提出する調書 支 払 内 容
給与所得の源泉徴収票と給与支払報告書(注2) 俸給、給料、賞与等の支払
退職所得の源泉徴収票と特別徴収票(注2) 退職手当(注1)、一時恩給等の支払
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 ① 原稿料、印税、講演料、工業所有権の使用料等の支払
② 弁護士、司法書士、税理士、弁理士、社会保険労務士、建築士等への報酬、料金の支払
③ 外交員、集金人、電力量計の検針人、モデル、プロ野球の選手、プロボクサー、騎手等への報酬、料金、契約金の支払、芸能人への出演料等の支払
④ バー、キャバレー等のホステス、コンパニオン等への報酬、料金の支払
⑤ 広告宣伝のための賞金、馬主への競馬の賞金の支払
不動産の使用料等の支払調書 地代、家賃、権利金、礼金、更新料、承諾料、名義書換料等の支払
不動産等の譲受の対価の支払調書 土地、建物等の譲受け(売買、交換、収用等)の代金の支払
不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書 土地、建物等の売買や貸付の仲介手数料の支払
注1:死亡退職による退職手当等の場合には、相続税法による「退職手当等受給者別支払調書」を提出することになります。
注2:地方税法で提出が義務付けられています「給与支払報告書」及び「特別徴収票」は、
名称が異なりだけでそれぞれ「給与所得の源泉徴収票」及び「退職所得の源泉徴収票」と記載内容は同じものです。
3. 提出範囲
支払調書は、一定金額以上のもの等(支払金額の提出範囲)に該当するときに提出が必要となります。主な提出範囲は次のとおりです。
(1) 給与所得の源泉徴収票
年末調整 受給者区分 提出範囲(年間)
年末調整をしたもの 法人役員(相談役、顧問など含む) 150万円超
弁護士、公認会計士、 税理士等 250万円超
上記以外の人(従業員) 500万円超
年末調整をしなかったもの 給与収入2,000万円超 全部
「扶養控除等申告書」を提出した者のうち退職した者等 250万円超(法人役員は50万円超)
「扶養控除等申告書」を提出しなかった者 50万円超
(2) 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
所得税法第204条第1項各号並びに所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条の20の規定に基づく報酬 料金等の支払
区 分 提出範囲
* 外交員、集金人、検針人、プロボクサー、ホステス等の報酬、料金
* 広告宣伝のための賞金
* 社会保険診療報酬支払基金からの診療報酬
年間50万円超
馬主に支払う競馬の賞金 1回75万円超
プロ野球選手等の報酬及び契約金
弁護士、税理士等の報酬
作家、画家などの原稿料、画料
講演料、 その他の報酬、 料金等
年間5万円超
当該支払調書の記載の概要は以下のとおりです。
① 支払を受ける者: 受給者の住所・名称を記入。
② 区分: 例えば、 原稿料、 印税(書きおろし初版印税、 その他の印税、等)、 さし絵料、 翻訳料、 通訳料、 脚本料、 作曲料、 講演料、 教授料、 著作権・工業所有権の使用料、 放送謝金、 映画・演劇の出演料、 弁護士報酬、 税理士報酬、 公認会計士報酬、 外交員報酬、 ホステス等の報酬、 契約金、 広告宣伝のための賞金、 競馬の賞金、 診療報酬、 等と記入。
③ 細目: 上記の区分内容をより詳細化して記入。
④ 支払金額: その年度中に支払の確定した金額を記入。 従って、 未払いのものも含み、 その場合には未払金額を各欄の上段に内書で記入。
提出範囲の金額基準の判定においては、 原則として消費税及び地方消費税(消費税等)の額を含めて行ないます。 但し、 消費税等の額が明確に区分されている場合には、 その額を含めないで判定しても構いません。
支払金額の記入にあたっては、 原則として消費税等の額を含めて記入します。 但し、 費税等の額が明確に区分されている場合には、 その額を含めないで記入しても構いませんが、 その場合には、 その消費税等の額を摘要欄に記入する必要があります。
⑤ 源泉徴収税額: その年度中の支払の確定した金額に基づく源泉徴収すべき税額を記入。 未払いのものがある場合には、 その未徴収税額を上段に内書で記入。
⑥ (摘要): 必要に応じて記入。
⑦ 支払者: 支払者の住所・名称及び電話番号を記入。
記載上の注意事項:
法人に支払われる報酬、 料金等で源泉徴収の対象とならないもの、 或いは支払金額が源泉徴収の限度額以下であるため源泉徴収していない報酬、 料金等についても、 提出範囲の金額基準以上のものは税務署への支払調書の提出が必要となります。
(3) その他の主な法定調書
法定調書 提出範囲
退職所得の源泉徴収票 法人役員(相談役、顧問その他これらに類する者も含む)が受給者であるもの
不動産の使用料等の支払調書
注:不動産、 不動産の上に存する権利、 総トン20トン以上の船舶、 航空機に対する対価を受領する法人と不動産業の個人の方が提出義務者となります。
年間15万円超
但し、不動産業である個人で、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業の方には提出義務はありません。
又、法人に対し賃借料のみを支払っている場合にはその支払調書の提出は不要ですが、支払が権利金、更新料等は提出が必要となります。
不動産等の譲受の対価の支払調書 年間100万円超
不動産等の仲介料の支払調書 年間15万円超
但し、不動産業である個人で、主として建物の賃貸借の代理や仲介を目的とする事業の方には提出義務はありません。
公的年金等の源泉徴収票 「扶養控除等申請書」を
提出した者:60万円超
提出しなかった者:30万円超
配当等の支払調書 10万円超(中間配当がある場合は5万円超)
生命保険契約等の一時金の支払調書 100万円超
損害保険契約等の満期返戻金等の支払調書 100万円超
株式等の譲渡対価の支払調書 同一人に対し100万円超
1回30万円超
国外送金等調書 1回200万円超
4. 提出先と提出期限
法定調書の提出期限は、原則として、その年の翌年の1月31日までとなっており、所轄税務署に提出することになります。税務署に提出する場合には、法定調書の合計表(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)と各法定調書(提出範囲のもの)を添付して提出します。
受給者(個人・法人)の全員にも、 翌年の1月31日まで帳票が送付されることになっていますので、 個人では確定申告の作成資料等に使用、 又、 法人では受給金額・内容との照合等に使用することができます。
法定調書の提出方法に関して、基準年(前々年)の提出枚数が1,000枚以上であった法定調書の場合には、光ディスク等又はe-Taxによる提出が義務付けられています。
5. 給与支払報告書(給与所得の源泉徴収票)
サラリーマンの方にはお馴染みの給与所得の源泉徴収票は、 その年の給与所得に関する年末調整後(給与収入が2千万円超の方等は年末調整は行われません)の源泉徴収税額や税額計算情報が集約され記載されています帳票です。 税務署には、 一定金額以上の給与収入の「源泉徴収票」が提出され、 又、 同一内容ですが様式名が異なる給与支払報告書が個人の居住する市区町村に金額の制限なく全てが提出されます。
「給与支払報告書」(総括表を添える)提出先は、受給者(全員分)のその年の翌年の1月1日現在の住所地の市区町村となり、 提出期限は翌年の1月31日までとなっています(個人の居住する市区町村に金額の制限なく全てが提出されます)。
年度の途中で退職した者に対する給与支払報告書は、 支払額が30万円以下の場合には提出を省略することができます。 なお、退職金の「特別徴収票」の提出は、役員のみであり従業員分は提出する必要はありません。 その提出先は、 受給者の退職日現在の住所地の市区町村となっており、 退職後1ケ月以内の提出となります。
市区町村では、 提出された資料から住民税の税額計算をおこない、 翌年6月から徴収を開始し1年間で納付を行ないます。 なお、 主たる給与所得を基因する住民税の納付方法は、原則として、会社等が所得税と同様に給与より天引きして納付するという特別徴収となっています。
平成29年12月14日に自民、公明党は2018年度(平成30年度)の与党税制改正大綱を発表しました。以下は、その消費税の改正大綱の概要となります。
消費課税:
1.国際観光旅客税の創設
納税義務者 国際船舶等(公用船及び公用機を除く船舶又は航空機)による日本から出国する国際観光旅客等(日本から出国する観光客その他の者等で、船舶又は航空機の乗員等は除く)
非課税対象者 ① 航空機により入国後24時間以内に出国する乗継旅客
② 天候その他の理由により日本に寄港した国際船舶等に乗船等していた者
③ 2歳未満の者
税率 出国1回につき1,000円
適用時期 平成31年1月7日以後の出国から適用
(但し、平成31年1月7日前の運送契約締結のものを除く)
2.簡易課税制度における農林水産業の事業区分の見直し
平成31年10月1日を含む課税期間から、簡易課税制度における事業区分に変更があります。
事業内容 簡易課税制度の軽減税率
現行 改正
食用の農林水産物を生産する事業 第3種事業として70% 第2種事業として80%
3.券面のない有価証券等の譲渡に係る内外判定
(1)振替機関又はこれに類する外国の機関が取り扱う券面のない有価証券等については、その機関の所在地で判定する。
(2)上記(1)以外の券面のない有価証券等については、当該有価証券等に係る法人の本店、主たる事務所その他これに準ずるものの所在地で判定する。
平成29年12月14日に自民、公明党は2018年度(平成30年度)の与党税制改正大綱を発表しました。以下は、その法人税の改正大綱の概要となります。
法人税課税:
1.所得拡大促進税制の改組(大企業)
既存の所得拡大促進税制の内容が変更となり、大企業において、十分な賃上げや国内設備投資を行った場合には、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができることになります。又、更に人材投資を増加させた企業に対しては、税額控除割合が上乗せとなります。
対象法人・対象期間 青色申告の大法人で、平成30年4月1日~平成33年3月31日までの期間に開始する各事業年度
但し、設立初年度は対象外
適用2要件 ① 賃金要件:(平均給与等支給額 - 比較平均給与等支給額)÷ 比較平均給与等支給額 ≧ 3%
② 投資要件:国内設備投資額 ≧ 減価償却費総額 X 90%
平均給与等支給額及び比較平均与等支給額の範囲 当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある継続雇用者等であること(一般被保険者は含まれ、前期に中途入社した者、当期に退職した者、継続雇用制度対象者も含まれません)。
当継続雇用者がいない場合には、①の適用要件を満たさない
国内設備投資額とは 国内で当期中取得の減価償却資産で当期末に有する取得価額の合計額をいう
減価償却費総額とは 全減価償却資産の損金経理した減価償却費の総額(前期の償却超過額等を除き、特別償却準備金の積立額を含む)をいう
税額控除額 イ:適用2要件
給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)x 15% = 税額控除額
ロ:適用3要件
なお、更に、上記適用2要件以外に教育訓練要件を満たせば、
(教育訓練費 - 比較教育訓練費)÷ 比較教育訓練 ≧
20%の場合の税額控除額は;
給与等支給額増加額 x 20% = 税額控除額
教育訓練とは 国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を取得させ、又は向上させる次の費用(外部支払)をいう。
①法人が教育訓練等を自ら行う場合の外部講師謝金等の費用
②他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合のその委託費
③他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用
比較教育訓練費とは 前期及び前々の教育訓練の年平均額をいう
税額控除額の上限 税額控除の上限は、法人税額の20%
2.情報連携投資等の促進税制の創設
「生産性向上の実現のための臨時措置法」の制定を前提に、青色申告法人で「革新的データ活用計画」の認定を受けたものが、同法の施行日から平成33年3月31日までの間に、その革新的データ活用計画に従ってソフトウェアを新設し、又は増設した場合で一定の場合(ソフトウェア・機械装置・器具備品の取得価額の合計額5千万円以上)において、情報連携利活用設備の取得等し事業用に供したときには、その所得価額の30%の特別償却又はその所得価額の5%(賃金要件:平均給与等支給の増加割合が3%未満の場合には3%)の税額控除との選択適用ができます。
なお、税額控除の上限は、法人税額の20%(賃金要件:平均給与等支給の増加割合が3%未満の場合には15%)となります。
3.租税特別措置の適用要件の見直し:大企業
大企業で所得(利益)が増加しているにもかかわらず、賃上げや設備投資を殆ど行っていない場合には、研究開発税制等、生産性の向上に関連する税額控除の適用が出来ません。
対象法人・対象期間 大企業で、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの期間に開始する各事業年度に、一定の2要件を満たさない場合には、その事業年度においては、①研究開発税制、②地域未来投資促進税制及び③情報連携投資等の促進税制の税額控除の適用は出来なくなります。但し、その「所得金額」が前期の所得金額以下の一定の事業年度(設立事業年度又は合併等の事業年度を除く)においては、この制限は受けません。
一定の適用2要件 ② 平均給与等支給額 > 比較平均給与等支給額
① 減価償却費総額 ÷ 国内設備投資額 > 10%
所得金額とは 欠損金の繰越控除前の金額とし、必要な調整があります。なお、受取配当等の益金不算入等の調整は行いません。
平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の範囲 当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある継続雇用者等であること。
当継続雇用者がいない場合には、①の適用要件を満たすことになります。
4.所得拡大促進税制の改組(中小企業)
既存の所得拡大促進税制の内容が変更となり、中小企業において、十分な賃上げを行った場合には、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができることになります。又、更に人材投資を増加させた企業に対しては、税額控除割合が上乗せとなります。
対象法人・対象期間 青色申告の中小企業者等で、平成30年4月1日~平成33年3月31日までの期間に開始する各事業年度
但し、設立初年度は対象外
適用1要件と税額控除額 要件:(平均給与等支給額 - 比較平均給与等支給額)÷ 比較平均給与等支給額 ≧ 1.5%
税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)x 15% = 税額控除額
適用2要件と税額控除額 要件:
① (平均給与等支給額 - 比較平均給与等支給額)÷ 比較平均給与等支給額 ≧ 2.5%
② 次のいずれかの要件を満たす場合
イ(教育訓練費 - 前期教育訓練費)÷ 前期教育訓練 ≧ 10%の場合、又は
ロ その事業年度終了日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされた場合
税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)x 25% = 税額控除額
平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の範囲 当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある継続雇用者等であること。
当継続雇用者がいない場合には、①の適用要件を満たさない
教育訓練とは 国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を取得させ、又は向上させる一定の費用(外部支払)をいう
比較教育訓練費とは 前期及び前々の教育訓練の年平均額をいう
税額控除額の上限 税額控除の上限は、法人税額の20%
5.税務申告書の電子申告による提出義務
資本金1億円超の大法人は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度より電子申告による提出が義務化となります。申告書だけでなく、その添付書類も電子申告が義務となります。対象となる大法人が、たとえ書面で申告書を提出したしても、電子申告でない以上は無申告の扱いとなり無申告加算税の対象になるようです。国税及び地方税も同様な取扱いとなります。
6.申告書に代表者及び経理責任者等の自署押印制度の廃止
申告書に代表者及び経理責任者等の自署押印制度がありましたが、廃止となります。国税及び地方税も同様な取扱いとなります。
7.租税特別措置法の延長・廃止
租税特別措置法の延長・廃止がありますが、主なものは次の通りです。
倉庫用建物等の割増償却制度 適用期限を2年延長
交際費等の損金不算入制度
接待飲食費に係る損金算入の特例
中小法人に係る損金算入の特例
適用期限を2年延長
中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻還付制度の不適用措置 適用期限を2年延長
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 適用期限を2年延長
エネルギー環境負荷低減推進設備等の特別償却又は税額控除制度 適用期限の到来時に廃止
8.収益の認識基準
(1)長期割賦販売等における延払基準選択の制度は廃止となります(経過措置あり)。
(2)返品調整引当金制度は廃止となります(経過措置あり)。
(3)その他、収益の認識基準の取扱いが法令上明確化されます。
資産の販売若しくは譲渡 原則、その販売若しくは譲渡した資産の「引渡しの時における価額」
役務の提供 原則、その提供をした役務につき「通常得べき対価の額」に相当する金額
*貸倒れ又は買戻しの可能性がある場合においても、それらは控除することはできません。
*値引き及び割戻しについて、客観的に見積もられた金額を控除することができます。
9.中小企業の設備投資支援
生産性革命集中投資期間中に限り、地域の中小企業による設備投資の促進に向けて、「生産性向上の実現のための臨時措置法」の規定により市町村が主体的に作成した計画に基づき行われた中小企業の一定の設備投資について、固定資産税を2分1からゼロまで軽減することを可能とする3年間の時限的な特例措置を創設します。
2018年1月に始まった積み立て方式の少額投資非課税制度「つみたてNISA」が個人マネーの新たな受け皿になりつつある。主な証券・銀行12社の2017年末時点の口座申し込みは約25万件となった。つみたてNISAは年間40万円まで投資可能で、20年間は運用益が非課税となる
1. 固定資産税とは
固定資産税とは、1月1日現在で国内に土地、家屋又は償却資産(事業用資産)の固定資産を所有している者に対し、当該固定資産の評価額を基に算定された税額を資産の所在する市区町村(東京23区内は特例で区でなく都が課税)が課する地方税をいいます。
課税対象のうち、土地と家屋については登記簿等で市区町村では実在を確認できることになりますが、償却資産は毎年1月1日に所有しているものを申告を通じて、固定資産(償却資産)課税台帳に登録されることになります。
2. 固定資産税(土地・家屋)
土地と家屋については、登記事項のため市区町村は、その登記簿等に基づいて固定資産税を計算し、1月1日現在の所有者に納税通知書と同時に課税明細書が送られてきますので、当所有者は申告等の手続の必要はありません。
税率はいずれも1.4%であり、土地は課税標準額に、家屋は課税台帳に登録されている価格に掛けて税額が算定されます。なお、市区町村内に所有する固定資産の課税標準額が、土地30万円、家屋20万円未満の場合には、固定資産税は課税されません。
納期は年4回(6月、9月、12月、2月:市区町村によっては1ヶ月早まるところもあります)です。土地とは、田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野等です。家屋とは、住宅、店舗、工場、倉庫等です。
3. 固定資産税(償却資産)
償却資産とは、土地と家屋以外の事業用に供している減価償却対象資産のものをいいます。1月1日現在で償却資産を事業用に使用している所有者(法人や個人事業者)は、所定の申告書を作成し、1月31日までに償却資産の所在する市区町村ごとに提出しなければなりません。課税対象が償却資産に対する税金ということで償却資産税とも言われています。
(1)償却資産の対象(課税資産)
法人や個人で事業を行っている方で事業のために使用している減価償却の対象資産のうち、その取得価額が一定金額以上のものについては、償却資産となります。具体的には、以下のようなものが償却資産となっています。
① 構築物
舗装路面、庭園、門・塀・緑化施設等の外構工事、看板(広告塔等)、ゴルフ練習場設備等、並びに建物付属設備(受変電設備、予備電源設備、その他建築設備、内装・内部造作等)
② 機械及び装置
各種製造設備等の機器及び装置、クレーン等建設機械、機械式駐車設備等
③ 船舶
ボート、釣船、漁船、遊覧船等
④ 航空機
飛行機、ヘリコプター、グライダー等
⑤ 車両及び運搬具
大型特殊自動車、構内運搬車,貨車、客車等
⑥ 工具、器具及び備品
パソコン、陳列ケース、看板(ネオンサイン)、医療機器、測定工具、金型、理容及び美容機器、ルームエアコン、自動販売機等
以下の資産も償却資産として申告の対象になります。
・ 建設仮勘定で処理されている資産、簿外資産及び償却済資産であっても、1月1日現在で事業用に供することができる場合
・ 遊休又は未稼働の資産であっても、1月1日現在で事業用に供することが出来る状態にある場合
・ 耐用年数が1年未満又は取得価額が10万円未満の資産であっても、有形固定資産として計上し、減価償却している場合
・ 青色申告の中小企業法人・個人事業者については、取得価額が30万円未満の資産を一時に損金算入する処理がなされていても、この特例は国税(法人税・所得税)に関する制度であり、この地方税の固定資産税には適用されません。従って、この資産は固定資産税の申告対象となります。
その他、 所有権が留保されている資産(賃貸資産、 等)
(2)償却資産の非課税資産
償却資産の対象とならないものは、次のとおりです
(1) 土地や建物(いずれも登記対象資産であることから、 所有者を把握できますので敢えて申告の対象にしていません)
(2) 自動車税・軽自動車税の.課税対象(2重課税の排除)
(3) 無形固定資産(特許権、 営業権、 ソフトウェア等)
(4) 繰延資産
(5) 生物(観賞用、 興行用その他これらに準ずる生物は除く)
(6) 金額的に少額資産と言われる下記の資産:
① 取得価額が10万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたもの
② 取得価額が10万円以上20万円未満の資産で、 税務上、 3年間で一括償却しているもの
注1: 租税特別措置法の規定により、 一定の中小企業に対する特例を適用して、 取得価額が30万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたものでも、償却資産の申告対象になっています。
注2: 上記以外の資産で企業や個人で事業を行なっている方が事業のために用いることができる資産、 即ち、 構築物、 機械及び装置、 船舶、 航空機、車両及び運搬具、 工具・器具及び備品で有形減価償却資産が対象となります。 次のものも償却資産の対象となります。
(1) 建設仮勘定で計上されている資産、 簿外資産及び償却済資産であっても事業用に供することができるもの
(2) 遊休又は未稼働のものであっても事業用に供することができるもの
(3) 改良費(資本的支出)
(3) 家屋に施した建築設備・造作等のうち、 償却資産として取り扱うもの
建築設備における家屋(建物・建物附属設備)と償却資産とを区分して評価することになります。 家屋と設備の所有者が同一の場合に、 償却資産として取り扱うものは次の要件を満たすものです。
① 構造的に家屋と一体的でないもの (野外給水塔、 独立煙突等)
② 家屋から独立した機械及び装置として性格の強いもの (受・変電設備)
③ 特定の生産又は業務に使用されるもの (動力用配線設備等)
④ 単に移動を防止する程度に家屋に取り付けられたもの (ルームエアコン等)
⑤ 顧客の求めに応ずるサ-ビス設備
(4) 固定資産税額等の算出方法(資産が所在する所轄の市区町村ごとに行ない、 申告書を作成します)
(1) 評価価額の算出方法
① 取得初年度
評価価額 = 取得価額 X 耐用年数に応ずる減価率 X 1/2(50%)
② 取得後2年目以降
評価価額 = 前年度の評価価額 X 耐用年数に応ずる減価率
(2) 固定資産税額の算出方法
① 課税標準額の集計(1,000円未満切捨て)
各資産の評価価額を集計(合算)した額が課税標準額(決定価格となります)です。
課税標準額が150万円未満の場合には、 固定資産税は課税されません。
② 税額の計算
固定資産税額(100円未満切捨て) = 課税標準額(1,000円未満切捨て) X 税率(1.4%)
(5)償却資産の申告
所定の償却資産申告書、 種類別明細書、 等の書類を資産の所在する市区町村ごとに作成し、 1月末までに提出(申告)することになります。 申告方式には、 以下の2方法がありますが、通常は一般方式を採用しています。
その方式とは、 前年中(申告対象年度)に増加又は減少した資産内容を申告するのみで、 評価額、 税額等は所管事務所で行う方式です。
注1: 前年中に増加又は減少した資産が無い場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「増減なし」等を付記します。
注2: 事業を行なっていますが、 対象償却資産を所有されていない場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「該当資産なし」を付記します。
2017年12月26日
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カテゴリー : 税務情報
1.中小企業の事業承継制度の特例の創設
(1)非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例制度の創設
現在、事業承継税制度が存在していますが、同種の特例制度が創設され、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの10年間に贈与等に取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用されることになりました。
① 「特例後継者」が、「特例認定承継会社」の代表権を有していた者から、贈与又は相続若しくは遺贈(贈与等)がその非上場株式を取得した場合には、その全株の課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、その特例後継者の死亡日等まで納税を猶予されます。納税猶予対象の株式制限(現行:発行済議決権株式総数の3分の2)を撤廃し、納税猶予割合が80%から100%に引上げられます。
「特例後継者」とは 特例認定承継会社の「特例承認計画」に記載された代表権を有する後継者(同族関係者と合わせてその総議決権数の過半数を有する者に限る)であって、当該同族関係者のうち、議決権を最も多く所有する者(記載された後継者が2名又は3名以上の場合には、議決権数において、それぞれ上位2名又は3名(但し、議決権数の10%以上を所有する者に限る)をいう。
「特例認定承継会社」とは 平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に特例承認計画を都道府県に提出した会社で、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の承認を受けたものをいう。
「特例承認計画」とは 認定経営革新支援機関の指導及び助言を受けた特例認定承継会社が作成した計画で、特例認定承継会社の後継者、承継時までの経営見通し等が記載されたものをいう。
② 特例後継者が特例認定承継会社の代表者以外の者から贈与等により取得する非上場株式についても、特例承認期間(5年)内に贈与等に係る申告書の提出期限が到来するものに限り、本特例の対象となります。
③ 現行の事業承継税制における雇用確保要件(5年間平均で8割以上の雇用確保)を満たさない場合であっても、納付猶予期限は到来しません。但し、その場合には、その満たせない理由を記載した書類(認定経営革新支援機関の意見が記載されているものに限る)を都道府県に提出しなければならない。なお、その理由が、経営状況の悪化である場合又は正当なものと認められない場合には、特例認定承継会社は、認定経営革新支援機関から指導及び助言を受けて、当該書類にその内容を記載しなければならない。
④ 「経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合」において、特例承継期間経過後に、特例認定承継会社の非上場株式の譲渡をするとき、合併により消滅するとき、解散をするとき等には、納税猶予税額を免除されます。
株価が下がれば差額が免除される減免制度が創設されます。
⑤ 特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者(その年1月1日現在で20歳以上であること)であり、かつ。その贈与者が60歳以上である場合には、相続時精算課税を選択できます。
⑥ その他の適用要件等は、現行の事業承継税制と同様です。
(2)現行の事業承継税制の見直し
代表者以外の複数の贈与者からの贈与等を対象とすることになります。
2.一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し
持分のない一般社団法人又は一般財団法人を利用して財産を移転することによる課税逃れの防止規定が定められました。
(1)一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与税等の課税の見直し
個人から一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人等、非営利型法人その他の一定の法人は除外)に対して財産の贈与等があった場合の贈与税等の課税は、贈与税等の負担が不当に減少することにならないとされる現行の適用要件(役員等に占める親族等の割合が3分の1以下である旨の定款の定めがあること等)のうちいずれかを満たさない場合に贈与税等が課税されます。
この適用は、平成30年4月1日以後の贈与又は遺贈による贈与税又は相続税について行われます。
(2)特定の一般社団法人等に対する相続税の課税
① 「特定一般社団法人等」の役員(理事に限る)である者(相続開始前5年以内のいずれかの時において特定一般社団法人等の役員も含む)が死亡した場合には、当該法人等の純資産額をその死亡時の「同族役員」(被相続人を含む)の数で割った金額を当該被相続人からのみなし遺贈として、当該法人等に相続税が課されます。
② 上記の相続税が課された場合には、贈与等により贈与税が課されていた時にその贈与税額は相続税額から控除されます。
「特定一般社団法人等」とは、いずれかに該当する場合をいう ① 相続開始の直前における同族役員数の総役員数の2分の1超の場合
② 相続開始前5年以内において、同族役員数の総役員数の2分の1超の期間が3年以上であった場合
「同族役員」とは 一般社団法人等の理事のうち、被相続人、その配偶者又は3親等内の親族その他当該被相続人と特殊の関係がある者(被相続人が会社役員となっている会社の従業員等)
改正の適用時期 平成30年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用となります。但し、同日前に設立されている一般社団法人等は平成33年4月1日以後の適用とし、平成30年3月31日以前の期間は、②の2分の1超の期間に該当しないものとなっています。
3.特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度の創設
個人が、一定の美術館と特定美術品の長期寄託契約を締結し、文化財保護法に規定する保存活用計画の文化庁長官の認定を受けてその美術(寄託美術館)にその特定美術品を寄託した場合において、その者が死亡し、その特定美術品を相続又は遺贈により取得した者(寄託相続人)がその長期寄託契約及び保存活用計画に基づき寄託を継続したときは、担保の提供を条件に、その寄託相続人が納付すべき相続税額のうち、その特定美術品の課税価格の80%の相続税を猶予することになります。
寄託相続人が死亡した場合は、猶予税額が免除となります。
4.農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し
(1)一定の貸付された生産緑地についても相続税の納税猶予が適用となります。
(2)三大都市圏の特定市以外の地域内の生産緑地について、営農継続要件を終身(現行:20年)とします。
(3)特例農地等の範囲に、特定生産緑地である農地等及び三大都市圏の特定市の田園居住地域内の農地が加えられます(贈与税の納税猶予も同様)。
(4)特定生産緑地の指定又は指定の期限延長されなかった生産緑地については、現在の納税猶予に限り、その猶予を継続とします(贈与税の納税猶予も同様)。
5.小規模宅地等についての相続税の課税価格計算特例の見直し
小規模宅地等の特例に対し、本来の趣旨を逸脱し節税する課税逃れにメスが入りました。
(1)家なき子(持ち家に居住していない者)に係る特定居住用宅地等の特例対象者の範囲からの除外者
改正は、平成30年4月1日以後の相続又は遺贈による相続税につて適用となります。
① 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係がある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
② 相続開始時において居住用家屋を過去に所有していたことがある者
(2)貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業用の宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者の貸付事業用のものは除く)を適用外とする。但し、平成30年3月31日以前から貸付事業用の宅地には適用されません。
(3)介護医療院に入所したことにより被相続人の居住用に供されなくなった家屋の宅地等について、相続の開始直前まで被相続人の居住用とされていたものとして本特例の適用となります。
6.非居住者の国外財産の非課税範囲の見直し
相続開始又は贈与時に国外に住所を有する日本国籍等を有しない者等が、国内に住所を有しなくなった時以前15年以内において国内に住所を有していた期間の合計が10年超の被相続人又は贈与者(当該期間中も日本国籍を有していない者で、当該相続開始又は贈与時に国内に住所を有していない者に限る)から、相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課さないことになります。但し、当該贈与者が、国内に住所を有しなくなった日から同日以後2年を経過する日までの間に国外財産を贈与した場合において、同日までに再び国内に住所を有することとなったときにおける当該国外財産に対する贈与税は課税されます。
改正は、平成30年4月1日以後からの相続若しくは遺贈又は贈与から適用となります。
7.相続税の申告書の添付書類範囲の見直し
平成30年4月1日以後に提出する申告書の添付書類から、戸籍謄本の原本ではなく複写でもよいことになります。
2017年12月26日
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平成29年12月14日に自民、公明党は2018年度(平成30年度)の与党税制改正大綱を発表しました。以下は、その個人所得税及び贈与税・相続税(資産課税)の改正大綱の概要となります。
個人所得課税
働き方の多様化を踏まえ「働き方改革」を後押し所得再分配から見直しが図られました。
① 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
② 給与所得控除の見直し
③ 公的年金等控除の見直し
④ 基礎控除の見直し
適用は、平成32年分以降の所得税からとなっています。
1.給与所得控除の見直し
イ 給与所得控除額を一律10万円引下げ
ロ 給与所得控除額の上限が、給与等の収入金額850万円で195万円に引下げ
給与等の収入金額 給与所得控除額
現行 改正
65万円以下 収入金額 収入金額-10万円
65万円超 ~ 180万円以下 収入金額X40% (65万円に満たない場合は65万円) 収入金額X 40%-10万円 (55万円に満たない場合は55万円)
180万円超 ~ 360万円以下 収入金額X 30%+18万円 収入金額X 30%+8万円
360万円超 ~ 660万円以下 収入金額X 20%+54万円 収入金額X 20%+44万円
660万円超 ~850万円以下 収入金額X10%+120万円 収入金額X10%+110万円
850万円超 ~ 1,000万円以下 195万円(上限)
1,000万円超 220万円(上限)
2.特定支出控除(範囲)の見直し
イ 職務に直接必要な旅費等で通常必要と認められるものを追加
ロ 単身赴任者の帰宅旅費について、帰宅回数(月に4往復内)の制限を撤廃
3.公的年金等控除の見直し
イ 控除額を一律10万円引下げ
ロ 公的年金等の収入金額1千万円超における控除額の上限が1,955千円
ハ 公的年金等の雑所得以外の合計所得金額に対する公的年金等控除額の引下げ
公的年金等の雑所得以外の合計所得金額 控除額の引下金額
1千万円以下 無し
1千万円超~2千万円以下 一律、10万円引下げ
2千万円超 一律、20万円引下げ
公的年金等控除額の金額:
公的年金等控除額(① + ②) 公的年金等の雑所得以外の合計所得金額
1千万円以下 1千万円超~2千万円以下 2千万円超
① 定額控除 40万円 30万円 20万円
② 定率控除
(50万円控除後の公的年金等の収入金額)
360万円以下の部分 25%
360万円超~720万円以下の部分 15%
720万円超~950万円以下の部分 5%
最低保障額 65歳未満 60万円 50万円 40万円
65歳以上 110万円 100万円 90万円
4.基礎控除額の見直し
イ 基礎控除額を一律10万円引上げ
ロ 合計所得金額が2,400万円超から逓減
合計所得金額 基礎控除額
現行 改正
2,400万円以下 38万円 48万円
2,400万円超~2,450万円以下 38万円 32万円
2,450万円超~2,500万円以下 38万円 16万円
2,500万円超 38万円 0
5.所得金額調整控除
以下のいずれかの要件に該当する場合(子育て世帯や介護世帯)には、負担増とならないように一定額を給与所得から控除します(控除額の緩和)。
(1)給与等の収入金額が850万円超の居住者の中で、
① 特別障害者である者
② 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
③ 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する者
給与所得から控除額 =(給与等の収入金額(上限1千万円)- 850万円)X 10%
注:年末調整で適用可
(2)給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額とがある居住者で、その合計額が10万円超の場合には、
給与所得から控除額 =(給与所得控除後の給与等の金額(上限10万円)+ 公的年金等に係る雑所得の金額(上限10万円))- 10万円
注:公的年金等に係る確定申告不要制度において、当所得金額調整控除を給与所得の金額から控除するものとする。
6.青色申告特別控除
適用要件 現行 改正
正規の簿記原則による記帳に伴う青色申告特別控除額 65万円 55万円
更に、次のいずれかの適用要件を満たす場合の青色申告特別控除額
① 仕訳帳及び総勘定元帳を電子計算機を使用して電磁的記録及び保存していること
② 確定申告書、BS及びPLの提出をe-Taxを使用して行うこと
― 65万円
7.各種合計所得金額要件の見直し
項目 現行 改正
同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件 38万円以下 48万円以下
源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件 85万円以下 95万円以下
配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件 38万円超~123万円以下 48万円超~133万円以下とし、配偶者の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引下げる
勤労学生の合計所得金額要件 65万円以下 75万円以下
家内労働者等の事業所得等の必要経費算入となる最低保障額 65万円 55万円
非居住者の公的年金等における分離課税対象となる控除額計算の基礎金額
65歳未満
65歳以上
6万円
10万円
5万円
9万5千円
8.居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等
適用期限を2年延長する(平成31年12月31日まで)。
9.特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等
適用期限を2年延長する(平成31年12月31日まで)。
10.森林環境税の創設
平成36年度より、森林環境税として年額1,000円を個人住民税と併せて徴収する。
11.電磁的控除証明書による年末調整手続き
年末調整時に提出する一定の証明書類を平成32年10月1日以後に提出するものから電子化データを受け取り、企業に提出できることになります。対象となる証明書類は以下のものです。
① 生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書
② 住宅ローン控除申告書、住宅ローン控除証明書又は借入金の年末残高証明書
12.支払調書等のe-Tax又は光ディスク等による提出義務制度
平成33年1月1日以後に提出すべき支払調書等は、その年の前々年に枚数100枚以上(現行:1,000枚以上)のものからe-Tax又は光ディスク等による提出が必要となります。
2017年12月25日
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