特別養子制度の対象を原則15歳未満(従来、原則6歳未満)に引き上げる改正民法が7日の参議院本会議で可決、成立した。
特別養子制度は家庭に恵まれない子どもの健全な養育が目的であり、特別養子縁組をすると実父母と親族関係がなくなります。
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大法人(資本金1億円超の法人等)の電子申告義務化
2020年4月1日以後の開始事業年度から大法人が行う税務申告(添付書類を含めて)はe-Taxにより提出しなければならなくなりました。従いまして、電子申告義務化に向けて書類の作成方法の見直しが必要となるものもあるかと思います。以下は、電子申告義務化の概要となります。
1.対象法人
(1)内国法人のうち、その事業年度開始時の資本金額又は出資金額が1憶円超の法人
(2)相互会社、投資法人及び特定目的会社
2.対象税目及び申告書
(1)国税の法人税及び地方法人税並びに消費税及び地方消費税
(2)地方税の法人住民税及び法人事業税
上記税目の確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書
3.電信申告対象書類
申告書及び申告書に添付すべきものとされる書類(財務諸表、勘定科目内訳明細書など)の全て
4.届出規定
対象法人は、所轄税務署に適用開始事業年度等を記載した届出書(e-Taxによる申告の特例に係る届出書)の提出が必要となります。
5.適用日
2020年4月1日以後の開始事業年度(課税期間)から適用
6.罰則規定
電子申告の義務化は、申告方法をe-Taxに限定するもので、書面による申告書の提出は認められません。 このため、電子申告の義務化の対象となる法人が、e-Taxにより法定申告期限までに申告書を提出せず、書面により提出した場合、その申告書は無効なものとして取り扱われることとなり、無申告加算税の対象となりますので、ご注意ください。
なお、法定申告期限までに書面により申告書を提出した後、法定申告期限後にe-Taxにより提出した場合でも同様です。
7.添付書類のデータ形式
電信申告義務化の対象書類は、PDF形式でのデータ提出は認められていませんので注意が必要です。これまで認められていたデータ形式として、財務諸表はXBRL形式、申告書・勘定科目内訳明細書・その他はXML形式でしたが、今後は、CSV形式(CSVはテキストファイルですので、データをカンマ区切りにして保存しますが、名前をつけて保存のときに拡張子を.CSVとすることでエクセル形式やワード形式をCSV形式に変換可能)が認められることになります。
なお、申告書に証明書などの書類添付が求められものについては、イメージデータ化(PDF化)によりe-Taxにより提出が可能となります。法人税等の申告に当たって、別表や添付書類のうち、e-Taxにより提出できない別表等については(こうした別表については国税庁が提供しているe-Taxソフトを利用するなどして提出していただく必要があります)、PDF形式による提出も認めることとしています。
8.法人税確定申告書における電信申告義務化の対象書類
(1)法人税申告書
(2)法人税申告書別表
(3)財務諸表
(4)勘定科目内訳明細書
(5)法人(会社)事業概況書
(6)適用額明細書
(7)第三者作成等の添付書類
なお、一部を書面して提出することは認められません。又、光ディスクによる提出は、e-Taxによる提出ができない場合(添付書類が大量にある場合等)となります。
社会保険料等の保険料納付及び年金受給のタイミング
公的年金保険・健康保険等の社会保険料納付がいつまで続くのか、働く年齢との関係で決まりますが、原則的な取り扱いを周知されている方は少ないような気がします。以下に現行制度での内容を確認してみたいと思います。
1.社会保険料の範囲
公的な保険に関しまして各種の用語が出てきますが、国民年金・厚生年金、国民健康保険・健康保険・後期高齢者医療保険、介護保険、雇用保険、労働保険等が代表的なものです。以下では、年金と医療に関する保険に言及したいと思います。
2.年金(厚生年金・国民年金)
保険料の納付年齢 | 年金の受給年齢 | ||
---|---|---|---|
厚生年金 | 会社員として会社に勤務の方 | 69歳(最長)まで | 65歳から(原則):老齢基礎年金と老齢厚生年金(注1)の受給 |
会社員の配偶者(妻:第3号) | 59歳(原則):保険料の負担なし(但し、会社員が65歳になった時点で第3号から第1号となり60歳になるまで国民年金分の保険料の納付義務が発生) | 65歳から(原則):老齢基礎年金の受給 | |
国民年金 | 自営業等の方 | 59歳(原則) | 65歳から(原則):老齢基礎年金の受給 |
厚生労働省が発表した平成31年度(2019年度)の国民年金から支給される老齢基礎年金は、20歳から60歳まで40年間保険料を支払った人で、1人1カ月65,008円。また、会社員の厚生年金から夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額として1家庭1カ月221,504円とされています。この年金額だけでは、少なくとも都市部では老後の生活資金としては十分とは言えないと思います。
3.医療(健康保険・介護保険)
~39歳 | 40歳~ | ~64歳 | 65歳~ | 75歳~ | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
健康保険 | 会社員(健康保険) | 健保組合、又は 協会けんぽ | 会社経由で給与から天引納付(保険料の半額は会社負担のうえ、配偶者の保険料はゼロ) | 会社経由で給与から天引納付(保険料の半額は会社負担のうえ、配偶者の保険料はゼロ) | 会社経由で給与から天引納付(保険料の半額は会社負担のうえ、配偶者の保険料はゼロ) | 会社経由で給与から天引納付(保険料の半額は会社負担のうえ、配偶者の保険料はゼロ) | 後期高齢者医療保険制度(個人で納付) |
自営業等(国民健康保険) | 市区町村 | 個人で納付 | |||||
介護保険 | 会社員 自営業等 | 非該当 | 第2号被保険者 (健康保険料と一緒に介護保険料を納付) | 第1号被保険者 (年金から天引き、不足分は別途納付) |
(注1)老齢厚生年金(在職老齢年金)の支給カット(支給停止)
厚生年金保険は、 雇用中で70歳未満の方が加入するものですので、 70歳になりますと厚生年金の加入資格が無くなり脱退手続きをします。 脱退後は厚生年金の保険料は徴収しませんが、 それ以前の60歳から在職中で厚生年金保険料を納めながら老齢厚生年金を受給する場合、 その年金額の全部又は一部が以下に示すように1カ月間の年金受給額と給与収入の合計額に応じてカット(支給停止)されることがあります (国民年金部分の老齢基礎年金についてのカットはありません)。 雇用中に老齢厚生年金を受給される場合の年金は、「在職老齢年金」といいます。
老齢厚生年金のカット額(在職老齢年金の受給額)について:
年齢 | 1カ月の年金額(基本月額)と給与(総報酬月額相当額 = 現時点の標準報酬月額 + 直近1年間の賞与総額 X 1/12) の合計額(1カ月間の金額判定基準) | 老齢厚生年金のカット金額 |
---|---|---|
60歳から64歳 | 月28万円以下の場合 | カット無し(年金は全額支給) |
月28万円超の場合 | 計算が多少複雑になります(下図を参照) | |
65歳以上 | 月46万円以下の場合 | カット無し(年金は全額支給) |
月46万円超の場合 | 月46万円を超えた額の2分の1 |
年齢が60歳~64歳で1カ月の年金受給額と給与収入の合計額が28万円を超える場合の年金カット額:
基本月額 | 総報酬月額相当額 | 支給される月額の年金額 |
---|---|---|
28万円以下 | 46万円以下 | 基本月額 - (総報酬月額相当額 + 基本月額 - 28万円) ÷ 2 |
46万円超 | 基本月額 -{(46万円 + 基本月額 - 28万円) ÷ 2 + (総報酬月額相当額 - 46万円)} | |
28万円超 | 46万円以下 | 基本月額 - 総報酬月額相当額 ÷ 2 |
46万円超 | 基本月額 -{46万円 ÷ 2 + (総報酬月額相当額 - 46万円)} |
なお、上記の総報酬月額相当額の「46万円」は、2018年度の適用であり、2019年度(平成31年4月分以降)は「47万円」へ変更となっています。最近では、年度ごとに金額が交互に変更になってきています。
働きながら年金を受給する場合に、一定の年金額を調整する制度である在職老齢年金が、就労意欲を抑制しているとの指摘もあり、当該年金額の減額調整する制度を見直す方向にあります。
定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い(法人税基本通達案)
国税庁は先月、生命保険各社が節税対策になると販売していた解約返戻率が高い定期保険等について、課税ルールの見直しの基本通達案を発表しています。その概要は以下の通りですが、来月の6月には外部コメントを受け最終化される予定になっています。過熱した節税保険ブームに歯止めをかけるということから、見直しの基本方針には変更が無いかと思われます。
1.対象の保険とは
法人が契約者で役員又は使用人(これらの親族も含む)を被保険者とする保険期間が3年以上の定期保険又は第三分野保険で最高解約返戻率が50%超の加入保険が対象となります。
従いまして、対象外となる全損タイプの定期保険等は、次のものになります。
(1)保険期間が3年未満の定期保険等
(2)最高解約返戻率が50%以下の定期保険等
(3)最高解約返戻率が70%以下、かつ、年換算保険料相当額(保険料総額÷保険期間)が20万円以下の定期保険等
2.保険料の取扱い
(1)最高解約返戻率 50%超~70%以下のケース
保険開始から終了までの各期間 | 支払保険料 | 積立保険資産 | |
---|---|---|---|
資産計上 | 損金計上 | ||
100分の40相当期間(資産計上期間) | 40% | 60% | 40%積立 |
資産計上期間経過後から100分の75相当期間 | - | 100% | - |
100分の75相当期間から保険終了まで | - | 100% | 当該期間に均等取崩して損金計上 |
注:但し、被保険者1人当たり年換算保険料相当額が20万円以下の場合には、全額損金計上。
(2)最高解約返戻率 70%超~85%以下のケース
保険開始から終了までの各期間 | 支払保険料 | 積立保険資産 | |
---|---|---|---|
資産計上 | 損金計上 | ||
100分の40相当期間(資産計上期間) | 60% | 40% | 60%積立 |
資産計上期間経過後から100分の75相当期間 | - | 100% | - |
100分の75相当期間から保険終了まで | - | 100% | 当該期間に均等取崩して損金計上 |
(3)最高解約返戻率 85%超のケース
保険開始から終了までの各期間 | 支払保険料 | 積立保険資産 | |
---|---|---|---|
資産計上 | 損金計上 | ||
開始から最高解約返戻率となる期間(各期間において、その解約返戻金相当額から前期の解約返戻金相当額を控除した金額を年換算保険料相当額で除した割合が70%を超える期間がある場合には、その超えることとなる最も遅い期間)の終了までの期間(資産計上期間:但し、資産計上期間が5年未満の場合には、開始から5年経過までとし、保険期間が10年未満の場合には、開始から当保険期間の100分の50に相当する期間終了までとする) | 支払保険料X最高解約返戻率X70%(但し、保険期間開始10年までは70%ではなく90%) | 支払保険料X最高解約返戻率X30%(但し、保険期間開始10年までは30%ではなく10%) | 所定割合の積立 |
資産計上期間経過後 | - | 100% | - |
資産計上期間経過後で解約返戻金相当額が最も高い金額となる期間経過後から保険終了まで | - | 100% | 当該期間に均等取崩して損金計上 |
3.記帳処理の例示
設例:
保険期間:20年(事業年度の月始め契約)
保険料:月額20万円(年額240万円)
最高解約返戻率:70%
(1)資産計上期間
20年X40%=8年目までは、保険料の60%は資産計上、40%は損金計上
各年の年間の仕訳:
(借方)積立保険資産 144万円 (貸方) 現預金 240万円
保険料 96万円
(2)資産計上期間後から75%相当経過までの期間
9年目(資産計上期間後)から15年目(20年X75%)までは、保険料の100%は損金計上
各年の年間の仕訳:
(借方)保険料 240万円 (貸方) 現預金 240万円
(3)75%相当経過後から契約終了までの期間
20年-15年(20年X75%)=5年間(契約終了までの残期間)は、保険料の100%は損金計上
144万円X8年間=1,152万円(積立保険資産の総額)
1,152万円÷5年=230.4万円(年間積立保険資産の取崩額)は、取崩し各年に損金計上
各年の年間の仕訳:
(借方)保険料 470.4万円 (貸方) 現預金 240万円
積立保険資産 230.4万円
以上
働き方改革法施行による労働環境の変化
残業時間規制等を柱とする働き方改革関連法が4月に施行され1ヵ月が経過しましたが、今後の働き方にどの様に影響されてくるのか、改めて導入時期から確認してみたいと思います。
1.2019年4月(大企業)から残業時間規制
A. 労働時間給のケース:残業時間の上限規制
残業時間は、原則として月45時間、年間360時間が上限
特例として最大でも単月100時間以内、年間720時間以内(但し、2~6ヵ月平均80時間以内、月40時間超は年6ヵ月までの制限)
違反事業者の罰則:6ヵ月以下懲役または30万円以下の罰金
適用開始時期:大企業は2019年4月
中小企業は2020年4月
特定業種は2024年4月(建設業、自動車運転業、医師などの業種)
B 脱時間給(高度プロフェッショナル)制度の導入
労働時間に縛られず、仕事の成果で報酬が決まる制度が新たに導入され、適用対象者は年収が1,075万円以上で、かつ、対象業種は以下の5業種に限定されます。
① 金融商品の開発(金融工学の知識などに基づき、金融商品を開発する業務)
② トレーダーやディーラー(金融知識を用いて自ら投資判断し、資産運用したり有価証券を売買したりする業務)
③ アナリスト(調査・分析のうえで今後の企業価値を予測し、推奨銘柄について投資判断につながるレポートを作成や助言する業務)
④ コンサルタント(コンサルティング会社で顧客企業の事業調査・分析をもとに経営戦略を助言・支援する業務
⑤ 研究開発(新たな技術や商品の研究開発する業務)
当制度を導入する条件:労使の委員会で対象業務や社員の範囲などを決議し、労働基準監督署に届出る必要があります。又、対象社員には年104日以上の休日を取得させる他、健康確保措置も組み合わせます。例えば、翌日の勤務までに11時間以上間隔を空けることや、臨時の健康診断を受けさせるなど、健康を守る対策の中から労使で選択します。対象社員から書面での同意を得ることも必要となります。
2.2020年4月(大企業)から同一労働同一賃金
同一労働同一賃金は、同じ企業のなかで同じ仕事をしていれば、正規か非正規かといった雇用形態に関係なく同じ待遇(賃金)であるべきという規制です。同一賃金ガイドラインは以下のとおりです。
待遇差異を認めない | 手当 | 出張手当、通勤手当、深夜・休日手当、単身赴任手当 |
福利厚生 | 食堂、更衣室、慶弔休暇、病気による休職 | |
待遇差異を認める | 基本給 | 能力や経験、成果などに差が有れば、違いに応じて支給 |
ボーナス | 業績への貢献に差が有れば、違いに応じて支給 |
適用開始時期:大企業は2020年4月
中小企業は2021年4月
3.2023年4月から法定時間外労働した場合の残業割増賃金率
残業時間が月60時間以内 | 残業時間が月60時間超 | |
---|---|---|
大企業 | 25%以上 | 50%以上 |
中小企業 | 25%以上 | 50%以上(注) |
注:残業割増賃金を軽減(25%)する特例が廃止となります。
以上
新天皇陛下 即位 「令和」始まる
1日午前0時に即位した天皇陛下は皇居・宮殿で即位関連の儀式に臨まれた。
賃上げ・設備投資促進税制:所得拡大促進税制の改組
2018年(平成30年)4月1日~2021年3月31日までの開始事業年度より(通常、2019年3月期末の企業より適用)、これまでの所得拡大促進税制は2018年(平成30年)3月31日の適用期限をもって終了し、賃上げ・設備投資促進税制に改組となりました。当制度の適用要件は、大企業と中小企業とは異なる内容となっています。
1.賃上げ・設備投資促進税制:大企業の場合
大企業において、十分な賃上げや国内設備投資を行った場合には、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができることになります。又、更に人材投資を増加させた企業に対しては、税額控除割合が上乗せとなります。なお、これまでの基準事業年度、継続雇用者の定義及び適用要件が変わった点に留意する必要があります。
対象法人・対象期間 | 青色申告の大法人で、2018年4月1日~2021年3月31日までの期間に開始する各事業年度 但し、設立初年度は対象外 |
適用3要件と税額控除 | ①賃金要件(2要件): (イ) 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額 (ロ)(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額)÷ 継続雇用者比較給与等支給額 ≧ 賃上げ率3% ②投資要件: (ハ) 国内設備投資額 ≧ 減価償却費総額 X 90% 税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 15% = 税額控除額 |
上乗せ要件 (適用第4要件)と税額控除 | ③教育費要件: (ニ) (教育訓練費 - 比較教育訓練費)÷ 比較教育訓練 ≧ 20% 教育訓練費要件を満たし上乗せ税額控除率(20%)を適用する場合には、申告書に明細書(教育訓練等の実施時期、実施内容、受講者及び支払証明)を添付する必要があります。 税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 20% = 税額控除額 |
国内雇用者の範囲 | 国内雇用者とは、 役員、役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除く使用人で国内事業所に勤務し賃金台帳に記載されている雇用者(従って、 雇用保険の一般被保険者でない雇用者も含む) |
役員の特殊関係者 | 役員の特殊関係者とは、次に掲げる者をいいます。 ① 役員の親族 (配偶者、6親等以内の血族、及び3親等以内の姻族) ② 役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者 ③ 上記以外の者で役員から生計の支援を受けているもの ④ 上記の者と生計を一にするこれらの者の親族 |
継続雇用者の範囲 | 継続雇用者とは、適用年度(当期)およびその前年度の両方において給与等の支給(24ヵ月間継続)を受けた国内雇用者であり、継続雇用者に係る金額は、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限ります(年齢は65歳未満の国内雇用者)が、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除く、ということになっています。 具体的に継続雇用者とは、 ①前期及び当期の全ての月分の給与等の支給を受けた国内雇用者であること ②前期及び当期の全ての期間において雇用保険の一般被保険者であること(加入手続きの有無は関係ありません。又、一般被保険者とは、年齢65歳未満の雇用者です) ③前期及び当期の全ての又は一部の期間において高年齢再雇用者制度の対象となっていないこと 従って、一定の週20時間以上のパート・アルバイトで雇用保険法の適用要件を満たす一般被保険者は含まれます。 つまり、 第1に、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限られますので、 (イ) 正社員、及び (ロ)パート・アルバイトのうち週所定労働時間が20時間以上で継続して31日以上の雇用が見込まれ一般被保険者になっている者 ということになりますが、 但し、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除くとされていますので、定年が65歳未満の会社で、65歳未満で定年退職した者を対象とする継続雇用制度を採用している会社の場合、定年以降の継続雇用制度の対象者に支給した金額は控除しなければなりません(この対象者の定年後の給与額は、 通常引下げられることとなり会社にとって不利とならない配慮により含めない処置となっています)。 |
給与等の範囲 | 給料、 賃金、 賞与等で賃金台帳に記載された支給額(非課税とされる通勤手当等の額も含む)のみを対象としますが、 合理的な方法により継続して給与等の支給額を計算している場合には、 これも認められます。 退職金等は対象外です。 |
雇用者給与等支給額・比較雇用者給与等支給額 | 雇用者給与等支給額とは、適用年度(当期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額。 なお、 控除すべきものとして、 国等から支給を受けた助成金や出向先法人から受けた出向者分の給与負担金受給額、 等は控除します。 なお、 出向先法人では、 その賃金台帳に出向者を記載している時には、 その給与負担金は含まれます。 比較雇用者給与等支給額とは、比較用年度(前期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額。 前期の事業月数が12ヵ月未満の時には、年換算に調整計算を行います。 |
継続雇用者給与等支給額・継続雇用者比較給与等支給額 | 継続雇用者給与等支給額とは、適用年度(当期)における国内の継続雇用者に対する給与等支給額をいいます。 継続雇用者比較給与等支給額とは、比較年度(前期)における国内の継続雇用者に対する給与等支給額をいいます。 |
国内設備投資額とは | 国内で当期中取得(取得又は製作もしくは建設)の減価償却資産(有形固定資産、無形固定資産及び生物)で当期末に有する取得価額の合計額をいう。原則、国内資産に対する資本的支出の金額も含む。又、少額減価償却資産及び一括償却資産の金額も含む。なお、圧縮記帳が適用している場合には、適用前の実際の取得金額を含める。 |
減価償却費総額とは | 全減価償却資産の損金経理した減価償却費の総額(過年度分の減価償却超過額の当期認容額を除き、特別償却準備金の積立額を含む)をいう。なお、当期の減価償却費総額の対象は、法人が有する全ての減価償却資産であることから、国外で保有する資産に対する減価償却費も含まれます。 |
教育訓練とは | 国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を取得させ、又は向上させる次の費用(外部支払)をいう。 ①法人が教育訓練等を自ら行う場合の社外講師謝金等の費用 ②他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合のその委託費 ③他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用(授業料、受講料、受験手数料、等) なお、従業員の資格取得費に要する費用のうち教育訓練費の対象は以下のとおりです。 |
対象 | *業務遂行に必要となる資格取得費 *資格取得後の法定更新講習会への参加費用(更新料等は除く) |
対象外 | *従業員が自己研鑽等の目的で資格を取得した場合の受験料等 *福利厚生の一環として支払った報奨金 *資格取得のために企業側が用意した教材費 |
比較教育訓練費とは | 前期及び前々の教育訓練費の年平均額をいう。 |
税額控除額の上限 | 税額控除の上限は、法人税額の20% |
適用要件等を整理しますと、
(1) 要件
* 給与等支給総額の対前年度増加
* 継続雇用者給与等支給額:対前年度増加率3%以上
* 国内設備投資額:当期の減価償却費総額の90%以上
(2) 税額控除
* 給与等支給総額の対前年度増加額の15%の税額控除
* 追加要件:教育訓練費増加要件(当期の教育訓練費:対前期・前々期の教育訓練費の平均増加率20%以上を満たす場合には、控除率を5%上乗せ(合計20%の税額控除)
2.賃上げ・設備投資促進税制:中小企業の場合
中小企業において、十分な賃上げを行った場合には、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができることになります。又、更に人材投資を増加させた企業に対しては、税額控除割合が上乗せとなります。なお、大企業と同様に適用要件等が変更になっています。
対象法人・対象期間 | 青色申告の中小企業者等で、2018年4月1日~2021年3月31日までの期間に開始する各事業年度 但し、設立初年度は対象外 |
中小企業者等 | 中小企業者等とは、青色申告法人のうち、中小企業者又は農業協同組合等をいいます。 中小企業者とは、次に掲げる法人をいいます。 ① 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人 ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます) に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人、 及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。 ② 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人 |
適用2要件と税額控除額 | ①賃金要件(2要件): (イ) 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額 (ロ)(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額)÷ 継続雇用者比較給与等支給額 ≧ 賃上げ率1.5% 税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 15% = 税額控除額 |
上乗せ要件 (適用3要件)と税額控除額 | 要件(3要件): (イ) 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額 (ロ)(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額)÷ 継続雇用者比較給与等支給額 ≧ 賃上げ率2.5% (ハ) 次のいずれかの要件を満たす場合 Ⅰ 教育費要件: (教育訓練費 - 前期教育訓練費<中小企業比較教育訓練費>)÷ 前期教育訓練費 ≧ 10%の場合、又は Ⅱ その事業年度終了日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされた場合 税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 25% = 税額控除額 |
国内雇用者の範囲 | 大企業と同じ |
役員の特殊関係者 | 大企業と同じ |
継続雇用者の範囲 | 大企業と同じ |
給与等の範囲 | 大企業と同じ |
雇用者給与等支給額・比較雇用者給与等支給額 | 大企業と同じ |
継続雇用給与等支給額及び継続雇用比較給与等支給額 | 大企業と同じ |
教育訓練とは | 大企業と同じ |
中小企業比較教育訓練費とは | 当期開始前の前1年以内に開始した各事業年度の教育訓練費(前期の教育訓練)をいう。 |
税額控除額の上限 | 税額控除の上限は、法人税額の20% |
適用要件等を整理しますと、
(1) 要件
*給与等支給総額の対前年度増加
*継続雇用者給与等支給額:対前年度増加率1.5%以上
(2) 税額控除
*給与等支給総額の対前年度増加額の15%の税額控除
*追加要件:継続雇用者給与等支給額:対前年度増加率2.5%以上であり、かつ、教育訓練費増加要件(当期の教育訓練費:対前期の教育訓練費の増加率10%以上、又は中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明を満たす場合には、控除率を10%上乗せ(合計25%の税額控除)
以上
返戻率50%超は損金算入に制限 節税保険で国税庁
国税庁は11日、生命保険各社が節税対策になると販売していた中小企業の経営者向け保険について、課税ルールの見直し案を発表した。解約時に戻ってくる保険料の割合を示す返戻率が50%以下の契約は保険料の全額損金算入を認めるが、節税効果の大きい50%を超える場合には損金に算入できる割合を制限。過熱した節税保険ブームに歯止めをかける。早ければ6月に新ルールを適用とするが、見直し前の契約に遡っては適用しない方針だ。
見直し案では、返戻率が最高で50%から70%以下の場合は損金に算入できる割合を6割、70%から85%以下の場合は4割にそれぞれ制限する。85%を超える場合にはさらに制限し、過度な節税を予防する。
新たな定款認証制度の平成30年11月30日から導入
新たに第13条の4が新設された公証人法施行規則が平成30年11月30日から施行され、株式会社、一般社団法人及び一般財団法人の定款認証の方式が変わっています。公証人に定款認証を受けるときに、「実質的支配者となるべき者の申告書」を提出し、暴力団員等に該当するか否かを申告しなければならなくなりました。確認の結果、暴力団員等に該当した場合には、原則として、公証人は定款認証を拒むことになります。
1.改正の趣旨
法人の実質的支配者を把握することにより、法人の透明性を高め、暴力団員等による法人の不正使用、マネーロンダリングやテロ資金供与等を防止することを目的とするものであり、国内外からの要請に基づくものです。特に、平成31年に行われるFATF(資金洗浄に関する金融活動作業部会)による第4次対日相互審査に対応するもので、仮に、この改正が行われなければ金融機関間での海外送金が制限される可能性がありました。経済活動に対する国際的な信用を向上させるためにも必要なことでした。
2.施行時期
平成30年11月30日以降の申請からの適用となっています。
3.対象となる法人
株式会社、一般社団法人及び一般財団法人のみが適用対象ですので、特定目的会社や税理士法人等の定款認証手続きは、従来通りです。
4.実質的支配者とは
その法人の事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にある者として主務省令で定める者(犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項4号)となっており、株式会社の場合における具体的な該当事由として、認定する手順は次の通りです。
(1)議決権の直接保有及び間接保有が50%超となる自然人となるべき者の存否
直接保有:自然人が発起人となり、出資して株式を保有すること。
間接保有:自然人の支配法人(当該自然人が50%超の議決権を保有する法人)が発起人となり、出資して株式を保有すること。
保有議決権数の認定:直接保有及び間接保有の合計数による。
上場企業等及びその子会社は、自然人とみなされます。
(イ)該当者ありのケース
該当者1名が実質的支配者(1号該当)
但し、この者が事業経営を実質的に支配する意思又は能力(実質支配意思等)がないことが明らかな場合には実質的支配者非該当(その場合には、他の者につき(3)で判定する)
(ロ)該当者なしのケース
下記(2)で認定
(2)上記(1)による実質的支配者が存在しない場合には、
議決権の直接保有及び間接保有が25%超となる自然人となるべき者の存否
(イ)該当者ありのケース
該当者全員が実質的支配者(1号該当)
但し、このうち実質支配意思等がないことが明らかな者は実質的支配者非該当(全員非該当となると(3)で判定する)、また、実質支配意思等のある25%超保有者がいても、他に実質支配意思等がない議決権50%超保有者がいるときは(3)で判定する
(ロ)該当者なしのケース
下記(3)で認定
(3)上記(1)及び(2)のいずれにも該当する者がいない場合には、
出資、融資、取引その他の関係を通じて事業活動に支配的な影響力を有する自然人となるべき者の存否
(イ)該当者ありのケース
該当者全員が実質的支配者(2号該当)
(ロ)該当者なしのケース
下記(4)で認定
(4)上記(1)、(2)及び(3)のいずれにも該当する者がいない場合には、
設立する株式会社の代表権を持つ取締役が実質的支配者(4号該当)
5.認証手続きの概要
(1)定款認証申請前の手続き
① 定款案の公証人への送付と検討依頼
従来通り、メール、ファックス等で定款案を送付する。
② 「実質的支配者となるべき者の申告書」の送付
「実質的支配者となるべき者の申告書」(日本公証人連合会のホームページから書式をダウンロードできます)を作成し、署名押印又は記名押印を付して、公証人に送付する。当申告書には、次の資料を添付します。
Ⅰ 実質的支配者となるべき者の本人特定事項等が明らかになる資料
* 自然人の場合:運転免許証・旅券・マイナンバーカード・在留カード等の写し等(印鑑証明書もOK)
* 法人の場合:全部事項証明書及び印鑑証明書の原本、又は写し(代表者印を印鑑証明書の欄外等に押捺する)
Ⅱ 実質的支配者該当性の根拠資料
* 定款のみが根拠資料のときは、添付資料不要
* 定款以外の根拠資料があるときは、その原本又は写し
* 根拠資料なしのときは、申告書の実質的支配者該当性の根拠資料欄の「なし」を〇で囲むこと
Ⅲ 申告書及び添付書類の送付方法
公証人への送付は、持参、郵送、ファックス又はメールのいずれの方法で構いません。
以上から、公証人はデータベースより申告書記載の実質的支配者となるべき者が暴力団員等に該当するか否かをチェックし、該当しないと判断された場合には、そのまま認証手続きを行います。逆に、暴力団員等に該当する疑いを払拭できない場合には、必要に応じて関係機関に照会する等の手続きを経て最終結論を出します。その結果、法人の設立行為に違法性があると認められれば、定款認証は拒否されることになります。
(2)定款認証申請時の手続き
従来の申請内容と実質的に変わりはありません。
(3)定款認証文
定款の認証文には、実質的支配者となるべき者の申告があったこと等も記載されることになります。なお、希望があれば「申告受理証明書」が交付手数料なしで交付してもらいます。
以上
公示地価、4年連続上昇 ピークの4割まで回復
国土交通省が19日発表した2019年1月1日時点の公示価格は、商業・工業・住宅の全用途(全国)で1.2%のプラスと4年連続で上昇した。1991年のピーク時から4割程度まで戻した。地方圏は2年連続の上昇で住宅地は27年ぶりにプラスに転じた。低金利環境が不動産投資や個人の住宅取得を下支えする一方、加熱気味な都心の一部は伸び率が鈍化し、服感も見て取れる。
2019年公示地価の変動率(1月1日時点、 前年比%、 ▲は下落):
地域 | 住宅地 | 商業地 | 全用途 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
前年 | 2019 | 前年 | 2019 | 前年 | 2019 | |
全国平均 | 0.3 | 0.6 | 1.9 | 2.8 | 0.7 | 1.2 |
三大都市圏 | 0.7 | 1.0 | 3.9 | 5.1 | 1.5 | 2.0 |
東京圏 | 1.0 | 1.3 | 3.7 | 4.7 | 1.7 | 2.2 |
大阪圏 | 0.1 | 0.3 | 4.7 | 6.4 | 1.1 | 1.6 |
名古屋圏 | 0.8 | 1.2 | 3.3 | 4.7 | 1.4 | 2.1 |
地方圏 | ▲0.1 | 0.2 | 0.5 | 1.0 | 0.0 | 0.4 |
公的機関が公表する土地価格情報には、 以下のものがあります。
公示地価 | 基準地価 | 路線価 | 固定資産税評価額 | |
---|---|---|---|---|
調査主体 | 国土交通省 | 都道府県 | 国税庁 | 市町村 |
調査地点数 | 約26,000 | 約21,700 | 約334,000 | 多数 |
調査時点 | 1月1日 | 7月1日 | 1月1日 | 1月1日(原則3年に1回、 次回は2021年) |
公開時期 | 3月 | 9月 | 7月又は8月 | 3月 |
公開サイト | 国交省(土地総合情報ライブラリー) | 国交省(土地総合情報ライブラリー) | 国税庁 | 資産評価システム研究センター |
その他 | 調査対象は都市部の比重が高い。 標準地の公示地価は一般の土地取引価格(更地価格)の指標となるだけでなく、 公共事業用地の取得価格算定や、 国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。 | 調査対象は地方の調査地点が多く、 一般の土地取引価格の指標となる。 公表は国交省から | 相続税・贈与税の基準となる地価で、 公示地価の8割程度の水準 | 土地に対する固定資産税計算の基準となる地価で、 公示価格の7割程度の水準 |