認知症と所有不動産処分

新聞に「認知症 自宅の処分難題」といを記事がありましたので、認知症を患うと所有不動産の処分・取引に影響する問題とは何か、そして、その対策・解決方法は何かを取り上げてみたいと思います。
例えば、自宅所有の方が認知症になり、介護施設等に入所することに迫られた場合に、入所金、介護費用、医療費等の負担が重くなり資金の捻出のためにそのご自宅を売却する必要がでた時に、ご家族の判断のみで例外無く売却手続きを進めることが可能でしょうか。答えはNOです。
通常、不動産を売却する時に、司法書士が所有権移転登記の手続きをおこないますが、司法書士には、正当な契約であったか確認する義務があるため、登記手続きをおこなう前の売買取引契約時に、本人確認および意思確認をおこなって契約に有効性があるか判断します。その際、認知症により不動産の所有者である本人の意思確認が十分にできないと判断された場合、売買契約が成立しませんので司法書士は登記手続きをおこなうことはできません。
この様な状況になっている場合、意思確認が十分にできない様な認知症になった親の不動産を売却したいという状況では、「成年後見制度」による成年後見人をつけることが必須になります。

1.成年後見制度
成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などが原因で判断能力が不十分な人に対して、後見人が法律的に保護・支援をおこなう制度です。この制度の成年後見人は、本人に代わって財産管理や介護施設入所への契約などを行うことが出来ますが、本人の能力によって、後見(判断能力が全くない)・保佐(判断能力が著しく不十分)・補助(判断能力が不十分)の3つの分類があり、親族、弁護士、司法書士、社会福祉士、法人、市区町村長などが成年後見人になることができます。
成年後見制度の申立てが行いるのは、本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官、市区村長などとなっています。
なお、成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。「任意後見制度」とは、本人に判断能力があるうちに公正証書を作成して後見になってくれる方と任意後見契約を結び、事前に自ら任意後見受任者を選んでおく制度のことです。一方、「法定後見制度」とは、本人の判断能力が不十分になった場合、家族等が家庭裁判所に申立てをし、審判により法定任後見人が選定され本人の代わりに支援を行う制度です。以下は、法定後見制度に関連しています。

2.家庭裁判所に「成年後見人」選任の申立
成年後見人の申立ては家庭裁判所に対して行い、申立書に記載された成年後見人候補者が適任であるかどうかが審理されます。場合によっては候補者以外の弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職、法律または福祉に関する法人などが選任されることもあります。
成年後見人は後見が終了するまで行った職務の内容を定期的にまたは随時、家庭裁判所に報告する義務があります。家庭裁判所に申立てる際、成年後見人候補者として記載した子や親族などが後見人に選ばれる場合もあり、又、家庭裁判所が必要と判断した場合は「後見監督人」を選任して、後見人に対する監督事務を行わせることがあります。
成年後見人の任期は不動産を売却したら終わりではなく、認知症本人の病状が回復するか、亡くなるまで続きます。

3.成年後見人を立てる前に診断書が必要
成年後見人をつけて認知症になってしまった親の不動産を売却することにしたい場合、先ずは病院で認知症であると医師に診断してもらう必要があります。医師の診断書がなければ、家庭裁判所に成年後見人の申立てを認めてもらうことはできません。

4.成年後見人との利益相反が起きる場合
成年後見制度は活用できるが、だれを成年後見人に選任するかによって、相続の際に問題になることもあります。例え「不動産の売却」が当初の目的であったとしても、成年後見人として選任された人は、本人が亡くなった際、相続人に財産を引渡すところまでが仕事となります。
例えば、長男が認知症の母親の成年後見人となっている際に、父親の相続が発生したというケースでは、長男は母親の「成年後見人」であり、かつ母親と共同で亡父の「相続人」であることになります。このような「利益相反」が起きるときは、2つの身分(相続人と成年後見人)のどちらかを捨てなければなりませんが、その場合の解決方法は下記①~③のいずれかとなります。
① 相続放棄し、成年後見人に専念する
② 後見監督人等がいる場合、遺産分割は後見監督人が成年被後見人を代理して行う
③ 家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立て、特別代理人を選任する
血縁者が成年後見人となった場合、既述のように相続の際に利益相反が起きやすいです。そのため成年後見人の選出の際に、家庭裁判所が本人を取り巻く状況を踏まえて、候補者以外の弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職、法律または福祉に関する法人などが選任されるケースがあります。

5.成年後見では家庭裁判所の許可がないと所有者が認知症の家は売れない
成年後見人や保佐人、また補助人になったからといって、認知症になった親の不動産を自由に売却できるわけではありません。認知症になった親の不動産を売却するためには、成年後見人を選任する手続きをおこなった後、改めて家庭裁判所に「居住用不動産処分許可」の申立てをし、許可を得る必要があります。
家庭裁判所が不動産売却に対して許可を出すかどうかは、以下の要素から判断されます。

売却の必要性本人の財産状況として売却が必要であるか。
本人の生活や看護の状態、意思確認入所や入院の状況と帰宅の見込み、本人の意向確認。帰宅の見込みがある場合、帰宅先をどのように確保するか。
売却代金の保管売却代金の入金や保管をどのようにおこなうか。
親族の処分に対する意向本人の推定相続人などの親族が売却に対して反対していないか。

6.後見人選定から不動産売却までの流れ
以上から、成年後見人の選任から不動産売却までの流れは下記となります。ケースバイケースではありますが、成年後見人の選任にかかる期間は1~2カ月程です。売却したい不動産が自宅の場合は、同じく家庭裁判所の許可が必要になるため、別途申立ての許可に時間がかかります。

1本人の所在地を管轄する家庭裁判所に「成年後見制度開始」の審判を申立てる
家庭裁判所から依頼された医師が本人の意思能力を評価し、診断書を作成
2後見人の選定、審判の確定
3後見人の選定、審判の確定
4不動産会社と売買契約に向けて買主を探す
5本人に代わり、成年後見人が買主と売買契約を結ぶ
6家庭裁判所の許可
(売却した資金の使い道などの明確な記載が必要)
7家庭裁判所からの許可後、売買代金の精算、所有権移転の登記が行われる

7.認知症を発症前の対策
上述が、判断能力が不十分となった場合のケースでしたが、財産を処分するには判断能力が必要になりますので、判断能力のあるうちの対応には下記のことが考えられます。
① 信託の利用
財産の管理を第三者に委託する方法もあります。
② 任意後見契約の締結
上述しました成年後見制度の一つであります、自分の判断能力が衰えたときに備えて、本人が「任意後見受任者」を選び、公正証書を作成して任意後見契約を締結して備える。

8.信託の利用
信託とは、「自分の大切な財産を、信頼する人に託し、大切な人あるいは自分のために管理・運用してもらう制度」のことです。財産の管理・運用を、「誰のために」「どういう目的で」ということを自分が決めて、信頼できる人に託すこと(信託すること)が、信託の大きな特徴です。
財産を信託された人(受託者)は、信託した人(委託者)の決めた目的の実現に向けて信託された財産を管理・運用します。「信託」は、以下の3者の関係からなる制度です。
* 委託者(自分)……財産を預ける(信託する)人
* 受託者(信託銀行、親族等)……財産を預かって(信託されて)管理・運用する人
* 受益者(恩恵を受ける人)……財産から生じる利益を得る人
信託の基本的な仕組みは、
① 自分の大切な財産を、信頼できる人に信託し
② 受託者は信託された財産を管理・運用し、そこから生まれた利益を
③ 委託者が指定した人(受益者)に渡します。
というのが最も基本的な信託のしくみになります。
委託者は、自分が持つ財産を契約などにより受託者に託します。信託すると、委託者の財産の所有権は受託者に移転し、受託者が信託された財産の所有者となります(不動産の場合には受託者として登記します)。この点が、他の制度にはない信託の最も大きな特徴です。
信託された財産は、受託者のもとで受益者のための財産として管理・運用することになります。委託者および受益者への大きな責任を負う信託銀行等の受託者(商事信託の場合)には、信託法や信託業法などの法律に基づいて様々な厳しい義務が課せられているため、信託した財産は安全に管理されます。
信託をすると、受益者は信託財産から生じる利益を受取る権利を持つことになります。これを「信託受益権」といいます。
(1)信託財産と信託目的
委託者から信託銀行等の受託者に信託された財産を「信託財産」といいます。信託できる財産の種類には、現金や土地・建物など金銭的価値のあるものであれば信託することができますが、農地、預貯金や一部の証券会社除き上場株式などの有価証券は実質的に不可となります。
また、信託した財産を、誰のために、どのような目的で、どのように管理・運用するかということは、委託者が決めます。これを「信託目的」といいます。脱法的なもの等ではない限り、「信託目的」も委託者が自由に決めることができます。

(2)商事信託と民事信託との違い
信託という大きな枠組みの中では、信託銀行や信託会社が行う「商事信託」とそれ以外の「民事信託」の二つに分けることができます。
① 商事信託
商事信託とは、財産を託される受託者を信託銀行や信託会社がビジネスとして他人の財産を管理運用等する仕組みです。他人から託された財産について報酬をもらって運用して、運用益をその人に戻すという従来からある信託です。
② 民事信託(家族信託)
一方で、民事信託とは、信託銀行等が担っていた受託者の立場を家族などの一般人が代わって行う制度です。信託銀行などのようにビジネスとして他人の財産を預かる場合については信託業法上の免許が必要で非常に要件は厳しいのですが、民事信託のようにビジネスとして行わない信託について免許は不要です。ただし、信託銀行などのように不特定多数の人から財産を預かって、信託報酬を得るようなことはできません。あくまで特定の人の財産を原則として報酬をもらわずに管理運用などをすることを「民事信託」といいます。なお、「家族信託」というものがありますが、これは民事信託のなかでも、特に受託者を家族が担う場合を家族信託と呼ぶようになっていますが、公的な呼称ではありません。
民事信託は、信託契約などによって内容を決めるので自分の生存中から死亡後まで、財産の管理活用承継について柔軟な設定ができます。また、自分が信頼した人に財産を託すことができるので、成年後見制度のようにまったく知らない人に財産を管理されたり、家庭裁判所の監督下に置かれたりするようなことはありません。家族を受託者にすることもできるので、司法書士などの専門職が成年後見人になった場合に比べ、長い目でみれば費用も安く抑えることができる場合があります。
成年後見制度では、財産の管理・活用・承継を一つの契約ですることができるので、認知症対策から遺言の機能までを一つの契約内で持たせることも可能です。さらに、通常の遺言では、自分の死後に発生した相続(二次相続以降)について財産を承継する者を指定することはできませんが、信託では二次相続以降についても財産を承継する者を指定することができます。
この様に、信託は、従来の成年後見制度や遺言では果たせなかったことについて、補完することができる新しい仕組みといいます。
 
以上が、不動産売却等に伴う認知症になる前後の対応策を言及しました。「前」は、任意後見制度又は信託があり、信託は特に不動産や非上場株式に有効に機能する方法かと思います。「後」は、法定後見制度の活用となります。
いずれの対応策もメリット・デメリットがありますので、状況に合わせて活用方法を決めることになるかと思います。

2021年8月20日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

名義変更に伴う低解約返戻保険等の評価の見直し

国税庁は、経営者等向け保険の中に加入初期に解約返戻金を抑え、その低い返戻金時に経営者等に名義変更し課税額を抑え、経営者等は返戻金が増加後に解約し節税効果を得るという保険商品がありました。これを、新たな課税方法では、解約返戻金が保険料の資産計上額の一定割合を下回る場合に資産計上額で課税額を算出するという見直しを行った。その改正基本通達36-37の概要は、以下の通り。

保険契約等の種類経営者等に名義変更時の評価方法
令和3.6.30までの変更令和3.7.1以後の変更
下記②及び③以外の保険契約支給時解約返戻金額

注1
低解約返戻金型保険:
支給時解約返戻金額<支給時資産計上額×70%
支給時解約返戻金額支給時資産計上額

注1
復旧することができる払済保険等支給時資産計上額プラス法人税基本通達9-3-7の2による損金算入額

注1:法人税基本通達9-3-5の2の適用を受けるものに限定。従って、適用対象は、令和元年(2019年)7月8日以後に締結した保険契約からとなります。同日以前の保険契約には原則、適用対象外。

法人税基本通達9-3-5の2とは(2019年7月8日以後の契約分から適用):
国税庁は、生命保険各社が節税対策になると販売していた解約返戻率が高い定期保険等について、課税ルールの見直しの基本通達を発表しています。その概要は以下の通りです。過熱した節税保険ブームに歯止めをかけるということから、見直しの基本方針には変更が無いかと思われます。
対象の保険とは:
法人が契約者で役員又は使用人(これらの親族も含む)を被保険者とする保険期間が3年以上の定期保険又は第三分野保険で最高解約返戻率が50%超の加入保険が対象となります。
従いまして、対象外となる全損タイプの定期保険等は、次のものになります。
(1)保険期間が3年未満の定期保険等
(2)最高解約返戻率が50%以下の定期保険等
(3)最高解約返戻率が70%以下、かつ、年換算保険料相当額(保険料総額÷保険期間)が30万円以下の定期保険等
(4)保険期間を通じて解約返戻金のない定期保険又は第三分野(ごく少額の払戻金のある契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より短い保険)で、かつ、当年度の支払保険料が30万円以下の定期保険

参考:保険分類
①第一分野保険:生命保険(終身保険、定期保険等)
②第二分野保険:損害保険(火災保険、自動車保険等)
③第三分野保険:上記①及び②に属さない疾病・傷害保険(医療保険、介護保険、傷害保険等)

2021年7月7日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

住宅ローン控除の特例特別控除

2021年(令和3年)度税制改正で、年消費税率10%で住宅の特別特例取得に該当し、以下の諸条件を満たす場合には、2022年末(令和4年末)までの入居(1年延長)により住宅ローン控除期間の3年間延長特例(控除期間13年間)が認められようになりました。
改正は、2022年(令和4年)1月1日以後の確定申告提出からの適用となっています。
(1)特別特例取得の要件(①と②)
適用要件には、以下の様に住宅取得区分と契約締結日並びに居住開始日が定められていますので各項目に留意する必要があります。

① 住宅取得の区分② 契約締結の期限居住開始の期間
イ 新築注文住宅2020年(令和2年)10月1日~2021年(令和3年)9月30日の期間2021年(令和3年)1月1日~2022年(令和4年)12月31日の期間
ロ 分譲住宅・マンション・既存中古住宅・増改築等2020年(令和2年)12月1日~2021年(令和3年)11月30日の期間

(2)住宅の床面積と合計所得金額の要件

 特別特例の場合原則の場合
住宅の床面積40㎡以上50㎡以上
合計所得金額1,000万円以下3,000万円以下

参考:住宅ローン特別控除(注1)

居住年一般住宅認定長期優良住宅
借入金等の年末残高の限度額控除率最高借入金等の年末残高の限度額控除率最高
H26年1月~3月2千万円1.0%20万円3千万円1.0%30万円
H26年4月~令和3年12月
(注2)
4千万円1.0%40万円5千万円1.0%50万円

注1:認定住宅とは、 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいい、 それ以外を一般住宅といいます。
注2:消費税等の税率が8%又は10%になった場合での金額であり、 それ以外の場合(経過措置の適用で旧税率が適用になっている場合や個人間の売買契約による場合も含む)には平成26年1月~3月と同じになります。
なお、 住宅を取得・居住した年に勤務先から転任の命令等やむを得ない事由により転居した場合における再居住の特例として、 居住年に一時転居しその年の12月31日までの間に再び居住した場合には、 継続居住とみなされ当該税額控除の適用対象となります。
上記の住宅ローン特別控除に対して、2020年(令和2年)度税制改正で、特例特別控除が創設されており消費税率10%が適用される住宅取得等(新築、中古、増改築等)をして、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住に供された場合に、住宅ローン控除として従来の10年目の適用期間を3年延長され、適用年の11年目から13年目までの各年の控除額については、以下の①又は②のいずれか少ない金額とされます(適用年の1年目から10年目までは現行と同様)。この居住要件が、上述の通り2021年(令和3年)度税制改正により、令和2年12月31日までが令和3年12月31日へと1年延長となりました。
(1) 一般住宅
①  住宅借入金等の年末残高(4千万円を限度)× 1%
② (住宅取得等の対価金額 - 対価金額に含まれる消費税額等){4千万円を限度}× 2% ÷ 3 
(2) 認定長期優良住宅
①  住宅借入金等の年末残高(5千万円を限度)× 1%
② (住宅取得等の対価金額 - 対価金額に含まれる消費税額等){5千万円を限度}× 2% ÷ 3 
*:居住と非居住に供する部分がある場合には、居住に占める床面積割合が控除対象となります。
*:住宅取得等に関し、補助金等の交付金や直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合には、その交付金や贈与額を取得金額から控除する必要はありません。
*:2以上の住宅取得等の場合には、調整計算が必要となります。

2021年6月25日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

勤続5年以下の従業員の退職所得課税の見直し

2021年度の税制改正におきまして、役員以外の従業員が勤続年数5年以下で退職し「短期退職手当等」(特定役員退職手当等の該当以外)を受給する場合で、その退職所得控除後の金額が300万円超の場合には、退職所得計算上の2分の1軽減適用は行われなくなります。この改正は、2022年(令和4年)分以後の所得税から適用です。

退職収入から退職所得控除後の残額従業員の勤続年数
改正(2022年退職より)現行
5年以下5年超
300万円超2分の1適用無し2分の1適用2分の1適用
300万円以下2分の1適用

参考:退職所得計算
(1)一般退職のケース
(退職収入金額-退職所得控除額)×1/2 =退職所得

勤続年数 退職所得控除額
2年以下80万円
3年~20年以下40万円 X 勤続年数(*)
21年以上70万円 X 勤続年数 - 600万円、 又は
70万円 X (勤続年数 - 20年) + 800万円

(*) 勤続年数の1年未満は切上げ。 障害者になって退職された場合には、 控除額に100万円加算。

(2)勤続5年以下の役員退職のケース(特定役員退職手当等)
役員として勤続年数5年以下における退職所得控除額を控除した金額に対する2分の1軽減措置は既に2012年税制改正で廃止となっています。
なお、特定役員退職手当等と一般退職手当等がある場合には、 下記の(イ)と(ロ)の退職所得を合算して計算することになります。
(イ) 特定役員退職所得
 特定役員退職手当等 - 特定役員退職所得控除額 = 特定役員退職所得
特定役員退職所得控除額は、 次の金額の合計額とします。
(a) 40万円 X (特定役員等勤続年数 – 重複勤続年数)
(b) 20万円 X 重複勤続年数
(ロ) 一般退職所得
(一般退職手当等 - 一般退職所得控除額) X 1/2 = 一般退職所得
一般退職所得控除額とは、 退職所得控除額から特定役員退職所得控除額を控除した残額となります。

2021年5月26日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

所得拡大促進税制の概要

令和3年度の税制改正法が3年26日に可決・成立していますが、その中で最近の税制改正で見直しが頻繁に行われています「所得拡大促進税制」に関しましてご紹介しておきたいと思います。資本金1憶円以下の中小企業には、適用要件内容から「所得拡大促進税制」と言い、資本金1憶円超の大企業には、改正前で賃上げ・投資促進税制から「人材確保等促進税制」と言われています。令和3年4月1日以降の開始事業年度から、今回の税制改正が適用となりますので、以下に「所得拡大促進税制」に関しまして改正前後の比較を記載します。
中小企業の適用要件判定において、改正前の継続雇用者給与等支給額(抽出不要となります)から雇用者給与等支給額のみへと見直し、適用期限が2年間延長となり改正内容は、2021年(令和3年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までの開始事業年度に適用となります。

 改正前改正後
適用要件①当期の雇用者給与等支給額>前期の雇用者給与等支給額
②当期の継続雇用者給与等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額
X101.5%
判定には、雇用調整助成金等は控除します。
当期の雇用者給与等支給額≧前期の雇用者給与等支給額X101.5%
(注1)
注1:判定には、雇用調整助成金及びこれに類する額は控除しません。

税額控除(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率15%




下記の①及び②の適用要件を満たす場合には、
(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率25%

①(当期の継続雇用者給与等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額X102.5%
②以下のいずれかを満たす場合
(イ)当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費X110%
(ロ)中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画が実行されていることの証明されている

税額控除額の上限は、当期の法人税額の20%
(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率15%(注2)
注2:税額控除において増加支給額は、雇用調整助成金及びこれに類する額を控除した金額を上限とします。
下記の①及び②の適用要件を満たす場合には、
(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率25%

①(当期の雇用者給与等支給額≧前期の雇用者給与等支給額X102.5%(注1)
②以下のいずれかを満たす場合
(イ)当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費X110%
(ロ)中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画が実行されていることの証明されている

税額控除額の上限は、当期の法人税額の20%

なお、「人材確保等促進税制」との併用は不可です。

「所得拡大促進税制」とは、青色申告法人が、所定の間に開始する各事業年度において国内雇用者に対する給与等支給額に関して、 その法人の雇用者給与等支給増加額に対して、税額控除を認めるというものですので、特に以下の定義を正確に理解する必要があります。
国内雇用者の範囲国内雇用者とは、 役員、役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除く使用人で国内事業所に勤務し賃金台帳に記載されている雇用者(従って、 雇用保険の一般被保険者でない雇用者も含む)
役員の特殊関係者役員の特殊関係者とは、次に掲げる者をいいます。
① 役員の親族 (配偶者、6親等以内の血族、及び3親等以内の姻族)
② 役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
③ 上記以外の者で役員から生計の支援を受けているもの
④ 上記の者と生計を一にするこれらの者の親族
継続雇用者の範囲

継続雇用者の範囲 継続雇用者とは、適用年度(当期)およびその前年度の両方において給与等の支給(24ヵ月間継続)を受けた国内雇用者であり、継続雇用者に係る金額は、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限ります(年齢は65歳未満の国内雇用者)が、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除く、ということになっています。
具体的に継続雇用者とは、
①前期及び当期の全ての月分の給与等の支給を受けた国内雇用者であること
②前期及び当期の全ての期間において雇用保険の一般被保険者であること(加入手続きの有無は関係ありません。又、一般被保険者とは、年齢65歳未満の雇用者です)
③前期及び当期の全ての又は一部の期間において高年齢再雇用者制度の対象となっていないこと
従って、一定の週20時間以上のパート・アルバイトで雇用保険法の適用要件を満たす一般被保険者は含まれます。
つまり、 第1に、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限られますので、
(イ) 正社員、及び
(ロ)パート・アルバイトのうち週所定労働時間が20時間以上で継続して31日以上の雇用が見込まれ一般被保険者になっている者
ということになりますが、 但し、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除くとされていますので、定年が65歳未満の会社で、65歳未満で定年退職した者を対象とする継続雇用制度を採用している会社の場合、定年以降の継続雇用制度の対象者に支給した金額は控除しなければなりません(この対象者の定年後の給与額は、 通常引下げられることとなり会社にとって不利とならない配慮により含めない処置となっています)。
給与等の範囲給料、 賃金、 賞与等で賃金台帳に記載された支給額(非課税とされる通勤手当等の額も含む)のみを対象としますが、 合理的な方法により継続して給与等の支給額を計算している場合には、 これも認められます。 退職金等は対象外です。
雇用者給与等支給額・比較雇用者給与等支給額雇用者給与等支給額とは、適用年度(当期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額。 なお、 控除すべきものとして、 国等から支給を受けた助成金や出向先法人から受けた出向者分の給与負担金受給額、 等は控除します。
なお、 出向先法人では、 その賃金台帳に出向者を記載している時には、 その給与負担金は含まれます。
比較雇用者給与等支給額とは、比較用年度(前期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額。 前期の事業月数が12ヵ月未満の時には、年換算に調整計算を行います。

2021年4月30日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

保険契約の変更(支払保険料の停止):払済保険と失効との違い

保険料の支払いが厳しくなった時には、解約や保険料の減額等が考えられますが、解約返戻金のある保険契約において、保険料の支払いを完全に停止し既払保険料に係る解約返戻金を利用して保険期間を継続(保障保険金は減額)させるという「払済保険」という方法があります。この払済保険に変更した時に税務上の処理は、一旦解約し新規契約したものと見做した処理が要求されます。つまり、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険積立金との差額をその変更した日の属する事業年度の益金の額(又は損金の額)に算入しなければならない点に留意する必要があります。そこで、保険契約を「失効」させることで、この様な解約返戻金の洗替処理を避けることができます。生命保険が失効すると保障を受けられなくなるだけで解約返戻率は維持され保険料の支払いはありません。但し、失効期間(例えば、2年、3年等)には保険会社により異なりますが制限(一定期間の措置)があります。この失効の措置活用も状況に応じて検討することが考えらえます。

2021年3月23日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

令和2年度(2020年) 個人確定申告

個人並びに個人事業者の方の令和2年度確定申告の時期がきました。 以下に、 令和2年度分の確定申告の提出期限及び確定申告の対象となる人(任意ではなく申告しなければならない人)、 等に関しまして概要を纏めてみました。 なお、 確定申告の対象者は前年度と変更はありませんが、 税金の申告は、 本人自ら課税金額や税額を計算し、 その税額を申告納付する制度「申告納税制度」を採用していますので、 期限後申告・納付となりますと延滞税等がかかります。
なお、 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて昨年と同様に確定申告書の提出期限等が、下記の様に延長となっています。

令和2年度確定申告の提出・納付期限

所得の種類令和元年度申告期間・納付期限口座振替による納税日(振替日)
所得税令和3年2月16日(火)から4月15日(木)
なお、還付申告は令和3年1月から可能
5月31日(月)
(新規の利用者の方は「預貯金口座振替依頼書」を申告期限までに要提出)
消費税令和3年1月 から4月15日(木)5月24(月)
贈与税令和3年2月 から4月15日(木)非該当

(1) 申告書の提出方法には、 ①持参(所轄税務署等の所定の提出場所)、 ②郵送、 ③電子申告(e-Tax利用によりデータ送信、この利用には事前準備が必要となりますが、 所得税では一定の第三者作成の提出書類を省略可の恩典があります)、の方法があります。
(2) 納税方法には、 ①持参(所轄税務署)、 ②金融機関から納付書を付けて納付、 ③ダイレクト納付(e-Taxの利用で、 かつ、 事前にダイレクト納付利用届出書の所轄税務署に要提出)、 ④インターネットバンキング・クレジットカードによる電子納税、⑤口座振替(上記を参照) の方法があります。
(3) 平成25年度から25年間には、 復興特別所得税として各年分の所得税額に2.1%の税率を掛けて計算した税額が発生することに留意してください。
(4) 平成28年分以降の確定申告にあたり、 マイナンバー(個人番号)の記載が必要となります。 申告書を書面提出する際には、 申告者のご本人の本人確認書類(番号確認書類及び身元確認書類)の提示又は写しの添付が必要です。 具体的な本人確認書類とは、
① マイナンバーカード(個人番号カード)
② 通知カード又は個人番号付の住民票の場合には、 身元確認書類として顔写真付きの運転免許証、 等の点、 又は顔写真付きでない場合には、 2点の確認書類(保険証、 年金手帳、 等)

A. 所得税
1. 令和2年度確定申告の主な改正・留意事項
(1)給与所得控除及び公的年金等の控除額10万円引下げ
(2)基礎控除額の10万円引上げ
(3)所得金額調整控除の創設
(4)ひとり親控除の創設及び寡婦(寡夫)控除の見直し
(5)医療費控除の明細書の添付義務化
(6)青色申告特別控除の65万円控除の適用要件見直し

2. 令和2年度確定申告が必要となる対象者の方
1. 給与所得者(サラリーマンの方)
① 給与の年間収入金額が2,000万円超となる方(年末調整対象外の方)
② 給与(年末調整済)を1箇所から受けていて、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円超となる方 (給与収入額が2,000万円以下で、 給与・退職所得以外の所得が20万円以下の場合には申告の必要はありません)
③ 給与(源泉徴収済)を2箇所以上から受けていて、 年末調整されなかった給与の収入金額と、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円超となる方。
但し、 給与所得の収入金額から、 一定の所得控除の金額(雑損控除、 医療費控除、 寄付金控除及び基礎控除の項目を除く)の差引金額が150万円以下で、 かつ、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円以下となる方は、 申告不要となります。
2. 上記の給与所得者以外の方、 又は個人事業者で納付税額が発生する方
事業所得や不動産所得等がある方で、 各種の所得金額の合計から各種の所得控除後で計算した税額が、 配当控除よりも多くなる方
3. 源泉徴収の適用を受けない給与等の支払を受ける方
① 家事使用人等の方で給与から源泉所得税を徴収されていない方: 常時2人以下の家事使用人だけを雇用している使用人等には源泉徴収の義務が無いことから、 その使用人等から給与を受給されていた方
② 在日外国公館から給与等の支払を受けた方
③ 国外から給与、 退職金等の支払を受けた方
4. 同族会社の役員やその親族等で、 その会社から給与以外に利子、 家賃、 使用料等の支払を受けている方は、 その利子、 家賃、 使用料等は全て申告の対象  
5. 災害減免法の適用を受け給与に対して源泉徴収の猶予や源泉徴収税額の還付を受けていた方
6. 上記以外の方で納付税額がある方
各種の所得金額の合計から各種の所得控除後で計算した税額が、 配当控除よりも多くなる方
注1: 公的年金等に係る所得の確定申告不要制度
その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、 その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、 かつ、 その雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、 所得税の確定申告書の提出は必要ありません(申告されれば還付となる場合もありますので、 その場合には申告される方が有利となる場合もあります)。 なお、国外源泉で国内源泉税の対象とならない国外年金収入等がある場合には、この確定申告不要制度の適用対象外となります。
この所得税の申告不要となる場合であっても、 住民税の申告が必要となることもありますので注意が必要です。

公的年金等の受給者で所得税の申告不要な者でも、住民税の申告が以下のような場合には必要となります(主に住民税の減額になるケース有り)。
① 年金や給与の源泉徴収票に記載されていない所得控除(扶養控除、障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除、医療費、社会保険料、生命保険料、地震保険料, 寄附金等)のある方は、住民税の申告で住民税が減少する可能性があります。
② 上記①の控除を追加したい方で、公的年金等収入が105万円(65歳以上の方は155万円)を超えている場合(この場合とは、公的年金等以外の合計所得金額が1千万円以下のケース)、或いは、超えていない場合でも公的年金等以外の所得金額がある場合。
③ 日本年金機構等に扶養親族等申告書を提出しているが、その内容に変更がある場合等。

注2: 確定申告不要(任意)となる方で申告すれば税金が戻ってくる方(還付申告者)
確定申告の総件数は2,000万件以上になるようですが、 この内の約半数近くが還付申告のものとなっているようです。 収め過ぎた税金を戻すためには確定申告書の提出が必要となります。 以下の様な場合には、 還付されるかもしれませんので調べてみてはどうでしょうか。
1. サラリーマンで年末調整を受けた方で次の年末調整では取扱わない項目があった方
① 一定金額以上の医療費(医療費控除: 限度額200万円)
生計を一にする家族の支払医療費が、 以下の金額以上になっている場合が対象:
所得が200万円以上: 支払医療費 – 保険給付金等 – 10万円 = 医療費控除額
所得が200万円未満: 支払医療費 – 保険給付金等 – 所得金額 × 5% = 医療費控除額
② 災害(地震、 台風等)や盗難により住宅や家財に被害を受けた場合(雑損控除)
災害の場合には、 災害減免法により所得税の軽減・減免を受けられることもあります。
③ 特定の寄付をされた方(寄付金控除や政党等寄付金特別控除)
④ 初めて住宅ローン控除を受ける方(住宅借入金等特別控除)
⑤ 年末調整時に提出ができなかった、 或いは洩れている控除項目がある方
生命保険料控除、 地震保険料控除、 配偶者特別控除、 各種の扶養者控除等
⑥ 中途退職され再就職しなかった方
退職までの給与収入に対する源泉徴収税額が年税額として過大となっているケースが殆どです。 又、 退職金に対して20%源泉になっている場合も可能性がありますし、退職所得を除く各種の所得の合計額から所得控除を差し引くと赤字になっている方。
2. 上場株式等に係る配当所得(申告分離課税選択)と上場株式等に係る譲渡損失との損益通算
3. 予定納税されたが確定申告不要となった方
4. 所得が少ない状況で配当や原稿料収入等からの源泉徴収税額が、 本来の納付すべき税額よりも多額となっている方
5. 外国税額控除の適用がある方
6. 申告の要件となっている項目がある方
① その年の翌年以降に純損失又は雑損失の繰越控除を受けるため、 ② その年分の純損失の金額について純損失の繰戻しによる還付を受けるため、 ③ 居住用財産の買換又は特定居住用財産の譲渡損失及び繰越控除を受けるため、 等には確定申告の提出が必要となります。

B. 贈与税
ご存知かと思いますが、 下記に示す様に年間に受けた贈与額が110万円以下ならば非課税範囲のために贈与税の申告等は必要ありません。
1. 年間合計で110万円超の財産贈与(個人からの土地、 建物、 現金、 預貯金、 株式、 債権等の財産の贈与)を受けた方(暦年課税で下記の②の選択者を除く)
2. 相続時精算課税制度(60歳以上の父や母の直系卑属からの贈与者ごとに累積で特別控除額2,500万円)の選択者で財産贈与を受けた方(20歳以上の推定相続人の子、 並びに孫に限る)
3. 直近尊属から住宅取得等資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
特定受贈者(贈与年の1月1日現在20歳以上で合計所得金額2,000万円以下の者)が、 その直系尊属(親、祖父母等)から受ける居住用家屋の新築・取得・増改築等用に住宅取得等資金の贈与については、非課税限度額が定められていますが、消費税率の8%から10%への引上日が平成31年10月1日に延期されたことに伴い、 非課税措置の適用期限を令和3年12月31日まで延長し、 非課税限度額は以下のようになります。
① 住宅用家屋の取得価額に消費税率10%の消費税等が含まれている場合 (消費税率10%で契約した者)

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間良質な住宅用家屋(省エネ等住宅)左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅)
平成31年4月~令和2年3月3,000万円2,500万円
令和2年4月~令和3年3月1,500万円1,000万円
令和3年4月~平令和3年12月1,200万円700万円
なお、 東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 以下のようになります。
平成31年4月~令和2年3月
令和2年4月~令和3年12月


3,000万円
1,500万円


2,5000万円
1,000万円

② 上記(1)以外の場合 (消費税率8%で契約した者や個人間売買で中古住宅売買契約した者)
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間良質な住宅用家屋(省エネ等住宅)左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅)
平成28年1月~令和2年3月1,200万円700万円
令和2年4月~令和3年3月1,000万円500万円
令和3年4月~令和3年12月800万円300万円
なお、 東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 以下のようになります。
平成26年度申告対象分
~令和3年12月


1,500万円


1,000万円

4. 配偶者控除の特例(控除額2,000万円)を適用し、 配偶者から居住用不動産又はその取得資金の贈与を受けた方(婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与に限る)
5. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度、等
平成25年4月1日から令和3年3月31日までの期間に直系尊属が30歳未満の子や孫へ教育資金を拠出し、 金融機関(信託会社・信託銀行)、 銀行及び金融商品取引業者に信託等した場合、 受贈者(子・孫)1人当たり1,500万円(学校等以外への支払は500万円)までを非課税とする特例があります。 この制度適用のためには、 受贈者は教育資金非課税申告書を金融機関等を経由して税務署に提出する必要がありますが、 申込時に対応されていると思いますので特に問題となることはないでしょう。

C. 消費税
個人事業者で下記に該当する方は納税義務者(課税事業者)として申告する必要があります。
1. 基準期間となる前々年度(平成30年度)の課税売上高が1,000万円超の事業者の方
2. 特定期間となる前年(令和元年度)の1月1日から6ケ月間の課税売上高が1,000万円超で、 かつ、 同期間の給与等支払総額が1,000万円超の事業者の方
3. 免税事業者となる方が、 課税事業者となることを選択(消費税課税事業者選択届出書を事前に提出)している方(簡易課税選択者も含む)
納税義務者の判定上の留意事項:
(1) 基準期間の課税売上高は、 消費税込の金額となり、 事業用資産(住宅用として貸付けていた建物等)の譲渡の対価金額も含まれます。
(2) 被相続人(亡くなられた方)の事業を相続により承継した相続人には、 被相続人が提出していた各種の届出書の効力は及ばないので、 新たに提出する必要があります。
(3) 新規開業又は相続により事業を承継したときに、 消費税課税事業者選択届出書を提出した場合の適用開始時期は、 当該課税期間か翌課税期間かを選択できます。
(4) 消費税課税事業者選択届出書を提出されている場合には、 「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り、 その効力が消滅することはありません。

以上が、所得税、贈与税、消費税に関する確定申告の対象者の概要です。 

2021年2月12日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

2021年度(令和3年度)税制改正大綱:法人税

2020年(令和2年)12月10日に自民、公明党の両党は2021年度(令和3年度)の与党税制改正大綱が発表されました。以下は、その法人税の改正大綱の概要となります。

法人税
1.中小企業における所得拡大促進税制の見直し
中小企業の適用要件判定において、継続雇用者給与等支給額(抽出不要となります)
から雇用者給与等支給額へと見直し、適用期限が2年間延長となり改正内容は、2021年(令和3年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までの開始事業年度に適用となります。

改正前改正後
適用要件①当期の雇用者給与等支給額>前期の雇用者給与等支給額
②当期の継続雇用者給与等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額X101.5%
当期の雇用者給与等支給額≧前期の雇用者給与等支給額X101.5%(注1)
注1:判定には、雇用調整助成金及びこれに類する額は控除しない。
税額控除(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率15%




下記の①及び②の適用要件を満たす場合には、
(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率25%

①(当期の継続雇用者給与等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額X102.5%
②以下のいずれかを満たす場合
イ当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費X110%
ロ中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画が実行されていることの証明されている
税額控除額の上限は、当期の法人税額の20%
(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率15%(注2)
注2:税額控除において増加支給額は、雇用調整助成金及びこれに類する額を控除した金額を上限とします。


下記の①及び②の適用要件を満たす場合には、
(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率25%

①(当期の雇用者給与等支給額≧前期の雇用者給与等支給額X102.5%(注1)

②以下のいずれかを満たす場合
イ当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費X110%
ロ中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画が実行されていることの証明されている

税額控除額の上限は、当期の法人税額の20%

2.大企業における賃上げ・投資促進税制の見直し
大企業の適用要件判定において、継続雇用者給与等支給額(抽出不要となります)から新規雇用者給与等支給額へと見直し、適用期限が2年間延長となり改正内容は、2021年(令和3年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までの開始事業年度に適用となります(但し、設立事業年度は対象外)。

  改正前改正後
適用要件賃上要件:
①当期の雇用者給与等支給額>前期の雇用者給与等支給額
②当期の継続雇用者給与等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額X103%
賃上要件:
①当期の雇用者給与等支給額>前期の雇用者給与等支給額
②当期の新規雇用者給与等支給額≧前期の新規雇用者給与等支給額X102%(注1)
設備投資要件:
当期の国内設備投資額≧当期の減価償却費総額X95%(令和2年4月1日以前の開始事業年度は90%)
廃止
税額控除(当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)X税額控除率15%

控除率の上乗せ:
下記の教育訓練費の適用要件を満たす場合には、税額控除率は20%となります。
当期の教育訓練費≧前期及び前々期教育訓練費の平均額X120%の場合
税額控除額の上限は、当期の法人税額の20%
控除対象新規雇用者給与等支給額X税額控除率15%(注2)


控除率の上乗せ:
下記の教育訓練費の適用要件を満たす場合には、税額控除率は20%となります。
当期の教育訓練費≧前期教育訓練費X120%の場合
税額控除額の上限は、当期の法人税額の20%
新規雇用者給与等支給額とは注1:新規雇用者給与等支給額とは、国内事業者で新たに雇用した雇用保険法の一般被保険者等に対してその雇用から1年以内に支給する給与額(一般被保険者のみが対象とし、支配関係がある法人からと海外から異動した者を除く)。なお、当該支給額からは、雇用調整助成金及びこれに類する額を控除しない。
控除対象新規雇用者給与等支額とは注2:控除対象新規雇用者給与等支
給額とは、国内事業者で新たに雇用した者等に対してその雇用から1年以内に支給する給与額(労働者名簿に記載された者が対象:一般被保険者、高年齢被保険者等)。なお、当該支給額からは、雇用調整助成金及びこれに類する額を控除します。
但し、当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額の増加額が上限となります。
又、法人事業税(外形標準課税)の計算において、改正後の適用要件(注1の増加割合2%以上)を満たすときは、控除対象新規雇用者給与等支給額を付加価値割の課税標準から控除することとなる。なお、
中小企業者等については、一定の要件を満たせば適用できる法人税の税額控除を、法人住民税の計算においても税額控除の適用があります。

3.中小企業者等の法人税軽減税率の特例期限延長
中小企業者等の年所得800万円以下の部分に適用される法人税の軽減税率15%(本則課税:19%)の適用時期が、2年間延長され、2023年(令和5)年3月31日までに開始する事業年度となります。

4.中小企業投資促進税制の期限延長と見直し
(1)適用期限を2年延長(2023年(令和5)年3月31日まで)となります。
(2)指定対象事業に以下業種が追加されます。
イ 不動産業
ロ 物品賃貸業
ハ 料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)
(3)対象法人に商店街振興組合が追加、等

5.特定中小企業者等の経営改善設備の税制(商業等活性化税制)
特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度を適用期限到来時(2021年(令和3年)3月31日までの期間に取得等)に廃止となります。

6.中小企業経営強化税制の新たな類型
中小企業経営強化税制について、関係法令の改正を前提に、特定経営力向上設備等の対象に計画終了時に修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画(経営資源集約化措置が記載されたものに限る)を実施するために必要不可欠な設備を追加し、適用期限を2年延長(2023年(令和5)年3月31日まで)となります。

7.中小企業の経営資源の集約化に資する税制創設(中小企業事業再編投資損失準備金制度)
(1)中小企業事業再編投資損失準備金の繰入
M&Aに関する経営力向上計画(経営資源集約化措置が記載されたものに限る)の認定を受けた中小企業者が、他の法人の株式等の取得(購入の取得に限り、取得価額が10億円以下に限る)し、その取得の事業年度末まで継続保有している場合において、株価下落の損失(簿外債務、偶発債務等のリスク)に備える為、株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業再編投資損失準備金として積立てたときは、損失算入を認められます。
(2)中小企業事業再編投資損失準備金の取崩
積立てた準備金は、その株式の売却、帳簿価額の減額等で取崩す他、5年間の据置期間経過後、原則として5年間で均等額を取崩して益金算入する。
(3)適用要件
中小企業経営強化法の改正施行日から2024年(令和6年)3月31日までの間に、経営力向上計画の認定を受ける必要があります。

8.デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設
企業の持続的成長のためにデジタルトランスフォーメーション(DX:デジタル技術<D>
を活用した企業変革<X>)が重要となってくることを踏まえ、新規ビ ジネスの構築等に関する計画(事業適応計画))に基づく、持続性・クラウドの利用・レガシーシステムからの脱却・サイバーセキュリティーといった点が確保された「事業変革デジタル投資」を促進することを目的として、産業競争力強化法の改正により認定を受けた「事業適応計画」に基づき、2023年(令和5年)3月31日までの間にソフトウェアの新設若しくは増設し、又はソフトウェア利用に係る費用(繰延資産に限る)を支出した時には、取得価額の30%の特別償却又は取得価額の3%(グループ外の事業者とデータ連携する場合は5%)の税額控除との選択適用ができる。

適用対象者①青色申告法人で産業競争力強化法の改正による「事業適応計画」について認定を受けること
②事業適応用の為の必要な事業適応設備を取得等し、国内事業に供していること
対象資産事業適応設備となるソフトウェア、繰延資産、機械装置、器具備品(開発研究用資産を除く)
なお、当該支出金額の合計額で300億円が上限となります。
税制の選択適用特別償却: 取得価額X30%
税額控除: 取得価額X3%(グループ外の事業者とデータ連携する場合は5%)
但し、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制による税額控除との合計で、当期法人税額の20%が上限となります。

9.カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設
2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」という高い目標に向けて、 産業競争力強化法において規定される予定の「中長期環境適応計画」の認定を受けた法人が、2024年(令和6年)3月31日までの間に同計画に従って導入される一定の設備等の取得等をし、国内にある事業の用に供 した場合、取得価額の50%の特別償却又はその取得価額の5%(温室効果ガス削減が著しく資するものは10%)の税額控除との選択適用ができる。

適用対象者①青色申告法人で産業競争力強化法の改正による「中長期環境適応計画」について認定を受けること
②当該計画に記載された中長期環境適応生産性向上設備又は中長期環境適応需要開拓製品生産設備の取得等し、国内事業に供していること
対象資産一定の①中長期環境適応生産性向上設備、②中長期環境適応需要開拓製品生産設備事業適応設備
なお、当該取得金額の合計額で500億円が上限となります。
税制の選択適用特別償却: 取得価額X50%
税額控除:①原則 取得価額X5%
②温室効果ガス削減が著しく資するものについては、その取得価額X10%
但し、デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制による税額控除との合計で、当期法人税額の20%が上限となります。

10.繰越欠損金の控除上限の特例創設
青色申告書を提出する法人が、産業競争力強化法の改正法の施行日から1年以内に「事業適応計画」の認定を受けた場合には、「適用事業年度」における「特例対象欠損金額」がある場合には、翌期以後、最大で5年間、欠損金の繰越控除前の所得の金額(その所得の金額の50%を超える部分については、「累積投資残高」に達するまでの金額とする)の範囲内で損金算入することができる特例制度が創設される。

「適用事業年度」とは下記のいずれにも該当する事業年度
①特例対象欠損金額が生じた事業年度のうちその開始の日が最も早い事業年度後の事業年度で、所得の金額が生じた最初の事業年度(基準事業年度)開始の日以後5年以内に開始した事業年度
②事業適応計画の実施時期を含む事業年度
➂2026年(令和8年)4月1日以前に開始する事業年度
「特例対象欠損金額」とは2年 間(2020年(令和2)年4月1日から2021年(令和3年)4月1日までの期間内の日を含む事業年度(一定の場合には、2020年(令和2年)2月1日から 同年3月31日までの間に終了する事業年度及びその翌事業年度)において生じた青色欠損金額
「累積投資残高」とは事業適応計画に従って行った投資の額から、既に本特例により欠損金の繰越控除前の所得の50%を超えて損金算入した欠損金額を控除した金額

11.株式対価M&Aを促進するための措置創設
自社株式を対価として行われるM&Aについて、買収対象会社株主である法人及び個人が会社法の株式交付制度により、買収対象会社株式を譲渡し、買収会社の株式等の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益に対する課税を繰り延べるものとする。 その際、自社株式に併せて金銭等を交付するいわゆる混合対価を一定程度認めるとともに、期限の定めのない措置とする。
混合対価につき、譲渡損益の繰延べは、対価として交付を受けた資産の価額のうち株式交付親会社の株式の価額が80%以上である場合に限るものとして、株式交付親会社の 株式以外の資産の交付を受けた場合には株式交付親会社の株式の対応する部分の譲渡損益の計上を繰り延べる。

12.地域未来投資促進税制の見直し
地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(地域未来投資促進税制)を見直した上、適用期限を2年延長する。

13.試験研究費の税額控除制度(研究開発税制)の見直し
活発な研究開発を維持するための研究開発税制の以下の事項に関して見直しがありました。
① 総額型及び中小企業技術基盤強化税制の見直し
② オープンイノベーション型の対象範囲の追加等
③ 自社利用ソフトウェアに係る試験研究費の追加

(1)総額型
2年前に高水準型は廃止され、試験研究費が高い水準の企業に対する税額控除率の割増措置を総額型に創設することによって、総額型に統合されています。

⓵ 税額控除率

改正前(6%~14%)改正後(2%~14%)
増減試験研究費割合>8%の場合(上限14%):
9.9%+(増減試験研究費割合-8%)X0.3
増減試験研究費割合>9.4%の場合(上限14%):
10.145%+(増減試験研究費割合-9.4%)X0.35
増減試験研究費割合≦8%の場合(下限6%):
9.9%+(8%-増減試験研究費割合)X0.175
増減試験研究費割合≦9.4%の場合(下限2%):
10.145%+(9.4%-増減試験研究費割合)X0.175
高水準型の廃止に伴う上乗せ措置
試験研究費割合>10%の場合:
上記税額控除率X{(試験研究費割合-10%)X0.5}(上限10%)
同左

⓶ 控除上限額

改正前(25%~35%)改正後(25%~40%)
試験研究費割合≦10%の場合:
法人税額の25%
同左
試験研究費割合>10%の場合:
法人税額の25%+法人税額X{(試験研究費割合-10%)X2}

上乗せ後、最大、法人税額X35%
試験研究費割合>10%の場合:
法人税額の25%+法人税額X{(試験研究費割合-10%)X2
更に、以下の要件を全て満たした場合、法人税X5%の上乗せ
イ 基準年度に比べて当期売上高が2%以上減少
ロ 基準年度に比べて試験研究費が増加
ハ 基準年度とは、2020年(令和年2年)2月1日前に終了した最後の事業年度

上乗せ後、最大、法人税額X4

2)中小企業技術基盤強化税制
⓵ 税額控除率

改正前(12%~17%)改正後(12%~17%)
増減試験研究費割合>8%の場合(上限17%):
12%+(増減試験研究費割合-8%)X0.3
増減試験研究費割合>9.4%の場合(上限17%):
12%+(増減試験研究費割合-9.4%)X0.35
増減試験研究費割合≦8%の場合:
12%
増減試験研究費割合≦9.4%の場合:
12%
試験研究費割合>10%の場合:
上記税額控除率X{(試験研究費割合-10%)X0.5}(上限10%)
同左

⓶ 控除上限額

改正前(25%~35%)改正後(25%~40%)
増減試験研究費割合≦8%の場合:
法人税額の25%
増減試験研究費割合>8%の場合:
法人税額の35%

上乗せ後、最大、法人税額X35%
増減試験研究費割合≦9.4%の場合:
法人税額の25%
増減試験研究費割合>9.4%の場合:
法人税額の35%
更に、以下の要件を全て満たした場合、法人税X5%の上乗せ
イ 基準年度に比べて当期売上高が2%以上減少
ロ 基準年度に比べて試験研究費が増加
ハ 基準年度とは、2020年(令和年2年)2月1日前に終了した最後の事業年度

上乗せ後、最大、法人税額X40%

以上

2021年1月31日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

2021年度(令和3年度)税制改正大綱

2020年(令和2年)12月10日に自民、公明党の両党は2021年度(令和3年度)の与党税制改正大綱が発表されました。以下は、その改正大綱の概要(所得税、贈与税・相続税、消費税、納税環境整備)となります。法人税については次月に記載します。

個人所得税
1.住宅ローン控除特例の特別控除
消費税率10%で住宅の特別特例取得に該当し、以下の諸条件を満たす場合には、2022年末までの入居により住宅ローン控除期間の3年間延長特例(控除期間13年間)が認められます。
改正は、2022年(令和4年)1月1日以後の確定申告提出から適用。
(1)特別特例取得の要件(①と②)

① 住宅取得の区分② 契約締結の期限居住開始の期間
ィ 新築注文住宅2020年(令和2年)10月1日~2021年(令和3年)9月30日の期間2021年(令和3年)1月1日~2022年(令和4年)12月31日の期間
ロ 分譲住宅・マンション・既存中古住宅・増改築等2020年(令和2年)12月1日~2021年(令和3年)11月30日の期間

(2)住宅の床面積と合計所得金額の要件
特別特例の場合原則の場合
住宅の床面積40㎡以上50㎡以上
合計所得金額1,000万円以下3,000万円以下

注:住宅ローン減税は4千万円を上限に年末の借入残高の1%を所得税額から控除するという仕組みです。

2.同族会社発行の社債利子及び社債償還金に対する課税区分の変更
同族会社(50%超保有)関係にある個人及びその親族等が、その会社の同族会社から社債利子及び社債償還金に対しては、分離課税から総合課税の対象に変更となります。
改正は、2021年(令和3年)4月1日以後の支払分から適用。

3.セルフメディケーション税制の適用期限延長
対象となる医薬品範囲の見直し、適用期限を5年延長する。又、取組を明らかにする「取組関係書類」の提出等は不要となります。
改正は、2022年(令和4年)1月1日以後の提出分から適用。

4.勤続5年以下の従業員の退職所得課税の適正化
従業員が勤続年数5年以下で退職し「短期退職手当等」(特定役員退職手当等の該当以外)を受給する場合で、その退職所得控除後の金額が300万円超の場合には、退職所得計算上の2分の1軽減適用ができなくなります。

退職収入から退職所得控除後の残額従業員の勤続年数
改正現行
5年以下5年超
300万円超2分の1軽減適用無し2分の1軽減適用2分の1軽減適用
300万円以下2分の1軽減適用

改正は、2022年(令和4年)分以後の所得税から適用。

5.個人住民税:特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額の全所得に対して源泉分離課税選択における確定申告における附記事項記載
個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額の全所得に対して源泉分離課税選択(申告不要)とする場合、原則、確定申告における個人住民税に係る附記事項追加で申告手続きの完結となります。

6.確定拠出年金掛金上限額の見直し
確定給付企業年金加入者は、次の掛金上限となります。
(1)企業型確定拠出年金の掛金上限額
現行の月額27,500円を月額55,000円から確定給付企業年金掛金を控除した金額が上限となります。
(2)個人型確定拠出年金の掛金上限額
現行の月額12,000円を月額55,000円から確定給付企業年金掛金と確定拠出企業年金掛金の合計額を控除した金額が上限となります(但し、上限月額20,000円)。

贈与税・相続税(資産税)
1.一時居住者の国外財産課税の見直し(贈与税・相続税)
国内に短期的に居住する在留資格を有する者、国外に居住する外国人等が、相続開始時又は贈与時に国内に居住する在留資格者からは、取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課税しないことになります。これまでは、被相続人又は贈与者の居住期間が相続・贈与前15年以内に国内居住期間の合計が10年以下である場合に限り、国外財産には課税されないことになっていましたが、改正により国内の居住期間には縛りがなくなります。
なお、「在留資格」とは、出入国管理及び難民認定法別表第一の上欄の在留資格をいいます。

2.直系尊属から住宅取得等資金贈与の非課税措置等の見直し(贈与税)
(1)非課税期間の延長
現行の非課税措置では、2021年(令和3年)4月より非課税限度額が縮減されることになっていましたが、2021年(令和3年)4月1日から同年12月31日までの間に、耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋の新築等(良質な住宅)に係る契約を締結した場合における非課税限度額が、次のとおり、同年12月末まで据え置くことになりました。

住宅新築等の契約締結日2020年2021年
1月~3月4月~12月1月~3月4月~12月
良質な住宅(消費税率10%)30百万円15百万円15百万円15百万円
(改正前12百万円)
その他の良質な住宅12百万円10百万円10百万円10百万円
(改正前8百万円)
一般住宅(消費税率10%)10百万円10百万円10百万円10百万円
(改正前7百万円)
その他の一般住宅7百万円5百万円5百万円5百万円
(改正前3百万円)

改正は、2021年(令和3年)1月1日以後の贈与に適用。

(2)相続時精算課税制度の特例適用時の床面積要件の下限引下げ
受贈者が贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が 1,000万円以下である場合に限り、床面積要件の下限が40㎡以上(現行:50 ㎡以上)に引下げられる。

贈与年度の合計所得金額登記簿上の専有部分の床面積基準
改正前改正後
10百万円以下50㎡以上240㎡以下40㎡以上240㎡以下
10百万円超20百万円以下50㎡以上240㎡以下

改正は、2021年(令和3年)1月1日以後の贈与に適用。

3.直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の見直し
次の措置を講じた上、その適用期限が2023年(令和5年)3月31日まで2年延長されます。
(1)信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、その死亡の日までの年数(改正前は贈与者死亡前3年以内の贈与に係る残額)にかかわらず、同日における管理残額(非課税拠出額-教育資金支出額)を、受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなされる。但し、その死亡の日において受贈者が、以下のいずれかに該当する場合には除かれます。
①23歳未満である場合
②学校等に在学している場合
③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
(2)上記(1)により相続等により取得したものとみなされる管理残額につき、贈与者の子以外の直系卑属(孫、ひ孫)に相続税が課される場合には、当該管理残額に対応する相続税額が、相続税額の2割加算の対象とされる(改正前は2割加算適用無し)。
上記の改正は、2021年(令和3年)4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用。

4.直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の見直し
次の措置を講じた上、その適用期限が2023年(令和5年)3月31日まで2年延長されます。
(1)贈与者から相続等により取得したものとみなされる管理残額(非課税拠出額-結婚・子育て資金支出額)につき、当該贈与者の子以外の直系卑属(孫、ひ孫)に相続税が課される場合には、当該管理残額に対応する相続税額が、相続税額の2割加算の対象となります(改正前は2割加算適用無し)。
改正は、2021年(令和3年)4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用。
(2)民法の成年年齢の引き下げに伴い、受贈者の年齢要件の下限を18歳以上50歳未満(現行:20 歳以上50歳未満)に引き下げる。
改正は、2022年(令和4年)4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用。

5.土地の固定資産税等の負担調整措置(課税標準額・税額)の据置き
2021年(令和3年)は、3年に一度の固定資産税評価額の見直しの年度であるが、評価増になった場合には、所要の負担調整措置を行う。

2021年(令和3年)固定資産税評価額の増減状況固定資産税評価額の取扱い
評価額が増加した場合①2021年(令和3年)に限り、前年の2020年(令和2年)と同額とする
②2022年(令和4年)以降は、段階的に引き上げる負担調整措置を2023年(令和5年)まで継続する
評価額が減少した場合減少した評価額に基づき課税

6.非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度における後継者役員要件の見直し
特例制度における後継者の役員要件を以下の様に見直します。
改正前改正後
原則後継者が被相続人の相続開始前の直前において役員である必要がある
例外先代経営者である被相続人が60歳未満で死亡した場合には、役員要件不要とする先代経営者である被相続人が70歳未満で死亡した場合には、役員要件不要とする(一般制度も同様)
無し後継者が特例承継計画に特例後継者として記載されている者である場合には、役員要件不要とする

消費税
1.課税売上割合に準ずる割合承認申請期限の見直し
消費税の仕入控除税額の計算について、課税売上割合に準ずる割合を選択したい場合には、その課税期間末日までに承認申請書を提出し、末日から1ヵ月以内に税務署長の承認を受けた場合には、当該承認申請書の提出日に属する課税期間から当該準ずる割合を用いることができる。

納税環境整備
1.税務関係書類の押印義務の見直し
以下の税務関係書類を除き、押印が不要となります。
(1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち、遺産分割協議書
改正は、2021年(令和3年)4月1日以後に提出する税務関係書類から適用。なお、同日以前においても、押印がなくとも改めて求めない。
従って、次の様な書類には押印が不要となります。
確定申告書・修正申告書・更正の請求、給与所得者の扶養控除等申告書、給与所得者の保険料控除申告書、国税・地方税の各種届出書・申請書、等

以上。

2020年12月25日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

償却資産の申告(固定資産税): 申告書提出期限1月末

1. 固定資産税とは
固定資産税とは、1月1日現在で国内に土地、家屋又は償却資産(事業用資産)の固定資産を所有している者に対し、当該固定資産の評価額を基に算定された税額を資産の所在する市区町村(東京23区内は特例で区でなく都が課税)が課する地方税をいいます。
課税対象のうち、土地と家屋については登記簿等で市区町村では実在を確認できることになりますが、償却資産は毎年1月1日に所有しているものを自己申告を通じて、固定資産(償却資産)課税台帳に登録され課税されることになります。

なお、2021(令和3)年分の固定資産税・都市計画税において、新型コロナウイルス感染症の影響で売上収入(事業収入)が大幅に減少している中小企業者・小規模事業者(法人・個人事業者)の納税負担を軽減するために、固定資産税・都市計画税を減免(売上の減少率によって全額免除または1/2減免)する制度が創設されていますので、その内用は後述しています。

2. 固定資産税(土地・家屋)
土地と家屋については、登記事項のため市区町村は、その登記簿等に基づいて固定資産税を計算し、1月1日現在の所有者に納税通知書と同時に課税明細書が5月末前後に送られてきますので、当所有者は申告等の手続の必要はありません。
税率はいずれも1.4%であり、土地は課税標準額に、家屋は課税台帳に登録されている価格に掛けて税額が算定されます。なお、市区町村内に所有する固定資産の課税標準額が、土地30万円、家屋20万円未満の場合には、固定資産税は課税されません。
納期は年4回(6月、9月、12月、2月:市区町村によっては1ヶ月早まるところもあります)です。土地とは、田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野等です。家屋とは、住宅、店舗、工場、倉庫等です。

3. 固定資産税(償却資産)
償却資産とは、土地と家屋以外の事業用に供している減価償却対象資産のものをいいます。1月1日現在で償却資産を事業用に使用している所有者(法人や個人事業者)は、所定の申告書を作成し、1月31日までに償却資産の所在する市区町村ごとに提出しなければなりません。課税対象が償却資産に対する税金ということで償却資産税とも言われています。

(1)償却資産の対象(課税資産)
法人や個人で事業を行っている方で事業のために使用している減価償却の対象資産のうち、その取得価額が一定金額以上のものについては、償却資産となります。具体的には、以下のようなものが償却資産となっています。

① 構築物
舗装路面、庭園、門・塀・緑化施設等の外構工事、看板(広告塔等)、ゴルフ練習場設備等、並びに建物付属設備(受変電設備、予備電源設備、その他建築設備、内装・内部造作等)
② 機械及び装置
各種製造設備等の機器及び装置、クレーン等建設機械、機械式駐車設備等
③ 船舶
ボート、釣船、漁船、遊覧船等
④ 航空機
飛行機、ヘリコプター、グライダー等
⑤ 車両及び運搬具
大型特殊自動車、構内運搬車,貨車、客車等
⑥ 工具、器具及び備品
パソコン、陳列ケース、看板(ネオンサイン)、医療機器、測定工具、金型、理容及び美容機器、ルームエアコン、自動販売機等

以下の資産も償却資産として申告の対象になります。
・ 建設仮勘定で処理されている資産、簿外資産及び償却済資産であっても、1月1日現在で事業用に供することができる場合
・ 遊休又は未稼働の資産であっても、1月1日現在で事業用に供することが出来る状態にある場合
・ 耐用年数が1年未満又は取得価額が10万円未満の資産であっても、有形固定資産として計上し、減価償却している場合
・ 青色申告の中小企業法人・個人事業者については、取得価額が30万円未満の資産を一時に損金算入する処理(少額資産償却特例)がなされていても、この特例は国税(法人税・所得税)に関する制度であり、この地方税の固定資産税には適用されません。従って、この資産は固定資産税の申告対象となります。
その他、 所有権が留保されている資産(賃貸資産、 等)

(2)償却資産の非課税資産
償却資産の対象とならないものは、次のとおりです
(1) 土地や建物(いずれも登記対象資産であることから、 所有者を把握できますので敢えて償却資産として申告の対象にしていません)
(2) 自動車税・軽自動車税の課税対象(2重課税の排除)
(3) 無形固定資産(特許権、 営業権、 ソフトウェア等)
(4) 繰延資産
(5) 生物(観賞用、 興行用その他これらに準ずる生物は除く)
(6) 金額的に少額資産と言われる下記の資産:
① 取得価額が10万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたもの
② 取得価額が10万円以上20万円未満の資産で、 税務上、 3年間で一括償却しているもの
注1: 租税特別措置法の規定により、 一定の中小企業に対する特例を適用して、 取得価額が30万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたものでも、償却資産の申告対象になっています。
注2: 上記以外の資産で企業や個人で事業を行なっている方が事業のために用いることができる資産、 即ち、 構築物、 機械及び装置、 船舶、 航空機、車両及び運搬具、 工具・器具及び備品で有形減価償却資産が対象となります。 次のものも償却資産の対象となります。
(1) 建設仮勘定で計上されている資産、 簿外資産及び償却済資産であっても事業用に供することができるもの
(2) 遊休又は未稼働のものであっても事業用に供することができるもの
(3) 改良費(資本的支出)
(4) 家屋に施した建築設備・造作等のうち、 償却資産として取り扱うもの
建築設備における家屋(建物・建物附属設備)と償却資産とを区分して評価することになります。 家屋と設備の所有者が同一の場合に、 償却資産として取り扱うものは次の要件を満たすものです。
① 構造的に家屋と一体的でないもの (野外給水塔、 独立煙突等)
② 家屋から独立した機械及び装置として性格の強いもの (受・変電設備)
③ 特定の生産又は業務に使用されるもの (動力用配線設備等)
④ 単に移動を防止する程度に家屋に取り付けられたもの (ルームエアコン等)
⑤ 顧客の求めに応ずるサ-ビス設備

(4)固定資産税額等の算出方法(資産が所在する所轄の市区町村ごとに行ない、 申告書を作成します)
(1) 評価価額の算出方法
① 取得初年度
評価価額 = 取得価額 X 耐用年数に応ずる減価率 X 1/2(50%)
② 取得後2年目以降
評価価額 = 前年度の評価価額 X 耐用年数に応ずる減価率
(2) 固定資産税額の算出方法
① 課税標準額の集計(1,000円未満切捨て)
各資産の評価価額を集計(合算)した額が課税標準額(決定価格となります)です。
課税標準額が150万円未満の場合には、 固定資産税は課税されません。
② 税額の計算
固定資産税額(100円未満切捨て) = 課税標準額(1,000円未満切捨て) X 税率(1.4%)

(5)償却資産の申告
所定の償却資産申告書、 種類別明細書、 等の書類を資産の所在する市区町村ごとに作成し、 1月末までに提出(申告)することになります。 申告方式には、 以下の2方法がありますが、通常は一般方式を採用しています。
その方式とは、 前年中(申告対象年度)に増加又は減少した資産内容を申告するのみで、 評価額、 税額等は所管事務所で行う方式です。
注1: 前年中に増加又は減少した資産が無い場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「増減なし」等を付記します。
注2: 事業を行なっていますが、 対象償却資産を所有されていない場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「該当資産なし」を付記します。

 2021(令和3)年分の固定資産税・都市計画税の減免特例について
新型コロナウイルス感染症の影響で売上収入(事業収入)が大幅に減少している中小企業者・小規模事業者(法人・個人事業者)の納税負担を軽減するために、固定資産税・都市計画税を減免(売上の減少率によって全額免除または1/2減免)する制度が創設されています。

1.対象者・減免率
中小企業者・小規模事業者で2020年2~10月のうち連続する3ヵ月間の売上が、以下の様に前年同期比でどのくらい減少したかにより決まります。

2020年2~10月のうち連続する3ヵ月間の売上減少率(前年同期比)減免率
30%以上~50%未満の売上減少率の場合1/2に軽減
50%以上の売上減少率の場合全額免除

中小企業者・小規模事業者(法人・個人事業者)とは、
・資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
・資本または出資を有していない法人のうち従業員1000人以下の法人
・従業員1000人以下の個人事業者
但し、法人のうち、大企業の子会社は対象外となります。

2.減免対象資産と税目
以下のものが減免対象資産ですが、土地は対象外です。
① 事業用家屋および設備等の償却資産に対する固定資産税(通常、取得額または評価額の税率1.4%)
② 事業用家屋に対する都市計画税(通常、評価額の税率0.3%)
以上から土地に対する固定資産税等は対象外

3.減免の申請方法
(1)税理士や公認会計士といった認定経営革新等支援機関等(等には、認定機関ではない税理士、公認会計士等も含みます)に確認依頼(申請対象の法人・個人事業者であることの確認、売上収入の減少状況の確認、特例対象資産・事業割合の確認)を行い、確認書の発行を受ける。

* 認定経営革新等支援機関等への確認申請書類に関して:
認定経営革新等支援機関等による確認として、該当する事業者は下記の書類が必要となりますが、対象資産・設備の所在する各地方自治体が定める申告書様式となります。
(イ)中小事業者等(個人、法人)であること等が確認できる書類
個人事業者の場合:
①常時使用する従業員数が1,000人以下である旨の誓約書
②性風俗関連特殊営業を行っていない旨の誓約書
法人の場合:
①資本金がわかる登記簿謄本の写し等
②大企業の子会社でない旨の誓約書
③性風俗関連特殊営業を行っていない旨の誓約書
(ロ)事業収入の減少がわかる下記の資料
会計帳簿等で、2020年2月~10月までの任意の連続する3月の期間の事業収入が前年同期間と比べて30%以上減少していることが確認できる資料
(ハ)特例対象家屋の居住用・事業用割合がわかる資料(個人事業者の場合)
所得税の青色・白色申告決算書等で、特例対象家屋の居住用・事業用割合のわかる資料
①青色申告の場合は「所得税青色申告決算書」の「減価償却費の計算」における「事業専用割合(%)」
②白色申告の場合は「収支内訳書」の「減価償却費の計算」における「事業専用割合(%)」
当該確認申請の手続きは開始されています。

(2)減免の申請期限となる2021年1月末までに納税する各市町村に必要書類(確認書及び確認用に提出した書類一式の添付)とともに軽減を申請する。

4.減免申請上の留意事項等
(1)軽減を申告する資産は2021年1月1日時点(賦課期日)の資産と一致している必要がありますので、2020年中に新たに資産を取得する予定がある場合は、取得後に申請をする必要があります。仮に、認定支援機関の確認後、特例対象資産に変更が生じた場合、再度確認を受ける必要があります。
(2)複数の市町村に対象資産が存在
複数の市町村に固定資産税等を納付している場合は、それぞれの市町村に申告する必要があります。
(3)開業間もないことから事業収入の前年同期比が出来ない事業者
前年同期の比較が出来ないことから、対象外となります。
(4)事業用家屋
非居住用家屋であって、一般的には工場等の事業用の建屋等が想定されています。
(5)土地
土地は軽減対象となっていません。軽減対象は、事業用家屋と償却資産となっています。
(6)個人所有の家屋及び償却資産
個人事業ではない個人所有のものは軽減対象外です。なお、個人(会社の経営者等)が会社に家屋を貸している場合、個人事業として自ら事業を行い、当該事業収入減少要件等を満たせば対象となり得ます。
(7)事業収入
純粋は収益事業における売上高となります。給付金、補助金、事業外収入は含みません。
(8)複数の事業・店舗
全ての事業・店舗に係る事業収入で事業収入の減少判定を行います。

以上

2020年12月15日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant