生命保険金・損害保険金の課税関係

保険の種類は数多くありますが、 保険は生活上での不慮の事象・事故に備えた保障・補償の為に安心を求めて保険加入されているかと思います。 保険事故等が発生した場合には、 所定の保険金を受領することになりますが、 契約内容(契約関係者)によりその保険金に対する課税関係が変わってくることになります。 次の表は、 保険契約・被保険者・保険金受取人との課税関係を纏めたものです。

保険契約関係 保険事象・事故区分における受取人に対する課税区分
契約者・保険料負担者 被保険者 保険金受取人 傷害(注1) 満期(注2) 死亡(注3)
非課税 一時所得 相続税
非課税(親族)

一時所得(親族以外)

贈与税 相続税
同上 一時所得 一時所得
同上 贈与税 贈与税
同上 贈与税 相続税
A:1/2

C:1/2

同上 A:一時所得

C:贈与税

A:一時所得

C:贈与税

A:1/2

C:1/2

同上 贈与税 相続税:1/2

贈与税:1/2

注1:非課税となる保険金・給付金

身体の傷害を基因として支払を受ける損害保険金や給付金は、自己の身体の傷害に基づく場合には非課税となります。 身体に傷害を受けた者と保険金等を受取る者が異なる場合には、非課税規定の適用がありませんが、身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にする親族が支払を受ける者となる時には、非課税所得として取扱われます。

注2:満期保険金・解約返戻金の課税

(1)保険料負担金 = 満期保険金受取人である場合

保険料の負担者が満期保険金や解約返戻金を一括で受領した時には、一時的なもので労働その他の役務及び資産の対価でもありませんので、一時所得となります。 この場合の課税所得の金額は、次のように計算されます。

(保険金の収入金額 - 既支払保険料 - 50万円の特別控除額) X 1/2

= 課税所得金額

なお、受領が年金形式の場合には、その年金の収入は公的年金以外の雑所得となります。 この場合の課税所得の金額は、次のように計算されます。

(保険金の年金収入金額 - 当該年金収入額に対応する既支払保険料)

= 課税所得金額

原則、保険料負担者と保険金受取人とが同一人の場合には、所得税(一時所得または雑所得)が課税されることになります。

(2)保険料負担金 = 満期保険金受取人で無い場合

保険料負担金と満期保険金受取人でが異なる場合には、受取人には贈与税の課税対象となります。 保険料負担金は夫で満期保険金受取人を妻とされている場合には、満期保険金は妻に支払われますので、支払時に夫から妻へ贈与したものと見做され贈与税が課されます。 通常、満期保険金が110万円を超える場合には、超える保険金に対して贈与税の課税が生じます。

原則、被保険者、保険料負担者及び保険金受取人が全て異なる場合には、贈与税が課税されることになります。

注3:死亡保険金に対する課税

(1)相続と遺贈

「相続」とは、何らかの手続きを経ることなく当然に被相続人の財産が相続人(法定相続人)に引継がれることをいいますが、法定相続人は民法で定められており配偶者や子等で相続順位が決められています。 これに対して、「遺贈」とは、遺言によって遺言者の財産の全部または一部を贈与することをいいますが、遺言書で相続人以外の者に遺産を与える場合に「遺贈する」という表現になります。 法定相続人でなない人の場合には、遺言がないと当然に他人の遺産をもらう権利はないということになります。

死亡保険金の受取人は、必ずしも法定相続人となる配偶者や子等である必要はなく、孫を受取人にすることも可能です。 この場合は、遺言書が存在していなくとも相続税法上では遺贈とみなされますので、法定相続人ではなくとも相続税を納めなくてはなりません。孫を保険受取人とした場合には、留意点が二つほどあります。

① 相続税額の2割加算

血縁関係が薄い人や他人等が遺贈で財産を取得した時には、通常の相続税に20%加算した金額の税負担となります。

2割加算される人とは、配偶者及び1親等の血族(父母又は子とその代襲相続人及び養子も含む。 但し、被相続人の養子の孫は除外)以外の人をいいます。

② 受取保険金が非課税となる控除適用外

法定受相続人が受け取る生命保険金は、法定受相続人一人当たり500万円までは非課税となり相続税がかかりません。 しかし、法定受相続人以外の人が受け取る生命保険金は、この一人当たり500万円の生命保険金控除は使えませんので、孫が死亡保険金を受取った場合には、本来法定受相続人であればかからなかった部分まで相続税が課税されることになります。

(2)死亡保険金を年金受給(相続税・贈与税の課税対象)

死亡保険金を年金で受領する場合には、毎年支払を受ける年金に係る所得税(雑所得)については、年金支給初年は全額非課税、2年目以降は課税部分が階段状に増加していく方法で計算することになります。

2016年4月16日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

平成28年度(2016度)税制改正大綱:  相続税・贈与税

自民・公明両党の税制調査会は、平成27年12月16日に平成28(2016)年度税制改正大綱を正式に決定した。 相続税・贈与税に関して、 その主要改正項目の概要を以下に紹介します。

 

1.農地等に係る納税猶予制度の見直し

① 贈与税の納税猶予を適用している場合の特定貸付の特例について、農地中間管理事業のために貸し付ける場合には、受贈者の納税猶予の適用期間要件(現行:10年以上(貸付け時において65歳未満の場合には、20年以上))は適用しない(平成28年4月1日以後の貸付けより適用)。

② 贈与税の納税猶予の適用を受けることができる者を認定農業者等に限る。

③ 特例適用農地等に区分地上権が設定された場合においても、農業相続人等がその特例適用農地等の耕作を継続しているときは、納税猶予の期限は確定しないこととする。

2.直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置項目の明確化

薬局に支払われる不妊治療に要する費用が含まれる(平成28年4月1日以後の費用から適用予定)。

3.贈与税の配偶者控除について、確定申告に添付すべき書類の変更

登記事項証明書から居住用不動産を取得したことを証する書類に変更する(平成28年1月1日以後の贈与から適用)。

以上

2016年3月16日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

夫婦間での住宅持分割合の変更

住宅を購入することは、 通常、 一生涯に何回も経験するものではないと思います。 購入時に、 その住宅の所有者が誰かということで、 不動産登記(土地及び建物)で持分割合(所有割合)を必ず明らかにして所有権登記を行います。 夫婦で購入された場合にも、 土地及び建物の別に、 それぞれの持分割合を確定し登記します。 この持分割合を、実際は全額、夫の資金負担(例えば、自己資金10%・住宅ローン資金90%の場合のケースで、以下は同様の設例)にも拘らず、 むやみに土地について、 夫は3/4・妻は1/4、 そして建物については、 夫は1/2・妻は1/2というように購入資金の負担割合を無視して登記しますと、 実際の資金負担割合と乖離していた場合には、 その乖離金額部分が、 たとえ夫婦間であっても税務上は「贈与」があったものとして取扱われます。 不動産を購入しますと、税務署より購入内容、資金の出所、等に関する「お尋ね」の書面が送られてきます。 これは、不動産登記事項より購入されたことを把握し、登記上の持分割合、資金の出所、等から贈与されたものが無いか否かを確認するためのものです。

1.住宅ローンの繰上返済

住宅購入後に余剰資金ができ、住宅ローンの繰上返済を行うことがあります。 この時に、夫の余剰資金を住宅ローンの繰上返済に充当する場合には、特に問題となることはありませんが、妻の預金口座から5百万円で繰上返済した場合には、以下の問題が生じてきます。

 

(1)持分割合の変更無しのケース

5百万円で住宅ローンの繰上返済しても夫の持分割合が変わらず100%のままの場合には、この5百万円は、妻から夫への「贈与」があったものとして税務上は見做されます。

(2)持分割合の変更を行なうケース

持分割合の変更原因には、売買、贈与、相続のいずれかしかありませんので、夫から妻への5百万円相当分の「売買」があったものとして取扱われます。 不動産の時価で5百万円の売買として、その持分割合分が夫から妻に移動しますので、持分の変更登記を行います。 なお、その時価相当額よりも移動した持分割合との間に乖離がある場合には、その乖離金額相当は「贈与」と見做されます。

夫は、不動産売却ということで簿価相当額よりも5百万円の方が大きい場合には、譲渡所得を得ることになりますので確定申告が必要となります。

住宅ローンの設定時に担保設定者が金融機関や信用保証会社である場合には、担保物件の内容変更になりますので、所有権変更登記する前に承認が必要となります。

2.配偶者控除の特例

夫婦間においては、居住用不動産関連の贈与で配偶者控除が以下の一定の条件の下で認められています。

① 贈与税の配偶者控除とは

婚姻期間が20年以上である配偶者から、居住用不動産、または居住用不動産の取得のための金銭を贈与された場合には、その不動産の課税価格から基礎控除のほかに2,000万円が配偶者控除額として控除できるというものです(基礎控除を含めて合計2,110万円)。

② 婚姻期間

婚姻届出日から贈与日までの期間(1年未満は切捨)で20年以上であること。

③ 居住用不動産

贈与日の翌年3月15日までに受贈者の専ら居住用に供し、かつ、その後も継続して居住用の見込みがあること。

④ 居住用不動産の取得用金銭

贈与日の翌年3月15日までに居住用不動産を取得し、かつ、居住用状態は上記の居住用不動産のケースと同じであること。

この控除は一生に一度のみであり、贈与金額が2,000万円未満であっても翌年以後への繰越は認められません。また、この控除の適用を受けるためには、所定の控除明細を作成し、贈与税の申告書を提出する必要があります。 当該配偶者控除に関連して、相続開始前3年以内の贈与財産との関係では、相続開始の前年以前の贈与による特定贈与財産に該当するものについては、相続税の課税価格に加算しないことになっています。

3.参考

(1)相続税における配偶者に対する優遇

① 相続税における配偶者の税額控除

配偶者は被相続人の財産形成に大いに寄与していること、及び将来の生活保障面を考慮して相続税の減額を特例として認めています。 配偶者が取得した遺産額のうち次のいずれか大きい方までは配偶者には相続税がかからないことになっています。

(イ)総課税価格の金額に対する配偶者の法定相続割合相当額

(ロ)1億6千万円

②配偶者の相続権並びに法定相続分

言うまでもなく被相続人の配偶者は相続順位に関係なく常に法定の相続人となっています。 又、 配偶者の法定相続割合(遺留割合を含めて)は、 常に高い割合で貢献分を反映している形になっています。 以下は、 配偶者の法定相続分と遺留分(最低保障の相続分として留保されるべき部分)の相続人との関係を示しています。

相続順位 相続人 法定相続割合 遺留分割合
第1 配偶者 1/2 1/4
1/2 1/4
第2 配偶者 2/3 2/6
直系尊属(父、母等) 1/3 1/6
第3 配偶者 3/4 1/2
兄弟姉妹(又は子) 1/4 無し
第4 配偶者 全部 1/2

(2)贈与税の課税(歴年課税制度)

贈与を受けた場合には、受贈者は通常、歴年課税制度より課税価格がある場合には贈与税の申告を行なわなければなりません。 その歴年課税制度の概要と税率は、次のとおりです。

歴年内(1月1日から12月31日までの1年間)に受けた贈与財産の合計額 - 基礎控除額 110万円 = 課税価格

年間110万円までの贈与を受けても贈与税の課税とはなりません。 年間110万円を超える贈与を受けた場合の贈与税額は、 以下の算式となります。

課税価格 × 税率 - 控除額 = 贈与税額

贈与税の速算表
課税価格 直系尊属からの特定贈与 一般贈与
税率 控除額 税率 控除額
2,000千円以下 10%    - 千円 10%    - 千円
3,000 15%    100千円
4,000 15%    100千円 20% 250
6,000 20% 300 30% 600
10,000 30% 900 40% 1,250
15,000 40% 1,900 45% 1,750
30,000 45% 2,650 50% 2,500
30,000千円超 55% 4,000
45,000千円以下 50% 4,150
45,000千円超 55% 6,400

なお、 同一年中に特定贈与財産と一般贈与財産の両方がある場合には、 その贈与財産合計額から基礎控除額(限度110万円)を控除した総課税価格に各該当税率を乗じて算出された税額に対して、 各贈与財産割合(特定贈与財産額、 又は一般贈与財産額 / 贈与財産合計額)を乗じて贈与税額を導くという調整計算が必要となります。

暦年課税の場合、 原則として相続開始前3年以内の贈与財産は相続財産として加算する必要があります。

2016年3月15日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

平成28年度(2016度)税制改正大綱: 消費税

自民・公明両党の税制調査会は、平成27年12月16日に平成28(2016)年度税制改正大綱を正式に決定した。 消費税に関して、 その主要改正項目の概要を以下に紹介します。

軽減税率制度の導入

消費税率10%への引き上げを平成29年(2017年)4月に実施されることに伴い、日々の生活で幅広い消費者が消費・利活用している物の消費税負担を軽くし、買い物の都度、痛税感の緩和を実感できる利点があるため、同日に軽減税率制度が導入されます。

軽減税率制度の概要は、以下のとおり。

対象品目 *酒類・外食を除く生鮮食品と加工食品

*定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞

税率 *軽減税率:8%(国分6.24%、地方分1.76%)

*標準税率:10%(国分7.8%、地方分2.2%)

請求書 *平成33年(2021年)4月から商品ごとの税額を示すインボイス(税額票)を導入

*それまでは経過措置として簡易な経理方式を認める

1.軽減税率8%の対象品目

(1)酒類・外食を除く飲食料品(生鮮食品と加工食品)の譲渡 ①飲食料品の譲渡とは、食品表示法に規定する食品の譲渡をいい、酒税法に規定する酒類及び外食サービスを除く。

②飲食料品と飲食料品以外の資産が一体となっている資産(一体商品)の取扱い

一体商品については、飲食料品には該当しません。

但し、一定金額以下の少額資産であって、その資産の主たる部分が飲食料品から構成されているものは、その全体を飲食料品として軽減税率の対象となります。

③飲食料品から除かれる外食

食品衛生法上の飲食店営業、喫茶店営業その他の食事の提供を行う事業を営む事業者が、一定の飲食設備のある場所等において行う食事の提供は、外食に当たりません。

(イ)8%軽減税率対象(外食に当たらない事例)

基本は、テイクアウト・持ち帰り・宅配の)場合であり、

牛丼屋・ハンバーガー店等のテイクアウト

そば屋等の出前、ピザ等の宅配

屋台での軽食(テーブル椅子等の飲食設備がない場合)、寿司屋等のお土産

コンビニ等での弁当・惣菜(イートン・コーナーのある場合であっても、持ち帰りが可能な状態で販売される場合

(ロ)10%標準税率対象(外食に当たる事例)

牛丼屋・ハンバーガー店等での店内飲食

そば屋等での店内飲食、ピザ等での店内飲食

フードコートでの飲食、寿司屋での店内飲食

コンビニのイートン・コーナーでの飲食を前提に提供される飲食料品(トレイに載せられて座席まで運ばれる、返却の必要がある食器に盛られた食品)、ケータリング・出張料理

(2)定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡 一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行される新聞に限られます。
(3)保税地域から引き取られる課税貨物(上記(1)の飲食料品)
適用時期 平成29年4月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡及び課税仕入れ、並びに保税地域から引き取られる課税貨物に適用

2.請求書の記載事項

軽減税率適用にあたり請求書の作成・記載事項等は、次の様になります。 平成33年4月に、インボイス制度として「適格請求書等保存方式」を導入しますが、 それまでの間は、簡素な方法として「区分記載請求書等保存方式」としています。

請求書等保存方式

(現行制度)

区分記載請求書等保存方式

(平成29年4月1日~)

適格請求書等保存方式

(インボイス制度)

(平成33年4月1日~)

①請求書発行者の氏名又は名称

②取引年月日

③取引の内容

④対価の額

⑤請求書受領者の氏名又は名称

①~⑤同左の記載 ①~⑤同左の記載
⑥軽減税率対象課税品目である旨(帳簿にも要記載)

⑦税率の異なるごとに合計した対価の額

(注)請求書の交付を受けた事業者による追記も可

同左の記載

⑦税率の異なるごとに合計した対価の額及び適用税率

⑧登録番号

⑨消費税額等

*売手に区分記載請求書の交付・保存義務は課されません。

*買手に区分記載請求書の保存を仕入税額控除の要件になりますが、追加記載事項(⑥と⑦)は買手が事実に基づき追記することが認められます。

偽りの請求書の交付行為に対しての罰則はありません。

*「適格請求書発行事業者」から交付を受けた「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の保存が仕入税額控除の要件となります、「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)が導入されます。

*適格請求書発行事業者には、「適格請求書」又は「適格簡易請求書」の交付・保存を義務付け、偽りの請求書の交付行為に対して罰則があります。

*「適格請求書発行事業者」とは、免税事業者以外の事業者であり、所轄税務署長に申請書を提出し、交付事業者として登録を受けた事業者です(登録番号を受領)。登録申請は、平成31年4月1日から登録制度が開始されます。 登録後、その氏名又は名称及び登録番号等はインターネット上で公開となります。

*「適格請求書」とは、上記事項を記載した請求書、納品書、その他これらに類する書類をいいます。

適格請求書交付義務の免除項目:

適格請求書発行事業者は免税事業者を除く他の事業者から求められたときには適格請求書を交付しなければなりませんが、次の課税資産の譲渡等は交付義務が免除されています。

(イ)公共交通機関の船舶、バスまたは鉄道による旅客の運送(但し、3万円未満に限る)

(ロ)媒介または取次ぎに係る業務を行う者(卸売市場、農業協同組合または漁業協同組合等)が委託を受けて行う農水産品の譲渡等

(ハ)自動販売機により行なわれるもの(但し、3万円未満に限る)

(ニ)その他請求書等の交付が困難な課税資産の譲渡等のうち一定のもの

適格簡易請求書の交付可能な事業者:

適格請求書発行事業者が、小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業又は駐車場業等の不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う一定の事業を行う場合には、適格請求書に代えて適格簡易請求書を交付することができます。 適格簡易請求書は、適格請求書と異なる点は、書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称が省略でき、又、消費税額等か適用税率のどちらかの記載とするところです。

3.

納付税額の計算方法

区分記載請求書等保存方式

 

現行通り、適用税率ごとに取引総額に110分の10、或いは108分の8を乗じて計算する「割戻し計算」を維持する。
適格請求書等保存方式

(インボイス制度)

適用税率ごとに取引総額に110分の10、或いは108分の8を乗じて計算する「割戻し計算」と、「適格請求書」に記載のある消費税額の「積上げ計算」のいずれかを選択できます。

但し、売上税額を「積上げ計算」する場合には、仕入税額も「積上げ計算」としなければなりません。

4.税額計算の特例

複数税率に対応した区分経理が困難な中小事業者や、大会社でもシステム整備が間に合わない事業者等が存在することを想定して、軽減税率制度を導入して一定の間は、「税額計算の特例」を認めています。

(1)売上税額の計算特例 

売上を税率ごとに区分することが困難な事業者の為に、売上税額の簡便計算に係る経過措置(売上税額の計算特例)が設けられています。

軽減税率対象品目の売上 = 売上 X 下記の計算に基づく軽減税率売上割合

対象 ① 仕入を管理できる卸売事業者及び小売事業者

(簡易課税制度の適用を受けない課税期間に限る)

② ①以外の事業者 ③ ①や②の計算が困難な事業者(主に軽減税率対象品目を販売する事業者が対象)
理由 仕入れた商品をそのまま販売する卸売業や小売業では、売上に占める軽減税率対象品目の売上の割合と、仕入に占める軽減税率対象品目の仕入の割合は概ね一致する。 仕入れた商品を加工して販売する場合、①の方法は不適切となる。 又、仕入の区分経理が行えない事業者は①を使用できない。 仕入の管理も、10日間の売上管理もできない場合、①や②の方法では売上税額を計算できない。
算式 軽減税率売上割合

=軽減税率対象品目の仕入額 ÷ 仕入総額

軽減税率売上割合

=通常の連続する10営業日軽減税率対象品目の売上額 ÷ 通常の連続する10営業日の売上総額

軽減税率売上割合

= 50%

利点 仕入の管理が可能であれば、売上税額を計算できる。 通常の連続する10日間営業日の売上管理・把握できれば容易に売上税額を計算できる。 売上や仕入の管理ができなくとも売上税額を計算できる。

特例の適用対象事業者及び適用時期

特例の適用対象事業者 適用時期
基準期間の課税売上高が5千万以下の事業者 平成29年4月の軽減税率制度の導入から4年間、特例を選択できる。
基準期間の課税売上高が5千万超の事業者 平成29年4月の軽減税率制度の導入から1年間、特例を選択できる。

(2)仕入税額の計算特例

仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者の為に、仕入税額の簡便計算に係る経過措置(仕入税額の計算特例)が設けられています。

軽減税率対象品目の仕入 = 仕入 X 下記の計算に基づく軽減税率仕入割合

対象 ① 売上を管理できる卸売事業者及び小売事業者

(売上税額の計算特例①の選択、及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間に限る)

② ①の計算が困難な事業者
理由 仕入れた商品をそのまま販売する卸売業や小売業では、売上に占める軽減税率対象品目の売上の割合と、仕入に占める軽減税率対象品目の仕入の割合は概ね一致する。 ①の方法では仕入税額を計算できない事業者の存在
算式 軽減税率仕入割合

=軽減税率対象品目の売上額 ÷ 売上総額

事後選択により「簡易課税制度」(又は「簡易課税に準じた方法」)の適用を受けられる。
利点 売上の管理が可能であれば、仕入税額を計算できる。 売上や仕入の管理ができなくとも売上税額を計算できる。

特例の適用対象事業者及び適用時期

特例の適用対象事業者 適用時期
基準期間の課税売上高が5千万以下の事業者 * 平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間が対象期間となります。 従って、3月末決算法人以外の法人では、通常、2つの課税期間が含まれることから、当2期の課税期間について特例が適用できます。

* 事後選択により「簡易課税制度」を適用できる(対象となる課税期間の末日までに同制度の適用を受ける旨の届出書を提出すれば、その提出日の属する課税期間から適用が認められます。

基準期間の課税売上高が5千万超の事業者 * 平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間が対象期間となりますが、平成29年4月1日を跨ぐ課税期間では、同日より前の期間分(平成29年3月31日以前の期間分)の税額については特例が適用できず、通常通りの計算をしなければなりません。

* 事後選択により「簡易課税に準じた方法」で仕入税額を計算できる(対象となる課税期間の末日までに同特例の適用を受ける旨の届出書を提出すれば、その提出日の属する課税期間から適用が認められます。

5.免税事業者からの仕入税額控除

区分記載請求書等保存方式

 

免税事業者からの仕入についても、仕入税額控除できる。
適格請求書等保存方式

(インボイス制度)

原則、免税事業者からの仕入は、仕入税額控除ができないが、次の特例が認められています。
平成33年4月~平成36年3月までの3年間 仕入税額相当額の80%控除
平成36年4月~平成39年3月までの3年間 仕入税額相当額の50%控除

以上

2016年2月15日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

1月 平成28年度(2016度)税制改正大綱: 法人税

自民・公明両党の税制調査会は、平成27年12月16日に平成28(2016)年度税制改正大綱を正式に決定した。 法人税に関して、 その主要改正項目の概要を以下に紹介します。

1.法人税の税率(現行:23.9%)から、段階的引下げ

現行

平成28年4月1日以後に開始する事業年度から

平成30年4月1日以後に開始する事業年度から

23.9%

23.4%

23.2%

  
2.生産性向上設備投資促進制度の廃止 
適用期限をもって廃止する。 
即時償却及び税額控除率の上乗せ措置は、平成28年3月31日までと適用期限を延長しない。

3.減価償却制度の見直し 
以下の償却資産に対する法定償却方法を平成28年4月1日以後の取得から定率法は廃止する。

資産の区分

償却方法

現行

改正

建物附属設備及び構築物(鉱業用のこれらの資産を除く)

定率法

定額法

鉱業用減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物に限る)

定率法又は生産高比例法

定額法又は生産高比例法

  
4.欠損金の繰越控除制度等の見直し 
(1)平成27年度税制改正から事業年度の欠損金の繰越控除制度における控除限度額の段階的に引下げ

平成27年度税制改正後

改正

事業年度開始日

控除限度割合

事業年度開始日

控除限度割合

平成27年4月~ 
平成29年3月

65%

平成27年4月~ 
平成28年3月

65%

平成28年4月~ 
平成29年3月

60%

平成29年4月~

50%

平成29年4月~ 
平成30年3月

55%

平成30年4月~

50%

なお、中小企業においては、従来と同様に控除割合は100%のままです。

(2)繰越欠損金の繰越期間の延長 
平成30年4月1日以後に開始事業年度から生ずる欠損金額に係る繰越期間等は以下のようになります。

項目

現行

改正

繰越欠損金額の繰越期間

9年

10年

繰越欠損金額の繰越控除制度における帳簿書類の保存期間

9年

10年

欠損金額の更生の期間制限

9年

10年

欠損金額の更生の請求期間

9年

10年


5.法人事業税の税率引下げと
 外形標準課税の拡大 (地方税) 
平成16年4月1日以降に開始する事業年度から、資本金の額又は出資金の額が1億円超の普通法人に対しては、原則として、外形標準課税制度が適用となっています。 
(1) 法人事業税の税率改正(資本金1億円超の普通法人) 
今回の改正で資本金の1億円超の普通法人の法人事業税の標準税率の改定が以下のように行なわれます。  平成28年4月1日以後に開始する事業年度(平成28年度以後)から適用となります。

課税項目区分

平成26年度以前

平成27年度

改正
平成28年度以後

付加価値割

0.48%

0.72%

1.2%

資本割

0.2%

0.3%

0.5%

所得割

年400万円以下の所得

3.8% (2.2%)

3.1% (1.6%)

1.9% (0.3%)

年400万円超800万円以下の所得

5.5% (3.2%)

4.6% (2.3%)

2.7% (0.5%)

年800万円超の所得

7.2% (4.3%)

6.0% (3.1%)

3.6% (0.7%)

注1: 所得割の税率下段のカッコ内の率は、 地方法人特別税率を含んでいない税率(標準税率)であり、 制限税率を標準税率の2倍(現行:1.2倍)に引き上げる。 
注2: 3以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人(軽減税率不適用法人)の所得割に係る税率については、 軽減税率の適用はありません。 
注 3: 「所得割」に標準税率ではなく超過税率を採用しているのは、全8都府県(東京都、大阪府、京都府、神奈川県、宮城県、静岡県、愛知県、兵庫県)となっています。

(2) 地方法人特別税の税率改正 
今回の改正で資本金等の1億円超の普通法人の地方法人特別税の税率の改定が以下のように行なわれます。  平成28年4月1日以後に開始する事業年度(平成28年度以後)から適用となります。

課税項目区分

平成26年度以前

平成27年度

改正
平成28年度以後

付加価値割額、 資本割額及び所得割額の合算額によって法人事業税を課税される法人の所得割額に対する税率(地方法人特別税率)

67.4%

93.5%

414.2%

(3) 法人事業税の税率改正に伴う負担変動の軽減措置 
資本金1億円超の普通法人のうち、 平成27年4月1日から平成31年3月31日の間に開始する事業年度に係る付加価値額が、 40億円未満の法人について下記の事業税額の軽減措置があります。

開始する事業年度と 
適用条件

付加価値額

軽減額

平成27年4月1日から平成28年3月31日の間の事業年度に係る事業税額が、 平成27年3月31日現在の付加価値割、 資本割及び所得割の税率に基づいて計算された事業税額を超える場合

30億円以下の法人

その超える額に2分に1を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する

30億円超40億円未満の法人

その超える額に付加価値額に応じて2分に1から0の割合を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する。 
2分に1から0の割合とは、 
「1/2 X (40億円 - 付加価値額) ÷ 10億円」 
の算定式となります。

改正により資本金1億円超の普通法人のうち、 平成28年4月1日から平成31年3月31日の間に開始する事業年度に係る付加価値額が、 40億円未満の法人について下記の事業税額の軽減措置があります。

開始する事業年度と 
適用条件

付加価値額

軽減額

平成28年4月1日から平成29年3月31日の間の事業年度に係る事業税額が、 平成28年3月31日現在の付加価値割、 資本割及び所得割の税率に基づいて計算された事業税額を超える場合

30億円以下の法人

その超える額に4分に3を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する

30億円超40億円未満の法人

その超える額に付加価値額に応じて4分に3から0の割合を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する。 
4分に3から0の割合とは、 
「3/4 X (40億円 - 付加価値額) ÷ 10億円」 
の算定式となります。

平成29年4月1日から平成30年3月31日の間の事業年度に係る事業税額が、 平成28年3月31日現在の付加価値割、 資本割及び所得割の税率に基づいて計算された事業税額を超える場合

30億円以下の法人

その超える額に2分に1を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する

30億円超40億円未満の法人

その超える額に付加価値額に応じて2分に1から0の割合を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する。 
2分に1から0の割合とは、 
「1/2 X (40億円 - 付加価値額) ÷ 10億円」 
の算定式となります。

平成30年4月1日から平成31年3月31日の間の事業年度に係る事業税額が、 平成28年3月31日現在の付加価値割、 資本割及び所得割の税率に基づいて計算された事業税額を超える場合

30億円以下の法人

その超える額に4分に1を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する

30億円超40億円未満の法人

その超える額に付加価値額に応じて4分に1から0の割合を乗じた金額を当該事業年度の事業税額から控除する。 
4分に1から0の割合とは、 
「1/4 X (40億円 - 付加価値額) ÷ 10億円」 
の算定式となります。

6.地方法人課税の偏在是正(平成2941日以後に開始する事業年度から適用)
(1) 法人住民税法人税割の税率の改正 
平成29年4月1日以後に開始する事業年度から法人住民税法人税割の税率は以下のように引下げられます。

項目

現行

改正

標準税率

制限税率

標準税率

制限税率

道府県民税法人割

3.2%

4.2%

1.0%

2.0%

市町村民税法人割

9.7%

12.17%

6.0%

8.4%

(2) 地方法人税(国税)の税率の改正(平成2941日以後に開始する事業年度から適用

納税義務者

法人税を納める義務のある法人(人格のない社団等を含む)

税額の計算

各課税事業年度の基準法人税額 X 地方法人税率 = 地方法人税額

申告及び納付

申告及び納付は、 国(税務署)に対して行う。  申告書の提出期限は、 法人税の申告書と同一となります。

税率

現行

改正

4.4%

10.3%

(3) 地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の廃止 
① 平成29年4月1日以後に開始する事業年度から地方法人特別税は廃止し、 法人事業税を復元する。 
② 地方法人特別譲与税は、 平成30年8月譲与分をもって廃止する。

7.地方拠点強化税制の拡充 
雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)のうち地方活力向上地域特定業務施設整備計画に係る措置について、雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度(給与等支給拡大促進税制(所得拡大促進税制))と重複適用が可能となります。 但し、所得拡大促進税制の適用の基礎となる雇用者給与等支給増加額から、増加雇用者に対する給与等支給額として一定の方法により計算した金額を控除する。

8.地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設 
青色申告法人が、改正地域再生法の施行日から平成32年3月31日までの間に、地方創生推進寄附活用事業(地域再生法の認定地域再生計画に基づき国(内閣府)の認定を受けたもの)に関連する寄附金を支出した場合、法人事業税、法人住民税、法人税から一定額を税額控除できます。 但し、法人の本社が立地する地方自治体の事業への寄附は対象外となります。  
現行の寄附金の損金算入制度に加え、以下の税額控除が可能となります。

税額控除額

控除税額の上限

法人事業税
(注1)

寄附額の10%

法人事業税額の20%

法人住民税
(注1)

開始事業年度

道府県民税法人税額

市町村民税法人税額

道府県民税法人税額の 
20%

市町村民税法人税額の 
20%

平成29年3月 
31日までに開始

寄附額の5%

寄附額の 
15%

平成29年4月 
1日以後に開始

寄附額の 
2.9%

寄附額の 
17.1%

法人税

① 寄附額の20% - 法人住民税からの控除税額 
② 寄附額の10% 
③ 上記①と②のいずれか少ない金額

法人税額の5%

注1:2以上の自治体に事業所等がある法人における控除税額の按分基準 
法人事業税は、課税標準額を基準として按分する。 
法人住民税は、従業員数を基準として按分する。

9.倉庫用建物等の割増償却制度の見直し 
対象要件の見直し、貸付に供するものを対象外とし、適用期限を平成30年3月31日とする。

10.交際費等の損金不算入制度の延長 
適用期限を2年延長し、接待飲食費の50%損金算入の特例と中小法人の800万円の定額損金算入の特例も2年延長とする。

11.中小企業者等以外の大法人に対する欠損金の繰戻還付制度の不適用制度の延長 
適用期限を2年延長する。

12.環境関連投資促進税制の見直し 
(1)エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の適用期限を2年延長する。 
(2)風力発電設備の即時償却を廃止する。 
(3)対象資産を、太陽光発電設備を電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の認定発電設備以外のものとする等の見直しを行う。 
(4)税額控除の対象資産から車両運搬具を除外する。

13.中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例の見直し 
(1)中小企業者等において、30万円以下の少額減価償却資を損金算入できる特例を2年延長する。 
(2)対象法人から、常時使用する従業員の数が1,000人超の法人を除外する。

14.役員給与の見直し 
(1)事前確定届出給与 
役員から受ける将来の役務の提供の対価として交付する一定の譲渡制限付株式による給与については、事前確定の届出が不要とされる。 
(2)利益連動給与 
利益連動給与の算定指標の範囲に「ROE(自己資本利益率)その他の利益に関連する一定の指標」が含まれることが明確化される。