基準地価、4年連続上昇 東京けん引 海外マネー流入

国土交通省が16日公表した2025年の基準地価は、住宅地や商業地といった全用途平均の全国の上昇率が1.5%だった。4年連続で上昇した。海外からの投資マネーが流入する東京圏がけん引役となった。
2025年基準地価の変動率(7月1日時点、 前年比%、 ▲は下落):

地域住宅地商業地全用途

2025年前年2025年前年2025年前年
全国平均1.00.92.82.41.51.4
三大都市圏3.23.07.26.24.33.9
東京圏3.93.68.77.05.34.6
大阪圏2.21.76.46.03.42.9
名古屋圏1.72.52.83.82.12.9
地方圏0.10.11.00.90.40.4
中核地方4市4.15.6
7.3
8.7
5.3
6.8

地価が最も高かった地点は20年連続で東京・銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」だった。1平方メートル当たりの地価は4,690万円で前年比11.4%伸びた。

公的機関が公表する土地価格情報には、 以下のものがあります。

 公示地価基準地価路線価固定資産税評価額
調査主体国土交通省都道府県国税庁市町村
調査地点数約26,000約21,000約320,000多数
調査時点1月1日7月1日1月1日1月1日(原則3年に1回、 次回は2027年)
公開時期3月9月7月又は8月3月
公開サイト国交省(土地総合情報ライブラリー)国交省(土地総合情報ライブラリー)国税庁資産評価システム研究センター
その他調査対象は都市部の比重が高い。 標準地の公示地価は一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、 公共事業用地の取得価格算定や、 国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。調査対象は地方の調査地点が多く、 不動産鑑定士の評価を参考に調査し、 一般の土地取引価格の指標となる。 公表は国交省から 相続税・贈与税の基準となる地価で、 公示地価の8割程度の水準土地に対する固定資産税計算の基準となる地価で、 公示価格の7割程度の水準
2025年9月17日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

令和7年度からのパート主婦(短時間労働者)の年収の壁

パート主婦(短時間労働者)の中で年間パート給与収入が一定額を超えると税金、社会保険料等の負担増になることから就業調整するケースを聞くことがあります。いわゆる「年収の壁」と言われていますが、税制改正などにより令和7年度から、その年収の壁が多少ですが上昇していますので紹介したいと思います。
以下は、年間給与収入額に対する各種の年収の壁を纏めてみたものです。

(パート年間給与収入額影響する項目影響する人影響する内容
106万円未満
社会保険パート者本人社会保険に加入義務なし
106万円以上社会保険加入従業員数51人以上の企業に勤務しているパート者本人(週の所定労働時間20時間以上等の加入要件対象者)パート者本人が社会保険に加入義務発生。今後、社会保険加入対象者の適用拡大予定(注1参照)
110万円以下住民税パート者本人住民税は非課税内
110万円超住民税パート者本人住民税が発生する
123万円以下夫の配偶者控除夫の配偶者控除(38万円満額控除):但し、夫の給与収入額が10百万以下のケース(注2参照)
123万円超~
160万円以下
夫の配偶者特別控除夫の配偶者特別控除(38万円満額控除)
160万円超~
201.6万円以下
夫の配偶者特別控除夫の配偶者特別控除(収入額の増加に応じて、36万円から減額されていき3万円控除)
201.6万円超夫の配偶者特別控除夫の配偶者特別控除(控除額0円となる)
130万円以下夫の社会保険の被扶養者基準パート者本人(既に、社会保険加入者は除く)夫の社会保険の被扶養者として、パート者本人は第3号被保険者を継続
130万円超夫の社会保険の被扶養者基準パート者本人(既に、社会保険加入者は除く)夫の社会保険の被扶養者基準であり、本人が第3号被保険者から外れ、パート者本人の社会保険料(国民年金・国民健康保険料等)への加入が必要となる
160万円以下所得税課税パート者本人所得税は非課税内
160万円超所得税課税パート者本人所得税が発生する

以上から、今後の適用改正が無い限り、通常、年間パート給与収入は、130万円以下ならば、給与所得課税、社会保険料、配偶者控除・特別控除にも影響しないことになります。

注1:社会保険加入条件
A. 短時間労働者の社会保険加入条件
2025年9月現在、パート・アルバイトなどの短時間労働者が社会保険の加入対象者の加入要件は、以下の5項目の全てを満たす場合となっていました。
短時間労働者の社会保険の加入条件:
①週の所定労働時間が20時間以上(残業時間は含まれません)
②賃金が月額8.8万円以上(年間106万円)(残業代や賞与、通勤手当、臨時の手当は含まれません)
③従業員数51人以上の企業に勤務している
④2カ月を超える雇用の見込みがある
⑤学生でない(学生は加入対象外ですが、休学中や定時制、通信制の学生は加入対象となります)
今回の改正では、②の賃金要件と③の企業規模要件の2つとなっています。
②の賃金要件は、3年以内の政令で定める日で撤廃となります。
③の企業規模要件は、現行の従業員数51人以上から、次の様に段階的に縮小していきます。

施行時期企業規模要件
2027年10月から従業員数 36人以上
2029年10月から従業員数 21人以上
2032年10月から従業員数 11人以上
2035年10月から従業員数 1人以上(全ての企業対象)

上記の短時間労働者の加入要件の見直しのほか「個人事業所の適用対象の拡大」と「新たに加入対象となる短時間労働者および事業主への支援」もおこなわれます。
個人事業所における適用範囲の拡大:
現在、常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所は、法律で定める17業種に当てはまる場合は社会保険に加入しますが、農業、林業、漁業、飲食サービス、宿泊業などの業種は加入対象外となっています。しかし2029年10月から、常時5人以上の従業員を雇用している場合には、全ての業種が加入対象となります。なお、2029年10月時点ですでに存在している事業所は、当分のあいだ対象外となります。
今回の改正法により、新たに社会保険の加入対象となるパート・アルバイトなどの短時間労働者、そして社会保険料を追加負担することとなる事業主に対し、経済的な支援が実施されます。短時間労働者に対しては、3年間事業主が追加負担することで、社会保険料の負担を軽減できる措置が、事業主に対しては追加負担した保険料について、国などが全額を支援します。

B. 通常の常時雇用者の社会保険加入条件:
社会保険に加入するための条件は、主に雇用形態、勤務時間等に基づいていますが、企業で働く従業員は、次のいずれかの条件に該当する場合、健康保険および厚生年金保険(いわゆる社会保険)への加入が義務付けられます。
①常時雇用されている従業員(注)であること
注:「常時雇用」とは、長期的・継続的に雇用されている、またはその見込みがある状態を指します。具体的には、以下のようなケースが該当します。
• 雇用契約に期間の定めがない(無期雇用)
• 有期契約であっても、過去1年以上継続して雇用されている
• 又は、雇用時点で1年以上の継続雇用が見込まれる
②週の所定労働時間および所定労働日数が、正社員の4分の3以上(4分の3基準)
であること

C. 社会保険加入から除外される雇用者:
以下のいずれかに該当する人は、厚生年金保険および健康保険に加入することができません。
厚生年金保険・健康保険共通:
・継続雇用期間が1カ月以内の日雇い労働者
・2カ月以内の期間を定めて使用される人
・所在地が一定しない事業所に使用される人
・雇用期間4カ月以内で、季節的業務に使用される人
・雇用期間6カ月以内で、臨時的事業の事業所に使用される人
・船員保険の被保険者の人
・国民健康保険組合の事業所に使用される人
健康保険のみ:
・75歳以上の後期高齢者医療制度の被保険者の人
厚生年金保険のみ:
・70歳以上の人

注2:配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の変動
配偶者控除及び配偶者特別控除は、配偶者の所得金額の並びに給与所得者(夫)の所得金額に応じて控除金額が決まっています。給与所得者(夫)の所得金額が1,000万円超(給与収入額で1.195万円になりますと、いずれの控除額はゼロとなります。

2025年9月10日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

フリーレントの経理処理

不動産の賃貸借期間で、当初の一定期間(3か月間、等)の賃料が無償とするフリーレントを定める賃貸借契約を締結する場合がありますが、その経理処理は、通常、①賃料の支払日に計上、又は、②賃料総額を賃借期間で案分して計上の2通りがあります。その場合、新リース会計基準の適用との関連から、税務処理を含めて次の様に取扱われることになります。

新リース会計基準の適用対象企業か否か適用する経理処理
適用対象企業(上場企業等)賃料総額を賃貸借期間で按分して、当賃貸借期間中の各事業年度に計上する。
適用対象外企業(中小企業等)新リース会計基準に準じた会計処理を行っている賃料総額を賃貸借期間で按分して、当賃貸借期間中の各事業年度に計上する。
上記以外の会計処理を行っている賃料の支払日に属する各事業年度に計上する。但し、税務上では課税上弊害が無いこと。

上記から、中小企業は、フリーレント期間があっても賃料の支払日に経理処理することで問題はないことになります。なお、税務上は、損金(借手側)・益金(貸手側)経理が適用要件となっており、令和7年4月1日以後の開始事業年度からの適用となっています。

2025年8月10日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

年金制度改正(令和7年6月成立)

ライフスタイルや家族構成等の多様化を踏まえた年金制度を構築するとともに、所得再分配機能の強化や私的年金制度の拡充等により高齢期における生活の安定を図るため、①社会保険加入対象者の適用拡大、②在職老齢年金制度の見直し、③遺族年金制度の見直し、④標準報酬月額の上限の段階的引上げ、⑤私的年金制度の見直し、⑥将来の基礎年金の給付水準の底上げ等の措置を講ずることになりました。

(1)社会保険加入対象者の適用拡大

2025年6月現在、パート・アルバイトなどの短時間労働者が社会保険の加入対象者の加入要件は、以下の5項目となっていました。

短時間労働者の社会保険の加入条件:

①週の所定労働時間が20時間以上

②賃金が月額8.8万円以上(年間106万円)

③従業員数51人以上の企業に勤務している

④2カ月を超える雇用の見込みがある

⑤学生でない

今回の改正では、②の賃金要件と③の企業規模要件の2つとなっています。

②の賃金要件は、3年以内の政令で定める日で撤廃となります。

③の企業規模要件は、現行の従業員数51人以上から、次の様に段階的に縮小していきます。

施行時期企業規模要件
2027年10月から従業員数 36人以上
2029年10月から従業員数 21人以上
2032年10月から従業員数 11人以上
2035年10月から従業員数 1人以上(全ての企業対象)

上記の短時間労働者の加入要件の見直しのほか「個人事業所の適用対象の拡大」と「新たに加入対象となる短時間労働者および事業主への支援」もおこなわれます。

個人事業所における適用範囲の拡大:

現在、常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所は、法律で定める17業種に当てはまる場合は社会保険に加入しますが、農業、林業、漁業、飲食サービス、宿泊業などの業種は加入対象外となっています。しかし2029年10月から、常時5人以上の従業員を雇用している場合には、全ての業種が加入対象となります。なお、2029年10月時点ですでに存在している事業所は、当分のあいだ対象外となります。

 

今回の改正法により、新たに社会保険の加入対象となるパート・アルバイトなどの短時間労働者、そして社会保険料を追加負担することとなる事業主に対し、経済的な支援が実施されます。短時間労働者に対しては、3年間事業主が追加負担することで、社会保険料の負担を軽減できる措置が、事業主に対しては追加負担した保険料について、国などが全額を支援します

 

(2)在職老齢年金制度の見直し

年金を受給しながら働く高齢者が、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする、在職老齢年金の見直しをします。

2026年4月から、減額基準限度額が月額50万円から62万円に引き上げられます。

 

(3)遺族年金制度の見直し

遺族年金を見直し、遺族厚生年金の男女差を解消します。また、こどもが遺族基礎年金を受け取りやすくします。

 

(4)標準報酬月額の上限の段階的引上げ

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引上げを行い、一定以上の月収のある方に、賃金に応じた保険料を負担いただくことで、現役時代の賃金に見合った年金を受け取りやすくします。 厚生年金等の標準報酬月額の上限が、現行の65万円から次の様に段階的引上げられます。

適用開始時期標準報酬月額の上限
2027年9月から680,000円
2028年9月から710,000円
2029年9月から750,000円

 

(5)私的年金制度の見直し

3年以内に、iDeCoに加入できる年齢の上限を引き上げ、企業型DCの拠出限度額の拡充、企業年金の運用の見える化などを行います。

 

(6)将来の基礎年金の給付水準の底上げ

国会における審議の中で、今後の社会経済情勢を見極めた上で、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合に、基礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドを同時に終了させる措置を講じる旨の規程が追加されました。

2025年7月30日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

防衛特別法人税の2026年4月1日以後の開始事業年度より適用

2025年度の税制改正で防衛力強化のための財源を確保することを目的として、法人税額に対し税率4%の新たな付加税として、防衛特別法人税が創設されています。

(1)税額計算

(基準法人税額(注1)-基礎控除年500万円(注2)×4%=防衛特別法人税額
注1:基準法人税額

基準法人税額は、法人税の計算で通常認められる「所得税額控除、外国税額控除」などを適用しないで算出した法人税額。

注2:基礎控除

年500万円の定額控除。通算法人等の場合は、各社の「基準法人税額」の比率で500万円を按分します。

(2)繰戻還付の計算

法人税の還付金額×4%×(基準法人税額-基礎控除年500万円)÷基準法人税額=防衛特別法人税額に係る還付金額

注:適用開始時期:令和8年4月1日以後(中間申告:令和9年4月1日以後)に開始する事業年度から適用となります。

注:事業年度が1年未満の場合、500万円を12で除し、その事業月数(1月未満は切上げ)を乗じて基礎控除額を計算します。

注:基準法人税額が500万円以下の場合、防衛特別法人税額がゼロであっても当該申告書の提出が必要となります。

2025年6月30日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

令和7年度以降の所得税における基礎控除引上げ

以前に税制改正による基礎控除引上げを記載いたしましたが、基礎控除の上乗せ特例の部分が洩れておりましたので追加記載いたします。

1.基礎控除の通常引上げ

物価上昇への対応として、令和7年分以後の所得税から、合計所得金額が2,350万円以下である個人に関しては、所得税の基礎控除の金額が48万円から58万円に10万円のアップとなります。なお、個人住民税については、基礎控除の控除額(43万円)の引上げは実施されません。

注:改正は、令和7年分以後の所得税について適用(年末調整時)とされますが、給与等及び公的年金等の源泉徴収については、令和8年1月1日以後に支払ものから適用となります。

令和7年以後の所得税の基礎控除額は以下の金額となります。

合計所得金額基礎控除額
現行改正
2,350万円以下480,000円580,000円
2,350万円超 2,400万円以下480,000円
2,400万円超 2,450万円以下320,000円320,000円
2,450万円超 2,500万円以下160,000円160,000円
2,500万円超0円0円

実務上の留意点:

(1)基礎控除について上乗せ特例があります(令和7年分と令和8年分、並びに令和9年分以降の各年分)

(2)令和7年度の年末調整における適用規定

①令和7年12月1日以後に給与支払いによる年末調整を行う場合には、改正後の規定を適用

*従業員に、改正による新たに扶養親族等の対象となった親族等がいる場合には、「扶養親族等(異動)申告書」の提出が必要

*特定親族特別控除の適用を受ける従業員から「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出が必要

②令和7年11月30日以前に給与支払いによる年末調整を行う場合には、改正前の規定を適用

(3)給与所得等の源泉徴収税額表の改正については、令和8年1月1日以後に支払ものから適用

(4)令和7年11月30日以前での死亡や出国等に伴う年末調整、準確定申告等

令和7年11月30日以前には、改正前の制度内容に基づき年末調整事務を行います。この場合、令和7年分の改正制度を適用するには、確定申告を行うことが必要となります。又、準確定申告された場合にも、5年以内の更正の請求で改正制度の適用ができます。

 

1-2. 基礎控除の上乗せ特例

中所得者層を含めた税負担の軽減を行う観点から、所得税の基礎控除の上乗せ特例が創設され課税最低限が、以下の様に給与収入額160万円(基礎控除95万円+給与所得控除65万円)に引き上げられました。

(1)令和7年分と令和8年分の2年間限定

合計所得金額基礎控除額
現行改正(上乗せ)
132万円以下480,000円950,000円改正(上乗せ)
132万円超 336万円以下880,000円
336万円超 489万円以下680,000円
489万円超 655万円以下630,000円
655万円超 2,350万円以下580,000円
2,350万円超 2,400万円以下480,000円
2,400万円超 2,450万円以下320,000円880,000円320,000円
2,450万円超 2,500万円以下160,000円160,000円
2,500万円超0円0円

(2)令和9年分以後の各年分

合計所得金額が132万円以下である場合のみ上乗せとなります。

合計所得金額
基礎控除額
現行 改正(上乗せ)
132万円以下480,000円950,000円
132万円超 2132万円以下,350万円以下580,000円
2,350万円超 2,400万円以下480,000円
2,400万円超 2,450万円以下320,000円320,000円
2,450万円超 2,500万円以下160,000円160,000円
2,500万円超0円0円

基礎控除の引上げに伴い、令和7年分以後の所得税(年末調整を考慮して、令和7年12月1日から施行)から、控除判定の要件となる合計所得金額等も10万円のアップとなります。

項目現行改正
同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件480,000円以下580,000円以下
ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件480,000円以下580,000円以下
勤労学生の合計所得金額要件750,000円以下850,000円以下
家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例における必要経費の最低保証額550,000円以下650,000円以下

2.給与所得控除の最低保障額の引上げ

物価上昇への対応とともに、就業調整にも対応するという観点から、令和7年分以後の所得税(及び個人住民税)から、給与所得控除額の最低保障額の金額が55万円から65万円に10万円のアップとなります。

改正は、令和7年分以後の所得税について適用(年末調整は、令和7年12月1日以後に支払う給与分から適用となり、その支払いが12月1日前であるものについては、なお従前の取扱いとなります)とされますが、給与所得の源泉徴収税額表の改正については、令和8年1月1日以後に支払ものから適用となります。

 

給与等の収入金額別の給与所得控除額は以下の様になります。

給与等の収入金額給与所得控除額
現行改正
1,625,000円まで550,000円650,000円
1,625,001円~1,800,000円収入金額×40%―100,000円
1,800,001円~1,900,000円収入金額×30%+80,000円
1,900,001円~3,600,000円収入金額×30%+80,000円
3,600,001円~6,600,000円収入金額×20%+440,000円収入金額×20%+440,000円
6,600,001円~8,500,000円収入金額×10%+1,100,000円収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)1,950,000円(上限)

3.所得税・個人住民税の特定親族特別控除の新設

現下の厳しい人出不足の状況において、特に大学生のアルバイトの就業調整について、税制が一因となっているということから、令和7年分以後の所得税(及び個人住民税)から、扶養親族の合計所得金額が58万円を超えると扶養控除による控除ができないことになりますので、19歳以上23歳未満の同一生計の親族(大学生世代の子ども等)がいる場合において、その親族等(配偶者及び青色事業専従者等を除く)の合計所得金額が123万円以下であるときは、一定の金額を控除(特定親族特別控除額)できることになります。なお、合計所得金額が85万円(給与収入150万円相当)までは、親等が特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除が受けられます。

 

親等の特定親族特別控除額は、その親族等(子ども等)の合計所得金額によって、以下のように段階的に変わります。

親族等(19歳以上23歳未満)の合計所得金額特定親族特別控除
所得税控除額(円)住民税控除額(円)
58万円超 85万円以下630,000450,000
85万円超 90万円以下610,000
90万円超 95万円以下510,000
95万円超 100万円以下410,000410,000
100万円超 105万円以下310,000310,000
105万円超 110万円以下210,000210,000
110万円超 115万円以下110,000110,000
115万円超 120万円以下60,00060,000
120万円超 123万円以下30,00030,000
123万円超00
2025年5月30日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

退職所得関連の改正(令和8年1月より適用)

令和7年度税改正により退職所得関連で改正がありました。

(1)退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例に関する改正
一定期間内に会社の退職金や老齢一時金(確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金)を複数回受け取った場合において、その勤続期間が重複する時は、退職所得控除の計算において重複する勤続期間の退職所得控除相当額を控除した残額が控除額となる調整規定が適用されます。この調整対象となる期間は通常は5年以内で判定を行うが、後で老齢一時金を受け取る場合には、過去20年間で判定を行うことになっていました。

今回、この取扱いにより老齢一時金を先に受取るか、後で受取るかで控除額計算で有利不利が生じるため、会社の退職金(老齢一時金(確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金)を除く退職所得手当等)よりも前に老齢一時金を受け取った場合には、その老齢一時金等について、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例の対象とされ、前年以前9年以内(現行:4年以内)の老齢一時金を調整対象に含めることに改正されます(令和8年1月1日以降に老齢一時金の支払を受けており、その後に退職手当等について適用)。

退職手当の受取順別の勤続期間等の重複排除期間は以下の様になります。

[table id=341 /

又、老齢一時金に係る退職所得の受給に関する申告書の保存期間が、10年(現行7年)とされます。 この改正は、令和8年1月1日以後に支払いを受けるべき退職手当等について適用されます。

 

(2)職所得等の源泉徴収票・特別徴収票の提出範囲を見直し(居住者の全員)

令和8年1月1日以降に税務署・自治体へ提出すべき退職所得等の源泉徴収票・特別徴収票(記載事項に見直し有り)より、全ての居住者への支払について一律で提出が義務化となります(現行:役員のみ)。この提出は、退職日ベースではなく、支払日ベースで判断することになっています。

2025年4月28日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

令和7年度税改正法の可決・成立

令和7年度税制改正法が成立しました。所得税におきましては、基礎控除の引上げ、配偶者控除や扶養控除の合計所得金額要件に引上げ等の他、「基礎控除の特例」や「特定親族特別控除」が新たに創設されています。
1.基礎控除の引上げ
物価上昇への対応として、令和7年分以後の所得税から、合計所得金額が2,350万円以下である個人に関しては、所得税の基礎控除の金額が48万円から58万円に10万円のアップとなります。なお、個人住民税については、基礎控除の控除額(43万円)の引上げは実施されません。
注:改正は、令和7年分以後の所得税について適用(年末調整時)とされますが、給与等及び公的年金等の源泉徴収については、令和8年1月1日以後に支払ものから適用となります。
令和7年以後の所得税の基礎控除額は以下の金額となります。

合計所得金額基礎控除額
現行改正
2,350万円以下480,000円580,000円
2,350万円超 2,400万円以下480,000円
2,400万円超 2,450万円以下320,000円320,000円
2,450万円超 2,500万円以下160,000円160,000円
2,500万円超0円0円

基礎控除の引上げに伴い、令和7年分以後の所得税から、控除判定の要件となる合計所得金額等も10万円のアップとなります。

項目 現行改正
同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件 480,000円以下 580,000円以下
ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件 480,000円以下580,000円以下
勤労学生の合計所得金額要件750,000円以下850,000円以下
家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例における必要経費の最低保証額 550,000円以下650,000円以下

2.給与所得控除の最低保障額の引上げ
物価上昇への対応とともに、就業調整にも対応するという観点から、令和7年分以後の所得税(及び個人住民税)から、給与所得控除額の最低保障額の金額が55万円から65万円に10万円のアップとなります。
改正は、令和7年分以後の所得税について適用(年末調整時)とされますが、給与所得の源泉徴収税額表の改正については、令和8年1月1日以後に支払ものから適用となります。
なお、令和7年分及び令和8年分の時限措置として、「基礎控除の特例」が創設され給与等の収入金額別の給与所得控除額は以下の様になります。

給与等の収入金額給与所得控除額
現行改正
1,625,000円まで550,000円650,000円
1,625,001円~1,800,000円収入金額×40%―100,000円
1,800,001円~1,900,000円収入金額×30%+80,000円
1,900,001円~3,600,000円収入金額×30%+80,000円
3,600,001円~6,600,000円収入金額×20%+440,000円収入金額×20%+440,000円
6,600,001円~8,500,000円収入金額×10%+1,100,000円収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上1,950,000円(上限)1,950,000円(上限)

3.所得税・個人住民税の特定親族特別控除の創設
現下の厳しい人出不足の状況において、特に大学生のアルバイトの就業調整について、税制が一因となっているということから、令和7年分以後の所得税(及び個人住民税)から、扶養親族の合計所得金額が58万円を超えると扶養控除による控除ができないことになりますので、19歳以上23歳未満の同一生計の親族(大学生世代の子ども等)がいる場合において、その親族等(配偶者及び青色事業専従者等を除く)の合計所得金額が123万円以下であるときは、一定の金額を控除(特定親族特別控除額)できることになります。なお、合計所得金額が85万円(給与収入150万円相当)までは、親等が特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除が受けられます。

親等の特定親族特別控除額は、その親族等(子ども等)の合計所得金額によって、以下のように段階的に変わります。

親族等(19歳以上23歳未満)の合計所得金額特定親族特別控除
所得税控除額(円)住民税控除額(円)
58万円超 85万円以下630,000450,000
85万円超 90万円以下610,000
90万円超 95万円以下510,000
95万円超 100万円以下410,000410,000
100万円超 105万円以下310,000310,000
105万円超 110万円以下210,000210,000
110万円超 115万円以下110,000110,000
115万円超 120万円以下60,00060,000
120万円超 123万円以下30,00030,000
123万円超00

4.実務上の年末調整対応
令和7年度中の源泉徴収は改正前の税額表により行うことになります。
(1) 令和7年12月1日以降の年末調整
改正制度の内容に基づき年末調整事務を行います。
(2) 令和7年11月30日以前での死亡や出国等に伴う年末調整等
改正前の制度内容に基づき年末調整事務を行います。この場合、令和7年分の改正制度を適用するには、確定申告で行うことになります。又、準確定申告された場合には、5年以内の更正の請求で改正制度の適用ができます。

2025年3月31日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

2024年度(令和6年度) 個人確定申告

個人並びに個人事業者の方の令和6年度確定申告の時期がきました。 以下に、 令和6年度分の確定申告の提出期限及び確定申告の対象となる人(任意ではなく申告しなければならない人)、 等に関しまして概要を纏めてみました。 なお、 確定申告の対象者は前年度と変更はありませんが、 税金の申告は、 本人自ら課税金額や税額を計算し、 その税額を申告納付する制度「申告納税制度」を採用していますので、 期限後申告・納付となりますと延滞税等がかかります。
下記は、原則の確定申告の提出・納付期限となります。

令和6年度確定申告の提出・納付期限

所得の種類令和元年度申告期間・納付期限口座振替による納税日(振替日)
所得税令和7年2月17日(月)から3月17日(月)
なお、還付申告は令和7年1月から可能
4月23日(水)
(新規の利用者の方は「預貯金口座振替依頼書」を申告期限までに要提出)
消費税令和7年1月 から3月31日(月)4月30(水)
贈与税令和7年2月 から3月17日(月)非該当

(1) 申告書の提出方法には、 ①持参(所轄税務署等の所定の提出場所)、 ②郵送、 ③電子申告(e-Tax利用によりデータ送信、この利用には事前準備が必要となりますが、 所得税では一定の第三者作成の提出書類を省略可の恩典があります)、の方法があります。
(2) 納税方法には、 ①持参(所轄税務署)、 ②金融機関から納付書を付けて納付、 ③ダイレクト納付(e-Taxの利用で、 かつ、 事前にダイレクト納付利用届出書の所轄税務署に要提出)、 ④インターネットバンキング・クレジットカードによる電子納税、⑤口座振替(上記を参照) の方法があります。
(3) 平成25年度から25年間には、 復興特別所得税として各年分の所得税額に2.1%の税率を掛けて計算した税額が発生することに留意してください。
(4) 平成28年分以降の確定申告にあたり、 マイナンバー(個人番号)の記載が必要となります。 申告書を書面提出する際には、 申告者のご本人の本人確認書類(番号確認書類及び身元確認書類)の提示又は写しの添付が必要です。 具体的な本人確認書類とは、
① マイナンバーカード(個人番号カード)
② 通知カード又は個人番号付の住民票の場合には、 身元確認書類として顔写真付きの運転免許証、 等の点、 又は顔写真付きでない場合には、 2点の確認書類(保険証、 年金手帳、 等)

A. 所得税
1. 令和6年度確定申告の主な改正・留意事項
令和6年度には、定額減税以外に特筆すべき事項はありませんが、申告書様式の一部に変更があります。
(1) 定額減税に対応する欄の新設(第一表)
定額減税の対象人数と金額を記入する欄が新設されました。
(2) 配偶者や親族に関する事項欄の変更(第二表)
① 住宅ローン控除等に子育て特例の適用ができる納税者であるかを判定する住宅欄が追加されました。
② 定額減税の対象となる同一生計配偶者や扶養親族であるかを判定するため、その他欄を使用変更されました。
2. 令和6年度確定申告が必要となる対象者の方
1. 給与所得者(サラリーマンの方)
① 給与の年間収入金額が2,000万円超となる方(年末調整対象外の方)
② 給与(年末調整済)を1箇所から受けていて、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円超となる方 (給与収入額が2,000万円以下で、 給与・退職所得以外の所得が20万円以下の場合には申告の必要はありません)
③ 給与(源泉徴収済)を2箇所以上から受けていて、 年末調整されなかった給与の収入金額と、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円超となる方。
但し、 給与所得の収入金額から、 一定の所得控除の金額(雑損控除、 医療費控除、 寄付金控除及び基礎控除の項目を除く)の差引金額が150万円以下で、 かつ、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円以下となる方は、 申告不要となります。
2. 上記の給与所得者以外の方、 又は個人事業者で納付税額が発生する方
事業所得や不動産所得等がある方で、 各種の所得金額の合計から各種の所得控除後で計算した税額が、 配当控除よりも多くなる方
3. 源泉徴収の適用を受けない給与等の支払を受ける方
① 家事使用人等の方で給与から源泉所得税を徴収されていない方: 常時2人以下の家事使用人だけを雇用している使用人等には源泉徴収の義務が無いことから、 その使用人等から給与を受給されていた方
② 在日外国公館から給与等の支払を受けた方
③ 国外から給与、 退職金等の支払を受けた方
4. 同族会社の役員やその親族等で、 その会社から給与以外に利子、 家賃、 使用料等の支払を受けている方は、 その利子、 家賃、 使用料等は全て申告の対象  
5. 災害減免法の適用を受け給与に対して源泉徴収の猶予や源泉徴収税額の還付を受けていた方
6. 上記以外の方で納付税額がある方
各種の所得金額の合計から各種の所得控除後で計算した税額が、 配当控除よりも多くなる方
注1: 公的年金等に係る所得の確定申告不要制度
その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、 その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、 かつ、 その雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、 所得税の確定申告書の提出は必要ありません(申告されれば還付となる場合もありますので、 その場合には申告される方が有利となる場合もあります)。 なお、国外源泉で国内源泉税の対象とならない国外年金収入等がある場合には、この確定申告不要制度の適用対象外となります。
この所得税の申告不要となる場合であっても、 住民税の申告が必要となることもありますので注意が必要です。

公的年金等の受給者で所得税の申告不要な者でも、住民税の申告が以下のような場合には必要となります(主に住民税の減額になるケース有り)。
① 年金や給与の源泉徴収票に記載されていない所得控除(扶養控除、障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除、医療費、社会保険料、生命保険料、地震保険料, 寄附金等)のある方は、住民税の申告で住民税が減少する可能性があります。
② 上記①の控除を追加したい方で、公的年金等収入が105万円(65歳以上の方は155万円)を超えている場合(この場合とは、公的年金等以外の合計所得金額が1千万円以下のケース)、或いは、超えていない場合でも公的年金等以外の所得金額がある場合。
③ 日本年金機構等に扶養親族等申告書を提出しているが、その内容に変更がある場合等。

注2: 確定申告不要(任意)となる方で申告すれば税金が戻ってくる方(還付申告者)
確定申告の総件数は2,000万件以上になるようですが、 この内の約半数近くが還付申告のものとなっているようです。 収め過ぎた税金を戻すためには確定申告書の提出が必要となります。 以下の様な場合には、 還付されるかもしれませんので調べてみてはどうでしょうか。
1. サラリーマンで年末調整を受けた方で次の年末調整では取扱わない項目があった方
① 一定金額以上の医療費(医療費控除: 限度額200万円)
生計を一にする家族の支払医療費が、 以下の金額以上になっている場合が対象:
所得が200万円以上: 支払医療費 – 保険給付金等 – 10万円 = 医療費控除額
所得が200万円未満: 支払医療費 – 保険給付金等 – 所得金額 × 5% = 医療費控除額
② 災害(地震、 台風等)や盗難により住宅や家財に被害を受けた場合(雑損控除)
災害の場合には、 災害減免法により所得税の軽減・減免を受けられることもあります。
③ 特定の寄付をされた方(寄付金控除や政党等寄付金特別控除)
④ 初めて住宅ローン控除を受ける方(住宅借入金等特別控除)
⑤ 年末調整時に提出ができなかった、 或いは洩れている控除項目がある方
生命保険料控除、 地震保険料控除、 配偶者特別控除、 各種の扶養者控除等
⑥ 中途退職され再就職しなかった方
退職までの給与収入に対する源泉徴収税額が年税額として過大となっているケースが殆どです。 又、 退職金に対して20%源泉になっている場合も可能性がありますし、退職所得を除く各種の所得の合計額から所得控除を差し引くと赤字になっている方。
2. 上場株式等に係る配当所得(申告分離課税選択)と上場株式等に係る譲渡損失との損益通算
3. 予定納税されたが確定申告不要となった方
4. 所得が少ない状況で配当や原稿料収入等からの源泉徴収税額が、 本来の納付すべき税額よりも多額となっている方
5. 外国税額控除の適用がある方
6. 申告の要件となっている項目がある方
① その年の翌年以降に純損失又は雑損失の繰越控除を受けるため、 ② その年分の純損失の金額について純損失の繰戻しによる還付を受けるため、 ③ 居住用財産の買換又は特定居住用財産の譲渡損失及び繰越控除を受けるため、 等には確定申告の提出が必要となります。

B. 贈与税
税制改正により、令和6年1月から生前贈与(暦年課税及び相続時精算課税)の適用内容に変更がありましたので、今後の適用プランを再検討されても良いかも知れません。
ご存知の様に、 暦年課税制度の場合には、下記に示す様に年間に受けた贈与額が110万円以下ならば非課税範囲のために贈与税の申告等は必要ありません。
1. 年間合計で110万円超の財産贈与(個人からの土地、 建物、 現金、 預貯金、 株式、 債権等の財産の贈与)を受けた方(暦年課税で下記の②の選択者を除く)
2. 相続時精算課税制度(60歳以上の父や母の直系卑属からの贈与者ごとに累積で特別控除額2,500万円)の選択者で財産贈与を受けた方(18歳以上の推定相続人の子、 並びに孫に限る)
3. 直近尊属から住宅取得等資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
特定受贈者(贈与年の1月1日現在18歳以上で合計所得金額2,000万円以下の者)が、 その直系尊属(親、祖父母等)から受ける居住用家屋の新築・取得・増改築等用に住宅取得等資金の贈与については、非課税措置の適用期限を令和8年12月31日まで延長し、 非課税限度額は以下のようになります。

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間良質な住宅用家屋(省エネ等住宅)左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅)
令和4年1月~令和8年12月(契約の締結時期を問わない)1,000万円500万円

4. 配偶者控除の特例(控除額2,000万円)を適用し、 配偶者から居住用不動産又はその取得資金の贈与を受けた方(婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与に限る)
5. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度、等
平成25年4月1日から令和8年3月31日までの期間に直系尊属が30歳未満の子や孫へ教育資金を拠出し、 金融機関(信託会社・信託銀行)、 銀行及び金融商品取引業者に信託等した場合、 受贈者(子・孫)1人当たり1,500万円(学校等以外への支払は500万円)までを非課税とする特例があります。 この制度適用のためには、 受贈者は教育資金非課税申告書を金融機関等の経由で税務署に提出する必要がありますが、 申込時に対応されていると思いますので特に問題となることはないでしょう。

C. 消費税
令和5年10月よりインボイス制度が始まり、これまで免税事業者でしたが、インボイス発行事業者登録された個人事業者の方は、令和6年度も課税売上高に対して2割特例等を適用して消費税の申告ができます。
通常、個人事業者で下記に該当する方は納税義務者(課税事業者)として申告する必要があります。
1. 基準期間となる前々年度(令和4年度)の課税売上高が1,000万円超の事業者の方
2. 特定期間となる前年(令和5年度)の1月1日から6ケ月間の課税売上高が1,000万円超で、 かつ、 同期間の給与等支払総額が1,000万円超の事業者の方
3. 免税事業者となる方が、 課税事業者となることを選択(消費税課税事業者選択届出書を事前に提出)している方(簡易課税選択者も含む)
納税義務者の判定上の留意事項:
(1) 基準期間の課税売上高は、 消費税込の金額となり、 事業用資産(住宅用として貸付けていた建物等)の譲渡の対価金額も含まれます。
(2) 被相続人(亡くなられた方)の事業を相続により承継した相続人には、 被相続人が提出していた各種の届出書の効力は及ばないので、 新たに提出する必要があります。
(3) 新規開業又は相続により事業を承継したときに、 消費税課税事業者選択届出書を提出した場合の適用開始時期は、 当該課税期間か翌課税期間かを選択できます。
(4) 消費税課税事業者選択届出書を提出されている場合には、 「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り、 その効力が消滅することはありません。

以上が、所得税、贈与税、消費税に関する確定申告の対象者の概要です。 

2025年2月17日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

個人住民税の納付方法 (特別徴収又は普通徴収)

会社は、1月末までに給与支給した従業員全員の年間の給与支払報告書(給与源泉徴収票)を各市区町村に提出しなければなりません。個人住民税の計算の為に、この給与源泉徴収票や年金受給されていれば年金源泉徴収票、確定申告されていれば所得税確定申告書・住民税確定申告書、等の所得情報が市区町村に集められます。その全所得に基づいて住民税額が算出され、その税額内容が5月中には通知され6月から翌年の5月までの間に納付することになります。つまり、2025年度の全所得に対する住民税は、2026年6月~2027年5月までの期間で納めます。
会社に勤められている従業員の住民税は、市区町村から通知される月別住民税額(課税通知書)を6月から翌年5月までの間(12等分)に給与天引きして、会社が翌月10日までに納付するという、「特別徴収」という方法で納付します。この特別徴収は原則ですが、例外として少人数の会社には、各従業員が住民税を直接納付するという、「普通徴収」という方法で納付(原則、4分割で銀行口座振替納付又は納付書納付)することが認められています。普通徴収が認められる当面の基準は、以下の様になっています(市区町村により異なるところがあります)。
A. 総従業員数が2人以下(下記対象者を除いた従業員数)
B. 他の会社で特別徴収
C. 給与額が少なく税額が引けない
D. 給与支払が毎月でなく不定期
E. 個人事業における事業専従者
F. 退職者又は5月末までに退職予定者(休職等により4月1日現在で給与支払が無い対象者も含む)

なお、給与所得者であっても他の所得があり所得税確定申告を行う場合には、給与所得分の住民税は普通徴収であっても、他の所得分の住民税に対する納付方法には、次の選択肢があります。
(1) 確定申告内で特別徴収を選択する。
この場合には、5月中に市区町村から本人の住所に住民税の課税通知書や納付書が送られます。給与所得以外の所得等の情報は会社には通知されませんし知られることはありません。
(2) 確定申告内で普通徴収を選択する。
この場合には、5月中に市区町村から会社に全所得に対する住民税の課税通知書や納付書が送られます(本人用の住民税の課税通知書があり、会社から本人が受取ります)。本人が能動的に納付する必要はありませんが、給与所得以外の所得等の情報は会社に通知され知られることになります。なお、給与所得以外の所得が高額な場合には、住民税額も高額となり月々の給与天引き出来ないこともあり得ますので、この点は留意すべきです。

2025年1月20日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant