残業上限「100時間未満」

政府が進める働き方改革の柱である残業時間の上限規制を巡り、 繫忙月に例外として認める残業を「100時間未満」とすることが固まった。

  1. 時間外労働の上限は、 原則、 月45時間で年間では360時間
  2. 残業特例

(1) 労使協定を結べば年720時間(月平均60時間)まで可能

(2) 2~6カ月平均で80時間以内を順守

(3) 繫忙期は月100時間を基準値とする

(4) 月45時間を上回る特例の適用は年6回まで

2017年3月14日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

相続税対策の養子 有効 当事者の縁組意思 重視 最高裁初判断

「相続税対策で孫と結んだ養子縁組は有効かどうか」が争われた訴訟の上告審判決で、 最高裁第3小法廷(木内裁判長)は31日、 「節税目的の養子縁組でも直ちに無効とはいえない」との初判断を示した。 判決は相続税対策として縁組が広がりつつある現状を追認した形。 縁組が無効となるのは当事者に縁組の意思がない場合などに限られるそうだ。

相続税額は遺産全体から一定額を差し引いた上で算出される。 この控除分は3千万円が基本で、 相続人1人につき600万円を加算。 実子がいても養子は1人まで、 実子がいなければ2人まで相続人に含められる。 最高裁第3小法廷は「説明の動機と縁組の意思は併存し得る」と指摘。 縁組の意思があれば節税目的の養子縁組を認める初の判断を示したことで、 当事者の意思が確認されれば、 養子縁組が無効になる余地はほぼなくなった。 なお、 国税庁は「縁組に至った経緯や生活実態など個々の事例に応じて判断する」としている。

2017年2月1日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

今年 税・社会保障こうなる 高所得者 負担一段と

2017年は税や社会保障をはじめ、 様々な分野で私たちの負担が変わる。 中でも年収1,000万円を超す会社員は1月から所得税が重くなり、 1,200万円超の場合は6月から地方税も増税になる。 高所得者の多くは給料が増えても「手取り増」を実感できない可能性がある。

「2017年負担こうなる」の内容は以下のとおりです。

時期 内容 対象者 負担
1月 年収1,000万円を超える会社員を対象に、 給与所得控除を縮小し、 所得税増税 高所得者のサラリーマン
約1,500品目の市販薬の購入費用が控除対象に。 所得税など減税 一般家庭
確定拠出年金(DC)を公務員や主婦などに対象拡大 新たに2,600万人が対象
4月 国民年金保険料額が16,490円に (現行16,260円) 主に自営業者全般
雇用保険料率を労使で0.8%から0.6%に引き下げ 企業とサラリーマン全般
ガス販売の自由化でガスの購入先が選べるように。 セット販売などでガス・電気代が割安に? 一般家庭
6月 年収1,200万円を超える会社員を対象に、 給与所得控除を縮小し、 住民税(地方税)増税 高所得者のサラリーマン
はがきを62円に値上げ 一般家庭
8月 70歳以上の医療費自己負担の上限を引き下げ 中高所得の高齢者420万人
介護費自己負担の上限を引き下げ 中所得の高齢者18万人
介護保険料が収入に応じて連動する「総報酬割」を導入 (8月分の保険料から開始) 大企業サラリーマンら1,300万人が負担増 増、又は減
9月 厚生年金保険料率が18.3% (現行18.182%)に 主にサラリーマン全般

 

 

 

(2) 税務情報コーナー

 

  • 2017(平成29)年度税制改正大綱:相続税・贈与税 (資産税)

 

2016年12月8日に与党が決定しました2017(平成29)年度税制改正大綱に関しまして、資産税 (主に相続税・贈与税) に関する主な改正案の概要は、 以下のとおりです。

 

1.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し

(1)災害時の被災者等が納税猶予制度の適用を受ける場合、適用対象となる会社の認定等の時期に応じて一定の救済措置があります。

(2)納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数に80%を乗じて計算した人数の1人未満は切捨てるが、最低1人(現行の端数は切上げ)と計算されます。

(3)相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加えられます。

(4)贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社の要件から、中小企業者であること及び当該株式が非上場株式等に該当することとする要件が撤廃されます。

上記の改正は、平成29年1月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税・贈与税について適用とされますが、経過措置も規定されます。

 

2.相続税・贈与税の納税義務者の見直し

(1)国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続税の納税義務について、国外財産が相続税の課税対象外とされる要件を、被相続人等及び相続人等が相続開始前10年(現行:5年)以内のいずれの時においても国内に住所を有しないこととなります。

(2)被相続人等及び相続人等が所定の在留資格をもって一時的滞在(国内に住所を有している期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)をしている場合の相続又は遺贈に係る相続税については、国内財産のみが課税対象となります。

(3)国内に住所を有しない者であって日本国籍を有しない相続人等が、国内に住所を有しない者であって相続開始前10年以内に国内に住所を有していた被相続人等(日本国籍を有しない者であって一時的滞在(国内に住所を有している期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)をしていたものを除く)からの相続又は遺贈により取得した国外財産を、相続税の課税対象に加えられます。

上記の改正は、平成29年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税・贈与税について適用とされますが、贈与税の納税義務についても同様な取扱いとなります。

 

現行の納税義務者は、 無制限納税義務者 (居住無制限納税義務者及び非居住無制限納税義務者)、 制限納税義務者ですが、以下の様になっています。

相続人・受贈者

 

 

被相続人・贈与者

国内に住所有り 国内に住所無し  
日本国籍有り 日本国籍無し  
5年以内に国内に住所有り 5年を超えて国内に住所無し  
国内に住所有り 国内・国外財産ともに課税(居住無制限納税義務者) 国外財産にも課税(非居住無制限納税義務者   (

 

国内財産のみに課税(制限納税義務者)
国内に住所無し 5年以内に国内に住所有り(注1)  
5年を超えて国内に住所無し    

 

3.居住用超高層建築物(タワーマンション)に係る課税の見直し

(1)タワーマンションに対する固定資産税(都市計画税も同様)

① 高さ60mを超える超高層建築物のうち、複数の階に住戸があるもの(居住用超高層建築物)については、当該建築物全体に係る固定資産税額を各区分所有者に按分する際に用いる専有部分の床面積を、階層の差による取引単価の変化の傾向を反映する補正率(階層別専有床面積補正率)により補正されます。

② 階層別専有床面積補正は、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が一つ増すごとに39分の10を加えた数値とする。例えば、40階だとしますと補正率は110(100 + 10/39 X 39)となります。 つまり、1階ごとに税額が0.25%程度増減することになります。

③ 居住用以外の専有部分がある場合には、全体に係る固定資産税額を、床面積により居住用部分と非居住用部分に按分の上、居住用部分の税額を各区分所有者に按分する場合にのみ階層別専有床面積補正率を適用します。

④ 上記①から③に加え、天井の高さ、附帯設備の程度等について著しい差違がある場合には、その差違に応じた補正が行われます。

⑤ 上記の按分方法にもかかわらず、区分所有者全員による申出があった場合には、当該申出の割合により固定資産税額を按分することも可能となります。

上記の改正は、平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものは除かれます)について適用となります。

(2)タワーマンションの専有部分の取得があった場合の不動産取得税

タワーマンションに対する不動産取得税についても、上記の固定資産税課税と同様な取扱いとなります。

 

4.医療法人に対する組織再編に伴う措置

(1)平成18年医療法等改正法に規定する移行計画の認定を受けた医療法人の持分を有する個人がその持分の全部又は一部の放棄により、移行計画上の期限までに持分の定めのない医療法人に移行した場合には、当該医療法人が受けた放棄による経済的利益については贈与税を課さないことになります。

(2)上記(1)の適用を受けた医療法人について、持分の定めのない医療法人への移行後6年経過するまでの間に移行計画の認定要件を満たさなくなった場合には、上記(1)の経済的利益について当該医療法人を個人とみなして、贈与税が課せられます。

(3)医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の適用期限が3年延長となります。

 

5.直系尊属からの教育資金の一括贈与における贈与税の非課税措置

金融機関への領収書等の提出を、平成29年6月1日以後より書面による提出に代えて電磁的方法により提供することが可能となります。

 

6.生産緑地地区内農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の適用

生産緑地法の改正を前提に、面積要件が緩和された改正後の生産緑地地区内農地等については、相続税・贈与税の納税猶予制度の適用上、現行と同様の取扱いとなります。

 

7.山林に係る相続税の納税猶予制度の見直し

納税猶予制度の緩和される見直しがあります。

 

8.土地売買の所有権移転登記等に対する登録免許税税率の軽減措置の延長

適用期限を2年延長となります。

 

9.相続税の物納財産の中に上場株等も第一順位

株式、社債及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されているもの等を国債及び不動産等と同順位(第一順位)となります。

 

10.相続税等の財産評価の適正化

(1)非上場株式の評価の見直し(平成29年1月1日以後の相続・贈与から適用)

① 類似業種批准方式

(イ)類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均が追加となります。 より平準化された株価を採用できることになります。

  平成28年12月31日までの相続等 平成29年1月1日以後の相続等
右記のいずれか低い株価を選択 * 課税時期の属する月以前3ヵ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの

* 類似業種の前年平均株価

* 課税時期の属する月以前3ヵ月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いもの

* 類似業種の前年平均株価

* 課税時期の属する月以前2年間平均

(ロ)類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、上場会社単体決算による比准要素から連結決算値を基に算定されることになります。

(ハ)配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:3:1から1:1:1とする。

これまでは、比准要素のうち「利益金額」の比重は3倍にして評価されていたが、改正で1倍と平成12年の通達改正前に戻ることになります。

② 評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大することになります。

引下げ幅等は検討中ということですが、例えば、大会社では類似業種批准方式を採用できることから、その枠が広がることで、結果として同方式での評価が取りやすくなり株価評価額がこれまでよりも減額となるケースが増えてきます。

 

(2)広大地の評価(平成30年1月1日以後の相続等から適用)

面積が1,000㎡(三大都市圏では500㎡)以上の「広大地」につては、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直し、かつ適用要件を明確化されます。

現行 路線価 X 面積 X 広大地補正率

広大地補正率 = 0.6 - 0.05 X 広大地面積 / 1,000㎡

(下限値0.35)

見直案 路線価 X 面積 X 補正率 X 規模格差補正率

補正率 = 形状(不整形・奥行)を考慮した補正率

規模格差補正率 = 面積を考慮した補正率

各補正率は全て外部専門業者の実態調査に基づき設定

 

(3)株式保有特定会社の判定基準(平成30年1月1日以後の相続等から適用)

評価会社の総資産のうち保有株式が50%以上である場合、「株式保有特定会社」として、原則、純資産価額方式で評価することになっていますが、この判定基準の株式の範囲に、「新株予約権付社債」が追加されることになります。

 

11.災害に関する税制上の措置

災害時における税制上の救済措置等が規定されました。 例えば、以下の取扱い。

(1)直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置

(2)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度

(3)山林に係る相続税の納税猶予制度

 

以上。

2017年1月4日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

預貯金も一緒に遺産分割対象に 最高裁が判例変更

最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は19日、 裁判所での審判で相続の取り分を決める「遺産分割」の対象に預貯金は含まないとしてきた判例を変更した。 遺族間で争われた審判の決定で、 「預貯金は遺産分割の対象に含む」とする初判断を示した。 相続の話し合いや家庭裁判所での調停では預貯金を含めて配分を決めるケースが多く、 こうした実態に沿う形に見直した。

2016年12月20日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

与党大綱決定 所得税 抜本改革先送り

自民、 公明両党は8日、 2017年度税制改正大綱を決めた。 所得税の配偶者控除は配偶者(妻)の年収上限を103万円から150万円に事実上引き上げ、 パート主婦がより長く働きやすくする。 働き方を左右しない中立な税制の実現に向けて半歩前進したものの、所得税改革は来年度以降に抜本的な見直しを先送りした。
当該2017年度税制改正大綱の概要につきましては、「税務情報」で紹介していきます。

2016年12月9日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

介護保険 来年度から負担増 高所得者頼みに限界も

財務・厚生労働省が検討していた介護保険制度改革の概要が固まった。 収入によって保険料が変わる「総報酬割」の仕組みを導入することで大企業に勤める会社員の保険料を引き上げるとともに、 現役並みの所得がある高齢者の自己負担を2割から3割に増やし、 増加が続く介護費用を賄う。 所得が多い人に照準を合わせた負担増には限界もみえる。

2016年11月18日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

高齢者医療 保険料上げ 75歳以上の専業主婦 特例廃止

政府・与党は75歳以上が加入する公的健康保険「後期高齢者医療制度」で、 一部の保険料を軽減する特例措置を見直す。 まず家計に余裕ある専業主婦らの保険料を1割負担とする特例をなくす方向だ。 一定の所得がある人への軽減も見直す。 高齢者にも経済力に応じた負担を求め、 医療費の膨張に歯止めをかける。

現在、 会社の健康保険などに加入する配偶者の扶養を受ける専業主婦らは、 74歳まで保険料を払う必要がない。 75歳以降も特例で、 所得に関係なく保険料は9割軽減され、 負担は1割の月380円ですむ。 この特例の廃止を検討する。

又、 低所得者向けの特例も縮小を検討する。 現在、 夫婦2人の年金収入がそれぞれ80万円以下の世帯は1割負担で、 80万円以上は段階的に負担が増えていく仕組ですが、 この特例の縮小も検討されることになっています。

2016年11月17日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

中小の賃上げ 減税拡充

財務省は賃上げした中小企業に減税する制度を拡充することで経済産業省などと調整に入った。 収益改善を賃上げにつなげる仕組みを強化し、 大企業中心の賃上げを中小にも行き渡らせる環境を整える。

見直すのは「所得拡大促進税制」で、 賃上げ税制などと呼ばれる。 2013年度から導入している。 企業の規模を問わず、 2012年度の給与総額に比べて一定基準を上回る賃上げをした企業を対象に、 賃上げ総額の10%を法人税の納税額から差し引いている。 具体的な見直しは、 中小企業の減税幅を引き上げる方向で、 経産省は今夏の税制改正要望で中小企業に限って減税率を10%から20%に2倍にするように求めていた。

2016年11月15日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

マンション高層階 増税 「富裕層の節税」けん制

政府・与党は20階建て以上の高層マンションについて、 高層階の固定資産税と相続税を引き上げる。 2018年以降に引き渡す新物件が対象。 一方で低層階の税負担を軽くする。 高層階の部屋は取引価格が高いわりに税金が安く、富裕層の間では節税策として購入する動きが広がっていた。

2016年10月25日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

預金の遺産分割対象に 最高裁、判例見直しへ

相続税の取り分を決める「遺産分割」の対象に預金は含まれない。 こんな裁判のルールが見直されることになりそうだ。 話し合いや調停では預金を含めて配分を決めるのが一般的で、裁判所も実態に合わせる。

判例は預貯金を遺産分割の対象とせず、不動産や株式といった他の財産と関係なく、法定相続の割合に応じて相続人に振り分けられると考えてきた。 最近では2004年の最高裁判決が「預貯金は法定相続分に応じて当然に分割される」とした。

預貯金を相続人間の話し合いで遺産分割を決めるという実務と、遺産分割の対象ではなく法定相続割合となるという判例との隔たりが指摘されていた。 早ければ年内に大法廷より判例の変更があるかもしれません。

2016年10月20日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant