政府は一定の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直す方針を固めた。将来的な廃止も視野に高所得者の年金減額の縮小を検討する。2020年度の法改正を見指す。
現行の在職老齢年金制度では、高齢者の給与と年金の合計額が一定の水準を超えると、厚生年金の一部を減額・支給停止する。対象は60~65歳未満が月28万円、65歳以上は46万円を超える人。65歳以上で見ると、給与に年金を足した年収が552万円を超える人が対象だ。
改正は、年金が減らないように意図的に働く時間を短くする高齢者もいること、更に少子高齢化に伴う人手不足が経済成長を抑える構造問題になってきたためと言われています。
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健保組合2割「解散予備軍」 高齢者医療費の負担増大
大企業の社員らが入る健康保険組合の財政が悪化している。全国約1400組合の2018年度予算によると、平均の保険料率は年収の約9.2%(労使折半)と11年連続で上がる。2割強の300超は、国所管の全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率以上になり、存続の利点が少ない「解散予備軍」だ。高齢者の医療費を支える負担が重いのが原因。健保組合が国所管に移れば、税金で支える対象が増える。
健康保険制度の概要は、以下のとおり。
主な加入者 | 加入者数(万人) | 一人当たりの医療費(万円) | 平均所得(万円) | |
国民健康保険 | 自営業や非正規労働者、74歳未満の退職高齢者 | 3,182 | 35 | 84 |
協会けんぽ | 中小企業の従業員 | 3,716 | 17.4 | 145 |
健康保険組合 | 大企業の従業員 | 2,914 | 15.4 | 211 |
共済組合 | 公務員 | 877 | 15.7 | 235 |
後期高齢者医療制度 | 75歳以上の高齢者 | 1,624 | 94.9 | 80 |
現在、健康保険組合の中で、50万人の加入者を抱える全国最大規模の人材派遣健保や、16万人の日生協健保が解散の検討に入っている。
2018年度予算成立 最大の97兆円超 子育て・事業承継支援
2018年度予算と税制改正関連法は28日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計の歳出総額は97兆7128億円で、6年続けて過去最大を更新した。子育て世帯を支援するほか、中小企業の事業承継に対して税優遇する。新規国債発行額は減少したが、高い水準が続く。高所得者を中心に負担増も目立つ。税制改正事項の主なものは、税務情報コーナー等で紹介していきます。
地価上昇 全国に波及 地方、26年ぶりプラス 公示地価
地価上昇の波が全国に広がってきた。国土交通省が27日発表した2018年1月1日時点の公示価格は、商業・工業・住宅の全用途(全国)で0.7%のプラスと3年連続で上昇した。地方圏も26年ぶりに上昇に転じ、0.041%のプラスだった。緩和マネーが下支えし、訪日客増加を受けて地方でもホテルや店舗の重要が増している。都市部の再開発も活発で、資産デフレの解消が進んでいる。
2018年公示地価の変動率(1月1日時点、 前年比%、 ▲は下落):
地域 | 住宅地 | 商業地 | 全用途 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
2018年 | 前年 | 2018年 | 前年 | 2018年 | 前年 | |
全国平均 | 0.3 | 0.022 | 1.9 | 1.4 | 0.7 | 0.4 |
三大都市圏 | 0.7 | 0.5 | 3.9 | 3.3 | 1.5 | 1.1 |
東京圏 | 1.0 | 0.7 | 3.7 | 3.1 | 1.7 | 1.3 |
大阪圏 | 0.1 | 0.039 | 4.7 | 4.1 | 1.1 | 0.9 |
名古屋圏 | 0.8 | 0.6 | 3.3 | 2.5 | 1.4 | 1.1 |
地方圏 | ▲0.1 | ▲0.4 | 0.5 | ▲1.4 | 0.041 | ▲0.3 |
公的機関が公表する土地価格情報には、 以下のものがあります。
| 公示地価 | 基準地価 | 路線価 | 固定資産税評価額 |
---|---|---|---|---|
調査主体 | 国土交通省 | 都道府県 | 国税庁 | 市町村 |
調査地点数 | 約26,000 | 約21,700 | 約334,000 | 多数 |
調査時点 | 1月1日 | 7月1日 | 1月1日 | 1月1日(原則3年に1回、 次回は2018年) |
公開時期 | 3月 | 9月 | 7月又は8月 | 3月 |
公開サイト | 国交省(土地総合情報ライブラリー) | 国交省(土地総合情報ライブラリー) | 国税庁 | 資産評価システム研究センター |
その他 | 調査対象は都市部の比重が高い。 標準地の公示地価は一般の土地取引価格(更地価格)の指標となるだけでなく、 公共事業用地の取得価格算定や、 国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。 | 調査対象は地方の調査地点が多く、 一般の土地取引価格の指標となる。 公表は国交省から | 相続税・贈与税の基準となる地価で、 公示地価の8割程度の水準 | 土地に対する固定資産税計算の基準となる地価で、 公示価格の7割程度の水準 |
相続 配偶者に厚く 法制審答申
法制審議会は16日、民法の相続分野を見直す改正要綱を上川陽子法相に答申した。
(1)「配偶者居住権」の新設
遺産分割の協議が調うなどすれば、配偶者はそれまでの住居に住み続けられる「配偶者居住権」を新設する。配偶者居住権は所有権と比べて売却する権利などがないため、評価額が低くなる。
(2)住居の生前贈与
新たな規定では婚姻期間が20年以上で、配偶者に住居を生前贈与するか遺言で贈与の意思を示せば、その住居は遺産分割の対象から外れる。
(3)相続人以外の一定の親族の寄与分
被相続人の親族で相続の対象にならない人でも、介護や看病で被相続人の財産の維持などに貢献した場合は、相続人に金銭を請求できる仕組みも取り入れられます。
年金受給開始70歳超も 選択制、額は上乗せ 政府検討
政府は公的年金の受け取りを始める年齢について、受給者の選択で70歳超に先送りできる制度の検討に入った。2020年中にも関連法改正案の国会提出を目指す。
現行の公的年金制度では、受け取り開始年齢は65歳が基準で、受給者の希望に応じて、原則として60~70歳までの間で選択できる。受け取り開始を65歳より後にすれば毎月の受給額が増え(1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ前月の受給額が増え、70歳まで遅らせた場合には、受給額が42%増える)、前倒しすれば減る(1カ月あたり0.5%ずつ減額)仕組みだ。これを、70歳超に先送りした場合の上乗せ率を現行の0.7%より高くする方針です。
死後、配偶者に居住権 法制審が要綱案 相続、民法見直し
民法の相続分野の見直しを議論する法制審議会の民法部会は16日、民法改正の要綱案をまとめた。残された配偶者の保護を強化するのが柱。配偶者が自身が亡くなるまで今の住居に住める「配偶者居住権」を新設する。生前に書く「自筆証書遺言」を全国の法務局で保管できる制度もつくり、相続を巡るトラブルを減らす。
遺産分割の協議が調うなどすれば、配偶者はそれまでの住居に住み続けられる「配偶者居住権」を新設する。又、遺産分割が終わるまで、それまでの住居に無償で住める「短期居住権」も新たに設ける。新たな制度では婚姻期間が20年以上で、配偶者に住居を生前贈与するか遺言で贈与の意思を示せば、その住居は遺産分割の対象にしない。
生前に被相続人が書く自筆証書遺言は、今後、公的機関である全国の法務局で保管できるようにして、相続人が遺言があるかを簡単に調べられるようにする。法務局に預けた場合は、家庭裁判所で相続人が立ち会って内容確認する「検認」の手続きを不要とする。又、財産目録はこれまで自筆に限定していたが、パソコンでの作成可能となります。
被相続人の親族で相続の対象にならない人でも、介護や看病で被相続人の財産の維持などに貢献した場合は、相続人に金銭を請求できる仕組みも取り入れられます。又、遺産分割の協議中でも、相続した預貯金を葬儀費用や生活費用に充てるため、仮払いを認める制度も設けられます。
スマホでコンビニ納税
2019年1月から、スマートフォン(スマホ)などを使い、コンビニエンスストアで納税できるようになる。納税者が使いやすい環境を整え、スマホやタブレット端末などからの電子申告・納税の利用を促す。
つみたてNISA 25万口座で始動
2018年1月に始まった積み立て方式の少額投資非課税制度「つみたてNISA」が個人マネーの新たな受け皿になりつつある。主な証券・銀行12社の2017年末時点の口座申し込みは約25万件となった。つみたてNISAは年間40万円まで投資可能で、20年間は運用益が非課税となる
個人軸2,800億円増税 企業向けは増減ゼロ 与党税制大綱
自民、公明両党は14日、2018年度の与党税制改正大綱を決定した。年収850万円超の会社員への所得増税やたばこ増税で、約2,800億円の増税となる。森林保護や観光インフラ整備の財源とする27年ぶりの新たな国税も創設。個人の増税が際立つ一方、法人税は賃上げや設備投資を進める企業に減税するメニューが並び、増減税はほぼ同額となった。