公益利用認める措置法成立 所有者不明地 公園や施設に

所有者が分からない土地の利活用を促す特別措置法が6日の参院本会議で成立した。都道府県知事の判断で最長10年間の「利用権」を設定し、公園や仮設道路、文化施設など公益目的で利用できるようになる。来年の6月までに施行される。

2018年6月7日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

給与等支給拡大促進税制の改組(所得拡大促進税制)

平成30年度税制改正により、平成30年4月1日以降の開始事業年度より所得拡大促進税制の適用要件が大きく変更になりましたので、その現行制度(平成30年3月31日までに開始する事業年度)との相違を以下に記します。

1. 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度
青色申告法人が、平成30年3月31日までの間に開始する事業年度において国内雇用者に対する給与等支給額に関して、 その法人の雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)が基準雇用者給与等支給額に対し5%以上(中小法人等は3%以上)であり、 かつ、 他の2要件等を満たす場合には、 その雇用者給与等支給増加額の10%(条件により10%以上)の税額控除(但し、 大法人は法人税額の10%(中小法人等は20%)が控除限度)ができることになっています。

適用期間平成29年4月1日~平成30年3月31日の間に開始する事業年度
適用要件次の3要件を全て満たす場合:
(1) 当期の雇用者給与等支給増加額 (雇用者給与等支給額 - 基準雇用者給与等支給額) ÷ 基準雇用者給与等支給額 ≧ 5%
(2) 当期の雇用者給与等支給額 ≧ 前期の雇用者給与等支給額
(3)-1中小企業の場合
当期の継続雇用者平均給与等支給額 > 前期の継続雇用者平均給与等支給額(比較平均給与等支給額)
(3)-2大企業の場合
(平均給与等支給額 - 比較平均給与等支給額)÷ 比較平均給与等支給額 ≧ 2%
(従って、割合が2%未満の場合には、制度の適用がありません)
国内雇用者の範囲国内雇用者とは、 役員、役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除く使用人で国内事業所に勤務し賃金台帳に記載されている雇用者(従って、 雇用保険の一般被保険者でない雇用者も含む)
継続雇用者の範囲継続雇用者とは、適用年度およびその前年度の両方において給与等の支給を受けた国内雇用者であり、継続雇用者に係る金額は、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限りますが、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除く、ということになっています。
具体的には、 前期の退職者、 当期の新規雇用者、 継続雇用制度に基づき雇用されている高年齢再雇用者(なお、 適用年度に当該継続雇用制度の対象者になった場合には、 制度前の支給額部分は両年度で一般被保険者に該当することからその部分は除かれません) を除きますが、 一定の週20時間以上のパート・アルバイトで雇用保険法の適用要件を満たす一般被保険者は含まれます。
従いまして、 第1に、雇用保険法における一般被保険者に該当する者に対して支給したものに限られますので、
(イ) 正社員、及び
(ロ)パート・アルバイトのうち週所定労働時間が20時間以上で一般被保険者になっている者
ということになりますが、 但し、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」9条1項2号に規定する継続雇用制度の対象である者に対して支給したものを除くとされていますので、定年が65歳未満の会社で、65歳未満で定年退職した者を対象とする継続雇用制度を採用している会社の場合、定年以降の継続雇用制度の対象者に支給した金額は控除しなければなりません(この対象者の定年後の給与額は、 通常引下げられることとなり会社にとって不利とならない配慮により含めない処置となっています)。
給与等の範囲給料、 賃金、 賞与等で賃金台帳に記載された支給額(非課税とされる通勤手当等の額も含む)のみを対象としますが、 合理的な方法により継続して給与等の支給額を計算している場合には、 これも認められます。 退職金等は対象外です。
雇用者給与等支給額適用年度(当期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額。 なお、 控除すべきものとして、 国等から支給を受けた助成金や出向先法人から受けた出向者分の給与負担金受給額、 等は控除します。
なお、 出向先法人では、 その賃金台帳に出向者を記載している時には、 その給与負担金は含まれます。
基準雇用者給与等支給額・基準年度平成25年4月1日以後の開始事業年度のうち、 最も古い事業年度の前年度が基準事業年度となり、 その基準年度における損金算入される国内雇用者に対する給与等の支給額。
従いまして、 基準事業年度の例示として、 事業年度末が3月末の場合には、 基準事業年度は平成25年3月31日終了事業年度となり、 9月末の場合には、 平成25年9月30日終了事業年度、 2月末の場合には、 平成26年2月28日終了事業年度となります(つまり、 3月末事業年度以外の場合には、 平成25年4月1日を含む事業年度ということ)。
雇用者給与等支給増加額雇用者給与等支給額 - 基準雇用者給与等支給額 = 雇用者給与等支給増加額
比較雇用者給与等支給額適用前年度(前期)の損金算入される国内雇用者に対する給与等支給額
継続雇用者平均給与等支給額当期の適用年度における損金算入される国内の継続雇用者に対する給与等支給額 ÷ 適用年度における給与等月別継続雇用対象者の人数の述べ人数・合計数) = 継続雇用者平均給与等支給額
対象となる継続雇用者とは、 適用年度及び前年度において給与等の支給を受けた国内雇用者に対する給与等のうち、 雇用保険法の一般被保険者に対する給与等をいう。 従って、 前期の退職者、 当期の新規雇用者、 継続雇用制度に基づき雇用されている高年齢再雇用者を除きますが、 一定の週20時間以上のパート・アルバイトで一般被保険者は含まれます。
継続雇用者比較平均給与等支給額(前期の適用前年度における損金算入される国内の継続雇用者に対する給与等支給額) ÷ 適用年度における給与等月別継続雇用対象者の人数の述べ人数・合計数) = 継続雇用者比較平均給与等支給額
税額控除額・限度額大企業の場合:
雇用者給与等支給増加額 X 10% + (①又は②のいずれかの金額)X 2%
① 雇用者給与等支給増加額 ≧(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額の金額
② 雇用者給与等支給増加額 <(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給増加額の金額
中小企業の場合:
比較平均給与等増加割合が2%以上の場合には、控除税額が増額となります。
雇用者給与等支給増加額 X 10% + (①又は②のいずれかの金額)X 12%
① 雇用者給与等支給増加額 ≧(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額の金額
② 雇用者給与等支給増加額 <(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)ならば、雇用者給与等支給増加額の金額

税額控除限度額 = 当期法人税額 X 10%又は20%以内
(但し、 控除限度額は、 大会社等については当期法人税額の10%、 中小企業者等については当期法人税額の20%)
中小企業者等中小企業者等とは、青色申告法人のうち、中小企業者又は農業協同組合等をいいます。
中小企業者とは、次に掲げる法人をいいます。
① 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
 ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます) に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人、 及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。
② 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
役員の特殊関係者役員の特殊関係者とは、次に掲げる者をいいます。
① 役員の親族 (配偶者、6親等以内の血族、及び3親等以内の姻族)
② 役員と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
③ 上記以外の者で役員から生計の支援を受けているもの
④ 上記の者と生計を一にするこれらの者の親族
その他、 他の税額控除適用との関係3つの適用要件が以下のように異なりまので、 国内雇用者に対する雇用者給与等支給額があれば、 必ず適用要件を全て満たすことになります。
(1) 当期の雇用者給与等支給増加額 (雇用者給与等支給額 - 基準雇用者給与等支給額) ÷ 基準雇用者給与等支給額 ≧ 5%に関して
 雇用者給与等支給額 X 30% ≧ 雇用者給与等支給額 X 3.5%(70% X 5%)
(2) 当期の雇用者給与等支給額 ≧ 前期の雇用者給与等支給額に関して
 雇用者給与等支給額 ≧ 0
(3) 当期の継続雇用者平均給与等支給額 > 前期の継続雇用者平均給与等支給額に関して
 1/1> 0/1
平成25年4月1日以後に設立された法人の場合には、 通常の基準年度がありませんが、 設立事業年度において雇用者に給与等を支給している場合には、 その設立事業年度における雇用者平均給与等支給額の70%相当額が基準雇用者給与等支給額として必ず本制度を適用することができますが、平成29年4月1日以後平成30年3月31日の間で開始する事業年度までに設立した法人は、以下の表1になります。
継続雇用者給与等支給額がゼロの場合の平均給与等支給額の計算① 当期の平均給与等支給額の計算
分子の額(継続雇用者給与等支給額): 1円とする
分母の数(継続雇用者給与等支給額に係る給与等支給数): 1とする
② 前期の平均給与等支給額の計算
分母の数(継続雇用者給与等支給額に係る給与等支給数): 1とする
継続雇用者給与等支給額がゼロの場合であっても、平均給与等支給額の要件は必ず満たされることになる。

表1
基準雇用者給与等支給額
=雇用者給与等支給額X70%
要件満たす 
比較雇用者給与等支給額 = 0要件満たす
平均給与等支給額 = 1/1大企業比較雇用者給与等増加割合が2%以上の要件を満たせず。
税額控除の不適用となる。
比較平均給与等支給額 = 0/1中小企業上乗せの比較平均給与等増加割合が2%以上の要件を満たせず。
12%の上乗せの税額控除のみ不適用となる。

雇用者給与等支給増加割合の要件の開始事業年度別推移:
 平成26年度
平成27年度

平成28年度
平成29年度(注1)

中小企業者等

2%3%
3%
3%
大法人2%3%4%
5%
注1:平成29年度とは、平成29年4月1日~平成30年3月31日の間で開始する事業年度で適用。

2.所得拡大促進税制の改組(大企業):平成30年4月1日以降開始事業年度より
平成30年度税制改正により、大企業において、十分な賃上げや国内設備投資を行った場合には、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができることになります。又、更に人材投資を増加させた企業に対しては、税額控除割合が上乗せとなります。なお、これまでの基準事業年度、継続雇用者の定義及び適用要件が変わった点に留意する必要があります。

対象法人・対象期間青色申告の大法人で、平成30年4月1日~平成33年3月31日までの期間に開始する各事業年度
但し、設立初年度は対象外
適用3要件①賃金要件:
(イ) 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額
(ロ)(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額)÷ 継続雇用者比較給与等支給額 ≧ 賃上げ率3%
②投資要件:
(ハ) 国内設備投資額 ≧ 減価償却費総額 X 90%
上乗せ要件
(適用4要件)
③教育費要件:
(ニ) (教育訓練費 - 比較教育訓練費)÷ 比較教育訓練 ≧ 
20%
継続雇用給与等支給額及び継続雇用比較給与等支給額の範囲継続雇用者とは、当期(継続雇用給与等支給額)及び前期(継続雇用比較給与等支給額)の全期間の各月において給与等の支給を受けた国内雇用者として一定の雇用者であること(雇用保険法の一般被保険者に該当する者に限られ、前期に中途入社した者、当期に退職した者、継続雇用制度対象者は含まれません)。
当継続雇用者がいない場合には、①の適用要件を満たさない
国内設備投資額とは国内で当期中取得の減価償却資産で当期末に有する取得価額の合計額をいう
減価償却費総額とは全減価償却資産の損金経理した減価償却費の総額(過年度分の減価償却超過額の当期認容額を除き、特別償却準備金の積立額を含む)をいう
税額控除額イ:適用3要件
給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 15% = 税額控除額
ロ:適用4要件
なお、更に、上記適用3要件以外に教育訓練要件を満たせば、
(教育訓練費 - 比較教育訓練費)÷ 比較教育訓練 ≧ 
20%の場合の税額控除額は;
給与等支給額増加額 X 20% = 税額控除額
教育訓練とは
国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を取得させ、又は向上させる次の費用(外部支払)をいう。
①法人が教育訓練等を自ら行う場合の社外講師謝金等の費用
②他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合のその委託費
③他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用(授業料、受講料、受験手数料、等)
比較教育訓練費とは
前期及び前々の教育訓練費の年平均額をいう
税額控除額の上限
税額控除の上限は、法人税額の20%

3.所得拡大促進税制の改組(中小企業):平成30年4月1日以降開始事業年度より
平成30年度税制改正により、中小企業において、十分な賃上げを行った場合には、賃上げ金額の一定割合の税額控除ができることになります。又、更に人材投資を増加させた企業に対しては、税額控除割合が上乗せとなります。なお、大企業と同様に適用要件等が変更になっています。

対象法人・対象期間青色申告の中小企業者等で、平成30年4月1日~平成33年3月31日までの期間に開始する各事業年度
但し、設立初年度は対象外
適用2要件と税額控除額①賃金要件:
(イ) 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額
(ロ)(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額)÷ 継続雇用者比較給与等支給額 ≧ 賃上げ率1.5%

税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 15% = 税額控除額
上乗せ要件
(適用3要件)と税額控除額
要件:
(ロ)(継続雇用者給与等支給額 - 継続雇用者比較給与等支給額)÷ 継続雇用者比較給与等支給額 ≧ 賃上げ率2.5%
(ハ) 次のいずれかの要件を満たす場合
Ⅰ 教育費要件:
(教育訓練費 - 前期教育訓練費<中小企業比較教育訓練費>)÷ 前期教育訓練費 ≧ 10%の場合、又は
Ⅱ その事業年度終了日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされた場合

税額控除額:給与等支給額増加額(雇用者給与等支給額 - 比較雇用者給与等支給額)X 25% = 税額控除額
継続雇用給与等支給額及び継続雇用比較給与等支給額の範囲継続雇用者とは、当期(継続雇用給与等支給額)及び前期(継続雇用比較給与等支給額)の全期間の各月において給与等の支給を受けた国内雇用者として一定の雇用者であること(雇用保険法の一般被保険者に該当する者に限られ、前期に中途入社した者、当期に退職した者、継続雇用制度対象者は含まれません)。
当継続雇用者がいない場合には、①の適用要件を満たさない
教育訓練とは国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を取得させ、又は向上させる一定の費用(外部支払)をいう
中小企業比較教育訓練費とは
当期開始前の前1年以内に開始した各事業年度の教育訓練費の年平均額(前期の教育訓練)をいう
税額控除額の上限
税額控除の上限は、法人税額の20%

2018年5月31日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

働く高齢者 年金減額縮小 政府方針 就労促進、廃止も視野

政府は一定の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直す方針を固めた。将来的な廃止も視野に高所得者の年金減額の縮小を検討する。2020年度の法改正を見指す。
現行の在職老齢年金制度では、高齢者の給与と年金の合計額が一定の水準を超えると、厚生年金の一部を減額・支給停止する。対象は60~65歳未満が月28万円、65歳以上は46万円を超える人。65歳以上で見ると、給与に年金を足した年収が552万円を超える人が対象だ。
改正は、年金が減らないように意図的に働く時間を短くする高齢者もいること、更に少子高齢化に伴う人手不足が経済成長を抑える構造問題になってきたためと言われています。

2018年5月25日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

相続時の特定居住用宅地等における「家無き子」適用要件の平成30年度税制改正

相続時の小規模宅地等の特例の中に、特定居住用宅地等の適用要件を満たせば、その宅地の課税評価額が面積330㎡を上限として評価額を80%減額できるというものがあります。その適用要件は、平成30年度税制改正前までは以下のとおりでした。

区分 相続人(取得者) 適用要件
1.被相続人の居住用として使用されていた宅地① 配偶者無し(無条件で適用)
② 同居親族相続開始から相続税の申告期限まで、その家屋に居住し、かつ、所有の継続
③ 3年借家住まいの別居親族(家無き子)配偶者又は同居親族(法定相続人)がいなく相続開始前3年間に本人又は本人の配偶者の持ち家に住んだことがなく、かつ、相続税の申告期限までその家屋を所有
2.被相続人と生計を一にする親族の居住用に使用されていた宅地① 配偶者無し(無条件で適用)
② 生計を一にしていた親族相続開始時から相続税の申告期まで、その家屋を所有し、かつ、相続開始前から申告期限まで所有の継続

●一棟の二世帯住宅で構造上区分されているもので、 被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合に、 その親族が取得した宅地等のうち、 被相続人及びその親族が居住していた部分も特例の対象となります。 即ち、 区分所有登記された建物を除き、 その親族が自身の居住部分にそのまま居住していれば、 相続開始後に空家になった被相続人の居住部分を申告期限を待たずに、 貸付等に供することが可能です。 仮に、区分登記されている場合には、生前に合併登記の手続きをすれば特例を使うことができます。

●老人ホームに入所したことにより被相続人が居住しなくなった宅地等でも、 次の要件を満たせば居住の継続となります。

(イ) 被相続人に介護が必要なため入所したものであること(相続直前に要介護認定又は要支援認定を受けていること、又は当該認定を受けていなくとも「基本チェックリスト」に該当する第1号被保険者であることが必要)

(ロ) 当該家屋が貸付等の用途に供されていないこと

(ハ) 当該老人ホームは、 その設置が都道府県知事への届出がされていること

●離れ部分の敷地の取扱い

離れ部分の敷地が母屋と一体として利用されていれば、 その離れも含まれることになります。

改正前の「家無き子」規定を以下の様に活用し、本来の趣旨を逸脱し節税する課税逃れにメスが入りました。
所定の条件を満たし、地価の高い都心部の家に一人で暮らすご両親(配偶者は既に死亡)の自宅を相続することを見越して、持ち家(マイホーム)のある相続人が、そのマイホームを長男等で贈与して「家無き子」になり、贈与から3年経過すれば条件を満たすことができ特例の適用対象になることができました。又、持ち家(マイホーム)があっても、マイホームから引っ越し賃貸住宅等に3年間以上住み、相続発生までマイホームに戻らない場合でも条件を満たすことになっていました。

平成30年度税制改正より、平成30年4月1日以後の相続又は遺贈による相続税において、家無き子(持ち家に居住していない者)に係る特定居住用宅地等の特例対象者の範囲から、次の者は除外者となりました。

① 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係がある法人(同族会社)が所有する国内にある家屋に居住したことがある者(国外の家屋は含まれません)

② 相続開始時において居住用家屋を過去に所有していたことがある者

上記以外に、下記の改正も行われています。

(1)貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業用の宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者の貸付事業用のものは除く)を適用外とする。但し、平成30年3月31日以前から貸付事業用の宅地には適用されません。

(2)介護医療院に入所したことにより被相続人の居住用に供されなくなった家屋の宅地等について、相続の開始直前まで被相続人の居住用とされていたものとして本特例の適用となります。

上場株式の配当課税方式の選択(所得税と住民税)

2017年度(平成29年度)の税制改正で上場株式の配当に係る所得税と住民税で、異なる課税方式を選択することを改めて認め、それぞれ有利な課税方式を選択できることになっています。所得税は税務署への確定申告で、住民税は市区町村の税務窓口に届出ることになりますが、有利判定の為に以下の内容が判断材料になります。

1.上場株式の配当・売却益に対する課税方式

課税方式源泉分離課税
(申告不要制度)
申告分離課税
(分離)
総合課税
(総合)
配当金
売却益
所得税と住民税で異なる課税方式を選択できる

2.配当金に係る所得税・住民税の負担合計税率

ケース1ケース2ケース3
課税所得所得税:不要
住民税:不要
所得税:総合
住民税:総合
所得税:総合
住民税:不要
~330万円以下20% 7.2%5%
~695万円以下20% 17.2%15%
~900万円以下20% 20.2%18%
~1,000万円以下20% 30.2%28%
~1,800万円以下20% 36.6%33%

総合課税の場合には、配当控除という負担軽減の措置があります。
住民税の課税所得に社会保険負担が連動していることも考慮する必要があります。

2018年4月23日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

健保組合2割「解散予備軍」 高齢者医療費の負担増大

大企業の社員らが入る健康保険組合の財政が悪化している。全国約1400組合の2018年度予算によると、平均の保険料率は年収の約9.2%(労使折半)と11年連続で上がる。2割強の300超は、国所管の全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率以上になり、存続の利点が少ない「解散予備軍」だ。高齢者の医療費を支える負担が重いのが原因。健保組合が国所管に移れば、税金で支える対象が増える。

健康保険制度の概要は、以下のとおり。



主な加入者加入者数(万人)一人当たりの医療費(万円)平均所得(万円)
国民健康保険自営業や非正規労働者、74歳未満の退職高齢者 3,182 35 84
協会けんぽ中小企業の従業員 3,716 17.4 145
健康保険組合大企業の従業員 2,914 15.4 211
共済組合公務員 877 15.7 235
後期高齢者医療制度75歳以上の高齢者 1,624 94.9 80

現在、健康保険組合の中で、50万人の加入者を抱える全国最大規模の人材派遣健保や、16万人の日生協健保が解散の検討に入っている。

2018年4月23日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

平成30(2018)年度税制改正: 事業承継税制の特例創設

平成30年度税制改正が、2018年3月29日に成立しました。その中で、中小企業の事業承継税制(代表権と持株の移行)が現行税制の特例としまして、更なる税優遇措置が設けられました。
現在、事業承継制度が存在していますが、同種の特例制度が創設され、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの10年間の特例措置として贈与、相続等で取得する非上場株式に係る贈与税又は相続税について適用されることになります。その概要は、施行日後5年以内(平成30年4月1日から平成35年3月31日までの期間)に承継計画を作成し都道府県に提出し認定を受けた特例承継会社の持株を贈与・相続により特例後継者に事業承継を行う場合、
(1)猶予対象の株式制限(発行済議決権株式総数の3分の2)を撤廃し、納税猶予割合80%を100%に引上げることで、贈与・相続時の納税負担が生じない制度とし、
(2)雇用確保要件を弾力化するとともに
(3)親族以外を含む複数の株主から、2名又は3名の後継者(要代表権)に対する贈与・相続に対象を拡大し、
(4)経営環境の変化に対応した減免制度を創設して将来の税負担に対する不安に対応する等の特別措置が取られています。

主な相違項目現行の事業承継税制 特例の事業承継税制
納税猶予となる対象株式数の上限の撤廃発行済株式数の2/3が上限で、相続時の相続税の猶予割合は80%上限が撤廃され全株が納税猶予の対象となり、相続時の納税猶予割合も100%
税制対象となる贈与者の拡充一人の先代経営者のみ先代経営者に限定せずに、親族以外の第三者を含む複数の株主からの贈与も対象
税制対象となる受贈者の拡充一人の代表権を持つ後継者のみ最大3名まで代表権を持つ後継者(同族関係者を含めて保有割合50%以上であること):
① 後継者一人の場合には、同族関係者を含めて保有割合が最高者であること
② 後継者が複数(3名以下)の場合には、各自の保有割合が10%以上で、かつ、保有割合上位3位までの同族関係者であること
雇用確保要件の緩和承継税制の適用後、5年間で平均8割以上の雇用を継続できない場合には猶予打ち切りとなり、猶予税額の全額と利子税を納付例え、5年間で平均8割以上の雇用要件が未達成の場合でも、納税猶予を継続可能で理由報告が必要(経営悪化が原因であるり場合等には、認定支援機関による指導助言が必要)
経営環境の変化に応じた減免後継者が自主廃業や売却を行う際、経営環境の変化により株価が下落した場合でも、承継時の株価を基に贈与・相続税が課税される廃業時の評価額や売却額を基に納税額を計算し、承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免する
相続時精算課税制度の適用範囲の拡充60歳以上の父母、祖父母等から、20歳以上の子又は孫の直系卑属への贈与のみが対象事業承継税制の適用を受ける場合には、60歳以上の贈与者から、20歳以上の後継者への贈与を対象とすることで適用範囲が拡充

上記と重複しますが、特例事業承継制度のより具体的内容としましては、
① 「特例後継者」が、「特例認定承継会社」の代表権を有していた者から、贈与又は相続若しくは遺贈(贈与等)がその非上場株式を取得した場合には、その全株の課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、その特例後継者の死亡日等まで納税を猶予されます。納税猶予対象の株式制限(現行:発行済議決権株式総数の3分の2)を撤廃し、納税猶予割合が80%から100%に引上げられます。
「特例後継者」とは特例認定承継会社の「特例承認計画」に記載された代表権を有する後継者(同族関係者と合わせてその総議決権数の過半数を有する者に限る)であって、当該同族関係者のうち、議決権を最も多く所有する者(記載された後継者が2名又は3名以上の場合には、議決権数において、それぞれ上位2名又は3名(但し、議決権数の10%以上を所有する者に限る)をいう。
「特例認定承継会社」とは平成30年4月1日から平成35年3月31日までの間に特例承認計画を都道府県に提出した会社で、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の承認を受けたものをいう。
「特例承認計画」とは認定経営革新支援機関の指導及び助言を受けた特例認定承継会社が作成した計画で、特例認定承継会社の後継者、承継時までの経営見通し等が記載されたものをいう。

② 特例後継者が特例認定承継会社の代表者以外の者から贈与等により取得する非上場株式についても、特例承認期間(5年)内に贈与等に係る申告書の提出期限が到来するものに限り、本特例の対象となります。
③ 現行の事業承継税制における雇用確保要件(5年間平均で8割以上の雇用確保)を満たさない場合であっても、納付猶予期限は到来しません。但し、その場合には、その満たせない理由を記載した書類(認定経営革新支援機関の意見が記載されているものに限る)を都道府県に提出しなければなりません。なお、その理由が、経営状況の悪化である場合又は正当なものと認められない場合には、特例認定承継会社は、認定経営革新支援機関から指導及び助言を受けて、当該書類にその内容を記載しなければなりません。
④ 「経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合」において、特例承継期間経過後に、特例認定承継会社の非上場株式の譲渡をするとき、合併により消滅するとき、解散をするとき等には、納税猶予税額を免除されます。
株価が下がれば差額が免除される減免制度が創設されました。
⑤ 特例後継者が贈与者の推定相続人以外の者(その年1月1日現在で20歳以上であること)であり、かつ、その贈与者が60歳以上である場合には、相続時精算課税を選択が拡充されました。
⑥ その他の適用要件等は、現行の事業承継税制と同様です。
例えば、現行の事業承継税制上の贈与税・相続税における納税猶予の適用要件は次のようなものがあります。
* 事前の計画的な取組の存在(確認)
* 被相続人・贈与者の筆頭株主要件(確認時、 代表時、 死亡時)
* 一定の後継者
* 対象会社として一定の中小企業会社
* 申告期限から5年間の事業継続要件
* 申告期限から5年経過後の継続要件

2018年3月31日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

2018年度予算成立 最大の97兆円超 子育て・事業承継支援

2018年度予算と税制改正関連法は28日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計の歳出総額は97兆7128億円で、6年続けて過去最大を更新した。子育て世帯を支援するほか、中小企業の事業承継に対して税優遇する。新規国債発行額は減少したが、高い水準が続く。高所得者を中心に負担増も目立つ。税制改正事項の主なものは、税務情報コーナー等で紹介していきます。

2018年3月29日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

地価上昇 全国に波及 地方、26年ぶりプラス 公示地価

地価上昇の波が全国に広がってきた。国土交通省が27日発表した2018年1月1日時点の公示価格は、商業・工業・住宅の全用途(全国)で0.7%のプラスと3年連続で上昇した。地方圏も26年ぶりに上昇に転じ、0.041%のプラスだった。緩和マネーが下支えし、訪日客増加を受けて地方でもホテルや店舗の重要が増している。都市部の再開発も活発で、資産デフレの解消が進んでいる。

2018年公示地価の変動率(1月1日時点、 前年比%、 ▲は下落):

地域住宅地 商業地 全用途 
2018年前年2018年前年2018年前年
全国平均0.30.0221.91.40.7 0.4
三大都市圏0.70.53.93.31.51.1
東京圏1.00.73.73.11.71.3
大阪圏0.10.0394.74.11.10.9
名古屋圏0.80.63.32.51.4 1.1
地方圏▲0.1▲0.40.5▲1.40.041▲0.3

公的機関が公表する土地価格情報には、 以下のものがあります。

    
公示地価 基準地価路線価固定資産税評価額
調査主体 国土交通省都道府県国税庁市町村
調査地点数約26,000 約21,700 約334,000多数
調査時点1月1日7月1日1月1日1月1日(原則3年に1回、 次回は2018年)
公開時期 3月9月7月又は8月3月
公開サイト国交省(土地総合情報ライブラリー) 国交省(土地総合情報ライブラリー)国税庁資産評価システム研究センター
その他調査対象は都市部の比重が高い。 標準地の公示地価は一般の土地取引価格(更地価格)の指標となるだけでなく、 公共事業用地の取得価格算定や、 国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。調査対象は地方の調査地点が多く、 一般の土地取引価格の指標となる。 公表は国交省から相続税・贈与税の基準となる地価で、 公示地価の8割程度の水準土地に対する固定資産税計算の基準となる地価で、 公示価格の7割程度の水準

2018年3月28日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

平成29年度(2017年)個人確定申告

個人並びに個人事業者の方の平成29年度確定申告の時期がきました。 以下に、 平成29年度分の確定申告の提出期限及び確定申告の対象となる人(任意ではなく申告しなければならない人)、 等に関しまして概要を纏めてみました。 なお、 確定申告の対象者は前年度と変更はありませんが、 税金の申告は、 本人自ら課税金額や税額を計算し、 その税額を申告納付する制度「申告納税制度」を採用していますので、 期限後申告・納付となりますと延滞税等がかかりますので注意してください。

1. 平成29年度確定申告の提出・納付期限

所得の種類平成29年度申告期間・納付期限口座振替による納税日(振替日)
所得税平成30年2月16日 から3月15日 (還付対象者の方は1月から申告可)4月20日(金)
(新規の利用者の方は「預貯金口座振替依頼書」を申告期限までに要提出)
消費税平成30年1月 から4月2日4月25日(水)
贈与税平成30年2月1日 から3月15日非該当

(1) 申告書の提出方法には、 ①持参(所轄税務署等の所定の提出場所)、 ②郵送、 ③電子申告(e-Tax利用によりデータ送信、この利用には事前準備が必要となりますが、 所得税では一定の第三者作成の提出書類を省略可の恩典があります)、の方法があります。
(2) 納税方法には、 ①持参(所轄税務署)、 ②金融機関から納付書を付けて納付、 ③ダイレクト納付(e-Taxの利用で、 かつ、 事前にダイレクト納付利用届出書の所轄税務署に要提出)、 ④インターネットバンキング・クレジットカードによる電子納税、⑤口座振替(上記を参照) の方法があります。
(3) 平成25年度から25年間には、 復興特別所得税として各年分の所得税額に2.1%の税率を掛けて計算した税額が発生することに留意してください。
(4) 平成28年分以降の確定申告にあたり、 マイナンバー(個人番号)の記載が必要となります。 申告書を提出する際には、 申告者のご本人の本人確認書類(番号確認書類及び身元確認書類)の提示又は写しの添付が必要です。 具体的な本人確認書類とは、
① マイナンバーカード(個人番号カード)
② 通知カード又は個人番号付の住民票の場合には、 身元確認書類として顔写真付きの運転免許証、 等の点、 又は顔写真付きでない場合には、 2点の確認書類(保険証、 年金手帳、 等)

2. 平成29年度確定申告が必要となる対象者の方

A. 所得税
1. 給与所得者(サラリーマンの方)
① 給与の年間収入金額が2,000万円超となる方(年末調整対象外の方)
② 給与(年末調整済)を1箇所から受けていて、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円超となる方 (給与収入額が2,000万円以下で、 給与・退職所得以外の所得が20万円以下の場合には申告の必要はありません)
③ 給与(源泉徴収済)を2箇所以上から受けていて、 年末調整されなかった給与の収入金額と、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円超となる方。
但し、 給与所得の収入金額から、 一定の所得控除の金額(雑損控除、 医療費控除、 寄付金控除及び基礎控除の項目を除く)の差引金額が150万円以下で、 かつ、 給与所得及び退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円以下となる方は、 申告不要となります。

2. 上記の給与所得者以外の方、 又は個人事業者で納付税額が発生する方
事業所得や不動産所得等がある方で、 各種の所得金額の合計から各種の所得控除後で計算した税額が、 配当控除よりも多くなる方

3. 源泉徴収の適用を受けない給与等の支払を受ける方
① 家事使用人等の方で給与から源泉所得税を徴収されていない方: 常時2人以下の家事使用人だけを雇用している使用人等には源泉徴収の義務が無いことから、 その使用人等から給与を受給されていた方
② 在日外国公館から給与等の支払を受けた方
③ 国外から給与、 退職金等の支払を受けた方

4. 同族会社の役員やその親族等で、 その会社から給与以外に利子、 家賃、 使用料等の支払を受けている方は、 その利子、 家賃、 使用料等は全て申告の対象

5. 災害減免法の適用を受け給与に対して源泉徴収の猶予や源泉徴収税額の還付を受けていた方

6. 上記以外の方で納付税額がある方
各種の所得金額の合計から各種の所得控除後で計算した税額が、 配当控除よりも多くなる方

注1: 公的年金等に係る所得の確定申告不要制度
その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、 その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、 かつ、 その雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には、 所得税の確定申告書の提出は必要ありません(申告されれば還付となる場合もありますので、 その場合には申告される方が有利となる場合もあります)。 なお、国外源泉で国内源泉税の対象とならない国外年金収入等がある場合には、この確定申告不要制度の適用対象外となります。
この所得税の申告不要となる場合であっても、 住民税の申告が必要となることもありますので注意が必要です。
公的年金等の受給者で所得税の申告不要な者でも、住民税の申告が以下のような場合には必要となります(主に住民税の減額になるケース有り)。
① 年金や給与の源泉徴収票に記載されていない所得控除(扶養控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、医療費、社会保険料、生命保険料、地震保険料, 寄附金等)のある方は、住民税の申告で住民税が減少する可能性があります。
② 上記①の控除を追加したい方で、公的年金等が105万円(65歳以上の方は155万円)を超えている場合、或いは、超えていない場合でも公的年金等以外の所得金額がある場合。
③ 日本年金機構等に扶養親族等申告書を提出しているが、その内容に変更がある場合等。

注2: 確定申告不要(任意)となる方で申告すれば税金が戻ってくる方(還付申告者)
確定申告の総件数は2,000万件以上になるようですが、 この内の約半数近くが還付申告のものとなっているようです。 収め過ぎた税金を戻すためには確定申告書の提出が必要となります。 以下の様な場合には、 還付されるかもしれませんので調べてみてはどうでしょうか。

1. サラリーマンで年末調整を受けた方で次の年末調整では取扱わない項目があった方
① 一定金額以上の医療費(医療費控除: 限度額200万円)
生計を一にする家族の支払医療費が、 以下の金額以上になっている場合が対象:
所得が200万円以上: 支払医療費 – 保険給付金等 – 10万円 = 医療費控除額
所得が200万円未満: 支払医療費 – 保険給付金等 – 所得金額 × 5% = 医療費控除額
② 災害(地震、 台風等)や盗難により住宅や家財に被害を受けた場合(雑損控除)
災害の場合には、 災害減免法により所得税の軽減・減免を受けられることもあります。
③ 特定の寄付をされた方(寄付金控除や政党等寄付金特別控除)
④ 初めて住宅ローン控除を受ける方(住宅借入金等特別控除)
⑤ 年末調整時に提出ができなかった、 或いは洩れている控除項目がある方
生命保険料控除、 地震保険料控除、 配偶者特別控除、 各種の扶養者控除等
⑥ 中途退職され再就職しなかった方
退職までの給与収入に対する源泉徴収税額が年税額として過大となっているケースが殆どです。 又、 退職金に対して20%源泉になっている場合も可能性がありますし、退職所得を除く各種の所得の合計額から所得控除を差し引くと赤字になっている方。

2. 上場株式等に係る配当所得(申告分離課税選択)と上場株式等に係る譲渡損失との損益通算

3. 予定納税されたが確定申告不要となった方

4. 所得が少ない状況で配当や原稿料収入等からの源泉徴収税額が、 本来の納付すべき税額よりも多額となっている方

5. 外国税額控除の適用がある方

6. 申告の要件となっている項目がある方
① その年の翌年以降に純損失又は雑損失の繰越控除を受けるため、 ② その年分の純損失の金額について純損失の繰戻しによる還付を受けるため、 ③ 居住用財産の買換又は特定居住用財産の譲渡損失及び繰越控除を受けるため、 等には確定申告の提出が必要となります。

B. 贈与税
ご存知かと思いますが、 下記に示す様に年間に受けた贈与額が110万円以下ならば非課税範囲のために贈与税の申告等は必要ありません。

1. 年間合計で110万円超の財産贈与(個人からの土地、 建物、 現金、 預貯金、 株式、 債権等の財産の贈与)を受けた方(暦年課税で下記の②の選択者を除く)
2. 相続時精算課税制度(60歳以上の父や母の直系卑属からの贈与者ごとに累積で特別控除額2,500万円)の選択者で財産贈与を受けた方(20歳以上の推定相続人の子、 並びに孫に限る)
3. 住宅取得等資金の非課税制度(下記に限度額)を適用し、 父母や祖父母等の直系尊属から自己の居住用家屋の取得等のために住宅資金贈与を受けた方(20歳以上で合計所得金額が2,000万円以下であり、 かつ、 一定の居住条件を満たしている方)

消費税率が8%適用となる取得等の契約を平成33年12月までに締結された場合の非課税限度額は以下のようになります。

所得の種類平成29年度申告期間・納付期限口座振替による納税日(振替日)
所得税平成30年2月16日 から3月15日 (還付対象者の方は1月から申告可)4月20日(金)
(新規の利用者の方は「預貯金口座振替依頼書」を申告期限までに要提出)
消費税平成30年1月 から4月2日4月25日(水)
贈与税平成30年2月1日 から3月15日非該当

4. 配偶者控除の特例(控除額2,000万円)を適用し、 配偶者から居住用不動産又はその取得資金の贈与を受けた方(婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与に限る)
5. 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度、等
平成25年4月1日から平成31年3月31日までの期間に直系尊属が30歳未満の子や孫へ教育資金を拠出し、 金融機関(信託会社・信託銀行)、 銀行及び金融商品取引業者に信託等した場合、 受贈者(子・孫)1人当たり1,500万円(学校等以外への支払は500万円)までを非課税とする特例があります。 この制度適用のためには、 受贈者は教育資金非課税申告書を金融機関等を経由して税務署に提出する必要がありますが、 申込時に対応されていると思いますので特に問題となることはないでしょう。

C. 消費税
個人事業者で下記に該当する方は納税義務者(課税事業者)として申告する必要があります。

1. 基準期間となる前々年度(平成27年度)の課税売上高が1,000万円超の事業者の方

2. 特定期間となる前年(平成28年度)の1月1日から6ケ月間の課税売上高が1,000万円超で、 かつ、 同期間の給与等支払総額が1,000万円超の事業者の方

3. 免税事業者となる方が、 課税事業者となることを選択(消費税課税事業者選択届出書を提出)している方(簡易課税選択者も含む)
納税義務者の判定上の留意事項:
(1) 基準期間の課税売上高は、 消費税込の金額となり、 事業用資産(住宅用として貸付けていた建物等)の譲渡の対価金額も含まれます
(2) 被相続人(亡くなられた方)の事業を相続により承継した相続人には、 被相続人が提出していた各種の届出書の効力は及ばないので、 新たに提出する必要があります。
(3) 新規開業又は相続により事業を承継したときに、 消費税課税事業者選択届出書を提出した場合の適用開始時期は、 当該課税期間か翌課税期間かを選択できます。
(4) 消費税課税事業者選択届出書を提出されている場合には、 「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り、 その効力が消滅することはありません。

以上が、所得税、贈与税、消費税に関する確定申告の対象者の概要です。

 

 

 

 

2018年2月22日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

相続 配偶者に厚く 法制審答申

法制審議会は16日、民法の相続分野を見直す改正要綱を上川陽子法相に答申した。
(1)「配偶者居住権」の新設
遺産分割の協議が調うなどすれば、配偶者はそれまでの住居に住み続けられる「配偶者居住権」を新設する。配偶者居住権は所有権と比べて売却する権利などがないため、評価額が低くなる。
(2)住居の生前贈与
新たな規定では婚姻期間が20年以上で、配偶者に住居を生前贈与するか遺言で贈与の意思を示せば、その住居は遺産分割の対象から外れる。
(3)相続人以外の一定の親族の寄与分
被相続人の親族で相続の対象にならない人でも、介護や看病で被相続人の財産の維持などに貢献した場合は、相続人に金銭を請求できる仕組みも取り入れられます。

2018年2月17日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant