1.年末調整とは
サラリーマンの方は11月下旬から12月上旬の間に年末調整の書類を整理して会社に提出する時期となります。会社等の給与支払者(源泉徴収義務者)は、給与等の支払時に所定の源泉所得税を徴収しています。この源泉所得税は事前の条件下での計算に基づくものであり、一種の仮計算による前払税金ですので、この仮計算を最終状況に基づいての再計算(年税額を確定する手続)が年末調整です。具体的には、給与支払者は暦年(1月~12月)の総給与額に対して12月の最終給与支払日に最終状況(配偶者・扶養親族、等)に基づいて再計算し、徴収していた総源泉所得税の過不足を調整(精算)します。
2.提出すべき申告書
年末調整の為に提出が求められる申告書とその中に記載される控除項目は以下のとおりです。 当該控除項目以外に所得から控除可能な項目がある場合にはそれらの項目は確定申告で行うことになります。
| 申告書の名称 | 控除項目 |
|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 源泉控除対象配偶者控除、源泉控除対象親族控除、 障害者控除、 ひとり親控除、寡婦控除、 勤労学生控除、住民税に関する事項 |
| 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | 基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除 |
| 給与所得者の保険料控除申告書 (保険料の証明書を要添付) | 生命保険料控除(一般生命・介護医療・個人年金)、 地震保険料控除(申告分)、 社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除(申告分) |
| 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 | (特定増改築等)住宅借入金等特別控除(2年目から年末調整の対象で初年度は確定申告が必要) |
注:年間の見積もりによる収入金額と所得金額を記載しますが、その金額の違いには注意してください。
3.年末調整の留意事項及び令和8年分扶養控除申告書の記載内容の変更等
12月1日以降から年末調整が行われますが、2025年度税制改正により、合計所得金額に応じて基礎控除額の見直し、給与所得控除額の見直し(最低保障額が55万円から65万円に引上げ)、特定親族特別控除の創設、扶養控除等の所得要件の改正、等がありましたので留意する必要があります。当改正により、年末調整において、以下の対応が必要となります。
(1)所得要件の改正により新たに扶養控除等となった親族等の有無を確認する必要があります。新たな親族等になった場合には、扶養控除等異動申告書の提出(異動月日及び事由欄には、令和7年12月1日改正、等と記載)が必要となります。
(2)新たに特定親族特別控除の適用を受ける対象者(19歳以上23歳未満で合計所得金額58万円超123万円以下<年間給与収入123万円超188万円以下>)は、特定親族特別控除申告書を提出することが必要となります。この対象者は特定親族といいます。
なお、令和7年分年末調整の書類を提出時に、併せて令和8年分扶養控除等申告書も提出する場合には、新たに源泉控除対象親族の記載が必要となります。なお、毎月の給与等の源泉徴収時での「扶養親族等の数」は、源泉控除対象親族と源泉控除対象配偶者(合計所得金額が95万円以下<年間給与収入160万円以下>を基に算定することになります。
源泉控除対象親族とは、
① 控除対象扶養親族(合計所得金額が58万円以下<年間給与収入123万円以下>、又は
② 特定親族のうち、居住者と生計一の親族のうち、19歳以上23歳未満で合計所得金額が58万円超100万円以下<年間給与収入123万円超165万円以下>)の者
源泉控除対象親族は、令和8年分扶養控除等申告書(B欄)の記載対象となります。