住宅・家財の被災での雑損控除

2024年度も地震、台風、豪雨等の災害により住宅家財等(生活の必要となる資産であることから、保養などの目的で保有する別荘などの不動産や、1個または1組が30万円を超える貴金属、絵画、骨董は対象になりません)に大きな損害が生じた方が多いかと思います。その様な損害に対して、確定申告を行うことで一定の雑損控除により税金(所得税・住民税)の還付や軽減される場合があります。
1.雑損控除とは
住宅家財等に災害又は盗難若しくは横領により損失を生じた場合、 又は災害関連支出金額がある場合に所得控除となる一定の雑損控除が認められます。
2.雑損控除金額
次の①と②のいずれか多い金額。
① 損失の金額(注1)―(年間所得金額 X 10%)= ①の金額
② 災害関連支出金額(注3)―補てんされた保険金等― 50,000円 = ②の金額
注1: 損失の金額とは、
(被災直前の時価―被災直後の時価)+災害関連支出金額―補てんされた保険金等 = 損失の金額
雑損控除の対象となる資産損失額の算定方法
従来、 雑損失の対象となる資産損失額は、 その資産の時価(損失が生じた時の直前におけるその資産の価額)を基礎として計算する方法でしたが、 その資産の取得価額に基づく価額(その資産の取得価額から減価償却費累計額相当額を控除した金額の簿価)を基礎に計算する方法も認められることになります。 しかしながら、実際の取得価額情報を確認する資料も無い場合が少なくなく、その場合には、以下の合理的な計算方法による対応も認められています。
(1) 住宅の損害金額
国税庁が地域別、構造別に一律に定めた1㎡の工事費用 X 総床面積 = 取得価額
(取得価額―減価償却累計額)X 被害割合(注2) = 住宅の損害金額 
「減価償却費累計額相当額」とは、 非業務用の場合には、 その資産の耐用年数の1.5倍の年数に対応する旧定額法の償却率により、 その資産の取得から譲渡までの期間の年数を乗じて計算された金額となります。
(2) 家財の損害金額
世帯主の年齢別、家族構成別に定めた家財評価額 X 被害割合(注2) = 家財の損害金額
別途、車両も雑損控除の対象となります。
注2:損害割合とは、
100% = 全壊、流出、埋没、倒壊
50%  = 半壊
5%   = 一部破損
注3:災害関連支出金額とは、
災害で被害を受けた住宅や家財等の取壊し・撤去・修繕のために支出した金額等。
3.損失額の繰越
損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合は、翌年以後3年間を限度に繰り越すことが可能です。

2024年10月31日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant