事業所得及び雑所得の所得区分

副業収入等を確定申告する時に、その所得区分(事業所得、雑所得、給与所得)に悩むことがあるかと思います。個人で収入を得た場合には、所得税法の所得区分は10種類ありそのいずれかに区分して所得税額等を計算していく必要がありますが、判断に迷うことがあることも事実です。特に、事業所得と雑所得の解釈に疑義が生じることが少なくありませんが、所得税基本通達の改正がありましたのでその内容を含めて確認したいと思います。
1.基本的な定義
(1)事業所得
農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業、等から生じる所得ということで、社会通念上事業と判定される基準として、①営利性・有償性の有無、②継続性・反復性の有無、③自己の危険と計算における企画遂行性の有無、④その取引に費やした精神的或いは肉体的労力の程度、⑤人的・物的設備の有無、⑥その者の職歴・社会的地位・生活状況、等を総合勘案するということになっています。
(2)雑所得
他の9種類の所得区分に属さない所得となります。
(3)給与所得
雇用契約に基づいて勤務の対価として受給する給与・賞与からなる所得ということになります。上記2つの所得との大きな違いは、雇用契約の存在ですが、雇用契約と同じく、他人のために活動をする契約として、「請負契約」や「委任契約」というものもあります。雇用契約の場合は、労働者は雇用者の指揮・命令に従って仕事をすることになりますが、請負契約や委任契約では、雇用主の指示ではなく自らの判断で独立して仕事をするという点が異なります。税務上で注意しなければならない点は、契約というよりも業務実態から判定されることになります。
2.事業所得及び雑所得の判定基準
(1)原則
その所得を得る為の活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているか否かでの判定となります。
なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存があれば概ね事業所得に該当として申告可能となります。
(2)その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合の取扱い
① その所得の収入金額が僅少となっている場合
例年(概ね3年程度の期間)、300万円以下で主たる収入金額に対する割合が10%未満である場合には僅少に該当となります。
② その所得を得る活動に営利性が認められない場合
その所得が例年赤字で、かつ、赤字解消の取組を実施していない場合(収入を増加させる、或いは所得を黒字にする為の営業活動等の実施が無い状況)には、営利性が認められないことになります。
上記に該当する場合には、事業所得ではなく業務に係る雑所得に該当することになります。

以上から、記帳・帳簿書類の保存の有無で所得区分を判定することになり、記帳・帳簿書類を保存していれば、売上300万円以下の副業であっても概ね「事業所得」として申告可能とのことです(ただし、社会通念上の「事業」に該当することが前提)。
事業所得と雑所得の区分:

収入金額他記帳・帳簿書類の保存有り記帳・帳簿書類の保存無し
300万円超社会通念上の事業状況で判定:事業所得社会通念上の事業状況で判定
300万円以下で主たる収入の10%未満、又は例年赤字で営利性無し社会通念上の事業状況で判定:事業所得社会通念上の事業状況で判定
業務に係る雑所得

2022年11月14日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

パートの厚生年金加入 企業の規模要件撤廃

政府はパートやアルバイトらの短時間労働者が厚生年金や健康保険に入れる要件を緩和する検討に入る。
2024年10月には法人の従業員規模を51人以上まで下げることは既に決まっており、今後は、労働時間が週20時間未満の労働者への適用拡大の検討や5人以上の個人事業における飲食行等の対象外の業種への拡大、更に5人未満の個人事業所への対象者の拡大を議論するとのことです。

2022年11月10日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant