償却資産の申告(固定資産税): 申告書提出期限1月末

1月1日現在所有され、 かつ、 事業の用に供している一定の対象償却資産はその年の1月31日までに、 その資産の所在する所管事務所(東京都の区にある都税事務所、 等)に申告書を提出しなければなりません。

 

  1. 対象償却資産

一定の対象償却資産には、 以下の資産は含まれません。

(1) 土地や建物(いずれも登記対象資産であることから、 所有者を把握できますので敢えて申告の対象にしていません)

(2) 自動車税・軽自動車税の.課税対象(2重課税の排除)

(3) 無形固定資産(特許権、 営業権、 ソフトウェア等)

(4) 繰延資産

(5) 生物(観賞用、 興行用その他これらに準ずる生物は除く)

(6) 金額的に少額資産と言われる下記の資産:

① 取得価額が10万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたもの

② 取得価額が10万円以上20万円未満の資産で、 税務上、 3年間で一括償却しているもの

注1: 租税特別措置法の規定により、 一定の中小企業に対する特例を適用して、 取得価額が30万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたものでも、償却資産の申告対象になっています。

注2: 上記以外の資産で企業や個人で事業を行なっている方が事業のために用いることができる資産、 即ち、 構築物、 機械及び装置、 船舶、 航空機、車両及び運搬具、 工具・器具及び備品で有形減価償却資産が対象となります。 次のものも償却資産の対象となります。

(1) 建設仮勘定で計上されている資産、 簿外資産及び償却済資産であっても事業用に供することができるもの

(2) 遊休又は未稼働のものであっても事業用に供することができるもの

(3) 改良費(資本的支出)

(4) 家屋に施した建築設備・造作等のうち、 償却資産として取り扱うもの

建築設備における家屋(建物・建物附属設備)と償却資産とを区分して評価することになります。 家屋と設備の所有者が同一の場合に、 償却資産として取り扱うものは次の要件を満たすものです。

① 構造的に家屋と一体的でないもの (野外給水塔、 独立煙突等)

② 家屋から独立した機械及び装置として性格の強いもの (受・変電設備)

③ 特定の生産又は業務に使用されるもの (動力用配線設備等)

④ 単に移動を防止する程度に家屋に取り付けられたもの (ルームエアコン等)

⑤ 顧客の求めに応ずるサ-ビス設備

 

  1. 申告方式

申告方式には2方式がありますが、 通常は一般方式を採用しています。 その方式とは、 前年中(申告対象年度)に増加又は減少した資産内容を申告するのみで、 評価額、 税額等は所管事務所で行う方式です。

注1: 前年中に増加又は減少した資産が無い場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「増減なし」等を付記します。

注2: 事業を行なっていますが、 対象償却資産を所有されていない場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「該当資産なし」を付記します。

2016年12月23日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

2017(平成29)年度税制改正大綱:所得税

2016年12月8日に与党が決定しました2017(平成29)年度税制改正大綱に関しまして、所得税に関する主な改正案の概要は、 以下のとおりです。

 

個人所得課税

1.配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

現行では、配偶者の合計所得金額が38万円以下(給与収入では103万円以下)の場合に配偶者控除38万円(老人控除対象配偶者48万円)、 並びに配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満の場合に配偶者特別控除が適用となっていましたが、 改正では、 配偶者控除は世帯主の年収に応じて縮小され、配偶者特別控除は配偶者の年収要件を103万円から150万円に引上げ、 かつ配隅者及び世帯主の年収に応じて控除額が以下の様に9段階で縮小となります。

適用は、 平成30年分以後(2018年1月から)の所得税からとなっています。

 

 

配偶者の収入金額

世帯主の収入・所得別控除額(金額単位:万円)
収入 所得 収入 所得 収入 所得 収入 所得
1,120以下 900

以下

1,170以下 950

以下

1,220以下 1,000以下 1,220超 1,000超
配隅者

控除

103万円以下(所得金額で38万円以下)(注)

 

38(48) 26(32) 13(16)
 

配偶者特別控除

103万円超

150万円以下(所得金額で38万円超85万円以下

38 26 13
155万円以下

(所得金額で90万円)

36 24 12
160万円以下

(所得金額で95万円)

31 21 11
167万円以下

(所得金額で100万円)

26 18
175万円以下

(所得金額で105万円)

21 14
183万円以下

(所得金額で110万円)

16 11
190万円以下

(所得金額で115万円)

11
197万円以下

(所得金額で120万円)

201万円以下

(所得金額で123万円)

201万円超

(所得金額で123万円)

注:カッコ内の金額は、年齢70歳以上の老人控除対象配偶者の場合です。

 

2.非課税累積投資契約に係る非課税措置(積立NISA)の創設

居住者等が金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に累積投資勘定を設けた日に属する1月1日以後20年間の間に支払われる累積投資勘定にかかる年間40万円以内の公募等株式投資信託からの配当(当該金融商品取引業者等による支払事務の取扱いに限る)や譲渡所得(譲渡損失はないものとみなす)には、所得税及び個人住民税は課税させないという制度です。 つまり、非課税累積投資契約に係る積立NISAの上限は年間40万円で非課税期間が20年とするものです。

なお、積立NISAは、現行の非課税上場株式等管理契約にかかる非課税措置(NISA)と選択適用となります。

公募等株式投資信託とは、その受益権が金融商品取引所に上場等されているもの、又はその設定に係る受益権の募集が一定の公募によるものに限られます。

非課税口座に設けられた非課税管理勘定に他から移管される上場株式等の価額(払出し時の金額)の上限額を撤廃し、ジュニアNISAの移管についても同様となります。

改正の適用は、平成31年分以後の所得税(個人住民税は平成32年分以後)からとなります。

 

3.住宅の耐久性向上改修工事に対する特別控除の追加

(1)特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除特例

当該特例の適用対象となる工事に特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久性向上改修工事を加えるとともに、税額控除率2%の対象となる住宅借入等の範囲に当該耐久性向上改修工事の費用も加えられます。

一定の耐久性向上改修工事 ①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事、又は⑧給排水若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、一定の要件を満たすものをいう。

例えば、工事費用(補助金等があれば控除後)の合計額が50万円超であること。

改修工事証明書 建築士等の一定の指定機関からの証明書が必要
適用期間 増改築等をした居住用家屋を、平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住用に供する場合に適用

(2)既存住宅に係る特定の改修工事における所得税額の特別控除特例

当該特例の適用対象となる工事に一定の耐久性向上改修工事で耐震改修工事又は省エネ改修工事と併せて行うものを加えるとともに、その控除額はそれぞれの改修工事に係る標準的な工事費用相当額の合計額(250万円(省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合には350万円)を限度)の10%になります。

なお、耐震改修工事及び省エネ改修工事と併せて一定の耐久性向上改修工事を行った場合の控除額は、それぞれの改修工事に係る標準的な工事費用相当額の合計額(500万円(省エネ改修工事と併せて太陽光発電装置を設置する場合には600万円)を限度)の10%になります。

一定の耐久性向上改修工事 ①小屋裏、②外壁、③浴室、脱衣室、④土台、軸組等、⑤床下、⑥基礎若しくは⑦地盤に関する劣化対策工事、又は⑧給排水若しくは給湯管に関する維持管理若しくは更新を容易にするための工事で、一定の要件を満たすものをいう。

例えば、工事費用(補助金等があれば控除後)の合計額が50万円超であること。

標準的な工事費用相当額 耐久性向上改修工事の種類ごとの標準的な工事費用額 X 当該耐久性向上改修工事の箇所数
適用期間 増改築等をした居住用家屋を、平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住用に供する場合に適用
その他の適用要件 現行の本特例と同様

 

4.短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税特例の延長

適用停止措置の期限を3年延長する。

 

5.優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税特例の延長

適用期限を3年延長する。

 

6.給与所得者等が使用者等から住宅借入金等のローン控除における利率の見直し

ローン控除の対象とならない利率は、現行の1%未満から0.2%未満に引下げる。

適用は、平成29年1月1日以後に居住用家屋を自己の居住用に供する場合からとなります。

 

7.災害に関する税制上の措置

災害により税制上の特例を受けられなくなった場合の救済措置が規定されました。 例えば、

(1)住宅借入金等を有する場合のローン控除の継続適用を認める。

(2)勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の払出しに伴う遡及課税を行わない

(3)買替資産等を予定期間等内に取得等をすることが困難となった場合には、その予定期間等を2年の範囲内で延長可とする。

 

8.肉用牛の売却による農業所得の非課税特例の延長

適用期限を3年延長する。

 

9.所得税の届出書の税務署長への提出不要

届出書名 提出不要となる税務署先
① 納税地の変更に関する届出書 その変更後の納税地の所轄税務署長
② 納税地の異動に関する届出書 その異動後の納税地の所轄税務署長
③ 個人事業の開業・廃業等届出書 その個人の納税地の所轄税務署長以外の税務署長
④ 給与支払事務所等の移転届出書 その移転後の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長

 

10.医療費控除等における提出証憑として領収書から明細書の提出変更

医療費控除、又は特定一般用医薬品等の購入による医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の適用を受けるには、現行の医療費・医薬品の領収書に代えて、その明細書を確定申告書の提出時に添付しなければならなくなりました。 当該領収書は、確定申告期限から5年間の保管義務があります。

適用は、平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出するものからとなります。 なお、経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、現行の領収書でもOKです。

 

11.指定都市における個人住民税率の変更

(1)個人住民税所得割の標準税率の変更

  現行 改正
道府県民税 4% 2%
市民税 6% 8%

変更は、平成30年度分以後の個人住民税について適用とする。

(2)退職所得の分離課税に係る所得割の税率に関する特例

退職所得の分離課税に係る所得割の税率については、上記(1)にかかわらず、当分の間、現行どおりとする。 2%差額は自治体間で精算する。

 

12.雇用保険法の失業等給付等に対する非課税措置の継続

失業給付金等に対して、非課税措置の継続と税金の滞納処分による差押えの禁止とする。

 

以上です。

2016年12月23日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

預貯金も一緒に遺産分割対象に 最高裁が判例変更

最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は19日、 裁判所での審判で相続の取り分を決める「遺産分割」の対象に預貯金は含まないとしてきた判例を変更した。 遺族間で争われた審判の決定で、 「預貯金は遺産分割の対象に含む」とする初判断を示した。 相続の話し合いや家庭裁判所での調停では預貯金を含めて配分を決めるケースが多く、 こうした実態に沿う形に見直した。

2016年12月20日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

与党大綱決定 所得税 抜本改革先送り

自民、 公明両党は8日、 2017年度税制改正大綱を決めた。 所得税の配偶者控除は配偶者(妻)の年収上限を103万円から150万円に事実上引き上げ、 パート主婦がより長く働きやすくする。 働き方を左右しない中立な税制の実現に向けて半歩前進したものの、所得税改革は来年度以降に抜本的な見直しを先送りした。
当該2017年度税制改正大綱の概要につきましては、「税務情報」で紹介していきます。

2016年12月9日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant