大企業の社員らが入る健康保険組合の財政が悪化している。全国約1400組合の2018年度予算によると、平均の保険料率は年収の約9.2%(労使折半)と11年連続で上がる。2割強の300超は、国所管の全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率以上になり、存続の利点が少ない「解散予備軍」だ。高齢者の医療費を支える負担が重いのが原因。健保組合が国所管に移れば、税金で支える対象が増える。
健康保険制度の概要は、以下のとおり。
主な加入者 | 加入者数(万人) | 一人当たりの医療費(万円) | 平均所得(万円) | |
国民健康保険 | 自営業や非正規労働者、74歳未満の退職高齢者 | 3,182 | 35 | 84 |
協会けんぽ | 中小企業の従業員 | 3,716 | 17.4 | 145 |
健康保険組合 | 大企業の従業員 | 2,914 | 15.4 | 211 |
共済組合 | 公務員 | 877 | 15.7 | 235 |
後期高齢者医療制度 | 75歳以上の高齢者 | 1,624 | 94.9 | 80 |
現在、健康保険組合の中で、50万人の加入者を抱える全国最大規模の人材派遣健保や、16万人の日生協健保が解散の検討に入っている。