保険金と税金

生命保険、医療保険、年金保険、損害保険等の保険金を受領した時は、その保険料の負担者、支払原因等によって、税金の課税関係が異なってきます。その内容を、以下で確認したいと思います。
1.保険の種類別における課税・非課税
以下は、一般的な保険の種類別の課税・非課税となる例示です。

課税の有無保険の種類保険金
課税生命保険死亡保険金、満期保険金、解約返戻金
個人年金保険年金受給、一時金受給
非課税(注)医療保険、ガン保険入院、通院、手術、先進医療、ガン給付金
介護保険介護保険金
損害保険建物の焼失、身体の傷害・疾病を原因として受取る保険金

注:原則、身体の損害で支払いを受ける保険金等は非課税とされています。

2.保険の契約形態別における課税所得関係
課税対象になる場合の保険金は、保険の契約形態によって受取人に係る税金の種類が変わってきます。以下は、国税庁のHPで紹介しています内容です。

 「生命保険金を受け取る場合、その保険金が死亡に基づくものか、満期によるものか、また、保険料の負担者は誰なのかなどによって課税関係が異なります。
 夫婦の関係でみると、次の表のようになります。

区分被保険者負担者(契約者)受取人保険事故等課税関係
1満期夫の一時所得(※)
2満期妻に贈与税
夫の死亡妻に相続税
3夫の死亡妻に相続税(生命保険契約に関する権利)
4満期夫の一時所得(※)
妻の死亡

※一時所得の場合の課税所得金額の計算式 {(保険金-支払保険料)-50万円}×1/2
 一定の一時払養老保険等の差益は、源泉徴収だけで納税が完了する源泉分離課税となります。
 年金方式で保険金を受け取った場合は、その年ごとの雑所得として所得税及び復興特別所得税がかかります。」

上述のとおり保険契約者と受取人が異なる場合には、贈与税、相続税、所得税(一時所得)の何れかになります。その課される税金の種類は、被保険者、保険料の負担者(契約者)、受取人、保険事故形態によって決まるのです。
なお、生命保険契約の途中で保険受取人や契約者を変更した場合には、保険事故が発生したわけではありませんので課税関係が生じないことになります。なお、契約者変更時におきまして、保険契約を解約し解約返戻金を受領した場合には、新契約者は前契約者から贈与により取得したものとして贈与税が課税されます。
又、契約者の途中変更してその後に満期保険金或いは死亡保険金を受領した場合には、課税は変更前と変更後に分けて課税されます。以下は、その課税の例示です。

 前契約者新契約者
満期保険金に係る税金負担した保険料相当部分に対して、贈与税負担した保険料相当部分に対して、一時所得
死亡保険金に係る税金負担した保険料相当部分に対して、一時所得負担した保険料相当部分に対して、相続税

なお、契約者死亡に伴う契約者変更の場合は、死亡時点での「生命保険契約に関する権利の評価額」(解約返戻金相当額)が相続税の課税対象となります。

2022年5月30日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant