名義変更に伴う低解約返戻保険等の評価の見直し

国税庁は、経営者等向け保険の中に加入初期に解約返戻金を抑え、その低い返戻金時に経営者等に名義変更し課税額を抑え、経営者等は返戻金が増加後に解約し節税効果を得るという保険商品がありました。これを、新たな課税方法では、解約返戻金が保険料の資産計上額の一定割合を下回る場合に資産計上額で課税額を算出するという見直しを行った。その改正基本通達36-37の概要は、以下の通り。

保険契約等の種類経営者等に名義変更時の評価方法
令和3.6.30までの変更令和3.7.1以後の変更
下記②及び③以外の保険契約支給時解約返戻金額

注1
低解約返戻金型保険:
支給時解約返戻金額<支給時資産計上額×70%
支給時解約返戻金額支給時資産計上額

注1
復旧することができる払済保険等支給時資産計上額プラス法人税基本通達9-3-7の2による損金算入額

注1:法人税基本通達9-3-5の2の適用を受けるものに限定。従って、適用対象は、令和元年(2019年)7月8日以後に締結した保険契約からとなります。同日以前の保険契約には原則、適用対象外。

法人税基本通達9-3-5の2とは(2019年7月8日以後の契約分から適用):
国税庁は、生命保険各社が節税対策になると販売していた解約返戻率が高い定期保険等について、課税ルールの見直しの基本通達を発表しています。その概要は以下の通りです。過熱した節税保険ブームに歯止めをかけるということから、見直しの基本方針には変更が無いかと思われます。
対象の保険とは:
法人が契約者で役員又は使用人(これらの親族も含む)を被保険者とする保険期間が3年以上の定期保険又は第三分野保険で最高解約返戻率が50%超の加入保険が対象となります。
従いまして、対象外となる全損タイプの定期保険等は、次のものになります。
(1)保険期間が3年未満の定期保険等
(2)最高解約返戻率が50%以下の定期保険等
(3)最高解約返戻率が70%以下、かつ、年換算保険料相当額(保険料総額÷保険期間)が30万円以下の定期保険等
(4)保険期間を通じて解約返戻金のない定期保険又は第三分野(ごく少額の払戻金のある契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より短い保険)で、かつ、当年度の支払保険料が30万円以下の定期保険

参考:保険分類
①第一分野保険:生命保険(終身保険、定期保険等)
②第二分野保険:損害保険(火災保険、自動車保険等)
③第三分野保険:上記①及び②に属さない疾病・傷害保険(医療保険、介護保険、傷害保険等)

2021年7月7日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant