2021年度(令和3年度)税制改正大綱

2020年(令和2年)12月10日に自民、公明党の両党は2021年度(令和3年度)の与党税制改正大綱が発表されました。以下は、その改正大綱の概要(所得税、贈与税・相続税、消費税、納税環境整備)となります。法人税については次月に記載します。

個人所得税
1.住宅ローン控除特例の特別控除
消費税率10%で住宅の特別特例取得に該当し、以下の諸条件を満たす場合には、2022年末までの入居により住宅ローン控除期間の3年間延長特例(控除期間13年間)が認められます。
改正は、2022年(令和4年)1月1日以後の確定申告提出から適用。
(1)特別特例取得の要件(①と②)

① 住宅取得の区分② 契約締結の期限居住開始の期間
ィ 新築注文住宅2020年(令和2年)10月1日~2021年(令和3年)9月30日の期間2021年(令和3年)1月1日~2022年(令和4年)12月31日の期間
ロ 分譲住宅・マンション・既存中古住宅・増改築等2020年(令和2年)12月1日~2021年(令和3年)11月30日の期間

(2)住宅の床面積と合計所得金額の要件
特別特例の場合原則の場合
住宅の床面積40㎡以上50㎡以上
合計所得金額1,000万円以下3,000万円以下

注:住宅ローン減税は4千万円を上限に年末の借入残高の1%を所得税額から控除するという仕組みです。

2.同族会社発行の社債利子及び社債償還金に対する課税区分の変更
同族会社(50%超保有)関係にある個人及びその親族等が、その会社の同族会社から社債利子及び社債償還金に対しては、分離課税から総合課税の対象に変更となります。
改正は、2021年(令和3年)4月1日以後の支払分から適用。

3.セルフメディケーション税制の適用期限延長
対象となる医薬品範囲の見直し、適用期限を5年延長する。又、取組を明らかにする「取組関係書類」の提出等は不要となります。
改正は、2022年(令和4年)1月1日以後の提出分から適用。

4.勤続5年以下の従業員の退職所得課税の適正化
従業員が勤続年数5年以下で退職し「短期退職手当等」(特定役員退職手当等の該当以外)を受給する場合で、その退職所得控除後の金額が300万円超の場合には、退職所得計算上の2分の1軽減適用ができなくなります。

退職収入から退職所得控除後の残額従業員の勤続年数
改正現行
5年以下5年超
300万円超2分の1軽減適用無し2分の1軽減適用2分の1軽減適用
300万円以下2分の1軽減適用

改正は、2022年(令和4年)分以後の所得税から適用。

5.個人住民税:特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額の全所得に対して源泉分離課税選択における確定申告における附記事項記載
個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額の全所得に対して源泉分離課税選択(申告不要)とする場合、原則、確定申告における個人住民税に係る附記事項追加で申告手続きの完結となります。

6.確定拠出年金掛金上限額の見直し
確定給付企業年金加入者は、次の掛金上限となります。
(1)企業型確定拠出年金の掛金上限額
現行の月額27,500円を月額55,000円から確定給付企業年金掛金を控除した金額が上限となります。
(2)個人型確定拠出年金の掛金上限額
現行の月額12,000円を月額55,000円から確定給付企業年金掛金と確定拠出企業年金掛金の合計額を控除した金額が上限となります(但し、上限月額20,000円)。

贈与税・相続税(資産税)
1.一時居住者の国外財産課税の見直し(贈与税・相続税)
国内に短期的に居住する在留資格を有する者、国外に居住する外国人等が、相続開始時又は贈与時に国内に居住する在留資格者からは、取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課税しないことになります。これまでは、被相続人又は贈与者の居住期間が相続・贈与前15年以内に国内居住期間の合計が10年以下である場合に限り、国外財産には課税されないことになっていましたが、改正により国内の居住期間には縛りがなくなります。
なお、「在留資格」とは、出入国管理及び難民認定法別表第一の上欄の在留資格をいいます。

2.直系尊属から住宅取得等資金贈与の非課税措置等の見直し(贈与税)
(1)非課税期間の延長
現行の非課税措置では、2021年(令和3年)4月より非課税限度額が縮減されることになっていましたが、2021年(令和3年)4月1日から同年12月31日までの間に、耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋の新築等(良質な住宅)に係る契約を締結した場合における非課税限度額が、次のとおり、同年12月末まで据え置くことになりました。

住宅新築等の契約締結日2020年2021年
1月~3月4月~12月1月~3月4月~12月
良質な住宅(消費税率10%)30百万円15百万円15百万円15百万円
(改正前12百万円)
その他の良質な住宅12百万円10百万円10百万円10百万円
(改正前8百万円)
一般住宅(消費税率10%)10百万円10百万円10百万円10百万円
(改正前7百万円)
その他の一般住宅7百万円5百万円5百万円5百万円
(改正前3百万円)

改正は、2021年(令和3年)1月1日以後の贈与に適用。

(2)相続時精算課税制度の特例適用時の床面積要件の下限引下げ
受贈者が贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が 1,000万円以下である場合に限り、床面積要件の下限が40㎡以上(現行:50 ㎡以上)に引下げられる。

贈与年度の合計所得金額登記簿上の専有部分の床面積基準
改正前改正後
10百万円以下50㎡以上240㎡以下40㎡以上240㎡以下
10百万円超20百万円以下50㎡以上240㎡以下

改正は、2021年(令和3年)1月1日以後の贈与に適用。

3.直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の見直し
次の措置を講じた上、その適用期限が2023年(令和5年)3月31日まで2年延長されます。
(1)信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、その死亡の日までの年数(改正前は贈与者死亡前3年以内の贈与に係る残額)にかかわらず、同日における管理残額(非課税拠出額-教育資金支出額)を、受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなされる。但し、その死亡の日において受贈者が、以下のいずれかに該当する場合には除かれます。
①23歳未満である場合
②学校等に在学している場合
③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合
(2)上記(1)により相続等により取得したものとみなされる管理残額につき、贈与者の子以外の直系卑属(孫、ひ孫)に相続税が課される場合には、当該管理残額に対応する相続税額が、相続税額の2割加算の対象とされる(改正前は2割加算適用無し)。
上記の改正は、2021年(令和3年)4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用。

4.直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の見直し
次の措置を講じた上、その適用期限が2023年(令和5年)3月31日まで2年延長されます。
(1)贈与者から相続等により取得したものとみなされる管理残額(非課税拠出額-結婚・子育て資金支出額)につき、当該贈与者の子以外の直系卑属(孫、ひ孫)に相続税が課される場合には、当該管理残額に対応する相続税額が、相続税額の2割加算の対象となります(改正前は2割加算適用無し)。
改正は、2021年(令和3年)4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用。
(2)民法の成年年齢の引き下げに伴い、受贈者の年齢要件の下限を18歳以上50歳未満(現行:20 歳以上50歳未満)に引き下げる。
改正は、2022年(令和4年)4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用。

5.土地の固定資産税等の負担調整措置(課税標準額・税額)の据置き
2021年(令和3年)は、3年に一度の固定資産税評価額の見直しの年度であるが、評価増になった場合には、所要の負担調整措置を行う。

2021年(令和3年)固定資産税評価額の増減状況固定資産税評価額の取扱い
評価額が増加した場合①2021年(令和3年)に限り、前年の2020年(令和2年)と同額とする
②2022年(令和4年)以降は、段階的に引き上げる負担調整措置を2023年(令和5年)まで継続する
評価額が減少した場合減少した評価額に基づき課税

6.非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度における後継者役員要件の見直し
特例制度における後継者の役員要件を以下の様に見直します。
改正前改正後
原則後継者が被相続人の相続開始前の直前において役員である必要がある
例外先代経営者である被相続人が60歳未満で死亡した場合には、役員要件不要とする先代経営者である被相続人が70歳未満で死亡した場合には、役員要件不要とする(一般制度も同様)
無し後継者が特例承継計画に特例後継者として記載されている者である場合には、役員要件不要とする

消費税
1.課税売上割合に準ずる割合承認申請期限の見直し
消費税の仕入控除税額の計算について、課税売上割合に準ずる割合を選択したい場合には、その課税期間末日までに承認申請書を提出し、末日から1ヵ月以内に税務署長の承認を受けた場合には、当該承認申請書の提出日に属する課税期間から当該準ずる割合を用いることができる。

納税環境整備
1.税務関係書類の押印義務の見直し
以下の税務関係書類を除き、押印が不要となります。
(1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち、遺産分割協議書
改正は、2021年(令和3年)4月1日以後に提出する税務関係書類から適用。なお、同日以前においても、押印がなくとも改めて求めない。
従って、次の様な書類には押印が不要となります。
確定申告書・修正申告書・更正の請求、給与所得者の扶養控除等申告書、給与所得者の保険料控除申告書、国税・地方税の各種届出書・申請書、等

以上。

2020年12月25日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

償却資産の申告(固定資産税): 申告書提出期限1月末

1. 固定資産税とは
固定資産税とは、1月1日現在で国内に土地、家屋又は償却資産(事業用資産)の固定資産を所有している者に対し、当該固定資産の評価額を基に算定された税額を資産の所在する市区町村(東京23区内は特例で区でなく都が課税)が課する地方税をいいます。
課税対象のうち、土地と家屋については登記簿等で市区町村では実在を確認できることになりますが、償却資産は毎年1月1日に所有しているものを自己申告を通じて、固定資産(償却資産)課税台帳に登録され課税されることになります。

なお、2021(令和3)年分の固定資産税・都市計画税において、新型コロナウイルス感染症の影響で売上収入(事業収入)が大幅に減少している中小企業者・小規模事業者(法人・個人事業者)の納税負担を軽減するために、固定資産税・都市計画税を減免(売上の減少率によって全額免除または1/2減免)する制度が創設されていますので、その内用は後述しています。

2. 固定資産税(土地・家屋)
土地と家屋については、登記事項のため市区町村は、その登記簿等に基づいて固定資産税を計算し、1月1日現在の所有者に納税通知書と同時に課税明細書が5月末前後に送られてきますので、当所有者は申告等の手続の必要はありません。
税率はいずれも1.4%であり、土地は課税標準額に、家屋は課税台帳に登録されている価格に掛けて税額が算定されます。なお、市区町村内に所有する固定資産の課税標準額が、土地30万円、家屋20万円未満の場合には、固定資産税は課税されません。
納期は年4回(6月、9月、12月、2月:市区町村によっては1ヶ月早まるところもあります)です。土地とは、田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野等です。家屋とは、住宅、店舗、工場、倉庫等です。

3. 固定資産税(償却資産)
償却資産とは、土地と家屋以外の事業用に供している減価償却対象資産のものをいいます。1月1日現在で償却資産を事業用に使用している所有者(法人や個人事業者)は、所定の申告書を作成し、1月31日までに償却資産の所在する市区町村ごとに提出しなければなりません。課税対象が償却資産に対する税金ということで償却資産税とも言われています。

(1)償却資産の対象(課税資産)
法人や個人で事業を行っている方で事業のために使用している減価償却の対象資産のうち、その取得価額が一定金額以上のものについては、償却資産となります。具体的には、以下のようなものが償却資産となっています。

① 構築物
舗装路面、庭園、門・塀・緑化施設等の外構工事、看板(広告塔等)、ゴルフ練習場設備等、並びに建物付属設備(受変電設備、予備電源設備、その他建築設備、内装・内部造作等)
② 機械及び装置
各種製造設備等の機器及び装置、クレーン等建設機械、機械式駐車設備等
③ 船舶
ボート、釣船、漁船、遊覧船等
④ 航空機
飛行機、ヘリコプター、グライダー等
⑤ 車両及び運搬具
大型特殊自動車、構内運搬車,貨車、客車等
⑥ 工具、器具及び備品
パソコン、陳列ケース、看板(ネオンサイン)、医療機器、測定工具、金型、理容及び美容機器、ルームエアコン、自動販売機等

以下の資産も償却資産として申告の対象になります。
・ 建設仮勘定で処理されている資産、簿外資産及び償却済資産であっても、1月1日現在で事業用に供することができる場合
・ 遊休又は未稼働の資産であっても、1月1日現在で事業用に供することが出来る状態にある場合
・ 耐用年数が1年未満又は取得価額が10万円未満の資産であっても、有形固定資産として計上し、減価償却している場合
・ 青色申告の中小企業法人・個人事業者については、取得価額が30万円未満の資産を一時に損金算入する処理(少額資産償却特例)がなされていても、この特例は国税(法人税・所得税)に関する制度であり、この地方税の固定資産税には適用されません。従って、この資産は固定資産税の申告対象となります。
その他、 所有権が留保されている資産(賃貸資産、 等)

(2)償却資産の非課税資産
償却資産の対象とならないものは、次のとおりです
(1) 土地や建物(いずれも登記対象資産であることから、 所有者を把握できますので敢えて償却資産として申告の対象にしていません)
(2) 自動車税・軽自動車税の課税対象(2重課税の排除)
(3) 無形固定資産(特許権、 営業権、 ソフトウェア等)
(4) 繰延資産
(5) 生物(観賞用、 興行用その他これらに準ずる生物は除く)
(6) 金額的に少額資産と言われる下記の資産:
① 取得価額が10万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたもの
② 取得価額が10万円以上20万円未満の資産で、 税務上、 3年間で一括償却しているもの
注1: 租税特別措置法の規定により、 一定の中小企業に対する特例を適用して、 取得価額が30万円未満の資産で一時に損金算入、 又は必要経費として処理されたものでも、償却資産の申告対象になっています。
注2: 上記以外の資産で企業や個人で事業を行なっている方が事業のために用いることができる資産、 即ち、 構築物、 機械及び装置、 船舶、 航空機、車両及び運搬具、 工具・器具及び備品で有形減価償却資産が対象となります。 次のものも償却資産の対象となります。
(1) 建設仮勘定で計上されている資産、 簿外資産及び償却済資産であっても事業用に供することができるもの
(2) 遊休又は未稼働のものであっても事業用に供することができるもの
(3) 改良費(資本的支出)
(4) 家屋に施した建築設備・造作等のうち、 償却資産として取り扱うもの
建築設備における家屋(建物・建物附属設備)と償却資産とを区分して評価することになります。 家屋と設備の所有者が同一の場合に、 償却資産として取り扱うものは次の要件を満たすものです。
① 構造的に家屋と一体的でないもの (野外給水塔、 独立煙突等)
② 家屋から独立した機械及び装置として性格の強いもの (受・変電設備)
③ 特定の生産又は業務に使用されるもの (動力用配線設備等)
④ 単に移動を防止する程度に家屋に取り付けられたもの (ルームエアコン等)
⑤ 顧客の求めに応ずるサ-ビス設備

(4)固定資産税額等の算出方法(資産が所在する所轄の市区町村ごとに行ない、 申告書を作成します)
(1) 評価価額の算出方法
① 取得初年度
評価価額 = 取得価額 X 耐用年数に応ずる減価率 X 1/2(50%)
② 取得後2年目以降
評価価額 = 前年度の評価価額 X 耐用年数に応ずる減価率
(2) 固定資産税額の算出方法
① 課税標準額の集計(1,000円未満切捨て)
各資産の評価価額を集計(合算)した額が課税標準額(決定価格となります)です。
課税標準額が150万円未満の場合には、 固定資産税は課税されません。
② 税額の計算
固定資産税額(100円未満切捨て) = 課税標準額(1,000円未満切捨て) X 税率(1.4%)

(5)償却資産の申告
所定の償却資産申告書、 種類別明細書、 等の書類を資産の所在する市区町村ごとに作成し、 1月末までに提出(申告)することになります。 申告方式には、 以下の2方法がありますが、通常は一般方式を採用しています。
その方式とは、 前年中(申告対象年度)に増加又は減少した資産内容を申告するのみで、 評価額、 税額等は所管事務所で行う方式です。
注1: 前年中に増加又は減少した資産が無い場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「増減なし」等を付記します。
注2: 事業を行なっていますが、 対象償却資産を所有されていない場合でも申告は必要です。 その場合には、 申告書上の備考に「該当資産なし」を付記します。

 2021(令和3)年分の固定資産税・都市計画税の減免特例について
新型コロナウイルス感染症の影響で売上収入(事業収入)が大幅に減少している中小企業者・小規模事業者(法人・個人事業者)の納税負担を軽減するために、固定資産税・都市計画税を減免(売上の減少率によって全額免除または1/2減免)する制度が創設されています。

1.対象者・減免率
中小企業者・小規模事業者で2020年2~10月のうち連続する3ヵ月間の売上が、以下の様に前年同期比でどのくらい減少したかにより決まります。

2020年2~10月のうち連続する3ヵ月間の売上減少率(前年同期比)減免率
30%以上~50%未満の売上減少率の場合1/2に軽減
50%以上の売上減少率の場合全額免除

中小企業者・小規模事業者(法人・個人事業者)とは、
・資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
・資本または出資を有していない法人のうち従業員1000人以下の法人
・従業員1000人以下の個人事業者
但し、法人のうち、大企業の子会社は対象外となります。

2.減免対象資産と税目
以下のものが減免対象資産ですが、土地は対象外です。
① 事業用家屋および設備等の償却資産に対する固定資産税(通常、取得額または評価額の税率1.4%)
② 事業用家屋に対する都市計画税(通常、評価額の税率0.3%)
以上から土地に対する固定資産税等は対象外

3.減免の申請方法
(1)税理士や公認会計士といった認定経営革新等支援機関等(等には、認定機関ではない税理士、公認会計士等も含みます)に確認依頼(申請対象の法人・個人事業者であることの確認、売上収入の減少状況の確認、特例対象資産・事業割合の確認)を行い、確認書の発行を受ける。

* 認定経営革新等支援機関等への確認申請書類に関して:
認定経営革新等支援機関等による確認として、該当する事業者は下記の書類が必要となりますが、対象資産・設備の所在する各地方自治体が定める申告書様式となります。
(イ)中小事業者等(個人、法人)であること等が確認できる書類
個人事業者の場合:
①常時使用する従業員数が1,000人以下である旨の誓約書
②性風俗関連特殊営業を行っていない旨の誓約書
法人の場合:
①資本金がわかる登記簿謄本の写し等
②大企業の子会社でない旨の誓約書
③性風俗関連特殊営業を行っていない旨の誓約書
(ロ)事業収入の減少がわかる下記の資料
会計帳簿等で、2020年2月~10月までの任意の連続する3月の期間の事業収入が前年同期間と比べて30%以上減少していることが確認できる資料
(ハ)特例対象家屋の居住用・事業用割合がわかる資料(個人事業者の場合)
所得税の青色・白色申告決算書等で、特例対象家屋の居住用・事業用割合のわかる資料
①青色申告の場合は「所得税青色申告決算書」の「減価償却費の計算」における「事業専用割合(%)」
②白色申告の場合は「収支内訳書」の「減価償却費の計算」における「事業専用割合(%)」
当該確認申請の手続きは開始されています。

(2)減免の申請期限となる2021年1月末までに納税する各市町村に必要書類(確認書及び確認用に提出した書類一式の添付)とともに軽減を申請する。

4.減免申請上の留意事項等
(1)軽減を申告する資産は2021年1月1日時点(賦課期日)の資産と一致している必要がありますので、2020年中に新たに資産を取得する予定がある場合は、取得後に申請をする必要があります。仮に、認定支援機関の確認後、特例対象資産に変更が生じた場合、再度確認を受ける必要があります。
(2)複数の市町村に対象資産が存在
複数の市町村に固定資産税等を納付している場合は、それぞれの市町村に申告する必要があります。
(3)開業間もないことから事業収入の前年同期比が出来ない事業者
前年同期の比較が出来ないことから、対象外となります。
(4)事業用家屋
非居住用家屋であって、一般的には工場等の事業用の建屋等が想定されています。
(5)土地
土地は軽減対象となっていません。軽減対象は、事業用家屋と償却資産となっています。
(6)個人所有の家屋及び償却資産
個人事業ではない個人所有のものは軽減対象外です。なお、個人(会社の経営者等)が会社に家屋を貸している場合、個人事業として自ら事業を行い、当該事業収入減少要件等を満たせば対象となり得ます。
(7)事業収入
純粋は収益事業における売上高となります。給付金、補助金、事業外収入は含みません。
(8)複数の事業・店舗
全ての事業・店舗に係る事業収入で事業収入の減少判定を行います。

以上

2020年12月15日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

令和2年度(2020年度)年末調整における主な改正・変更ポイント

ご存知の様に平成30年度税制改正において、令和2年度より適用となります改正事項が多くありましたので、先ずはその主な内容を確認しておきたいと思います。
A. 令和2年度に影響する主な改正事項
① 給与所得控除・公的年金等控除の減額から基礎控除の増額への振替
② 給与所得控除の見直し(減額)
③ 公的年金等控除の見直し(減額)
④ 基礎控除の見直し(増額)

1.給与所得控除の見直し
イ 給与所得控除額を一律10万円引下げ
ロ 給与所得控除額の上限が、給与等の収入金額850万円で195万円に引下げ

給与等の収入金額給与所得控除額
令和元年度令和2年度(改正)
162.5万円以下65万円55万円
162.5万円超 ~ 180万円以下収入金額X40%収入金額X 40%-10万円
180万円超 ~ 360万円以下収入金額X 30%+18万円収入金額X 30%+8万円
360万円超 ~ 660万円以下収入金額X 20%+54万円収入金額X 20%+44万円
660万円超 ~850万円以下収入金額X10%+120万円収入金額X10%+110万円
850万円超 ~ 1,000万円以下195万円(上限)
1,000万円超220万円(上限)

2.公的年金等控除の見直し
イ 公的年金等控除額を一律10万円引下げ
ロ 公的年金等の収入金額1千万円超における公的年金等控除額の上限が1,955千円
ハ 公的年金等の雑所得以外の合計所得金額に対する公的年金等控除額の引下げ

公的年金等の雑所得以外の合計所得金額公的年金等控除額の引下金額
1千万円以下無し
1千万円超~2千万円以下一律、10万円引下げ
2千万円超一律、20万円引下げ

3.基礎控除額の見直し
イ 基礎控除額を一律10万円引上げ
ロ 合計所得金額が2,400万円超から逓減

合計所得金額(注)基礎控除額
令和元年度令和2年度(改正)
所得税住民税所得割所得税住民税所得割
2,400万円以下38万円33万円48万円43万円
2,400万円超~2,450万円以下32万円29万円
2,450万円超~2,500万円以下16万円15万円
2,500万円超

4.所得金額調整控除
以下のいずれかの要件に該当する場合(子育て世帯や介護世帯)には、負担増とならないように一定額を給与所得から控除します(控除額の緩和で夫婦双方で適用可)。
(1)給与等の収入金額が850万円超の居住者の中で、
① 特別障害者である者
② 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
③ 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する者
給与所得から控除額(所得金額調整控除額) ={給与等の収入金額(上限1千万円)- 850万円}X 10%
給与等の収入金額が1千万円以上の場合には、所得金額調整控除額は15万円(最高)。
注:年末調整で適用可(所定の申告書を提出)
(2)給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額とがある居住者で、その合計額が10万円超の場合には、
給与所得から控除額(所得金額調整控除額)={給与所得控除後の給与等の金額(上限10万円)+ 公的年金等に係る雑所得の金額(上限10万円)}- 10万円
給与所得の金額 = 給与等の収入金額 − 給与所得控除額 − 所得金額調整控除額(最高10万円)
注:公的年金等に係る確定申告不要制度において、当所得金額調整控除を給与所得の金額から控除するものとする。なお、この所得金額調整控除額は年末調整の適用外。

5.各種合計所得金額要件の見直し

項目令和元年度令和2年度(改正)
同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件38万円以下48万円以下
源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件85万円以下95万円以下
配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件38万円超~123万円以下48万円超~133万円以下とし、配偶者の合計所得金額の区分を、それぞれ10万円引下げる
勤労学生の合計所得金額要件65万円以下75万円以下

B. 所得控除額の確認
所得の合計額から控除できるもの(所得控除)には、次の15種類があります。
(1) 人的控除
① 基礎控除:全ての人が基本48万円の控除(所得制限あり)
  ② 扶養控除:扶養親族がいる場合には一定額の控除
  ③ 配偶者控除:控除対象配偶者がいる場合には一定額の控除
  ④ 配偶者特別控除:1,000万円以下の合計所得金額である人が生計を一にする配偶者がいる場合には一定額の控除(上記の③の控除と重複できない)
  ⑤ 勤労学生控除:本人が勤労学生である場合には27万円の控除
  ⑥ ひとり親控除:一定の要件を満たす場合には35万円の控除
  ⑦ 寡婦控除:一定の要件を満たす場合には27万円の控除
  ⑧ 障害者控除:本人、控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合には、それぞれに一定額の控除

(2) 物的控除
  ⑨ 寄付金控除:本人が特定の寄付金を支出した場合には一定額の控除
  ⑩ 生命保険料控除:生命保険料を支払った場合には、一般、 介護と個人年金とに区分して一定額の控除
  ⑪ 地震保険料控除:常時住んでいる家屋や家財等の地震保険料を支払った場合には
    一定額の控除
  ⑫ 小規模企業共済等掛金控除:当掛金を支払った場合には全額の控除
  ⑬ 社会保険料控除:1年間に支払った保険料は全額の控除
  ⑭ 医療費控除:本人や同一生計の親族の医療費を支払った場合には一定額の控除
  ⑮ 雑損控除:資産が災害、盗難などにより損害を受けた場合には、損失額が
    一定額を超えた分の控除
人的控除を一覧にすると以下のようになります。

人的控除項目対象者控除額本人の所得要件等
基礎控除本人48万円合計所得金額24百万円以下。超える場合には、段階的に控除額減額(25百万円超でゼロ円)
扶養控除生計を一にし、 かつ、 年間所得が48万円以下である親族等(扶養親族)を有する者(事業専従者は除く)
年少扶養親族 年齢が16歳未満
(所得税上は控除金額はありませんが、 住民税上では控除対象となりますので、 申告書上の住民税に関する事項の所に扶養者名等の記載をお忘れなく)
0万円
一般扶養親族年齢が16歳以上19歳未満又は23歳以上の70歳未満 38万円非居住者の場合には、原則、30歳以上70歳未満を除く
特定扶養親族年齢が19歳以上23歳未満63万円
老人扶養親族 年齢が70歳以上(非同居)48万円
(同居老親等加算)直系尊属であり同居を常況+ 10万円
配偶者控除(注1)生計を一にし、 かつ、 年間所得が48万円以下である配偶者を有する者(事業専従者は除く)
(一般控除対象) 年齢が70歳未満 38万円
(老人控除対象) 年齢が70歳以上 48万円
配偶者特別控除
(注1)
生計を一にする年間所得が48万円を超え133万円未満である配偶者(事業専従者は除く)
最高38万円(年間所得に応じて)年間所得1,000万円以下
勤労学生控除 本人が学校教育法に規定する学校の学生、 生徒等27万円年間所得75万円以下かつ給与所得以外が10万円以下
寡婦控除
(ひとり親に該当しない方)
夫と離婚した者、 扶養親族(子以外:子を有する場合にはひとり親控除の適用)を有する者かつ住民票に夫(未婚)・妻(未婚)記載なし
又は、扶養親族無しで夫と死別した者又は生死不明である者かつ住民票に夫(未婚)・妻(未婚)記載なし
27万円年間所得500万円以下(給与収入678万円以下)
ひとり親控除 ①未婚(離婚後、死別後を含む、及び生死不明な配偶者がいる方も含む)のひとり親であり、②生計を一にする子の総所得金額等の金額が48万円以下であること
③未婚のひとり親が入籍しない事実婚の世帯であっても住民票に事実婚の旨「夫(未婚)・妻(未婚)」を登録記載されていないこと
35万円年間所得500万円以下(給与収入678万円以下)
障害者控除障害者である者
障害者である同一生計配偶者又は扶養親族者
27万円
(特別障害者) 特別障害者である者
特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族者
40万円
(同居特別障害者) 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族と同居を常況としている者 75万円

普通障害者・特別障害者の区分例:

障害の内容普通障害者 特別障害者
精神に障害がある方で精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方
右の等級以外の方
精神障害者保健福祉手帳の障害の等級が1級の方
身体上の障害がある方で身体障害者手帳の交付を受けている方
障害の程度が3級から6級の方
障害の程度が1級又は2級の方

注1:配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入では103万円以下)の場合に配偶者控除38万円(老人控除対象配偶者48万円)、 並びに配偶者控除は世帯主の年収に応じて縮小され、配偶者特別控除は配偶者の年収要件を103万円から150万円に引上げ、 かつ配隅者及び世帯主の年収に応じて控除額が以下の様に9段階で縮小となります。

配偶者控除等に関する源泉徴収及び確定申告における見直し
(1)給与等又は公的年金等の源泉徴収における源泉控除対象配偶者に係る控除適用は、夫婦いずれか一方しか適用できません。
(2)居住者の配偶者が、公的年金等の源泉徴収において源泉控除対象配偶者の適用を受け、かつ、公的年金等に係る確定申告不要制度を受ける場合には、その居住者は確定申告において配偶者特別控除の適用を受けることはできません。

C. 給与所得者の年末調整
1. 年末調整とは
会社等の給与支払者(源泉徴収義務者)は、給与等の支払時に所定の源泉所得税を徴収しています。この源泉所得税は事前の条件下での計算に基づくものであり、一種の仮計算による前払税金ですので、この仮計算を最終条件に基づいての再計算(年税額を確定する手続)が年末調整です。具体的には、給与支払者は暦年(1月~12月)の総給与額に対して12月の最終給与支払日に最終条件に基づいて再計算し、徴収していた総源泉所得税の過不足を調整(精算)します。
通常のサラリーマンは、この年末調整で給与収入の納税手続きは完了(事務処理・対応の緩和)となり、確定申告は不要となりますので、税制度の内容に触れることが少ないことから税知識の理解不足に繋がっている感があります。

2. 年末調整の対象者
年末調整の対象者は、 原則として会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人は全員含まれます。 但し、 給与収入額が2千万円を超える人は年末調整を行ないませんので自身の所得税確定申告を通じて年税額の精算をしなければなりません。 通常、 1カ所から給与支給を受けている人は、 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出し年末調整を受けることになります。

次の人は年末調整の対象者にはなりません。
(1) 年中の給与収入額が2千万円を超える人
(2) 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(年末調整を行うことができませんが、 支払の際の源泉徴収においては乙欄の税額表が適用となっています)
(3) 年中に退職(死亡退職した人、 非居住者として国外勤務者となった人、 等を除く)した人
(4) 国内に住所も1年以上の居所を有していない人(非居住者)
(5) 災害免除法の規定により源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人
(6) 日雇労働者等(丙欄の税額表適用者)

この様に一般のサラリーマンの方は、この年末調整を給与支払者から受けることで、その年の所得税は確定しますので、原則として確定申告は必要ありません。年末調整の対象外の方や、年末調整の一部処理洩等の方は、通常、その年の翌年の2月15日から3月15日の間に確定申告を行います。

3. 年末調整のスケジュール
一般的な年末調整のスケジュール(流れ)は、以下のようになります。

11月上旬必要書類の準備および従業員への事前案内
中旬従業員への年末調整用の提出書類の案内  注1
下旬年末調整用書類の回収
12月上旬回収書類のチェック
中旬年末調整計算
下旬給与支給(年末調整の還付又は追徴)
翌年1月10日期限徴収税額の納付
20日期限徴収税額の納付(特例適用の場合)
31日期限源泉徴収票の交付(従業員)法定調書合計表の
提出(税務署)注2
給与支払報告書の
提出(市区町村)注3

注1:扶養控除等/保険料控除申告書の書類や証明書の提出を依頼します。 この時に、次年度分の扶養控除等申告書の作成・提出も併せて依頼すると良いでしょう。
注2:合計表と共に法定調書提出の対象となる一定の役員等の源泉徴収票(1枚)も提出します。
注3:給与支払報告書とは、源泉徴収票と同じ書式であり、2枚と一定の事項を記載した総括表(表紙)も提出します。

上述の様に11月となりますと給与支払者(会社)は、 年末調整の準備・対応が始まり、 勤務者(従業員)は年末調整の為に必要となる申告書や証明書類等を所定の期限までに給与支払者に提出することが求められます。 給与支払者は、 勤務者から回収した年末調整用の書類の内容を確認しその最終情報に基づいて、 暦年における最終給与支払い時(通常、 12月給与)に納めるべき年間の所得税(年税額)を算出し、 これまでの支給時に源泉徴収された税額とを比べその過不足額を精算(徴収又は還付)します。 一般的には、 年末調整により還付されるケースが多いかと思います。

4. 年末調整での取扱項目
給与所得者の年末調整で取扱える項目と取扱えない項目の主なものは、次の通りです。

       取 扱 項 目         非取扱項目(要確定申告) 
社会保険料控除   雑損控除
(生計を一にする親族等の負担分)      医療費控除
小規模企業共済等掛金控除 寄付金控除
生命保険料控除 住宅借入金等特別控除(初年度)
地震保険料控除 その他各種特別控除
配偶者控除、 又は配偶者特別控除
所得金額調整控除
住宅借入金等特別控除(2年目以降)
障害者控除
ひとり親控除
寡婦控除
中途入社の方は、前職の給与収入(源泉徴収票)
扶養家族等の控除情報更新(注)

注:年始にはその年の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書が提出(原則として、 本年最初の給与の支払を受ける日の前日までに提出)されているため、その内容は毎月の給与計算に反映され、源泉所得税が天引されています。 提出後に控除関連事項に異動が生じた場合には、 その都度異動申告を行うことになっています。

年末調整の為に提出が求められる申告書とその中に記載される控除項目は以下のとおりです。 当該控除項目以外に所得から控除可能な項目がある場合にはそれらの項目は確定申告で行うことになります。

申告書の名称 控除項目
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 扶養控除、 障害者控除、 ひとり親控除、寡婦控除、 勤労学生控除
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、所得金額調整控除
給与所得者の保険料控除申告書生命保険料控除(一般生命・介護医療・個人年金)、 地震保険料控除(申告分)、 社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除(申告分)
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除(2年目から年末調整の対象で初年度は確定申告が必要)

令和2年度より、ひとり親控除と寡婦控除に改正があります。又、平成30年度税制改正により、令和2年度の基礎控除等に改正が行われています。

注: マイナンバーの記載不要の特例制度
平成28年1月よりマイナンバー制度が導入されています。原則、マイナバーを記載すべき書類の提出を受ける際には、その都度(毎回)必ず、マイナバーカード等で本人確認する必要があります。但し、平成29年分以後の扶養控除等(異動)申告書等へのマイナンバーの記載不要の特例制度が創設され、その適用要件として、過去にマイナンバーの情報が提供されており、 一度その番号確認を実施した上で作成した帳簿(特定個人情報ファイル)を会社が備えているときには記載不要となりました。 これは、確認書類の提示を受けることが困難な場合を前提とされていますが、変更が無いことが口頭等で確認されていれば参照できることでよいかと思います。なお、本人確認のうち身元確認については、過去に一度確認を行っている場合、本人を対面で確認することで明らかに本人であると認識されたる場合には、身元確認書類の提示は不要となります。
マイナンバーの記載不要の特例制度が適用できない方には、以下の対応が必要となります。
「平成2年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出にあたり、 給与所得者本人、 源泉控除対象配偶者、 控除対象扶養親族等の個人番号を記載することになります。 提出にあたり、 給与支払者が給与所得者から個人番号の提供を受ける場合は、 本人確認として、 提供の番号が正しいことの確認(番号確認)と、 番号提供者が真にその番号の持ち主であることの確認(身元確認)を行う必要があります。 なお、 控除対象配偶者、 控除対象扶養親族等の本人確認は、 給与所得者(従業員)が行うことになっています。
平成28年1月以降の支払に係る給与所得の源泉徴収票には、 上記の個人番号を記載して税務署等の行政機関に提出することが必要となりますので、 「扶養控除等(異動)申告書」に必要なマイナンバーが記載されていない場合には、 源泉徴収票作成までにマイナンバーの提供を受ける必要があります。 なお、 給与所得者への源泉徴収票には、 個人番号は記載されません。

申告書記載上の主な注意点は以下のものがあります。
(イ) 12月31日時点の現況で記載
その年の12月31日現在の現況を見積もりで記載することになります。 見積記載の内容に修正が生じた場合(例えば、 扶養者数の増減、 等)には、 再年末調整(翌年の1月末までは可能)又は確定申告により適正な精算を行うことになります。

(ロ) 人的控除項目の判定基準に合計所得金額基準
控除項目の中(控除対象配偶者、 控除対象扶養控除、 配偶者特別控除等の人的控除項目)には、 その控除に該当するかの判定基準にその年度の合計所得金額となりますので留意してください。 多い誤りとしては、 配偶者の合計所得金額が控除対象金額を超えているケースです。
配偶者控除の場合の合計所得金額は、 48万円以下(給与収入額では103万円以下)でなければなりません。
配偶者特別控除の場合の合計所得金額は、 48万円超~133万円以下でなければなりません。
公的年金等の雑所得だけの方で控除対象扶養者(合計所得金額が48万円以下)になる場合には、 公的年金等の雑所得以外の合計所得金額が1千万円以下では、公的年金等の収入金額が158万円以下(年齢65歳未満の人は108万円以下)という条件を満たす人です。

「所得金額」として、 税法の規定のなかに「合計所得金額」、 「総所得金額」、 「総所得金額等」の3種類が適用判定基準の中に出てきますが、 それぞれ多少の違いがあります。
①合計所得金額、 ②総所得金額、 ③総所得金額等の定義
総所得金額とは、総合課税項目の所得合計であり、合計所得金額とは、更に分離課税での繰越控除適用前の分離課税所得等を加えた所得合計であり、総所得金額等とは、更に分離課税での繰越控除を控除した所得金額となります。

所得種類   各種繰越控除の適用
利子所得所得金額の損益通算
合計所得金額
* 純損失や雑損失の繰越控除
* 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除
* 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
* 上場株式等の譲渡損失の繰越控除
* 特定中小会社発行株式の譲渡損失の繰越控除
* 先物取引の差金等決済損失の繰越控除
総所得金額総所得金額等
配当所得
不動産所得
事業所得
給与所得
雑所得
一時所得2分の1
総合課税の譲渡所得長期
短期
分離課税(土地・建物等)の譲渡所得(特別控除適用前)長期
短期
分離課税の株式等の譲渡所得
分離課税の先物取引の雑所得
退職所得
山林所得

配偶者控除、 扶養者控除等の所得基準額は、 「総所得金額」より範囲が広い「合計所得金額」で判定することになり、 分離課税所得の発生年度には注意が必要となります。

(ハ) 年齢16歳未満の年少扶養親族
控除対象扶養控除に関して、 平成23年度から年齢16歳未満の年少扶養親族に対する扶養控除が所得税では廃止となっています(年齢16歳未満は所得税における扶養控除対象者ではありません)。 しかし、 住民税の方では控除対象となっていますので住民税に関する欄への記載を忘れないでください。 なお、 年齢16歳未満の年少扶養親族であっても、 障害者又は特別障害者に該当する場合には、 障害者控除を受けることはできます。
令和2年度の年末調整時における年齢16歳未満とは、 平成17年1月2日以後に生まれた人が年少者となります。

(ニ) 扶養親族
所得者と生計を一にする親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)で、 合計所得金額が48万円以下の人を扶養親族(配偶者、青色事業専従者及び白色事業専従者を除く)といいます。 その中には、 以下のように区分されています。
① 控除対象扶養親族
扶養親族のうち、 年齢16歳以上の人をいいます(令和2年度の年末調整では、 平成17年1月1日以前に生まれた人)。
② 特定扶養親族
扶養親族のうち、 年齢19歳以上23歳未満の人をいいます(令和2年度の年末調整では、 平成10年1月2日から平成14年1月1日までの間に生まれた人)。
③ 老人扶養親族
控除対象扶養親族のうち、 年齢70歳以上の人をいいます(令和2年度の年末調整では、 昭和26年1月1日以前に生まれた人)。
④ 同居老親等
老人扶養親族のうち、 所得者又はその配偶者のいずれかとの同居を常況としている必要がありますが、 同居特別障害者は、 所得者、 その配偶者又は所得者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としていることが適用の要件となっています。

(ホ) 生命保険料控除の改組
平成24年(2012年)1月1日からの契約分(新契約)から一般生命保険に含まれていた「介護医療保険」が独立の控除対象となりました。 平成23年までの契約分(旧契約)については、 昨年までと同様に「一般生命保険」と「個人年金保険」の2つに分けられ最高控除額は、 各5万円です。 新契約は、 「一般生命保険」、 「介護医療保険」と「個人年金保険」の3つに分けられ最高控除額は、 各4万円となります。 なお、 旧契約と新契約が混在するケースも発生することもありますが、 各保険料控除の合計適用限度額が12万円とされています。 従いまして、 支払保険契約が、 旧契約か新契約かを保険会社からの証明書で確認しながら申請書に正しく記載する必要があります。
生命保険契約等により支払われた保険料や掛金は所得者本人が支払ったものに限られています。 又、 保険金、 共済金等の給付金の受取人の全てが所得者本人又は所得者の配偶者や親族となっていることが必要です。
翌年以後に払込期日が到来する保険料を一括して前納保険料がある場合には、 本年中に相当する部分のみが支払保険料の金額となります。

(ヘ) 社会保険料控除
所得者本人と生計を一にする親族が負担することになっている社会保険料を所得者自身が支払った場合(時限措置により納付可能となった過去分の保険料の支払分も含む)には、 所得者本人の社会保険料として控除できます。
年金から特別徴収された介護保険料や後期高齢者医療保険料については、 支払者が年金受給者自身となることから、 その年金の受給者の社会保険料として控除となります。
翌年以後に払込期日が到来する保険料を一括して前納保険料がある場合には、 前納期間が1年以内の場合には、 その全額を本年の社会保険料として控除することができます。 なお、 国民年金保険料については、 2年分を前納できることになりましたので、 全額控除をするか、 又は期間按分して控除(この場合には、 按分の明細書が要作成)する方法のいずれかを選択することが可能です。

(ト) 地震保険料控除
所得者本人と生計を一にする親族が所有して常時居住している家屋や生活に通常必要な家財に対して支払った保険料の内、 一定の金額を地震保険料控除として控除できます。
一つの契約等で、 地震等損害に対する損害保険契約と旧長期損害保険契約のいずれの契約区分にも該当する場合には、 選択によりいずれか一方の契約区分のみが地震保険料控除の控除額となります(有利な方を選択する)。

(チ) (特定増改築等)住宅借入金等特別控除
現在、 各種の住宅借入金等特別控除がありますが、 控除を受けようとする初年度分については、 確定申告により控除の適用を受ける必要があります。 2年度以降分については、 年末調整の際に下記のものを給与支払者に提出します。
① 税務署長が発行した「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」。 この証明書の上部に「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」がありますので、 控除金額等の記載を行い提出します。
② 金融機関等が発行した「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
一般の住宅借入金等特別控除は、 居住者が一定の要件を満たす住宅の取得等して、 その人の居住の用に供した場合(その家屋の取得等の日から6ケ月以内に居住用に供したものに限られています)において、 その住宅の取得等のために一定の住宅借入金(償還期間10年以上等)を有するときには、 居住年以後10年間(平成13年7月1日から平成30年12月31日までの間で居住した場合には、 最長10年間。 それ以前のものは最長15年間)の各年のうち、 合計所得金額が3千万円以下である年について、 住宅借入金等の年末残高を基にした所定額を住宅借入金等特別控除としてその年の所得税額から控除できるというものです。
家屋に入居後、 本年12月31日まで継続して居住用に供していることが控除の適用要件ですので、 年度の途中で海外勤務となり出国している場合には、 この制度の適用はありません。
自己の居住用の家屋が2以上有する場合には、 主として居住用とする1の家屋に限られます。
連帯債務(共有)の場合には、 各年12月31日現在のその住宅借入金等の金額に控除を受ける人の負担割合(持分割合)を加味して控除額を計算します。 その割合は、 小数点以下第4位を切上げ、 90%以上である場合は100%とします。

住宅ローンの借換え: この制度の適用者が、 住宅借入金等の借換えをした場合に一定の要件を満たすときには適用が継続します。 住宅ローン金利が低くいものがあるとローンの借換えを行う場合があります。 一般の住宅ローンの場合の借換えでは、 新たな借入金が当初の借入金を消滅させるもので、 適用対象となっていた家屋の取得等のための資金に充てるものであれば住宅ローン控除の継続適用の対象となります。 その場合の新たな借入金の償還期間も10年以上であることが適用要件となっています。 ローン借換後の借入額が借換前の借入残高以下であれば、 年末借入残高が控除対象額となりますが、 逆に借換後の借入額が借換直前の借入残高を上回る場合、 次の按分計算して控除対象額を導く必要があります。
ローン借換後の借入額の年末残高 X (借換直前の借入残高 ÷ 借換直後の借入額) = 控除対象借入額の年末残高

(リ) 給与と徴収税額の集計
年中に支払った給与・賞与が対象になりますが、 本年分の給与で未払いであっても、 本年中に支払の確定したものについても年末調整の対象になります。

(ヌ) 年末調整のやり直し(再調整)
年末調整後に関係事項に異動があった場合には、 年末調整のやり直し(再調整)をすることになります(①以外は翌年1月末までに所定の申告書の提出を受け翌年1月末までなら可能)。 例えば、
① 給与の追加払いがあった場合
年末までに本年分の給与の追加払いがあった場合には、 年末調整のやり直しをしなければなりません。
翌年になって給与改訂により本年分まで遡って支給することになっても、 それは改訂時の年度の所得となりますので年末調整のやり直し対象にはなりません。
② 控除対象配偶者、 控除対象扶養者等の数に異動(増減) があった場合
異動事項の申告を受けた場合には、 年末調整のやり直しを行ないます。
③ 保険料の追加払いがあった場合
保険料控除額に影響する保険料の追加払いがあり異動事項の申告を受けた場合には、 年末調整のやり直しを行ないます。
④ 配偶者等の控除対象者の合計所得金額の見積額と確定額に差異があり控除額が変動することになった場合
異動事項の申告を受けた場合には、 年末調整のやり直しを行ないます。
⑤ 住宅借入金等特別控除申告書の提出があった場合
申告書の提出を受けた場合には、 年末調整のやり直しを行ないます。
なお、 上記の様に年末調整後に関係事項に異動があった場合で年末調整のやり直しがされなかった項目の中で、 所得税額が過少になっている場合には、 確定申告で適正に精算する必要があります。

5. 令和3年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
令和3年分の扶養控除、 障害者控除、 ひとり親控除、寡婦控除、 勤労学生控除の各控除の為に申告書を作成しますが、同時に令和2年度の扶養親族等を確認・確定します。
その控除に該当するかの判定は、その年度の合計所得金額(見積金額)と年度末等における現況によることになります。
A 源泉控除対象配偶者
 「源泉控除対象配偶者」とは、居住者(合計所得金額が900万円以下である者に限る)の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得金額が95万円以下である者をいう。
B 控除対象扶養親族(平成18.1.1以前生まれの16歳以上)
 ①一般扶養親族(年齢16歳以上19歳未満)
 ②特定扶養親族(年齢19歳以上23歳未満)
 ③老人扶養親族(年齢70歳以上(非同居))
 ④同居老人扶養親族(年齢70歳以上(同居))
C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生
イ 障害者
 一般障害者(所得者、同一生計配偶者、扶養親族)
 特別障害者(所得者、同一生計配偶者、扶養親族)
 同居特別障害者(同居:同一生計配偶者、扶養親族)
ロ 寡婦
①-1夫と離婚した者で扶養親族(子以外:子を有する場合にはひとり親控除の適用)を有する者、かつ住民票に夫(未婚)・妻(未婚)記載(いわゆる事実婚)なし
①-2又は、扶養親族無しで夫と死別した者又は生死不明である者、かつ住民票に夫(未婚)・妻(未婚)記載なし
②合計所得金額500万円以下であること
ハ ひとり親
①未婚(離婚後、死別後を含む、及び生死不明な配偶者がいる方も含む)のひとり親
②生計を一にする子の総所得金額等の金額が48万円以下であること
③未婚のひとり親が入籍しない事実婚の世帯であっても住民票に事実婚の旨「夫(未婚)・妻(未婚)」を登録記載されていないこと
④合計所得金額500万円以下であること
二 勤労学生(所得者本人)
D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等
〇 住民税に関する事項:16歳未満の年少扶養親族(平成18.1.2以後生まれ)

6. 令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、所得金額調整控除の各控除の為に申告書を作成します。
(1)給与所得者の基礎控除申告書
所得者の給与所得及び他の所得の合計金額に応じて基礎控除額が決まります。

合計所得金額基礎控除額
所得税住民税所得割
2,400万円以下48万円43万円
2,400万円超~2,450万円以下32万円29万円
2,450万円超~2,500万円以下16万円15万円
2,500万円超

(2)給与所得者の配偶者控除等申告書
所得者の所得金額と生計を一にする配偶者の所得金額との組み合わせをより、配偶者控除額又は配偶者特別控除額が決まります。
配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入では103万円以下)の場合に配偶者控除38万円(老人控除対象配偶者48万円)を上限に、 配偶者控除は世帯主の年収に応じて縮小され、配偶者特別控除は配偶者の年収要件を103万円から150万円に引上げ、 かつ配隅者及び世帯主の年収に応じて控除額が9段階で縮小となります。

(3)所得金額調整控除申告書
所得者の年間給与収入金額が850万円超の場合で、以下のいずれかの要件を満たす場合には、控除額15万円(最高)の適用があります。
① 所得者本人が特別障害者である者
② 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
③ 特別障害者である同一生計配偶者を有する者
④ 特別障碍者である扶養親族を有する者
給与所得から控除額 =(給与等の収入金額(上限1千万円)- 850万円)X
 10%
給与等の収入金額が1千万円以上の場合には、所得金額調整控除額は15万円(最高)。

なお、給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額がある所得者で、その合計額が10万円超の場合には、最高10万円の所得金額調整控除額があり、給与所得から控除することがありますが、年末調整では適用を受けることが出来ません。その場合、年末調整の際に「給与所得者の基礎控除申告書」等で合計所得金額を計算する時には、当該年金所得金額を考慮する必要があります。
給与所得から控除額(所得金額調整控除額)={給与所得控除後の給与等の金額(上限
10万円)+ 公的年金等に係る雑所得の金額(上限10万円)}- 10万円
給与所得の金額 = 給与等の収入金額 − 給与所得控除額 − 所得金額調整控除額(最高10万円)

7. 令和2年分 給与所得者の保険料控除申告書
生命保険料控除(一般生命・介護医療・個人年金)、 地震保険料控除(申告分)、 社会保険料控除、 小規模企業共済等掛金控除(申告分) の各控除の為に申告書を作成します(証明書類の添付)。
(1)生命保険料控除(一般生命・介護医療・個人年金)
① 所得者本人が支払ったもので、保険金等の受取人が所得者又はその配偶者や親族(個人年金保険の場合には親族を除く)であることが必要
② 新旧の保険区分に注意
(2)地震保険料控除
① 所得者本人が年内に支払ったもので、所得者又は生計を一にする親族が所有する常時居住する家屋や、生活に通常必要な家財を目的とする保険であることが必要
② 同一契約内に地震保険と旧長期損害保険がある場合には、いずれか有利の保険料を選択
(3) 社会保険料控除
① 所得者又は生計を一にする親族分で所得者が支払ったもの
② 配偶者が年金から特別徴収(天引き)された保険料(介護保険料等)については、その年金受給者が支払ったことになることに注意(所得者からの控除とはならない)
(4)小規模企業共済等掛金控除
① 確定拠出年金法に基づく企業型年金加入者掛金、個人型年金加入者掛金(iDeCo等)も含む
② 前納減額金は、支払い掛金から控除

8.  給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
ローン控除の初年度は確定申告により控除適用を受ける必要があります。2年目以降は年末調整で控除を適用することができますので、年末調整時に、
① 添付書類として、税務署長が発行したその年度分の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」
② 添付書類として、金融機関等が発行した「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」

9. 源泉徴収簿の様式変更
「所得金額調整控除額⑩」欄、「給与所得控除後の給与等の金額(調整控除後)⑪」欄及び「基礎控除額⑲」欄が追加され、「扶養控除額、基礎控除額及び障害者等の控除額の合計額」欄が「扶養控除額及び障害者等の控除額の合計額⑱」欄に改められました。

10. 年末調整手続の電子化
令和2年度の年末調整から、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等特別控除(ローン控除)の3件に係る控除証明書等については、従業員から電子データで会社に提出できることになりました。具体的には、
① 従業員が保険会社、金融機関、税務署等から電子データで受領する。
② 従業員が当電子データを専用の年末調整ソフトを使用してインポートし年末調整申告用の電子データを作成する。
③ 従業員が年末調整申告用の電子データと控除証明書等データを会社に提供(送信)する。
④ 会社が、送信されたデータを給与システムにインポートして年末調整計算を行う。
注:現時点では、全ての保険会社、金融機関等がこの電子化に対応しているわけではありませんので、事前確認が必要としています。

電子化の事前準備:
① 給与システム等の対応準備
② 事前に税務署に会社が「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、その承認が必要
③ 従業員に周知徹底

以上が年末調整等の概要となります。

2020年11月7日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

GoToトラベル利用時の消費税課税

「GoToトラベル」は、宿泊や日帰りの国内旅行を対象に、旅行代金の50%相当額(1人1泊当たり上限2万円、日帰り上限1万円)が国から旅行者に支援補助するというもので、支援補助額(旅行代金の50%)のうち、7割(旅行代金の35%)相当が旅行代金に充当され、残りの3割(旅行代金の15%)相当は、旅行先での商品購入代金に利用できる地域共通クーポン(宿泊期間内のみ有効)が宿泊店から給付される。
例えば、一泊33,000円或いは66,000円(税込)のホテルに一泊した場合には、

 一泊33,000円(税込) 一泊66,000円(税込)摘要
①支援補助金(宿泊代)11,550円14,000円①+③の合計の給付上限は、20,000円
GoToトラベル事務局がホテル(旅行業者)に支払う
②宿泊負担金21,450円52,000円宿泊者がホテルに支払う
 合計(①+②)33,000円66,000円
③地域共通クーポン4,950円6,000円ホテルが宿泊者に渡す。
(一泊の場合、初日と翌日の2日間有効)

一泊33,000円(税込)の場合における税抜きでの仕訳:
(借方)旅費交通費  30,000
    仮払消費税   3,000
   (貸方)現金      21,450
       雑収入     11,550(不課税)

なお、GoToトラベル以外にも各種の支援補助・給付施策が行われていますので、上手く活用して少しでコロナ禍でのストレス解消や経済の活性化に繋がれば良いかと思います。

2020年10月26日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

確定申告、押印廃止へ 政府・与党検討

政府・与党は確定申告等の税務手続きで押印の原則廃止を検討する。2021年度の税制改正で検討し、年末にまとめる与党税制改正大綱に反映させる。

2020年10月20日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

基準地価、コロナが冷や水 3年ぶり下落

国土交通省が9月29日発表した2020年7月1日時点の基準地価は、全国の全用用途平均で3年ぶりの下落となった。 新型コロナウイルスの感染拡大が回復基調にあった地価に冷や水を浴びせた。
2020年基準地価の変動率(7月1日時点、 前年比%、 ▲は下落):

地域住宅地商業地 全用途
前年2020前年2020前年2020
全国平均▲0.1▲0.71.7▲0.30.4▲0.6
三大都市圏0.9▲0.35.20.72.10.0
東京圏1.1▲0.24.91.02.20.1
大阪圏0.3▲0.46.81.21.90.0
名古屋圏1.0▲0.73.8▲1.11.9▲0.8
地方圏▲0.5▲0.90.3▲0.6▲0.3▲0.8
中核地方4市4.93.610.36.16.84.5

公的機関が公表する土地価格情報には、 以下のものがあります。


公示地価基準地価 路線価 固定資産税評価額
調査主体 国土交通省都道府県国税庁市町村
調査地点数
約26,000約21,600約336,000 多数
調査時点
1月1日7月1日1月1日1月1日(原則3年に1回、 次回は2021年)
公開時期3月9月7月又は8月3月
公開サイト国交省(土地総合情報ライブラリー)国交省(土地総合情報ライブラリー)国税庁資産評価システム研究センター
その他調査対象は都市部の比重が高い。 標準地の公示地価は一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、 公共事業用地の取得価格算定や、 国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。調査対象は地方の調査地点が多く、 不動産鑑定士の評価を参考に調査し、 一般の土地取引価格の指標となる。 公表は国交省から 相続税・贈与税の基準となる地価で、 公示地価の8割程度の水準土地に対する固定資産税計算の基準となる地価で、 公示価格の7割程度の水準

2020年10月1日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

2021(令和3)年分の固定資産税・都市計画税の減免特例

新型コロナウイルス感染症の影響で売上収入(事業収入)が大幅に減少している中小企業者・小規模事業者(法人・個人事業者)の納税負担を軽減するために、固定資産税・都市計画税を減免(売上の減少率によって全額免除または1/2減免)する制度が創設されています。

1.対象者・減免率
中小企業者・小規模事業者で2020年2~10月のうち連続する3ヵ月間の売上が、以下の様に前年同期比でどのくらい減少したかにより決まります。

2020年2~10月のうち連続する3ヵ月間の売上減少率(前年同期比)減免率
30%以上~50%未満の売上減少率の場合1/2に軽減
50%以上の売上減少率の場合全額免除

中小企業者・小規模事業者(法人・個人事業者)とは、
・資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
・資本または出資を有していない法人のうち従業員1000人以下の法人
・従業員1000人以下の個人事業者
但し、法人のうち、大企業の子会社は対象外となります。

2.減免対象資産と税目
以下のものが減免対象資産ですが、土地は対象外です。
① 事業用家屋および設備等の償却資産に対する固定資産税(通常、取得額または評価額の税率1.4%)
② 事業用家屋に対する都市計画税(通常、評価額の税率0.3%)
以上から土地に対する固定資産税等は対象外

3.減免の申請方法
(1)税理士や公認会計士といった認定経営革新等支援機関等(等には、認定機関ではない税理士、公認会計士等も含みます)に確認依頼(申請対象の法人・個人事業者であることの確認、売上収入の減少状況の確認、特例対象資産・事業割合の確認)を行い、確認書の発行を受ける。

* 認定経営革新等支援機関等への確認申請書類に関して:
認定経営革新等支援機関等による確認として、該当する事業者は下記の書類が必要となりますが、対象資産・設備の所在する各地方自治体が定める申告書様式となります。
(イ)中小事業者等(個人、法人)であること等が確認できる書類
個人事業者の場合:
①常時使用する従業員数が1,000人以下である旨の誓約書
②性風俗関連特殊営業を行っていない旨の誓約書
法人の場合:
①資本金がわかる登記簿謄本の写し等
②大企業の子会社でない旨の誓約書
③性風俗関連特殊営業を行っていない旨の誓約書
(ロ)事業収入の減少がわかる下記の資料
会計帳簿等で、2020年2月~10月までの任意の連続する3月の期間の事業収入が前年同期間と比べて30%以上減少していることが確認できる資料
(ハ)特例対象家屋の居住用・事業用割合がわかる資料(個人事業者の場合)
所得税の青色・白色申告決算書等で、特例対象家屋の居住用・事業用割合のわかる資料
①青色申告の場合は「所得税青色申告決算書」の「減価償却費の計算」における「事業専用割合(%)」
②白色申告の場合は「収支内訳書」の「減価償却費の計算」における「事業専用割合(%)」
当該確認申請の手続きは開始されています。

(2)減免の申請期限となる2021年1月末までに納税する各市町村に必要書類(確認書及び確認用に提出した書類一式の添付)とともに軽減を申請する。

4.減免申請上の留意事項等
(1)軽減を申告する資産は2021年1月1日時点(賦課期日)の資産と一致している必要がありますので、2020年中に新たに資産を取得する予定がある場合は、取得後に申請をする必要があります。仮に、認定支援機関の確認後、特例対象資産に変更が生じた場合、再度確認を受ける必要があります。
(2)複数の市町村に対象資産が存在
複数の市町村に固定資産税等を納付している場合は、それぞれの市町村に申告する必要があります。
(3)開業間もないことから事業収入の前年同期比が出来ない事業者
前年同期の比較が出来ないことから、対象外となります。
(4)事業用家屋
非居住用家屋であって、一般的には工場等の事業用の建屋等が想定されています。
(5)土地
土地は軽減対象となっていません。軽減対象は、事業用家屋と償却資産となっています。
(6)個人所有の家屋及び償却資産
個人事業ではない個人所有のものは軽減対象外です。なお、個人(会社の経営者等)が会社に家屋を貸している場合、個人事業として自ら事業を行い、当該事業収入減少要件等を満たせば対象となり得ます。
(7)事業収入
純粋は収益事業における売上高となります。給付金、補助金、事業外収入は含みません。
(8)複数の事業・店舗
全ての事業・店舗に係る事業収入で事業収入の減少判定を行います。

以上

2020年9月22日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant