直近尊属から住宅取得等資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置

特定受贈者(贈与年の1月1日現在20歳以上で合計所得金額2,000万円以下の者)が、 その直系尊属(親、祖父母等)から受ける居住用家屋の新築・取得・増改築等用に住宅取得等資金の贈与については、非課税限度額が定められていますが、消費税率の8%から10%への引上日が平成31年10月1日に予定されています。適用消費税率と住宅取得等の契約日の条件により、その非課税限度額が以下のようになります。特に、契約締結日には留意する必要があります。
⓵住宅用家屋の取得価額に消費税率10%の消費税等が含まれている場合 (消費税率10%で契約した者)

住宅用家屋の取得価額に消費税率良質な住宅用家屋(省エネ等住宅)左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅)
平成31年4月~平成32年3月3,000万円2,500万円
平成32年4月~平成33年3月1,500万円1,000万円
平成33年4月~平成33年12月1,200万円700万円
なお、 東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 以下のようになります。
平成31年4月~平成32年3月
平成32年4月~平成33年12月

3,000万円
1,500万円
2,5000万円
1,000万円

⓶上記(1)以外の場合 (消費税率8%で契約した者や個人間売買で中古住宅売買契約した者)

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間良質な住宅用家屋(省エネ等住宅)左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅)
平成28年1月~ 平成32年3月1,200万円700万円
平成32年4月~平成33年3月1,000万円500万円
平成33年4月~平成33年12月800万円300万円
なお、 東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 以下のようになります。
平成26年度申告対象分
~ 平成33年12月
1,500万円1,000万円

上記の「良質な住宅用家屋」とは、 省エネルギー対策等級4(平成27年4月以降は断熱等性能等級4)、 又は耐震等級2以上若しくは免震建築物に該当する住宅用家屋のことであり、 所定の証明書が必要となります。
① 「良質な住宅用家屋」の範囲に、 一次エネルギー消費量等級4以上に該当する住宅用家屋及び高齢者等配慮対策等級3以上に該当する住宅用家屋も対象。
② 適用対象となる増改築の範囲に、 一定の省エネ改修工事、 バリアフリー改修工事及び給排水菅又は雨水の侵入を防止する部分に係る工事も対象。

以下の適用要件があります。
① 住宅取得等資金であること
住宅取得等資金とは、住宅の新築、取得または増改築等に充てるための金銭をいいます。尚、住宅の新築に先行して、その敷地用の土地等を取得する場合における取得資金もこの制度の適用対象となっています。金銭の贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、原則として居住することが必要となっていますが、その後に遅滞なく(同年の12月31日までに居住できなかったときには、この非課税制度は認められなく、同日から2ヶ月以内に修正申告をしなければなりません)、居住することが確実に見込まれる場合であれば特定受贈者は所定の計算明細書等を添付して贈与税の申告期限内に提出すれば、この非課税制度の適用を受けることができます。
② 受贈者の非課税の適用要件:
(イ) 贈与時に日本国内に住所がある、 或いは日本国内に住所が無いものの日本国籍を有し、 かつ、 受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所があったことがある。
(ロ) 贈与時に贈与者の直系卑属(子や孫等)である。
(ハ) 贈与時の1月1日現在で20歳以上である。
(ニ) 贈与年の合計所得額が2,000万円以下である。
③ 住宅の新築・取得の適用要件:
日本国内にある家屋で、 受贈者が主として居住用に使用するものであり、 次の要件を満たす必要があります(土地だけの取得では不可)。
(イ) 適用対象となる住宅用家屋の床面積(区分所有の場合には、 その区分所有部分)は、 240㎡以下(東日本大震災の被災者が受贈者の場合には、 240㎡以下の床面積制限無し)。
(ロ) 中古家屋の場合には、 耐火建築物であれば築25年以内 、耐火建築物以外では築20年以内のものであること。 但し、 地震に対する安全基準に適合するものには、 この建築年数制限は無し。
(ハ) 床面積の2分の1以上が専ら居住用に使用されていること。
④ 住宅の増改築等の適用要件:
日本国内にある家屋で、 次の一定の増改築であることが必要です。
(イ) 工事代金が100万円以上で、 かつ、 居住用の工事費が全体の2分の1以上であること。
(ロ) 増改築等の家屋の床面積の2分の1以上が専ら居住用に使用されていること。
(ハ) 増改築等の家屋の床面積が50㎡以上(区分所有の場合には、 その区分所有部分)。
⑤ 相続開始前3年以内贈与の相続財産への加算措置の対象外
⑤ その他の適用要件:
(イ) 受贈者の一定の親族等の特別な関係者との請負契約等により新築若しくは増改築等をする場合、 又はこれらの特別な関係者から取得する場合には、 この特例の適用を受けることはできません。 
(ロ) 贈与税の申告期限内に申告する必要があります。

この非課税適用において、居住時期以外にも次の点に関し、留意すべきです。
 住宅新築(一戸建て)の時期
新築は、資金贈与日の翌年の3月15日までに行わなければなりません。同日までに屋根(その骨組を含む)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以降の状態が必要となります。
 住宅取得(マンション)の時期
売主から住宅の引渡し(通常は鍵の引渡し、 又は少なくとも残代金の支払完了、等)を翌年の3月15日までに受ける必要があります。従って、売買契約の締結等の状態では不十分です。
 住宅の新築、取得または増改築等の取引の相手先
受贈者の一定の親族等特別な関係者との契約に基づくものは適用対象外となります。
 居住用の不動産の贈与
父から居住用の不動産の贈与を受けても、 この非課税制度は家屋に関し金銭による贈与に限定されていますので適用対象外です。

尚、住宅取得等資金の非課税は、下記の特例と併用が可能です(優良住宅のケース)。
① 歴年課税の基礎控除
平成30年度:110万円(基礎)+ 1,200万円 = 1,310万円の非課税
② 相続時精算課税の特別控除
平成30年度:2,500万円(特別)+1,200万円 = 3,700万円の非課税

2018年6月30日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

働き方改革法が成立

政府が今国会の最重要法案と位置づけた働き方改革関連法案が29日の参院本会議で可決・成立した。

主な項目 改革内容導入時期
残業時間の上限規制
原則、月45時間・年360時間が上限
特別な事情ある場合でも、
年720時間以内、2~6ヶ月平均で80時間以内、単月で100時間未満
月45時間超となることは6回まで
2月連続で90時間残業は禁止、等
年5日の有給休暇の消化義務(2019年4月より)
大企業:2019年4月
中小企業:2020年4月
脱時間給制度の創設
高収入の一部専門職は働いた時間でなく成果で評価
(年収1,075万円以上の金融ディーラー、コンサルタント、アナリスト等が対象)
2019年4月
同一労働同一賃金の実現
正規と非正規の不合理な待遇差を解消大企業:2020年4月
中小企業:2021年4月

2018年6月30日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant