自民、公明両党は、8月2日に「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」を決定し公表しました。 これを踏まえて、政府は9月招集の臨時国会に関連法案を提出して早期成立を図る予定です。 以下は、その措置の主な内容(改正案)です。
項目 | 平成28年度税制改正(現行) | 改正案 |
消費税率引き上げの施行日 | 平成29年4月1日 | 平成31年10月1日 |
請負工事等に係る適用税率の経過措置の指定日 | 平成28年10月1日 | 平成31年4月1日 |
軽減税率制度の導入時期 | 平成29年4月1日 | 平成31年10月1日 |
適格請求書等保存方式の導入前の税額計算の特例 | ||
① 売上税額の計算特例 | ||
(イ)基準期間の課税売上高が5千万円以下に中小事業者 | 平成29年4月1日から平成33年3月31日までの4年間 | 平成31年10月1日から平成35年9月30日までの4年間 |
(ロ)基準期間の課税売上高が5千万円超の大規模事業者 | 平成29年4月1日から1年間 | 経過措置の適用外 |
② 仕入税額の計算特例 | ||
(イ)卸小売業者の特例 | 平成29年4月1日から1年間(全卸小売業者を対象) | 平成31年10月1日から1年間(卸小売業の中小事業者のみを対象) |
(ロ)簡易課税制度等の事後選択特例 | 平成29年4月1日から1年間(中小事業者及び大規模事業者) | 平成31年10月1日から1年間(中小事業者のみを対象) |
適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入時期 | 平成33年4月1日 | 平成35年10月1日 |
適格請求書発行業者の登録申請開始日 | 平成31年4月1日 | 平成33年10月1日 |
免税事業者からの仕入控除特例 | ||
① 100%控除 | 平成33年3月31日まで | 平成35年9月30日まで |
② 80%控除 | 平成33年4月1日~平成36年3月31日まで | 平成35年10月1日~平成38年9月30日まで |
③ 50%控除 | 平成36年4月1日~平成39年3月31日まで | 平成38年10月1日~平成41年9月30日まで |
④ 0%控除 | 平成39年4月1日以降 | 平成41年10月1日以降 |
住宅取得等に係る税額控除の適用期限 | 平成31年6月30まで | 平成33年12月31まで |
① 住宅借入金等を有する場合 | ||
② 特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合(特例) | ||
③ 既存住宅の耐震改修をした場合 | ||
④ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合 | ||
⑤ 認定住宅の新築等をした場合 | ||
⑥ 東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合(特例) |
資産課税におきまして、期間の変更があります。
- 直近尊属から住宅取得等資金贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
特定受贈者(贈与年の1月1日現在20歳以上で合計所得金額2,000万円以下の者)が、 その直系尊属(親、祖父母等)から受ける居住用家屋の新築・取得・増改築等用に住宅取得等資金の贈与については、非課税限度額が定められています。
① 住宅用家屋の取得価額に消費税率10%の消費税等が含まれている場合 (消費税率10%で契約した者)
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 | 良質な住宅用家屋(耐震等住宅) | 左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅) | |
現行 | 改正案 | 3,000万円 | 2,500万円 |
平成28年10月~平成29年9月 | 平成31年4月~平成32年3月 | ||
平成29年10月~平成30年9月 | 平成32年4月~平成33年3月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成30年10月~平成31年6月 | 平成33年4月~平成33年12月 | 1,200万円 | 700万円 |
なお、 東日本大震災の 被災者が受贈者の場 合には、 以下のようになります。 平成28年10月~平成29年9月 平成29年10月~平成31年6月 |
平成31年4月~平成32年3月
平成32年4月~平成33年12月 |
3,000万円
1,500万円 |
2,5000万円
1,000万円 |
② 上記(1)以外の場合 (消費税率8%で契約した者や個人間売買で中古住宅売買契約した者)
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 | 良質な住宅用家屋(耐震等住宅) | 左記以外の住宅用家屋(その他の一般住宅) | |
現行 | 改正案 | 1,200万円 | 700万円 |
平成28年1月~平成29年9月 | 平成28年1月~平成32年3月 | ||
平成29年10月~平成30年9月 | 平成32年4月~平成33年3月 | 1,000万円 | 500万円 |
平成30年10月~平成31年6月 | 平成33年4月~平成33年12月 | 800万円 | 300万円 |
なお、 東日本大震災の 被災者が受贈者の場 合には、 以下のようになります。 現在~平成31年6月 |
現在~平成33年12月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
- 住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税選択の特例(措法70の3)
住宅取得等資金の贈与を受ける場合に限り、 相続時精算課税制度を選択される時には、 贈与者の年齢制限の適用要件が外れるという特例規定があります(相続時精算課税選択の特例)。 なお、 対象住宅の床面積が50㎡以上であればよく上限条件は付されていません。
特別控除 | 2,500万円 | ||
年齢要件 | 贈与者 | 親(年齢制限無し) | |
受贈者 | 20歳以上の子及び孫) | ||
適用期間 | 現行 | 改正案 | |
平成15年1月1日から 平成31年6月30日まで |
平成15年1月1日から 平成33年12月31日まで |