暗号資産の取扱い

これまでの「仮想通貨」の呼称が、日本円や米ドルなど法定通貨との誤認を防ぐという目的や国際会議等の外国での使用表現に合わせ、「暗号資産」に変更されました。この暗号資産(仮想通貨)に関する規制強化策を盛り込んだ「改正資金決済法」、及び「金融商品取引法」が参院本会議で可決、法案が成立し。 2020年4月から施行されます。
2019年度の税制改正で暗号資産の取扱いが、以下の様になりました。
1.法人税:暗号資産の評価方法等
(1)事業年度末の暗号資産のうち、活発な市場が存在する暗号資産(市場暗号資産)については、時価評価により評価損益を計上する。

       区分評価方法評価損益の取扱い
市場暗号資産自己の計算において有する暗号資産時価法益金(損金)算入
自己以外の者の計算において有する暗号資産益金(損金)算入しない
市場暗号資産に該当しない暗号資産原価法

活発な市場が存在する暗号資産(市場暗号資産)とは、次の要件の全てに該当するものをいいます。
イ 継続的に売買価格等(売買の価格又は他の暗号資産との交換比率)の公表がされ、かつ、その公表される売買価格等がその暗号資産の売買価格又は交換比率の決定に需要な影響を与えているものであること。
ロ 継続的に上記イの売買価格等の公表がされるために十分な数量及び頻度で取引が行われていること。
ハ 次の要件のいずれかに該当すること。
① 上記イの売買価格等の公表がその法人以外の者によりされていること。
② 上記ロの取引が主としてその法人により自己の計算において行われた取引でないこと。
(2)暗号資産の譲渡時の譲渡損益は、譲渡契約時の事業年度に計上する。
(3)暗号資産の単価算出方法は、移動平均法又は総平均法による原価法とし、法定算出方法は移動平均法による原価法とする。
(4)未決済の暗号資産の信用取引等については、事業年度末に決済したものとして損益相当額を計上する。
(5)棚卸資産及び固定資産の範囲から暗号資産が除外となります。
上記改正は、2019年4月1日以後に終了する事業年度より適用する(時価評価に関して経過措置有り)。

2.所得税:暗号資産の所得計算方法
移動平均法又は総平均法で算出することになりますが、法定評価方法は総平均法となりました。
法定評価方法:総平均法(従って、移動平均法を採用したい場合には、所轄税務署に要届出)
評価の方法:移動平均法又は総平均法
所得区分:原則は雑所得(事業と認められる場合は事業所得)

2019年7月16日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant