中古減価償却資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却費

事業を行っている時に、個人所有の建物、備品、車等のように使用や期間の経過により減価する資産(減価償却資産)を事業用(業務用)に転用することがあります。 この転用時には、それらの減価償却資産を金額評価して業務用資産として記帳することが必要となりますが、金額評価方法はどうなるでしょうか。

1.個人所有から法人事業への転用

原則、転用時の時価相当額で売却(譲渡)することになります。 法人では、中古減価償却資産の購入として取り扱われます。 個人の方では、 売却状況によっては譲渡所得の対象になる場合があります。

2.個人所有から個人事業への転用

資産計上の対象資産評価は、減価償却後の金額で考えなければなりません。

(1)転用時の未償却残高の計算

① 耐用年数の算定

非業務用資産の耐用年数は、その資産と同種の減価償却資産に係る法定耐用年数に1.5を乗じて計算した年数となります。

耐用年数 X 1.5 = 非業務用資産の耐用年数(1年未満の切捨て)

(注) 公表されています法定耐用年数表は、 事業用(業務用)を前提にしていますので、 非業務用は、 その1.5倍として取り扱われます。

② 減価償却累計額の算定

(イ)非業務用資産の経過年数の算定

非業務用資産の購入時から業務用転用時までの経過年数を求める。

業務用転用時の年月(1月未満は1月) - 購入時の年月(1月未満は1月)

= 経過年数(6月以上の端数は1年とし、6月未満は切捨て)

(ロ)減価償却方法と減価償却額の算定

非業務用資産の減価償却計算は、以下の算式で必ず旧定額法によります。

取得価額 X 90% X 非業務用資産の耐用年数に対応する旧定額法の償却率 X 経過年数 = 減価償却累計額

なお、 平成19年3月31日以前に取得した非業務用資産を業務の用に供した場合には、 償却可能限度額 (取得価額の95%相当額) に達した年分の翌年分以後、 その未償却残高 (取得価額の5%) に対して備忘価額1円を残し5年間で均等償却します)。

(取得価額  X  5%償却残存可能価額 - 1円) ÷ 5年 = 償却限度額

③ 未償却残高相当額の算定

取得価額 - 非業務時の減価償却累計額 = 未償却残高相当額(業務転用時の取得価額)

(2)転用後の減価償却費の算定

① 中古資産の改訂耐用年数の算定

中古資産となりますので、その資産の法定耐用年数によらずに、購入した中古資産の取得の時以後の使用可能期間の年数を耐用年数とすることができます。 この場合、今後の使用可能期間の年数を合理的に見積もることが困難なときは、簡便法による年数によることもできます。

(イ)法定耐用年数の一部を経過した資産

(法定耐用年数 - 経過年数) + 経過年数 X 20/100 = 改訂耐用年数

(ロ)法定耐用年数の全部を経過した資産

法定耐用年数 X 20/100 = 改訂耐用年数

(注)  経過年数は、購入から業務用転用時までの期間を年換算して改訂耐用年数までを計算します。 改訂耐用年数は、1年未満の端数は切捨てた年数とし、2年未満の場合は2年とします。

② 減価償却方法

業務用期間における減価償却資産の償却方法は、その資産の当初の購入年月日(非業務用から業務用に転用した日でないことに留意)により、以下の様に異なります。

当初の購入年月日 建物 建物以外の一般的な有形減価償却資産
平成10年3月31日以前 旧定額法 又は 旧定率法 旧定額法又は旧定率法
平成10年4月1日から 平成19年3月31日まで 旧定額法 旧定額法又は旧定率法
平成19年4月1日以後 定額法 定額法又は定率法

③ 初年度の減価償却額の算定

未償却残高相当額(業務転用時の取得価額)X 改訂耐用年数に対応する減価償却方法による償却率 X(事業月数 ÷ 12)= 減価償却額

2016年7月19日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

公的年金(国民年金と厚生年金)はいくらもらえるか

年金(私的・公的)は老後の生活資金としての役割がありますが、その生活資金の満額をカバーできるものではなく、一部に過ぎず不足分は貯蓄から充当するしかないと言われています。 以下に、年金について言及してみたいと思います。

1.日本の年金制度

年金制度には、①全国民共通の「国民年金」、 ②会社員・公務員の「厚生年金」・「共済年金」、 ③会社独自の年金基金制度(確定拠出年金制度、 確定給付年金制度、 等)となる「企業年金」等があります。 その中で公的年金と言われるのが、①と②の年金(国民年金と厚生年金)となっています。

2.国民年金

20歳以上の国民全員が60歳まで加入しなければならない公的な年金(基礎年金)です。 強制加入被保険者以外の方でも、 以下のいずれかに該当すれば被保険者(任意加入被保険者)となることができます。

① 年金給付額を増やしたい60歳~65歳までの方

② 年金の受給資格期間を満たしていない60歳~70歳までの方

③ 国外居住の20歳以上65歳未満の日本人

国民年金(老齢基礎年金)の受給開始は、65歳からとなっています。

3.厚生年金 (社会保険制度)

会社等に雇用中で70歳未満の方が加入するものですので、 70歳になりますと厚生年金の加入資格が無くなり脱退手続きをします。

厚生年金(老齢厚生年金)の受給開始年齢は、現在60歳から段階的に引上げられており最終的には国民年金の支給開始と同様に65歳からとなります。 なお、在職中で社会保険制度に加入しながら老齢厚生年金を受給されている場合、 その年金額の全部又は一部が1カ月間の年金受給額と給与収入の合計額に応じてカット(支給停止)されます。

4.公的年金の受給額

詳細な年金受給額の算定式は省略しますが、給与額(所得額)及び加入期間に応じて受給額が算定されます。

さて、現在の年金受給額の最高額(満額)は、年間いくらになるのでしょうか。 例えば、 加入期間が40年間の場合(40年間の間、 各年において標準報酬月額620,000円、 賞与1,500,000円が年2回)には、

老齢基礎年金: 780,100円

老齢厚生年金:2,288,800円

合計       3,068,900円

注: 賞与に対して、 年金保険料の対象になったのは、 平成15年4月以降の支給分からです。

 

以上のように年間の年金受給額が、 3百万を超える方は殆どいないかと思います。 一般的には、 40年近く加入期間があっても2百万円前後かと思います。

2016年7月19日 | カテゴリー : 税務情報 | 投稿者 : accountant

住宅資金贈与 拡充を延長 2年半、 消費増税先送りで

政府・与党は消費増税の延期に対応するため関連法を改正する調整に入った。 住宅資金の贈与時の非課税枠を最大3,000万円に上げる時期を10月から2年半延期する。 住宅ローン減税の期限も延ばすほか、 軽減税率の開始後に消費税率を記録するインボイス(税額票)も導入延期する。

増税先送りに合わせて、 関連する税制の見直し検討項目:

税制 制度の概要と予定 見直案
住宅資金の贈与 一定額まで贈与を非課税。

2016年10月~2017年9月に上限を最大3,000万円に引き上げ

2年半延期。 現行の1,200万円を当面維持
住宅ローン減税 ローン残高に応じて最大500万円減税。 2019年6月に終了 2年半延長
インボイス(税額票) 税金を細かく記録する伝票作成を事業者に義務付け。 2021年4月に導入。  

 

 

 

2年半延期を検討

自動車 自動車取得税の廃止と燃費で税率が変わる新税の導入。 2017年4月に導入
自治体間の税収格差是正 自治体税収の一部を国が吸い上げて自治体に再配分。 2017年4月に強化

 

2016年7月17日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

年金受給 納付10年で

安倍晋三首相は11日、 参院選を受けて自民党本部で記者会見し、デフレ脱却に向け「内需を下支えできる綜合的かつ大胆な経済対策を実施したい」と表明した。 年金の受給資格を得るのに必要な保険料の納付期間を、来年度から短縮する意向を示した。 現在の25年から10年に縮める。

公的年金制度では20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた人は、65歳から満額の基礎年金(国民年金)が支給される(国民年金の最高年金額は月65,000円ほどです)。 現状では25年間は保険料を納めないと年金の受給資格が得られない。 2017年から受給資格期間を25年から10年に短縮するというものです。 ただ、10年間納めただけで受給できる年金額は月16,000円程度ということです。

2016年7月12日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

遺産相続 手続き簡素化 法務省 戸籍情報、 証明書1通に

法務省は5日、遺産相続の手続きを簡素化する制度を来春から始めると発表した。 戸籍関係の情報が記載された証明書の交付をいたっん法務局で受ければ、銀行やその他の行政窓口に大量の戸籍関連の書類を提出しなくとも、相続の手続きを進めることができる。 同省は今年度中に不動産登記規則を改正し、2017年度の運用開始を目指す。

新制度では、 遺産の相続人が戸籍関係の書類を法務局にいったん提出すると、被相続人と相続人の氏名や住所、生年月日など「法定相続情報」を記した証明書1通が交付される。 この証明書は別の地域の法務局でも使えるため、複数の地域で不動産を相続する際の負担が軽減できる。

2016年7月6日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant

路線価8年ぶりプラス 全国0.2% 都市・地方で二極化

国税庁は1日、 相続税や贈与税の算定基準となる2016年分の路線価(1月1日時点)を発表した。 約32万8千地点の標準宅地の評価額は、 全国平均で前年比0.2%のプラスとなり、 リーマン・ショック前の2008年以来、 8年ぶりに上昇に転じた。 東京、 大阪、 愛知など14都道府県(前年は10都府県)で上昇した。

 

路線価とは、 主要な道路に面した土地1平方メートル当たりの標準価格で、 2016年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で土地を取得した場合、 今回公表された路線価を基に税額が算定される。 調査地点は国土交通省が3月に公表した公示地価(2万6千地点)よりも多い約33万地点。 公示地価の8割を目安に売買実例などを参考にして算出するため、 公示地価よりも遅く例年7月に公表される。 路線価の最高は、 お馴染みの東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りの1平方メートル当たり32,000千円(前年18.7%上昇)でした(ピークは1992年の36,500千円とのこと)。

2016年7月1日 | カテゴリー : 社会情報 | 投稿者 : accountant